多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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テラテックは良いぞ!(ダイマ


け、決して執筆が送れた言い訳じゃないんだからね…(目反らし


第49話 バトル・オブ・ヨーロッパその4

 新西暦186年9月21日 地球 欧州方面

 

 さて、ムゲの宇宙においては複数の星系を支配している筈のムゲ帝国の派遣した本格的な侵攻軍が何故こうもミノフスキー粒子一つで通信網の断絶に陥ってしまったのか?

 

 実は宇宙用装備のムゲ帝国軍なら、こうも酷い事にならなかった。

 加えて、ムゲ側の科学技術ならば情報さえあれば十分に対策可能な筈だった。

 なのに何故こうも混乱が広がったのか?

 答えは簡単、彼らはミノフスキー粒子の情報を殆ど持っていなかったのだ。

 無論、地球連邦の機動兵器の装備するビーム兵器がミノフスキー粒子を用いたものである事は知っていたのだが、それ以外には一部の機体の動力源に使用されている程度しか知らなかった。

 何故半年近く地球に侵攻していたのに地球連邦軍の主力機動兵器たるMSの根幹技術であるミノフスキー粒子について無知であったかと言うと、地球側の徹底した情報封鎖が理由だった。

 ミノフスキー粒子のみならず、多数の新技術を日夜開発される太陽系に置いて、技術情報の機密レベルは極めて高い。

 もし特機関連の何らかの技術情報を漏洩させた場合、一般人であっても軍事法廷で即座に死刑が求刑される程度には高い。

 光子力やゲッター線?

 漏洩の経緯を含めたあらゆる情報を搾り取られた後に銃殺刑すら有り得ます。

 斯様に連邦政府は軍事技術の情報の取り扱いには神経質だった。

 これはトレミィがゼ・バルマリィ帝国やゾヴォーク、インスペクターによる地球の特殊技術の漏洩並びに転用によって次々と強力な機動兵器を繰り出してきた事を覚えていたからだ。

 

 曰く、「こっちが苦労して開発した技術をネコババされるとか絶許。」

 

 そんな訳で、ミノフスキー粒子関連のデータもムゲ帝国軍は手に入れる事が出来なかった。

 この点、外交で接触してきた共和連合と壊滅したとは言えスパイ網を構築していたバルマーの方が間違いなく賢かったと言える。

 更に機密情報の処理に関しても地球連邦軍はしっかりしていた。

 一年戦争時にジオンに欧州を占領された経験から大慌てで撤退する最中でも電子データのみならず、もしもの時のアナログの紙の資料もしっかりと部屋に備え付けの緊急措置用のテルミッド弾で部屋ごと焼き払っていったのだ。

 この辺、ジブリール管轄下の違法NT研究所よりも遥かにしっかりしていたと言える。

 加えて、黒騎士隊(エコーズ出向隊員含む)を始めとしたゲリラコマンド並びに国際警察機構のエージェント達による妨害作戦で燃え残っていたり、燃やされなかった紙の資料すらしっかりと破棄されてしまった。

 結果、彼らは強化人間等の一部の特殊な兵士とその専用兵器についての知識はあっても、ミノフスキー粒子に対しては殆ど無知でこの会戦を始めてしまったのだ。

 精密誘導兵器にレーダーやセンサー、レーザーを除いた無線通信をほぼ無効化されたムゲ帝国軍は不慣れな有視界戦闘を強いられる事になってしまった。

 

 『えぇい、全軍後退しつつ密集陣形を取れ!レーザー通信を主体に相互連絡を密にしろ!戦場で迷子になるんじゃないぞ!』

 

 ヘルマット将軍他、各地の指揮官らは必死に部隊の指揮系統を再構築すべく奮闘していた。

 主流ではないが搭載されているレーザー通信設備や直接接触での通信、外部音声での会話に発光弾を用いての命令と、ムゲ帝国軍の指揮官達は出来る事・思い付いた事は全て行った。

