多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第37話 盾その2

 新西暦186年8月16日早朝 地球 極東方面 太平洋沖にて

 

 

 青い正八面体という特徴的な外観を持った第五使徒ラミエルは、現在その全身から加粒子砲を幾度も掃射、連射して自らに接近するあらゆる飛翔体を撃墜していた。

 ミサイル、無人攻撃機、無人偵察機、飛行機型ラジコン等。

 果ては知覚範囲内を自らに向けて飛翔しているが、とてもではないが命中は期待できない無誘導のロケット弾(動きが遅い&予測進路を真っすぐ進んでるため、予測進路上にばら撒いている)。

 そんな一切合切を遮二無二迎撃しているのだ。

 加えて、迎撃の精度自体は極めて正確なのだが、明らかに過剰威力での攻撃をし続けている。

 威力の向上や砲口部の増設、全方位への掃射等とそのために最適な形態への変化等も見られるが、非脅威対象にすら過剰攻撃を加えて迎撃する様は、はっきり言って滑稽にすら感じられた。

 

 『こちらの推測通りね。』

 『旧式機のバーゲンセールというか、在庫一斉処分というか…。』

 『作戦は予定通り進行中。各員、予定通りこのまま進めて頂戴。』

 『了解です。』

 

 先のVF小隊の威力偵察、その際にグリーン2が目標の加粒子砲から逃げ切れた理由。

 それは、パージされた武装を目標が態々射撃して個別に破壊したからに他ならない。

 無論、過剰威力であったので、貫通した加粒子はそのまま海面に命中、大規模な水蒸気爆発を発生させてグリーン2を見失ってしまったのが事の真相だった。

 その後の無人機による偵察やダミーバルーン等の陽動を用いてのデータを収拾から、「第五使徒は自身の知覚範囲内に存在する飛翔体並び攻撃してくる存在を無条件に大威力の加粒子砲で迎撃・排除する」性質を持つ事が分かった。

 後は連邦軍お得意の物量戦で陽動しつつ、敵と同様の大威力の狙撃によって対応すれば良い。

 水平線の彼方も彼方、遥か遠くの水上艦艇やアクアジムからの大型ミサイルやロケット砲の長距離射撃に対しては、迎撃は出来ても発射元である水上艦艇やアクアジムまでは流石にどうにも出来なかったのだ。

 何せこれら水上艦艇は現在その多くは旧式とされながらも、一年戦争前の高度に自動化された当時の装備である。

 無論、ミノフスキー粒子やNジャマー等への対策は一年戦争中に抜かりなく行われているので、有視界戦闘への比重は大きくなっているが、旧時代の艦艇とは比較にならない程の超長射程を誇る。

 実は自走砲、MS擬きと言われるガンタンクですら、両肩の120mm低反動キャノンの射程距離たるや、軍事衛星のサテライトリンクが前提とは言え、斉射時250km、単射時270kmなのである。

 序に薬莢は完全燃焼式、装弾数は各30発(+2発)、16の斉連射が可能で、更に左右別々に稼働してマルチロックオンすら可能だったりする(ちなみに旧世紀の大和型戦艦の主砲の射程が約42kmとされる)。

 こんな化け物と同様かそれ以上の射撃・砲撃能力を持つ兵器が無数にいる地球連邦を相手にするには、ミノフスキー粒子の存在が必要不可欠だったし、自治権を認められているとは言え独立を目論んでいた当時のプラントやサイド3からはどれだけ恐れられていたかが分かるだろう。

 そして、こうした超長射程と極めて精密な射撃精度はミノフスキー粒子等の妨害さえ無ければ、他の連邦軍所属兵器でも発揮可能なのだ。

 MSは有視界戦闘特化のためにそこまでではないが、それでも取り外して急遽手持ち式にした長距離ミサイル砲やロケット砲をほぼ固定砲台な第五使徒に叩き込む事は訳はない。

 無論、その程度の精度では命中は期待できないし、至近弾にもならない。

 だが、ラミエルはその性質故に只管迎撃をし続ける、自身の知覚範囲内のものだけを。

 自身の知覚範囲の遥か外側、水平線よりも遥か遠くからの攻撃に対しては敵の位置も分からず、見えず、迎撃に終始するしか出来なかったのだ。

 それでもある程度考える頭はあったのか、若干の射撃精度低下と引き換えに移動速度が上昇し、第二新東京市への道を急ぎ始める。

 その先には、手薬煉引いて待つ狩人達と彼らを守る盾があるとも知らずに。

 

