多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第40話 撤退戦その3

 新西暦186年8月15日 地球 東南アジア方面

 

 

 東南アジア某所の無人島とその周辺にて

 

 『くぅ…!ロボ、小型ミサイルだ!』

 

 戦闘は未だグレイ側が不利だった。

 

 『この、攻撃が通らない…!』

 『あのーガトリング全部弾かれてるんだけどー。』

 

 座礁した艦から延びるアンビリカルケーブル内でしか動けないエヴァ二機は盾役として動くが、ATフィールドは兎も角根本的に火力・出力不足のエヴァ二機では迫り来る量産型GRの足を止めるだけで押し返す事は出来ず、ジャイアントロボも多勢に無勢でどうしようもない。

 

 『くそ、こっちの攻撃が通らない!』

 『これだから特機って奴は!』

 

 また、ガーリオン隊も機動性は兎も角として圧倒的火力と装甲を持つGR3を相手に有効打を出せず、その行動を阻害する事しか出来ていない。

 そもそもこのGRシリーズ、特機だけあって非常に高性能だったりする。

 量産型グレートとは言わないが、その性能は既に生産の始まったグルンガスト弐式に匹敵する上、変形機構が無く、内部兵装が少ない分より低コストかつ頑丈になっている。

 加えて、BF団の手により本来のものに加えて、DFやマグネットコーティングが追加され、地球産無人機とは思えぬ性能を持つ。

 ガーリオンも悪い機体ではないし、エヴァ2機もATフィールドがあるし、ジャイアントロボに至ってはこの戦場で最も高性能だ。

 が、流石に質を伴った物量の差は(フル改造や精神コマンドでも無い限りは)如何ともし難いものがあった。

 

 『ふふふ、大作君、勇んで飛び出した割には蛮勇だった様だね。』

 『バンテスおじさん…!』

 『時には恥を忍んで生き延びる事も大切だ。今日はそれを知り給え!』

 『ぐぅぅぅ…!』

 

 遂には以前の焼き直しの様に、セルバンテスの操るGR2により、大作とジャイアントロボが抑え込まれる。

 元々この場所は遠浅の海、地の利は元々水中用であるGR2にあり、汎用性が高いとは言えど本来は陸戦用のジャイアントロボでは不得手だったのもあった。

 が、最大の理由はパイロットが十傑集の一人対未だただの子供である草間大作である事だった。

 当然、天秤が前者に傾く事は避けられない。

 

 『では、少々気が乗らないが躾の時間だ。』

 

 そして、BF団全機が一斉攻撃に入ろうという時…

 

 「! レーダーに感!高速で戦域に接近する機影あり!これは…ゲッター線反応!?」

 

 唐突に、彼らはやってきた。

 赤、白、黄の三機の戦闘機。

 それだけなら状況を好転させる事は出来ないだろう。

 だが、それは彼らの真価ではない。

 

 『チェェンジ・ゲッタァァァァァ1ッ!!』

 

 超々音速のまま、一切減速する事なく瞬時に合体・変形を完了したゲッターロボは、その勢いのまま手近な所にいた量産型GR3へと接近し…

 

 『ゲッター・トマホーク!!』

 『……!』

 

 勢いそのままに両肩から引き抜いた斧を叩き付ける。

 

 『硬ぇ!?』

 

 だが、両断できない。

 強化された筈のゲッター1の一撃を、GR3はGR2よりも薄い筈の装甲でものともせずに防ぎ切ってしまう。

 更には反撃に額から発射されるレーザー砲を至近距離から発射しようとする。

 

 『オープン・ゲッェェェト!』

 『チェンジ。ゲッター3!』

 

 即座に分離して散開、周囲から発射されるミサイルの雨を掻い潜り、今度はジャイアントロボを抑え込むセルバンテスのGR2へとゲッター3で突っかかる。

 

 『そぉら久々のゲッター3の出番でぇい!』

 『ぬぅ、折角の所で横槍を!』

 