 しかし、この状況での心理や行動が過去の自分達と同じである事から、悉く連邦側の指揮官には予想されていた。

 

 『対レーザー・ビーム攪乱弾発射!敵のレーダー通信を妨害しろ!』

 『敵集団にスモーク弾撃て!前衛はスモークから出る敵を狙え!ガンタンク隊に連絡してあのスモークがある辺り全部吹っ飛ばすように伝えろ!』

 『兎に角撃て!休まず撃って弾幕を張れ!敵の動きを牽制しろ!止めは味方が刺してくれる!』

 『ヒーハー!ムゲ野郎共を地獄に送ってやれぇ!!』

 

 徹底的に相互の連絡・連携を絶った状態を継続させた上で、後は圧倒的鉄量で以て蹂躙する。

 一年戦争時でも大規模作戦の度に見られた連邦軍の鉄の豪雨は健在であり、ムゲ帝国軍の頭上にも容赦なく砲弾とミサイルの雨が降り注いだ。

 多少のハズレは織り込み済みで、敵の存在する戦域そのものを破壊する勢いでの砲撃に、勇猛果敢で忠誠心の篤いムゲ帝国軍兵士も情け容赦なく消し飛ばされていく。

 ミノフスキー粒子で精密砲爆撃が無理?じゃぁその辺全部吹っ飛ばせば解決やな!

 一年戦争の時よりも大規模で精密さも向上しているとは言え、根本的な所が全く変わっていない対処方法だった。

 

 『怯むな!敵の砲撃は当てずっぽうだ!敵に肉薄すれば砲弾は落ちてこない!』

 『対空砲火、光学で確認して撃て!レーダーは当てにならんから頼んだぞ!』

 『敵機動兵器を後ろに通すな!一体でも通せば雪崩れ込んでくるぞ!』

 

 だが、それでもムゲ帝国軍の士気は折れない。

 彼らは必死に態勢を立て直そうと努力を続け、辛うじてレーザー通信による通信網を即席で構築、拙いながらも徐々に指揮系統を再構築していく。

 

 『よし、旧英国領への進軍を再開!ここで敵司令部を叩くぞ!』

 

 そして、他の戦線よりも逸早く指揮系統の再構築に成功したヘルマッド将軍率いる旧英国領侵攻部隊が進軍を再開する。

 加えて、通信量の多さから欧州方面奪還作戦の司令部が旧英国領にある事を見抜き、連邦の欧州方面への攻撃を頓挫させるべく先程までよりも更に攻勢を強めていく。

 

 『ほう?奪還作戦の司令部がここだと気付いたな?』

 

 だが、ヘルマットは余りにも不運だった。

 知らぬとは言え地球人類史上においても有数の天才であろう男へと挑む羽目になってしまったのだから。

 

 『トレーズ様、反乱したギャプラン隊は全て排除しました。残った者もいますが、暫くは使い物にならないかと…。』

 『構わないとも。こちらで確保は出来たかい、レディ?』

 『は、全て恙無く。しかし、あの大型機だけは未だ排除できておらず…。』

 『仕方ない。そちらは誘導してムゲにぶつけてしまおう。』

 『は、ではゼクスに任せます。』

 『頼んだよ、レディ。』

 

 そして、命令を下された欧州版仮面の男ゼクスだが…

 

 『えぇい!トレーズも無茶ぶりが過ぎる!』

 『お前もか!お前も空を落とす敵かあああああ!!』

 

 完全に錯乱して暴走しているフォウ・ムラサメの駆るデストロイガンダム。

 一人しか乗ってない故に大きく精度が落ちているものの、その圧倒的弾幕を相手にゼクスのトールギスⅢは射程内にギリギリ入る位置での回避とヘイト管理のためのダメージにならない程度の射撃を加えていく。