 『目標、移動速度上昇。到達予想時間、約3時間短縮します。』

 『【一の矢】チームに通達、目標の修正予想到達時間に合わせ、作戦を早めます。』

 

 こうして、遂に作戦は第二段階へと移行する。

 

 

 ……………

 

 

 旧静岡県熱海市網代にて

 

 『お出でなすったぞ!有効射程まで後30秒!』

 『データリンク接続済み、誤差修正完了!』

 『四連装亜光速レールガン、電力供給問題無し!』

 『序に盾の用意も何時でも良し!』

 

 デストロイド・モンスター(敷島スペシャル)、その護衛であるジガンスクードⅡが遂に来た対使徒戦の機会を前に戦意を滾らせていた。

 

 『っ! 目標内部に高エネルギー反応を確認!これまでで最大の反応です!』

 『っ! 【一の矢】チーム、そっちに攻撃が行くわよ!』

 『カウント開始、後10秒!』

 

 だが、そんな事を知らされても、彼らは揺らがない。

 何せここには地球連邦軍の誇りたる「無敵の盾」がいるのだから!

 

 『構わん!このまま作戦続行!頼んだぞジガンスクード!』

 『任せろォ!!』

 『5・4・3・2・1!』

 『発射ぁ!!』

 

 水平線上から姿を現したラミエルの加粒子砲。

 待ち構えていたデストロイド・モンスター(敷島スペシャル)の四連装亜光速レールガン。

 両者の発射タイミングは完全に同時であり、それ故に互いの射線は重なり合う。

 発射された光子弾頭の内、3発がブラックホール生成前に撃ち落とされ、最後の一発が命中する。

 同時、加粒子砲の一撃は正確にデストロイド・モンスター(敷島スペシャル)を捕らえるも、発射とほぼ同時に間に入ったジガンスクードⅡのGテリトリーとDブレード・シールドによって上方向へと弾かれ、そのまま大気圏外へと消えていく。

 ダメージを負い、態勢を傾け、下部が海面へと着水するラミエル。

 だが、亜光速レールガンの直撃を受けながらも、ラミエルはまだ死んでいなかった。

 その体積の四分の一近くを消滅させられながらも、コアへのダメージは僅かであったが故に。

 

 『目標内部に再び高エネルギー反応!?』

 『連射!?シンジ君!』 

 

 第二射を発射し、今度こそ仕留めようとするラミエルに対し、この状況を予め想定して配置された【二の矢】部隊は落ち着いたまま、油断なくその役目を果たそうとしていた。

 旧神奈川県真鶴半島にて、狙撃のためにうつ伏せとなった初号機の周囲をエヴァ零号機と二機のグラビリオンが固めている。

 初号機が構えている狙撃用装備、その本来の名は試製1200mm重力波レールガンという。

 元はナデシコ級砲艦の装備であるGBを機動兵器が携行可能なサイズにまで小型化できないかと施行錯誤される中でA.I.M極東支部で試作された武装の一つだった。

 が、結局「現段階で実用範囲では無理」という結論に落ち着いた。

 一応量産機の中で胸部に搭載しているジガン系列機もいるが、あれらは100m級の機体であるため、そこまで難しくはなかった。

 しかし、20~30m級の機体向けに小型化すると、どうしても出力面の確保が難しく、外付けのジェネレーターを必要とする。

 そして、そんなものをくっつけると必然的に大型化、高コスト化、被弾時の被害が大きくなる等の問題が発生する。

 UC世界の百式の特徴の一つであるメガバズーカランチャー(同名装備は他にもあるが)よろしく、とてもではないが、実用性の低い代物になってしまった。

 無論、A.I.Mが自重を止めて太陽系防衛用無人機動部隊の主力機であるヴァルチャーや無人OFに採用されている技術を表に出せばそれは可能になるが、A.I.Mが公式に販売している商品には全て、ある規制が儲けられている。

 それは「現時点の太陽系の技術力で再現・生産可能な商品のみを販売する」というもの。

 このラインをクリアできないものを販売しても、運用する地球連邦軍での修理や整備が大変困難になってしまう。

 よって、欠陥品の烙印を押され、この試製1200mm重力波レールガンはお蔵入りとなっていたのだ。

 が、今回の一件を聞き付けたA.I.M極東支部はさくっとこれを改造、大型MS向け縮退炉三基を直列に接続し、そのエネルギーを有線で直接供給しつつ、狙撃用のスコープ等各種装備をエヴァ向けのサイズでちゃちゃっとでっち上げて追加し、最後には重力波の収束率を大きく向上させたのが、今回初号機が装備している「試製1200mmマイクロブラックホール・スナイパーライフル」である。