 ド派手な衝突音と共に、GR2がゲッター3のぶちかましによってジャイアントロボから強制的に距離を取らせられる。

 

 『全機、ゲッター3とジャイアントロボに攻撃を集中せよ!』

 

 セルバンテスの命令に従い、BF団全機が包囲陣形を敷き、集中攻撃の構えを取る。

 しかし、それ即ち意識がその二機に集中し、それ以外が疎かになる事を意味する。

 

 「! さ、再度レーダーに感!高速で戦域に接近する機影あり!今度は光子力反応!?」

 『ぐ…おおおぉぉぉ…!キツイなこれ!』

 『ゲッターチームはこれ大丈夫って本当なの…!?』

 『テスラドライブが無ければミンチだったな…!行くぜマジンガーチーム!』

 

 その声と共に三機の黒鉄の城が姿を現す。

 

 『えぇい次から次へと!GR3、片付けるのだ!』

 

 流石に邪魔され続けてイラッと来たのか、セルバンテスが声を荒げて排除を命じる。

 それに応え、3機のGR3が黒い三機へと迫る。

 しかし、たかかが量産型特機程度、魔神の系譜たる偉大な勇者達を止められる筈も無い。

 

 『アトミックパンチ!』

 『グレートタイフーン!』

 『ブレストバーン!』

 

 マジンガーZの系譜たる彼らは、その代名詞とも言える武装を繰り出し、僅か一撃で迫り来るGR3が撃破されていく。

 

 『何と!GR3を一撃だと!?』

 『ハン!この程度の相手に手古摺る訳もない!』

 

 セルバンテスの驚愕を、しかし右肩に1と刻印された黒鉄の機体が笑い飛ばす。

 

 『その機体…そうか、君達が報告にあった次なるマジンガーか…。』

 『そうとも!こいつの、こいつらの名はグレートマジンガー!人類を守る新たなマジンガーだ!』

 

 グレートマジンガー。

 それが次世代のマジンガー、悪魔にも神にも成り得る魔神の系譜に連なる機体。

 

 『おいおい、前みたいに追い詰めたら暴走する、なんて事にはならないのだろうね?』

 『…!』

 

 セルバンテスのその言葉にグレート2号機、甲児が奥歯を噛み締めて前に出ようとする。

 それをすっと右腕を翳して止めると、鉄也はセルバンテスに獰猛な笑みを返す。

 

 『ははは、十傑集ってのは安い挑発しかできないのかい?その為体じゃ、このグレートを追い込むなんざ夢のまた夢に過ぎんな!』

 『ふはは、言ってくれる!そういえばその機体のデータはまだ収集し切れていなかったな、暴走するかどうかも確かめてあげようじゃないか!』

 

 セルバンテスの言葉の直後、グレート1号機の急降下と量産型GR2の迎撃はほぼ同時に起こった。

 

 『GR2、ロケット…!』

 『ドリルプレッシャー…!』

 

 両者は互いにその拳を肘から先を分離、射出しようとするも、既に互いの位置は至近距離。

 必然、射出だけでなく普通の拳撃を放つ様に互いの拳を相手の拳へと打ち付け合う。

 

 『『パンチ!!』』

 

 互いに特機であり、酷似した武装を持つ両機。

 しかし、その勝敗の結果は余りに明白だった。

 

 『何と!?GR2が!』

 

 グレートマジンガーの拳は分子構造変更機能によって、瞬間的に状況に最適な形状、鋭角な破城槌にも似た形状へと拳を変形、前腕はドリルの様ならせん状の刃が浮き出て、高速回転しながらGR2の拳を、腕を、肩を、胴体を、全ての装甲と内部構造をものともせずに突き進み、粉砕し、貫徹する。

 直後、GR2は木端微塵に爆散した。

 たった一撃で、同じく特機とカテゴリされているGR2を陸上で、GR3を空中で撃破せしめる圧倒的戦闘能力にセルバンテスをして戦慄する。

 

 『これは遊び半分では無理だな。』

 

