多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第33話 十傑集その7

 新西暦186年8月7日 極東方面 第二新東京市

 

 

 『上の推進部分、全部ぶっ壊しましたですのー。』

 『Grrr…WON!』

 

 幼女コンビがそう報告すると共に、ガクン!とメガロプレッシャーの動きが止まる。

 これでもう降下も回転も出来なくなった。

 加えて、元々が質量を活かした打撃を用いた都市殲滅用巨大円盤型機動兵器であり、そのための防御力を優先する余り、碌な射撃兵装を備えていなかった。

 精々が上面に取り付けられた対空目的のミサイル程度で、それはもう破壊されてしまった。

 即ち、デカいだけの木偶と化してしまったのだ。

 

 『よし、私が押し出すから下で支援を頼む!』

 『ヤザンさーん、ご指示お願いしまーす!』

 『えぇい畜生め!少年にロック1と2、頼んだぞ!残りは三人の援護だ!』

 

 こうして、最後は割とあっさりと終わる…かと思われた。

 もう少しで運び終わるという時に、突如メガロプレッシャー内部で爆発が発生したのだ。

 

 『ッ!いかん、一部が落ちる!』

 

 下から落ちない様に支えていた巨大円盤の一部が発生した誘爆によって破損、破片が落下してしまった。

 破片といってもそのサイズは1km近く、やはり被害は免れない程の質量はある。

 グラウベンは誘爆の衝撃と破片が落ちた分のバランスの変化に対応するので精一杯で、とてもではないが咄嗟に対応できなかった。

 

 『各機、フィールド出力全開!』

 『ATフィールド全開!』

 『DF最大出力ぅ!』

 

 そこを空かさずエヴァ初号機と二機のグラビリオンが滑り込み、第二新東京市への落下を防ぐ。

 

 『う、ぐ、ぁぁぁぁぁぁあ…ッ!』

 『うぅ…!ジェネレーター、リミッター解除!全部フィールド出力に!』

 『駄目、このままじゃもたない!』

 

 が、未だ成長し始めたばかりのシンジの精神で稼働率が上下するエヴァ初号機と、ジガンスクード程の性能は持っていないグラビリオンでは全長1km近い円盤の破片を支える事は無理だった。

 

 『っ、シンジ君!』

 『な、止せヘイズ3!』

 

 故にヘイズ3、ゴトランドは飛び出した。

 特機ではないとは言え、少しでも加勢するために。

 

 『っ、ゴトランドさん!?』

 『ゲシュペンストmk-Ⅱの出力でも、多少の足しには…!』

 

 エヴァの横に並び、少しでもその負担を減らそうとゲシュペンストmk-Ⅱがリミッターを解除、限界までDFジェネレーターを酷使する。

 が、事態は高性能量産機とは言えMS一機程度でどうにかなる範囲を超えている。

 

 『っちぃ!ヘイズ2、着いてこい!』

 『くそ、了解!』

 

 事態に気付いたヘイズ1と2、ヤザンとフレッドもまた加勢する。

 それでもなお、巨大な破片を押し返す事は出来ない。

 

 『っ、ぁ、ぐぅぅぅ…!』

 

 ATフィールドの出力を上げるべく、必死に精神を集中させるシンジは、このままでは全員が全滅しかねないと思っていた。

 事実その通りで、このままではATフィールドを持つシンジだけが生き残り、落下の衝撃でジオフロントに直通の大穴が開いてしまう事だろう。

 何より、こんな自分と短い間とは言え共に戦い、共に笑い、共に時間を過ごしてくれた人達が消えてしまう。

 それは、シンジにとって二度目の喪失で、決して認められるものではなかった。

 

 『ぅ、ああああああああああああああああああああああああああッ!!』

 

 故に訓練で受けた通り、近接戦闘時の心得の一つである大声を出す。

 これで自らの心を奮い立たせ、少しでも多くの力を絞り出す。

 しかし、この時のシンジにそんな知恵は一切なかった。

 

 失いたくない…

 

 失いたくない

 

 失いたくない!

 

 失いたくない!!

 

 ただ必死だった。

 孤独は嫌だ、独りぼっちは嫌だ、寂しいのは嫌だ。

 幼少期に母が消え、父は自分を置いていった。

 その出来事がトラウマとして、シンジの心に今もなお深く刻まれている。

 故にこそ、シンジは孤独を最も厭う。

 だからこそ、ここで首都防衛隊の面々を、NERVの人達を失う事に、第二新東京市とそこに住まう人々を失う事に、シンジは耐えられなかった。

 そんな少年の声に、機械仕掛けの神/母が応えた。

 

 『な、初号機のシンクロ率上昇!』

 『これは…!?』

 

 『こ、のおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!』

 

