多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第35話 嵐の前その2

 新西暦186年 地球圏 8月上旬

 

 各地に攻め入ったムゲ帝国軍の再侵攻部隊に対し、連邦軍は各地でその物量と陸空の連携に押されたものの、緒戦の奇襲効果が落ち着くや否や、反撃に転じていた。

 特に極東方面軍は水中や地中から出て来る地底種族連合を相手にしてきたせいで奇襲慣れしていた事もあり、奇襲と認識したとほぼ同時に反射的に反撃に出ていた兵士もいたりした。

 お前らやっぱ頭おかしいとは捕虜となったムゲ帝国軍兵士の言である。

 

 『はっはっはー!強化されたゲッターの慣らしにゃ丁度いいぜ!』

 『おいおい竜馬、オレにも残しておいてくれよな。』

 『わはははは!そーれゲッターミサイルだー!』

 

 特に訓練ばっかりで改修・強化・乗り換えを行ったものの、実戦の機会が最近無かった民間所属のスーパーロボット軍団は大いに奮戦した。

 

 『さぁグレートの初陣だ、行くぞ甲児!』

 『あたぼうよ!鉄也さんこそヘマするなよ!』

 『炎ジュン、グレート3号機行きます!』

 

 『退け退け!コンバトラーV6のお通りだい!』

 『ボルテスⅦ、行くぞぉ!』

 

 『やっぱ空は良いな!イーグルファイターじゃなくても飛べるのは良いぜ!』

 『調子に乗っていると落ちるぞ忍。』

 『無理ないよ。思ったよりも早いもん、このブースターユニット!』

 『アンタ達、馬鹿言ってないで敵を落としな!』

 

 こんな感じで、空中も自在に飛べるようになったスーパーロボット軍団によって極東方面軍の主力は正面からぶち抜かれ、撃滅された。

 また、その次に大規模だった部隊も第二新東京市で偶々居合わせたアインスト4人娘と首都防衛隊の活躍により撃破、それ以外は通常の部隊と洋上で移動中だったヒリュウ改、即ちSRX隊に遭遇して撃破された。

 結果だけを見れば、第二新東京市を除けば民間には被害らしい被害も出ないままに終わったのだった。

 

 で、対する北米方面はと言うと…

 

 『良い度胸です。我々の開発の邪魔をするとは…。』

 『侵略者共め!このヴァルシオンが貴様らに引導を渡してやろう!』

 『量産型シズラー、起動!さぁ行くわよ!』

 『メガロード級、浮上します。市街地への盾として展開した後、敵勢力を排除せよ。』

 『試作可変戦闘機部隊、出撃せよ!実戦データの収拾の時間だぁ!』

 

 寄りにも寄って、北米方面で一番大規模な軍事施設近郊に直接ワープして喧嘩を売ってしまったのである。

 地球連邦陸軍北米方面軍所属ラングレー基地。

 この基地の関係者と知ったら、他の基地の人員は道を空けるとすら言われるヤベーMAD達の巣窟である。

 そして、MAD達の世に出ずに終わった作品多数が収蔵されてもいる。

 具体的にはゲテモノ同然のYFシリーズとか、取り敢えず良い機体だけど量産には待ったがかかったメガロード級とか、必要だとは思うけどお値段的にまだ無理と言われた量産型シズラーとか、ビアン博士を筆頭とした愉快なMAD達の玩具と化しているヴァルシオンとか。

 スパロボ最終局面かな???と思われるラインナップに、仕掛けた側のムゲ帝国軍の方が呆気に取られた程である。

 そして当然の如く多数のMAP兵器、具体的にはメガグラビトンウェーブにマクロスキャノン、ホーミングレーザー等で密集陣形を砕かれてしまう。

 そうして強引に開けられた隙間を数の利を活かす事すら許されず、シズラーに陣形内部に入り込まれて斬首戦術をされて旗艦や指揮官機が撃破され、指揮系統が乱れに乱れた所を性能だけは高い試作可変戦闘機部隊によって各個撃破されていった。

 結果、当然の如くムゲ北米方面侵攻軍は消滅し、残党は普通に一般部隊によって刈り取られた。

 この戦闘におけるデータは当然の如く後に生かされ、特に多数の試作可変戦闘機部隊(YFー02~15)の戦訓と戦闘データを元にVF-01に続く傑作機とされるVF-11が完成する事となる。

 なお、プロジェクトTDチームとヴァルシオーネはSRX隊に合流済みでいなかった。

 

 では露西亜方面と中華方面はと言うと…実はこの方面軍、その広大な土地をカバーするために数が多い。

 とても多い、只管多い。

 旧式兵器が主体とは言え、航空機にMSに戦車に陸上戦艦に各種支援兵器等々…極めて、多い。

 しかも、それらの兵器の多くが旧国家時代のドクトリンを引き継いで物量と火力、各兵科の連携を密にした全戦線における縦深攻撃のために重装化されていたのだ。

 そんな連中が、今回侵攻してきたムゲ帝国軍のユーラシア方面侵攻軍よりも多くいたのだ。

 だってのに、ユーラシア方面軍(欧州方面軍とは別)はそんな連中に挟まれる位置に、旧モンゴル地域に転移してしまったのだ。

 転移当初こそ奇襲を受けた該当地域の部隊や市街地を蹂躙したものの、一週間もすれば全方位から包囲を受け、一週間と経たない内に殲滅された。

 捕虜?そんな者はいなかった、イイネ?