 そう納得し、同時した消耗した現有戦力では無理だと判断した。

 

 『では、また会おう!』

 『逃がすかぁ!!』

 

 アスカの怒号と共に、弐号機が機体を失ったセルバンテス目掛け残弾を気に掛けない全力射撃を見舞う、が、当然の様に回避される。

 

 『嘘、何で!?』

 『ははははは、まだまだ若いなぁ!』

 

 確かに照準をしてから撃った筈だった。

 だが、気付けばセンサーは全く別の位置を指している。

 しかし、そこにセルバンテスはおらず、かと言って視線の先にはセンサーは何も無いと告げている。

 否、それ所かセルバンテスを指していた筈の生体反応は次々と増えている!

 

 『先程も名乗っただろう?私は眩惑のセルバンテス。機動兵器のレーダーを欺く等、私にとっては御茶の子さいさい。』

 『く、そぉ!』

 『それに、私ばかりにかまけて良いのかな?』

 「! 付近の海域から巨大な生体反応を感知!このエネルギーパターンは…使徒です!」

 「馬鹿な!何で気付けなかった!?」

 

 グレイのブリッジクルー達の叫びを他所に、海からは陸に乗り上げる形で巨大な鯨や魚に似た形態をした巨大な使徒が現れる。

 第六使徒ガギエル、エヴァが主目的とする敵が唐突に現れたのだ。

 

 『言っただろう、レーダー位誤魔化せると。』

 『まさか、この巨大質量を隠蔽していたのか!?500mは超えてるんだぞ!』

 『ははははははは!では諸君、また会おう!』

 

 オットーの悲鳴染みた絶叫を他所に、浅瀬だろうが岩礁だろうが島の上だろうがその巨体をウナギの様にくねらせて、ガギエルは暴れ回る。

 GR2と3達は自動操縦に切り替えられたのか、ガギエルの攻撃範囲から避けつつ、再度攻撃を開始してくる。

 

 『あの髭グラサン、何時か絶対に引っこ抜いて吠え面かかせてやるー!』

 『まーまー、今は使徒と敵機の撃破を優先しよーよー。』

 「とは言え、戦況は好転した。押し返すぞ!」

 

 吠えるアスカをマリが宥め、オットーが音頭を取って反撃が始まった。

 

 

 ……………

 

 

 第六使徒ガギエル。

 他には無い水棲型の使徒であり、水中を約500mという巨体でありながら機敏に動き回る。

 射撃兵装こそ皆無だが、その圧倒的質量による突進や噛み付きによる攻撃は脅威だ。

 旧式の海上・海中艦艇の類であれば、例え大艦隊であっても蹂躙できる程の戦闘能力を持つ。

 が、空中の相手には鯨やイルカ、シャチに鮫よろしく大ジャンプしての噛み付きや突進程度しか出来ないという欠点を持つ。

 …こいつをデザインした第一始祖文明こと第六文明人は一体何を考えていたのだろうか?

 しかも、スパロボFだと一度だけ登場し、撃破できないとターン経過で撤退する。

 撤退後はエンディング後も生存しているらしい、いいのそれ???

 そんな突っ込み所多数のガギエルだが、グレイという防衛目標がある現状、実に厄介である。

 

 キシャアアアアア!!

 

 『こ、の…!気持ち悪いのよ!』

 『ちょ、こっちは出力あんまり上がんないってのにぃ…!』

 『が、頑張れロボ!』

 

 なので、グレイに向かって突進された場合、防衛のためにエヴァ二機とジャイアントロボが何とか押し返すか反らそうとせねばならない。

 出来なければグレイが潰されるので、三人とも必死だ。

 

 『ばっか野郎!力に負けてんのに押し合いなんかするんじゃねぇ!』

 『んな!?』

 

 自分より明らかに学力も無い武蔵に馬鹿野郎と言われ、カチンと来るアスカ。

 だがしかし、状況はそんな彼女の怒りに構わず進む。

 

