多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第51話 バトル・オブ・ヨーロッパその6

 新西暦186年9月21日 地球 欧州方面

 

 

 その光景を見た者は、まるで光の柱の様だったと後に語った。

 

 

 旧ドイツ領ラムシュタイン空軍基地近郊に存在するムゲ帝国軍第二次地球侵攻部隊の総司令部の設置された基地。

 元の飛行場を改修しての機動兵器類の離発着場に加え、メガロプレッシャー12基を地面に設置、重ねたり連結する事で大規模な工廠とムゲ宇宙とのゲートすら備えている。

 その工期は僅か三日足らずであり、あっと言う間に巨大な前線基地と化したこの場所はムゲ帝国軍の地球侵攻作戦において最も重要な拠点だった。

 それを撃滅し、宇宙からの侵略者に注力すべく、地球連邦軍は予てより進めていたISA戦術対応の万能戦闘母艦群を用いての強襲作戦を実行した。

 

 『各艦、特装砲のチャージ開始と同時に軸線合わせ始め。射撃タイミングは本艦が受け持つ。』

 

 旗艦であるマクロス艦長グローバル准将の言葉と同時に各艦が軸線を合わせ、艦首特装砲のチャージを開始する。

 スペースノア改のハイメガキャノン。

 ヒリュウ改のGB。

 ハガネ改のトロニウムバスターキャノン。

 マクロスのマクロスキャノン。

 メガロードのマクロスキャノン。

 どれもが一撃でコロニーを木端微塵に出来るだけの大火力兵装であり、戦略上の要衝と雖もたかが一つの地上の基地に撃ち込む火力ではない。

 下手すると着弾地点が超巨大なクレーターになり、巨大隕石の落下が如く粉塵が舞い上がり、地球の寒冷化が進む事すら有り得る。

 無論、その辺はしっかり計算して出力を絞っている上、過剰な粉塵に対しては位相空間内に待機している無人OF隊が重力制御で対応する予定だ。

 

 君達は戦わないの?と思うかもしれないが、彼女らからすればこの戦いもまた必要な経験だった。

 地球人類は今後質の最上位とも言えるズールやガンエデン、物量の最上位たるインベーダーや宇宙怪獣等の出鱈目な存在と戦い続ける事となるのだ。

 その時に備えるためにも戦闘経験は幾らあっても全く足りない。

 既にして欧州方面の民間人への被害は必要最小限に抑える事に成功している。

 であれば、後はこの状況を活かしてのリターン、即ち経験の蓄積こそが大事になる。

 既にムゲ宇宙の座標データの入手にも成功している事から、太陽系防衛用無人機動部隊には焦りは無かった。

 ムゲ帝王本人が出陣しているのならば全力を出すが、三将軍程度ならばどうという事もない。

 否、その程度は地球人類自らの力でどうにかせねばならない。

 それが彼女らの結論だった。

 

 『全艦のチャージ完了まで後15秒。』

 『軸線合わせ完了!』

 『誤差修正…±0.3コンマ以内!』

 『全部隊、対衝撃・閃光防御!』

 『トリガータイミングを艦長へ。』

 『カウント開始!5・4・3・2・1!』

 『撃てぇぇぇい!!』

 

 グローバル准将の号令の下、5本の光の柱が天から地上へと突き刺さった。

 一際巨大な白に近い黄金の柱が2本、それを囲む様に薄紅と黄金、薄らと透けた黒の3本の柱が地上へと突き刺さる。

 直後、着弾点から巨大な閃光が、少し遅れて同規模の爆風、爆音が広がり、雲にも届く程のキノコ雲が発生した。

 その光景はさながら旧約聖書にあるソドムとゴモラを滅ぼした天の火か、或いは作戦名にもある通りラーマヤーナでのインドラの矢か。

 どちらにせよ、地球への侵略というこのスパロボ時空における特大のやらかしをしてしまったムゲ帝国軍は自らの命を以てその償いを行う羽目になったのだった。

 

 『着弾を確認。目標への効果…極めて大!』

 『よし、各艦は予定通り陣形を変更、降下を開始する!』

 『機動兵器部隊は各艦が地上に降下し、敵残存兵力との戦闘開始を同時に行動を開始せよ!』

 『クロガネを先頭とするアロー体制へ陣形変更完了!』

 『艦首回転衝角起動!クロガネ、何時でも行けます!』

 『よし、各艦は降下開始!敵対空砲へは任意に対応せよ。索敵班は敵の精神攻撃兵器の発見に注力せよ!』

 

 クロガネがこの艦隊に配置されたのは、ISA戦術対応艦という事も大きいが、何より同型艦の中で最も装甲が厚いという点も大きい。

 その艦首回転衝角による巨大な破城槌としての突破力。

 しかもこれ、重力操作技術の応用で相手を空間ごと掘削する性質を持ち、同クラスの重力制御か不可思議技術でも無い限りは防ぎようが無いのだ。

 そうでなくても全艦がDFと分厚い装甲を持ち、場合によってはブレイクフィールドも展開してくるのだ。

 司令部含む地球侵攻軍最大の基地が吹き飛ばされた現在、碌な統制射撃も対空迎撃も出来ないムゲ帝国軍では最早彼らを止める術は無い。

 後の者は言う、この時点で既に大勢は決していた。

 だが、地球連邦軍参謀本部は最早2度とムゲ帝国がこの宇宙にやって来ようとは思えない程に叩くつもりでいた。

 即ち、例え負け戦と雖も敵の戦意が消えない内は戦闘を続行し、根切りするべし。

 元より敗走する敵への追撃こそが最も戦果を上げるチャンスである。

 欧州を焼かれて怒り心頭の地球連邦陸・海・空軍は司令部を失って相互の連携・通信網を今度こそ失い、士気の崩壊したムゲ帝国軍へと襲い掛かったのだった。

 