 すると、あっさりとデストロイガンダムはゼクスに向けて移動を開始した。

 その歩みは機体故にゆっくりだが、しかし確実に旧英国領に上陸せんとするムゲ帝国軍の目と鼻の先へと誘導されていく。

 

 『…貴官の犠牲、無駄にはしないぞ。』

 

 ゼクスは先の欧州方面陥落時の地獄の撤退戦で最も活躍したパイロットの一人だ。

 故に精神攻撃兵器に心を壊され、錯乱する兵士を大勢見てきた。

 このデストロイガンダムのパイロット、フォウ・ムラサメはそれと似ている。

 しかし、地球人類の手に寄って違法にそんな状態にされた彼女とは似ているだけで根本的に異なる。

 

 『この様な事、もうこれ以上は経験したくはないな…!』

 

 錯乱し、発狂し、暴走する部下や同僚達を殺す。

 時間があれば鎮圧・気絶させて後方に送り、ゆっくりと心を癒すという対処療法が取れるのだが、ここは地獄の最前線、そんな事をしている暇なんて微塵もない。

 故にゼクスは部下や同僚、戦友達を介錯し続けた。

 恨んでも憎んでも構わない。

 しかし、自分達生き残った者は先に逝った兵士に胸を張るため、後の者達の平和のためにもここで引き下がる訳にはいかない。

 

 『ノイン、ワーカー、行くぞ!この暴れん坊を連れて敵艦隊を叩く!』

 

 こうして、欧州全域ではムゲ側の混乱が収まりつつあり、戦局は辛うじて互角かやや有利という状態にまで押し戻されていった。

 だが、そんな混迷する戦場を終わらせるべく、天よりの矢が投じられようとしていた。

 

 

 ……………

 

 

 『こちらスペースノア艦長のブライト少佐です。スペースノア級4隻とヒリュウ改、現時刻を以て合流しました!』

 『こちらマクロス艦長のグローバルだ。任務ご苦労。こちらは少々邪魔が入ったが問題はない。直ぐに予定通り作戦を開始する。』

 『では、これより秘匿作戦名「インドラ」を開始します。皆様、所定のミッションマニュアルを開示致します。』

 『これは、何とまぁ…。』

 

 開示されたミッションマニュアル。

 そこに書かれていた作戦内容ははっきり言って常軌を逸していた。

 

 第一段階、エネルギーをチャージしながらブレイクフィールドを展開。敵司令部のある基地に向かい降下。

 第二段階、期を見てブレイクフィールドを解除後、各艦の特装砲を敵基地目掛け発射。

 第三段階、基地破壊後は地表まで降下して残存敵勢力の掃討へ移行。

 

 デカくて高性能とは言え、たった5隻の戦艦と搭載機動兵器に任せる任務ではない。

 控えめに言っても「特攻してこい!二階級特進も付けてやる!」と言っているのに等しい。

 等しい筈なのだが、各員の戦意は聊かも落ちていなかった。

 

 『つまりはムゲ野郎を食い放題って事か!いいなぁそれ!』

 『へへ、腕が鳴るってもんだぜ。』

 『対空砲火はミノフスキー粒子と破壊工作で精度が落ちてるって言ってもさ…。』

 『まぁ大丈夫だろ。何せ俺達には最強の盾だっているんだしさ。』

 

 ワイワイガヤガヤ。

 機体に乗ったままのパイロット達はコクピットに詰め込まれて鬱憤が溜まっているのか直ぐに雑談を始める。

 

 『総員、傾注!』

 

 しかし、ブライトの声にお喋りはピタリと止む。

 パイロットはほぼ全員が戦慣れした特機や高性能機のパイロット。

 であるからには、信頼する上官からの大事な話位あっさりと静かになって聞く程度の信頼関係は築かれていた。

 

 『このミッションマニュアルだけでは確実とは言えないため、機動兵器部隊を中心に一部作戦内容を変更する。先ずは…』

 

 インドラの矢が欧州の地に突き刺さるまで、もう間も無くに迫っていた。

 

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