多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
新西暦181年 特機開発競争黎明期にて
A.I.M火星支部内秘匿エリアにて、とある計画が進められていた。
その計画は「マキナ計画」と呼ばれていた。
その計画の内容は「人体改造による有人機の限界突破」である。
おい、オメーらまさかNT研究所みたいな事してるんじゃなかろうな?とスーパー系人類に詰め寄られそうな内容だったが、そこは我らが安心と驚愕のA.I.M、きちんと法律に基づいてのものになるように配慮している。
対象は主に既存の医療手段では対処できない難病に苦しむ人々や一年戦争で発生した孤児である。
実はここにネームドが混ざっていた事には後から気付かれたという後日談もある。
そのネームドの子供達はヨナ・バシュタ、ミシェル・アベスカ、、リタ・ベルナルの三名、即ちガンダムNTの主人公トリオであった。
が、その時気付いてなかったA.I.Mはそのまま実験を続行する。
彼らに対して主にナノマシンによる軽度の処置で情報処理能力や身体強度の底上げを行うのが目的だった。
地球やコロニーでは未だナノマシンを体内に注入するIFSへの忌避感が強いのだが、ナノマシンによるテラフォーミングで可住化された火星は自治法案内にナノマシンによる医療利用が合法であり、保険適用内である事から火星での実施となった。
行く行くは人体の限界を超越し、量産型OFやヴァルチャーの有人機化による更なる能力UPも目指す予定だった。
量産型OFやヴァルチャーは総ナノマシン製である故に極めて高い性能を誇るが、反面パイロットが扱い切れない程の多機能になっている。
それを扱い切るための無人化なのだが、それは即ち人間の持つ柔軟な判断力や特異な能力の応用が効かない事を意味する。
それを解決するためには人間側の処理能力を人間のまま向上させねばならない。
また、有人化したOFやヴァルチャーを投入せざるを得ない様な戦場となれば、必然的にフィジカル面でも高い水準でなければ耐えられない。
高い情報処理能力に各種身体能力、そして再生能力の付与が求められたのだった。
要は鉄のラインバレルのマキナを再現しようという計画だった。
技術的には可能であり、焦りもなく実験は法に抵触しない範囲で進められた。
幸いにして被験者達には特に後遺症が発生する事もなく成功、その多くは現在もA.I.M出資の学校に就学或いはグループ内企業に就職し、優れた技術者やオペレーター、パイロットに保安部員他で元気に働いている。
特にナラティブ組はNT適性持ちが二人、経営適性持ちが一人と有能であり、現在は将来のパイロット候補・幹部候補として勉強中である。
しかし、この程度の結果では駄目だ!と強硬に主張するメンバーがいた。
彼の名を草間博士と言う。
IFSの通常の副脳の形成並びにシステムへの接続機能の追加のみならず、人体の多くを新型の多機能ナノマシンによって置換し、人間の判断力・柔軟性・人格を残しつつ、高い自己再生能力を持った身体へと改造するべきだと主張したのだ。
A.I.M首脳部は当然これを不許可とした。
その程度の事は彼女らからすれば可能だが、人道的見地からすべきではないという結論が既に出されていたからだ。
何より改造の結果、その人物の多様性(ガンダムファイターとか異能者とか魔法使いとか超能力だとか)が失われる可能性が否定できないのが大きかった。
これを草間博士は不服としながらも研究は続き、結局出来上がったのは投与した人体の各種身体能力を大幅に底上げし、ほぼ限界まで鍛え上げた状態にする超人血清染みたナノマシンだったため、名称が危うく超人ナノマシンになりそうになったが、秘匿名称スーパーマンのまま表沙汰になる事なく秘匿物資として保管される事となった。
この結果に草間博士は遂に我慢ならずに自分の妻を被検体に試作型ナノマシンの実験を強行した。
同僚らが気付いた時には手遅れで、試作型ナノマシンの暴走の結果、草間博士の奥方は死亡してしまった。
これは実験室で起きてしまった事故として処理されたが、草間博士は失意のまま辞表を提出、慰留を求める役員や同僚らを振り切り、まだ幼い一人息子を連れて地球へと渡ったと言う。
問題はここからだった。
A.I.M並びに太陽系防衛用無人機動艦隊はその性質上優れた人材や原作におけるネームドには常に監視を行っている。
無論、退職したとは言え草間博士とその家族にも。
しかし、地球に到達直後、監視に当たっていた量産型無人ヴァルチャーが撃破された。
一分とせぬ内に太陽系最終防衛ライン所属の無人量産型OF一個中隊が駆けつけたものの、既に現場には草間博士達の姿は無かった。
加えて、追跡と真相解明に繋がるだろう証拠は一切発見できず、捜査は続行されたものの半年で打ち切りになった。