 

 なお、純粋な母艦であるシロガネはVF隊の母艦として陣形の後ろの方で砲撃にも参加出来ずに待機してました。

 

 

 ……………

 

 

 『おおおおおおおお!?!』

 

 大気圏ギリギリの位置からの特装砲による戦略艦砲射撃とも言うべき攻撃を、ギルドロームは愛機のギルバウアーと共に運良く、本当のギリギリの所で辛うじて逃れる事が出来た。

 これは破壊工作のタイミングから敵の襲撃を読んだデスガイヤーの直感の賜物と言えた。

 しかし、砲撃の着弾による巨大な爆風に衝撃波からは逃れ切れず、機体のあちこちをぶつけながら、必死に着弾地点から逃れる。

 攻撃の余波が収まった頃、そこには巨大なキノコ雲が立ち上り、基地施設は跡形もなく消えていた。

 ボロボロとなった機体の辛うじて無事だったレーダーによって、未だ幾らかの友軍艦が無事である事は知らされたが、その多くは既に反撃するだけの気力は持っていないだろう。

 何せ、空からは先程の攻撃を行った連中が降りてきている最中なのだ。

 

 『各員!撤退してポイントD-1に集結せよ!現在地を放棄し、一人でも多く生き残れ!』

 

 通信から聞こえてくる声に、思わずギルドロームは驚いた。

 

 『デスガイヤー!?お主、生きておったか!』

 『ギルドロームか!生憎と無事とは言えんが、まだ動く事は出来る。お前は先行してD-1へ行き、集結した残存兵力の指揮を取ってくれ。』

 『ぬ、だがしかし…。』

 

 ポイントD-1。

 それは地球連邦軍の反抗作戦によってムゲ帝国軍の敗北が決定付けられたもしもの時、ムゲ宇宙へと一人でも多くの将兵を撤退させるための手段だった。

 

 『恐らくはヘルマットめも無理だろう。オレのザンガイオーならば再生能力もあってまだ行ける。だが、お前は無理だろう。』

 『その通りだ。だが、その決断は遅すぎた様だな。』

 『ぬ、もう来たか。やはり早いな。』

 

 空を見上げれば、そこには2隻の巨艦に5隻の戦艦が降下し、バラバラに反撃する残存兵力へと的確に射撃を加えて蹴散らしている。

 

 『…仕方あるまい。儂は撤退する。だが、タダでは済まさぬ!』

 

 先程の攻撃の余波を受けて、既にしてボロボロのギルバウアーだったが、その奥の手はまだ辛うじて使える状態にあった。

 ギルバウアー最強の特殊兵装にして量産機でも散々地球連邦軍を苦しめた精神攻撃兵器、正式名称を精神波ビームという武装。

 それを限界まで出力を上げ、後先を考えずに最大出力で稼働させる。

 

 『さぁ、悪夢を見るが良い!』

 

 量産機とは比較にならぬ大出力で、ISA戦隊目掛けて精神攻撃兵器が放たれた。

 だが、それは同時に自らの居場所を教えてしまった事に他ならないのだと、ギルドロームは後になって気付くのだった。

 

 

 ……………

 

 

 『じ、状況報告…!』

 

 辛うじて意識を保つ事の出来たスペースノア艦長のブライトが叫ぶ。

 その一撃を受け、ISA戦隊の母艦群は一時その機能を停止仕掛けていた。

 自動迎撃機能を有する対空射撃兵装に母艦に搭載されたDF等は平常に稼働しているが、肝心の射撃や艦全体の指揮・運用を行う人間への攻撃となると防ぐ事は出来ない。

 しかし、幸いにも彼らは未だ生きていた。

 ボロボロになったギルバウアーでは限界出力での精神攻撃兵器、それも7隻もの戦艦を効果範囲内に収める様にしての使用には無理があり、一人当たりへの威力が大幅に落ちていたのだ。

 なお、量産機は先の攻撃で全滅していた。

 

 『か、艦にダメージはありませんが、全艦の人員の多くが失神している模様!意識を保った人員も混濁が見られます…っ!』

 『敵精神攻撃兵器の、位置座標は!?』

 『既に自動で諸元転送されています!』

 『よし、艦内放送!音量を最大にして声を掛け続けろ!全員を強制的に起こすんだ!他の艦にも通信を繋げろ!』

 『は、はい!』

 

 『全乗組員は直ちに起床せよ!繰り返す、直ちに起床せよ!現在我々は戦闘中である!』

 

 『ぐぁぁぁっ!?』

 『耳、耳が痛い…!』

 

 艦内部どころかISA戦隊所属艦全てに音量最大にした状態での怒鳴り声。

 余りの大音量に大勢が耳を抑えてのたうち回る事態になり、その指示を出したブライトと放送を行ったブリッジクルーらも同じ苦しみを味わう羽目に陥っていた。

 

 『ぐお…!せ、戦闘を再開する!各員、持ち場に戻れ!』

 『すいません、何を言ってるのか聞こえません!』

 

 そんな訳でISA戦隊の母艦組は今作戦の最大の危機を乗り越えたのだった。

 

 




なお、砲撃はしっかり幸運・努力・熱血・必中・直撃をして行われました。
反撃が予想よりも少ない?
普通、こんな砲撃が直上から降ってきたらそりゃ全滅しますし士気も崩壊しますわな。
初代マクロスでも宇宙からのゼントラの砲撃で地球全土が焼き払われましたからね、当然ですネ。
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