 指令所のやり取りなんて耳に届かず、シンジはただ願い、それは叶えられた。

 突如その出力を急上昇させた初号機のATフィールドは急拡大し、まるでトランポリンの様な弾性を発揮、落下した破片を人気の無い芦ノ湖方面へと弾き返したのだ。

 

 『ま・だ・ま・だあああああああああ!!』

 

 それだけに留まらず、初号機のATフィールドは更に拡大し、上空のメガロプレッシャーとグラウベンにまで到達、メガロプレッシャーのみをやはり芦ノ湖方面へと弾き飛ばしたのだ。

 

 『『『『『『『『『『はあああああ!?』』』』』』』』』』

 

 余りのトンデモナイ光景に指令所と首都防衛隊の面々は度肝を抜かれて叫びを上げた。

 こうして、第二新東京市は辛くも十傑集とムゲ帝国軍の攻撃を凌ぎ切ったのだった。

 で、次はお楽しみ、戦闘後の不明勢力への詰問である。

 

 『で、そちらの人達は何処の誰なのか、説明を貰えないかしら、ヤザン少佐?』

 『おや、何で自分が出来ると思うんですかな葛城少佐?』

 

 ここで露骨に首都防衛隊とNERVという指揮系統も異なる二つの組織の軋轢が表面化した。

 この辺を少数ながらも実力と態度、名声で上手く往なしてきたヤザンと連邦軍に帰属しない独自色の強いながらも戦力が少ないNERVとで上手くやってきたのだが、当のヤザンが問題の渦中となったせいで大きく拗れてしまった。

 

 『Grrrrrrrr…!』

 『あぁ…?』

 

 そんな中、未だ理性の戻ってきていないレーベンのレイデンシャフト・クリンゲが両手を地に付けた四足状態で唸り声を上げる。

 その視線の先はヘイズ1、ヤザンへと向けられており、野生動物の様に今にも襲い掛からんとするネコ科の大型肉食獣そのものの姿だった。

 それに対し、ヤザンはメンチ切りしてくる中坊を見るヤクザ者の様なドスの効いた低い声を上げ…

 

 『ガン飛ばしてんじゃねぇ!!』

 『きゃいんっ!?』

 

 ヤザンの一喝に、レーベンは悲鳴と共に一瞬で正気に戻った。

 

 『きゃいんきゃいんきゃいんっ!!』

 『え、ちょ、なんで私にしがみ付くんですかぁ!?』

 『あらーすっかり怯えてますのー。』

 

 そして、どうすべーと傍観していたフォアルデンにしがみ付き、ヤザンへの盾にする様にその後ろへと隠れてしまった。

 尻尾、もといツインワイヤーテールも主人の感情を現す様に丸まって股の間に納められてしまった。

 まるっきり怯えた子犬とかの姿だった。

 その姿を見て、その場の全員は毒気を抜かれてしまった。

 その瞬間を、期を伺っていたアトミラールは見逃さなかった。

 

 『…全機、ワープするわよ!』

 『えと、えと、今日は帰りまーす!お疲れさまっしたー!』

 『またお会いしましょうですのー。』

 『きゃうーん…。』

 『貴女は早く正気に戻りなさい…。』

 『あ、ちょっと待てお前ら!』

 

 余りの毒気の無さに力を抜かれた瞬間を見計らい、あっという間に転移していくアインスト4人娘達。

 それを阻止するには今の首都防衛隊とエヴァ初号機は余りに疲弊していた。

 

 『ッチ!各機、帰投するぞ。都市の防衛態勢の立て直しをせにゃならんが、一先ずは勝利だ。』

 『勿論、後で色々お聞かせ願いますわよね、ヤザン少佐殿?』

 『アレらに関しては先ずは連邦軍へ報告した後になるがね、葛城少佐殿?』

 

 取り敢えず、第二新東京市の戦闘は完全に終了した。

 が、ムゲ帝国の再侵攻はまだまだ始まったばかりだった。

 

 

 ……………

 

 

 新西暦186年8月7日

 突如始まったムゲ帝国の再侵攻は地球上のみならず、コロニーと月を含む地球圏全体に行われた。

 これは嘗てあった太陽系防衛用無人機動部隊の地球の最終防衛ラインを担っていた無人量産型OFセト部隊(総数約1億機)並びその生産・運用のための恒星間航行大型戦略工作艦ドゥーベを失った事による最終防衛ラインの戦力低下並びムゲ側の戦力蓄積が予想を大幅に超えていた事によるものだった。

 即ち、ソ連式地雷原突破方法ばりの物量で薄くなった防衛ラインを無理矢理突破してきたのだ。

 それでも全体の2割は削られた。

 この2割は以前のムゲ帝国軍の物量の7割とほぼ同量であり、決して彼女らが過度に弱体化した訳ではなかった。

 単に彼女らの処理能力を大幅に上回られた、それだけの話である。

 実際、地球の最終防衛ラインは生産の滞っている無人量産型OFではなくヴァルチャーを新たに5000機配備し、ロールアウトした無人機動艦隊の4000m級中型艦隊指揮用戦艦の改修型も複数配備されていたのだ。

