多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第2話 新西暦

 「はっ!呆然としてる場合じゃない!現状を把握しないと!」

 

 余りの事態に茫然自失していたロリクロンこと幼女ホライゾン型端末(髪はウェーブ)を操っているスター・オブ・プトレマイオスの統括制御用ユニクロン分体は嘗てと比べれば雀の涙程度となってしまった能力を用いて現状を把握すべく行動を開始した。

 そして分かったのは、現在が西暦1900年代であり、人類の文明は栄えているものの未だ高度な科学技術(TF視点)は芽生えていない状態だった。

 また、太陽系の数はエーテル宇宙と同様の第13惑星まであるのだが、時代的に当然ながら宇宙開発なんてミリも進んでいない状態だった。

 そのため、あのエーテル宇宙では割と簡単に観測できたエーテルは僅かしか観測できず、その他にも極微量だが詳細不明の粒子やエネルギーが観測された。

 とは言え、余りにも微量なので現状は利用するのは難しいと判断せざるを得なかった。

 

 「これはまた…判断に困りますね。」

 

 僅かなりとも詳細不明な粒子やエネルギーがあれば、それを利用して劇的に進化するのが地球人類(TF視点)である。

 彼らTFをして「なぁにこれぇ(困惑)」みたいな事態は一度や二度ではない。

 ゲッターとかマジンガーとかコンバトラーとかお前らの事やぞ。

 となれば、この地球も何れそうなるのは目に見えている。

 とは言え、今は第二次どころか第一次世界大戦が漸く始まる様な時代である。

 変に介入してもおかしな事になるのは目に見えているので、現状の地球人類に対してのアクションは控え、簡易AI搭載の人型端末を下して活動拠点を設置して、来るべき日に備えるだけで構わないだろう。

 また、現在は静止衛星軌道上の自分と要塞の頭部は現在できる可能な限りの隠蔽処置を行って人類の観察を続行し、並行して頭部そのものの改装並び各種機動兵器の生産、そして何より資源を回収しての嘗ての姿への修復作業を行う事にしよう。

 

 「あ、本体に通信送っておかなきゃ。」

 

 えーと…………えーと。

 

 「し、信号のシリアルナンバー忘れちゃった…。」

 

 本体の位置の特定に繋がる最重要機密の一つであったため、クラッキング不可能なマトリクスにのみ記載されていた。

 しかし、それは先の疑似ビッグバンと共に永遠に失われてしまっていた。

 なんてこった(白目)

 

 「ま、まだ!他のスター級機動要塞なら…ッ!」

 『Pi! そのシリアルナンバーは現在使用されておりません。正しいシリアルナンバーを入力してください。』

 「あああああああああああああああああぁあああああああああぁあぁぁぁぁあああああああああぁッ!!」(発狂)

 

 彼女が知る由もない事だが、U.U.U.ネットワーク開設に当たって既存のスター級機動要塞並び改スター級戦略機動要塞とユニクロン本体は機密情報保護の観点から各マトリクス毎に配布されたシリアルナンバーを改訂してより解析の困難なものへと変更されていたのだ。

 そんなのは長く機能停止してマトリクスも失った彼女には分からない事だったが。

 

 「は!緊急救助要請ならまだ届くかも!でも……。」

 

 無論、その通信は多次元宇宙においても届く。

 しかし、それは即ち他勢力にもその通信が届いてしまう事に他ならない。

 うっかり悪意ある輩に届いてしまったら、それは自分だけでなくこの世界の生命全ての危機に直結する事態になる可能性すらある。

 勿論TF向けに暗号化された通信なのだが、それを受信して解読できる技術力を持った悪意ある存在というのは多次元宇宙には沢山いるのだ。

 その可能性を考えると、緊急救助要請を出すのは気が引けてしまった。

 

 「取り敢えず、現状は人類への大々的な干渉は控えて、後は企業でも作って技術開発、特に航空宇宙関連を推進させていく事位かなぁ。」

 

 こうして、大凡の方針は決まった。

 

 「あ、医療と娯楽、コンピューター関連にも投資しなくちゃ。」

 

 が、個人的な欲望も忘れていなかった。

 

 

 ……………

 

 

 この世界にスター・オブ・プトレマイオスがやってきてから、ざっと200年が経過した。

 それまでに実に色々とあった。

 