 

 で、他の地域である南米、豪州方面はムゲ再侵攻から三週間経過した現在も戦闘が継続している。

 しかし、その規模は他方面軍よりも小規模であり、連邦軍は民間人の避難を進めながらの遅滞戦闘に務めていた。

 これは最もムゲの勢いのある欧州方面での戦いを重視した連邦政府・軍の意向であり、要地の少ない方面に戦力の分散を嫌ったムゲ側の戦略だった。

 豪州は資源地帯の一つだし、南米は更にジャブローがあるじゃん?と思われるだろうが、地球を飛び出た人類に一年戦争中ならいざ知らず、枯渇気味の資源地帯なんてそこまで重要ではない。

 ジャブローは巨大な兵器工廠兼連邦軍司令部であり、守る理由は幾らでもあるが、月やキリマンジャロ等に司令部機能を移せる用意は既に出来ており、工廠もとてもではないが需要に追い付かないとして太陽系各地に分散して久しい。

 加えて、例え機動兵器や防衛線を突破した所で対MS特技兵が無数に潜むジャングルに攻め入る?

 

 止めてくれ、俺達だって死にたい訳じゃないんだ。 by名も無きムゲ兵

 

 そもそもムゲ帝国軍はこうも本腰に攻めつつも市街地を攻撃してまで攻勢を急いているのは、これ以上ムゲ帝王様に失態を晒す訳にはいかないと三将軍を筆頭とした軍上層部が決意しているからに他ならない。

 ムゲ帝王とその臣下の関係を現すなら、愉快系髑髏ことアインズ様とその友人達が作り出したナザリックの僕達に近い。

 そもそもムゲの宇宙すらムゲ帝王の被造物であり、そこに生きる全ての存在はムゲ帝王の無興を慰めるためのもの。

 そんな存在意義と絶対の忠誠心を持つ彼ら(一部例外あり)が負けたままで戦争を終わる事を認められるか?

 ムゲ帝国軍上層部はそんな現場の意見を無下に出来ず、ムゲ帝王様も許可してしまったが故に今回の侵攻は実行された。

 決して失敗しないように、三将軍他上層部が入念に事前準備をした上で。

 …そもそも攻め入る事自体が間違いであると知らないままに。

 

 そして、最後のアフリカ方面だが、ここはご存知地球連邦政府首都たるダカールが存在する。

 ダカールに暮らす連邦政府首班や行政を動かすための官僚達を守るため、この大地には地球の各方面軍の中で民間所属特機等の例外を除けば、最も有力な部隊で揃えられた方面軍なのだ。

 特にここ一カ月で再侵攻を予測していた地球連邦政府はこの地を決戦の地になると想定していたため(実際は欧州だったが)、配備された機動兵器の質と数は他の追随を許さない。

 具体的には生産が始まったばかりのガリア級とアテネ級の一番艦(共に修理完了済み)が回され、機動兵器も量産型ビルトシュバインにFAガーリオン、ファストパック装備のVF-01、デストロイシリーズ、陸上戦艦ライノセラス級に航空母艦ストーク級やガルダ級に他戦車師団や歩兵師団、支援兵器が多数。

 更に兵員の質の平均値も各方面軍中最高となれば、如何にこの地を地球連邦政府が重要視していたか知れる。

 そんな訳で、転移警報が鳴り響いた瞬間には自動照準の無人砲台から放たれた各種砲撃によって多くのムゲ戦艦やメガロプレッシャーが撃破され、態勢を立て直す時間もなく即応部隊によって叩き潰される事となった。

 当然と言えば当然の結末だった。

 こうして、欧州がえらい事になりつつある時、各方面軍はその力を存分に奮っていたのだった。

 欧州?

 貴族主義者と元商人系キ○ガイ何とかしてから言ってくれ。

 

 

 ……………

 

 

 だが、準備万端待っていた欧州以外の地にも大変な事になりつつある場所が二つあった。

 

 『太平洋上に使徒と思われる不明物体を確認!これより威力偵察を試m』

 『全機ブレイク、ブレイク!目標は高威力・高精度の加粒子砲を保有!このままでは避けr』

 

 『あーもう!ドイツがムゲに襲われるし、逃げた先でも襲われるし、挙句一緒にいるのがこの眼鏡なんて!助けて加持さーん!』

 『いやーまさかこんな満員御礼とはねー。BF団だっけ?凄い執念。』

 

 太平洋沖、そして大西洋沖の二つの場所で、この世の地獄(地下は割と天国)となった欧州を後目に事態は動いていた。

 

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