だが、草間博士はその3年後に発見された。
BF団の持つ秘匿施設、そこでGR計画に関わると言われる巨大ロボとその操縦者の研究を行っていたのだ。
A.I.M地球支部の保安部は国際警察機構と連携して当該施設を強襲、制圧作戦に乗り出した。
結果は大凡原作通りに草間博士の死亡と草間大作少年と彼にのみ従うジャイアントロボを保護するだけで終わった。
参加したナノマシン式高級自動人形一個大隊は眩惑のセルバンテスによってセンサー系を攪乱され、同士討ちの危険からセルバンテスを逃してしまう。
結局GR計画の内容も、BF団の情報も碌に解明できず、大作は本人の意思もあって国際警察機構へと保護され、そこでエージェントの一人として現在も活動している。
その肉体は検査の結果、不活性状態ながらも多量のナノマシンが発見されており、活性化すれば秘匿名称スーパーマンを超える身体能力と情報処理能力を発揮するだろう事が予想された。
草間博士は懲りずに自分の息子を被験者として実験を継続していたのだ。
加えて、ジャイアントロボの内部は多くがブラックボックス化されており、その動力に真シズマドライブが採用されている事、取り敢えず整備が出来る程度には解析が進んだ事しか分かっていない。
失意に暮れていた彼が何故研究を再開し、BF団のGR計画に加担していたのかは最早分からない。
更に、何故今更BF団を裏切り、国際警察機構並びにA.I.Mに情報を漏らしたのかも不明だ。
セルバンテスに聞けば何か分かるかもしれないが、あの男がそう簡単に口を割る筈もなく。
結局、真相は迷宮入りだった。
……………
新西暦175年 地球
この時代、新たなエネルギー資源として開発された物質があった。
その名もシズマドライブ。
それは人類が夢見た完全リサイクル可能にして完全無公害な最も理想的なエネルギーとして持て囃され、すわ当時主流であった核分裂炉に代替するのではと一時期は期待された程だった。
開発した5人の博士達、即ちフランケン・フォン・フォーグラー、シズマ・ド・モンタルバン三世、Dr.ダンカン、シムレ、ドクトル・トランボの五名は英雄として称えられ、連日報道され続けた。
しかし、A.I.M技術開発部エネルギー部門より発表されたデータにより、その期待は裏返ってしまった。
「調査の結果、シズマドライブには致命的な欠陥がある事が分かりました。それは使用する度に特殊な分子を発生させるという点です。この分子は一定以上の濃度に達すると突如周辺の酸素と結合を開始、周辺を無酸素状態にしてしまうのです。もしこの欠陥を解決せぬままにシズマドライブが地球全土で使用されるようになったら…概算ですが10年程で地球上の全酸素を消滅させてしまう可能性があります。」
この発表を元に各研究機関が改めて精査し、それが事実であると開発者である5人の博士らは大いに責められた。
進退窮まった彼らは欠陥を改善すべく必死に研究を進め、遂には大規模な実験を行う事を発表する。
これには主任開発者であるフランケン・フォン・フォーグラー博士は止めに入るが、既にプライドだけでなく研究者生活を続けられるかどうか分からない程に追い詰められていた残り4名の博士らは実験を強行してしまう。
結果だけを言えば、施設は巨大なエネルギーを発生させながら跡形も無く消滅し、同時に地球全土と月面の表側のエネルギー機関が全て停止してしまうという大惨事を引き起こしてしまった。
これによって発生した人的・経済的被害は計算不能な程で、7日目のA.I.M火星支部からの支援が無ければ文明そのものが衰退しかねない程の被害だった。
その余りの悲惨な被害に当時の人々はこの事件の記録を僅かな例外を除いて抹消又は封印、忘却を選択したのだった。
なお、爆心地にいた5人の博士とフォーグラー博士の息子の安否は不明だが、高確率で死亡したと見られ、生き残ったフォーグラー博士の弟子と娘はその能力を見込まれて国際警察機構に保護された。
一連の事件は実験施設のあった場所の名から「ヴァシュタールの惨劇」として名付けられ、同時に表向きは無かった事にされた。
しかし、5人の博士は生きていた。
BF団が長たるBFの直属の部下、軍師諸葛亮孔明の手によって。
彼らが何を条件に孔明の指示に従ったのかは定かではない。
しかし、新西暦186年現在、破壊された量産型GR2とGR3の残骸から発見された欠陥の消えたシズマドライブ、即ち真シズマドライブの存在から、彼らが生きている事を突き止めた国際警察機構はA.I.Mのバックアップ並びに連邦軍情報部とも連携して、改めてBF団の追跡を開始するのだった。
「ホホホ、これまた予定通り。では、彼らには精々踊ってもらいましょうか。」
それすら孔明の掌の上だとも知らずに。
色々と追加設定のお話でした。
Q つまり?
A 全て孔明の罠だったんだよ!