 『相手の力が強いんなら、受け流すんだよ!』

 

 押し切られそうになった三機の足元、ゲッター3となって全長が下がったゲッターロボがガギエルの突進の受け止めに参加…しない。

 突進を受け止めるのではなく、その方向を変え、上手く反らし、グレイにぶつからない方向へとその巨大を流していく。

 

 『おおー流石ゲッターチーム!』

 『よせやい照れちまう!』

 『それより次来るぞ次!』

 『久々の出番だ、このまま決めちまいな武蔵!』

 『ほい来た!次で終わりだ鯨野郎!』

 

 そして、突入角を変えての再びの突進。

 今度はゲッター3のみがその進路上に躍り出る。

 場所は浅瀬、地形適応も角度も勢いもばっちり、ゲッター3が技を掛けるには絶好の条件だった。

 

 『来るぞ!』

 『武蔵、しくじるんじゃねーぞ!』

 『任されたぁ!』

 

 ガギエルの何度目ともつかない突進。

 それを正面から受け止めず、左脇から力を逃がしながら、その巨体を強引に掴み取る。

 質量と運動エネルギーの差によって、本来ならそのまま引き摺られていくものだが、腕部の伸縮機構を最大限活用しながら、ゲッター3は決してその手を放さない。

 ATフィールド?ゲッターロボ三形態の中で最も馬力のあるゲッター3の前では描写もなく易々と引き千切られた。

 そのまま履帯でしっかりと地面に食らい付きながら、超信地旋回を行う。

 自身の突進の勢いを遠心力として利用して行われる旋回を、空中では無力なガギエルは止める事は出来ない。

 回転は止まらずにどんどん加速し、盛大に地面が抉れ、海水が流れ込んでくるが気にせず、更に回転速度が上がっていく。

 

 『うおおおおお!大・雪・山・おろしぃぃぃぃぃぃ!!』

 

 遂には局所的な竜巻とも言える現象が起き、ガギエルは天高く舞い上げられた。

 そのまま落ちても大したダメージにはならないだろう。

 だが、既に周辺での戦闘は終息していた。

 即ち、三機のグレートマジンガーにジャイアントロボ、エヴァ二機とガーリオン隊はこの時フリーだった。

 

 『全機、集中攻撃!』

 

 オットー艦長の声と共に、その場にいた全ての機体から一斉に攻撃が放たれた。

 グレイとガーリオン、エヴァ二機のミサイル、ガトリング砲、レールガン、ポジトロンライフルが。

 ジャイアントロボのロケットバズーカと大小のミサイル、スポンゾン砲が。

 そして三機のグレートマジンガーのサンダーブレークが上昇から落下に転じた瞬間のガギエルへと一斉に炸裂する。

 その大火力を前にしてはATフィールドも濡れた障子紙程度のものでしかなく、ガギエルは塵一つ残す事も出来ずに消滅した。

 

 

 この戦闘を契機に、エヴァ二機の輸送任務は東南アジア方面軍へと移行、4機の民間所属特機に護衛されながら極東方面へと運び込まれたのだった。

 こうして、ストーク級グレイとエヴァ二機の短くも濃密極まりない逃避行は終わりを告げたのだった。 

 

 

 

 

 

 後日談

 

 「君達は艦の修復が完了次第、原隊に復帰。欧州戦線の支援に回ってくれ。」

 「」

 

 オットー艦長以下グレイのクルー、無情のUターン宣言。

 でも艦が修復するまでは休暇だよ!

 




セルバンテス
「実はあの使徒、戦闘中に見つけて直ぐに私の眩惑で催眠状態にしていたのさ。」
「第四使徒よろしく捕獲しようとも思ったのだがね。どうにも維持費を考えると効率が悪いという事ではてどうしたものかと考えていたのだが、押し付ける相手が来てくれて本当に助かったよ。ありがとう!」

ガギエル
「訴訟も辞さない…!」

シャムシェル
「それオレの現状見て言える???」
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