 更に防衛ラインの戦力配置や連携も見直してより効率化されていたのだが、それでも物量に飽かせて突破してくる辺り、今回のムゲ帝国軍の侵攻は本気である事が察せられる。

 加えて、以前は地球のみだった所を地球圏全体に襲撃されたため、以前の様に月やコロニー駐留軍からの戦力抽出は出来ない。

 が、幸いにも地球よりも高性能な装備や艦艇、機動兵器類の配備が進んでいるコロニーと月面は最初の侵攻に対し迎撃に成功、ジガンスクードⅡのGテリトリー並びジガンスパーダのマルチロックオン砲撃、そしてデストロイドモンスターの4連装亜光速レールガンの砲撃により、コロニーに取り付く事も出来ずに壊滅・撃退された。

 月面ではアナハイムを始め、各大企業群の軍需工場が多数存在しており、その防衛のために艦隊が駐留していた事もあり、各月面都市防衛のための初動をスムーズに行われ、陥落は免れた。

 しかし、一時後退したムゲ帝国を追撃する余力は無く、この隙に戦力再編を行われると思われたのだが…

 

 『ガンダム・ヒュッケバイン、出るぞ!』

 『お供します、アムロ大尉!』

 『ウラキ中尉か!ミノフスキードライブは早い。うっかり通り過ぎるなよ!』

 『了解です!ムゲの連中に目にもの見せてやりますよ!』

 

 遂にロールアウトしてしまったヒュッケバイン、それを駆るアムロ・レイ大尉。

 更にその機動性に追随可能な試作型ミノフスキードライブを装備したオーキスユニット改仕様のジェガンに乗ったコウ・ウラキ中尉。

 彼らによる亜光速の一撃離脱を用いた斬首戦術はその速度を活かして月面各所で行われ、指揮系統が壊滅したムゲ帝国軍は数は未だあったものの、再侵攻から一週間程で壊滅に追い遣られた。

 こうして月とコロニー、宇宙においては連邦軍の快勝で終わった。

 しかし地球、特に欧州においてはそうではなかった。

 

 『ふはははははは!どうした地球人共!それではこのデスガイヤーを落とす等、夢のまた夢だぞ!』

 『くくく、このギルドロームが悪夢を見せてやろう!』

 『各艦、敵指揮官に砲撃を集中せよ!敵の足並みを崩すのだ!』

 

 ムゲ帝国軍の三将軍が直属の精鋭部隊、そして多数配備されたメガロプレッシャーを用いて欧州を蹂躙したのだ。

 

 『う、うわああああああ!?』

 『やめろ、やめろおおおお!!』

 『こっちに来るなああああ!?』

 

 特にギルドローム将軍の配下達が乗る量産型ギルバウアー軍団による広域の精神攻撃に対応できるだけの精鋭が殆どいない欧州では戦闘開始早々に戦線が瓦解する事も多く、また配備されている特機の数も少ないとあってデスガイヤー将軍の駆るザンガイオー並び直属の部下達の乗る量産型デスグロームⅡ部隊によって戦線を強引に突破される事も多く、更にはメガロプレッシャーによって街ごと軍事施設が破壊されていった。

 そうして出来た隙に、今度はヘルマット将軍の率いる軍勢が空・陸・各種兵科の連携という正攻法で攻め立てていく。

 こうして、僅か3週間で欧州全土から連邦軍は追い出されてしまった。

 この事態に対し、欧州に本拠を持つロームフェラ財団とロゴス(正確にはジブリール)は旧英国方面に戦力を集結、反抗作戦のための戦力温存並び物資集積を開始した。

 また、連邦政府並び連邦軍もまた、予てから進めていたISA戦術対応艦群による敵首脳部への奇襲攻撃を決定、極東・北米方面のムゲ帝国軍の排除を完了次第、実行する運びとなった。

 この作戦が地球におけるムゲ帝国軍との最後にして最大の戦いにするつもりで、連邦軍は刃を研ぐのだった。

 




精神攻撃とかの対策なんて普通は無理です。

ジブリール&ロームフェラはこの世界版サイコガンダムに当たるデストロイガンダム、そしてサーペントとトールギス部隊を用意しています。
艦艇も支援用の旧式から地球中を飛び回っていたストーク級・ガルダ級、各所に配置されていたライノセラス級陸上戦艦を集める等、本気も本気で頑張ってます。
なお、足りないエースは強化人間(未成年・孤児の拉致誘拐・クローン・薬物投与等々)で補う予定。
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