 端的に言って頭おかしい。 

 

 「どうぞ、こちらがお求めの品物になります。」

 「」

 

 納入品の詳細を確認して、葛城ミサトは絶句した。

 成程、ヤザン少佐の言う通りだったわね、と赤城リツコは納得した。

 流石は安心と驚愕のA.I.Mですね(白目)。

 なお、説明書を熟読したシンジは「A.I.Mって……エヴァとか本当に必要なの?」とロック1と2、そして綾波レイに尋ねた。

 横塚両中尉らは目を反らし、レイは固まって動かなくなるという一波乱があったがそれはさて置き。

 シンジは想定外の出来事には弱いが、事前に説明のある想定内の出来事に対しては強い。

 ミサトの言葉とほぼ同時、照準を済ませ、チャージも完了、誤差修正も完了していた試製1200mm重力波レールガンの引き金を迷いなく引いた。

 

 『ッ!?』

 

 迷いなく引いた引き金と同時に放たれた帯状のマイクロブラックホールは光を飲み込む黒い線となって伸び、第五使徒ラミエルのATフィールドとその構造体の中心にある赤いコアとその周辺を、一切の抵抗を許さずに貫通、一切減衰しないまま大気圏外へと飛んでいった。

 マイクロブラックホールが存在した時間は、僅か1秒に過ぎない。

 だが、その1秒で今までの使徒とは一線を画す程の猛威を奮った第五使徒は撃破され、貫通した空の彼方へと消えていった。

 事前に射線上の人工衛星等は退避させていたし、他の太陽系の惑星等はなかったとは言え、その余りの威力に自分が撃ったにも関わらず、シンジは驚愕で固まってしまった。

 それがいけなかった。

 

 『も、目標内部に再度エネルギー反応を確認!?』

 『何ですって!?各機、防御専念!』

 

 コアを破壊され、形状を保てず血液にも似た液体へと崩壊していくラミエルから最後っ屁とばかりに加粒子砲がエヴァ初号機へと放たれる。

 初号機のATフィールドならば十分耐えられる威力だが、周辺の地形が変わる事は免れないだろう。

 

 『くっ!』

 『やらせない!』

 『フィールド出力全開!』

 

 それを防いだのは、やはり予定通りの三人だった。

 二機のグラビリオンにジガンスクードのDブレードを装備した零号機。

 三機は初号機を背後に庇った状態で、シールドと腕部を前に構え、その身を以て盾とする。

 グラビリオンの防御可能エネルギーを計算し、焦る高雄。

 もしもの時は脱出かしら~とか考えている愛宕。

 そして、ただただ必死になっているレイ。

 何故かエントリープラグ内でレイを応援するキモカワ系艦これマスコット達。

 君達、位相空間から半分顔出してるだけとは言え、シリアス壊すの止めてくんない??? 

 各員の思考が交錯する中、ラミエルの最後の攻撃は、たった3秒で終わりを告げた。

 崩壊していく構造体で無理に攻撃した代償として、ラミエルはその質量の多くを自分の攻撃の余波で蒸発させ、最後には海に血液に似た赤い液体を僅かに残して消滅した。

 対する盾となった三機は装甲表面こそ融解しているものの、内部構造の殆どとパイロットは無事だった。

 

 『状況報告!』

 『目標、完全に沈黙しました!各パイロットのバイタルを確認、無事です!但し、機体装甲表面の融解を確認、搭乗ハッチが溶接されています!』

 『…状況終了。整備班は急いで救助を。医療班は念のため待機。皆お疲れ様。』

 

 この後、エヴァ初号機は融解した零号機のエントリープラグ挿入口の装甲を排除、取り出したエントリープラグ内からレイを助け出し、そこで少しだけ会話をしたという。

 奇しくも丁度朝日が昇ってきたその時、綾波レイは僅かにほほ笑んだという。

 

 

 

 




ラミエルの強化内容
1、防御力
2、射撃能力(威力・射程・精度)
3、感知範囲

でもこれだけ強化しても強化済み地球連邦軍(スパロボ時空仕様)には勝てないという。
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