 第一次大戦終了後に北米で宇宙開発を目指す最古の企業体「A.I.M.」を設立、第二次大戦まではアメリカの市場に投資しつつも、その先進的な各種技術によって瞬く間に大企業に成り遂せた。

 なお、社名はAim for space(訳:宇宙を目指す)の略である。

 第二次大戦後からはより本格的な技術開発に舵を切るために多国籍化して更に多くの人材を募り、数多くの特許を確保するに至る。

 特に社名の通り宇宙開発に必要な基礎的な技術の特許は握っており、NASAと共同で月面への有人月飛行計画を実現させている。

 その後はアメリカ政府が財政的理由から宇宙開発に手を退いた後も開発は止めず、企業体で自社製有人・無人人工衛星並び宇宙ステーションを保有する唯一の企業の立場を長い間持ち続ける事となる。

 何故か日本でアニメーションやゲーム等の作成を手掛ける子会社を設立、アニメ・ゲーム関連のクリエイターを圧倒的ホワイト環境によって雇い入れる事で数多くの傑作を世に出していく。

 この行動が結果的に日本国内での米国友好ムードの熟成とアニメ・ゲーム業界のホワイト化を進めていく事となるが閑話休題。

 

 そして2011年、A.I.M.より米露両国に着弾の可能性が70%を超えた隕石が二つ接近中との報告を受け、両国並びその友好国が貯蔵していた戦略核弾頭をありったけ使用しての迎撃作戦を展開、A.I.M.も両国と共同して迎撃作戦に観測・情報管制等で協力した。

 結果的にこの二つの隕石(後にメテオ1・2と命名)は迎撃に成功し、地表には僅かな破片が落下したものの、直接的な人的被害はゼロという奇跡を叩き出した。

 また、これにより米露は不良在庫化していた核弾頭をほぼ全て使い切り、軍事費に余裕ができる事となった。

 しかし、世界各国はこの事態を重く受け止め、西暦2015年を新西暦元年として地球圏全体を統治する「地球連邦政府」の樹立を宣言、本格的な宇宙開発へと万進していく事となる。

 事態が大きく動くのは新西暦179年、メテオ3群の落下からとなる。

 

 

 ……………

 

 

 で、そんな歴史の動きの中心にもなったA.I.M.社、即ちスター・オブ・プトレマイオスの頭部と統括分体とその愉快な部下達へと話を戻す。

 ロリクロンは先ず自分の手足となって動く人手を確保するため、既に実用化・量産化されていた侍女式自動人形の生産を開始した。

 とは言え、全身ナノマシン製ではもしもの時に怪しまれるため、最初期ロット以外は電脳部分を除いた全身は医療用クローン技術を用いた生体式にしてある。

 これは現地人類とのより密接な関係(つまり粘膜接触からの子孫繁栄)の構築を目指したものであり、実際基本は無表情でズバズバとした辛辣な物言いの彼女らだが、美人で面倒見良くて優秀でデレると途端に表情豊かになって奉仕上手で大好きなため、地球人類(特に男性)からは極めて受けが良かった。

 じゃぁ女性からは?となると、丁度表に出てきた時代が女性の社会進出が始まった頃だったため、大抵の男共よりも優秀な彼女らは寧ろ歓迎された。

 彼女らの寿命は基本的に50年で、そこからは定期メンテナンスを無しにしての寿命に身を任せる形となる。

 寿命=生体式ボディの限界を迎えれば、電脳部分のみ回収して新しいボディに移す予定だったのだが、侍女式自動人形(主人への殉死を権利として保証)をモデルとした影響か、TFとは異なり結婚相手への貞操・愛情が強く、例え新しいボディに移しても殆ど再起動しない事例が多発したため、事前に確認を取ってから稼働データをコピーし、そのまま死亡(完全なる機能停止)するのが通例となった。

 なお、人類との子供はちょっと病気に強くて頑丈でほんの少しだけ(数%の誤差レベル)スペックが高くなる傾向になる。

 決して身内贔屓とかじゃなく、うっかり疫病とかで絶滅するのを防ぐための措置である。

 なお、そんな設定にしたのはロリクロン様なので、侍女達の誰もが呆れた目で見ていたりする。

 

 で、そんな彼女らを地上に下ろし、食い詰めた人間を色々と誘惑して骨抜きにして手足とし、さくっと企業を設立してどんどん会社を大きくしていく。

 折しも世界は第一次・第二次と世界大戦が続発する時代、拠点とする北米では商売に困る事はなかった。

 特にこの時代では未だ科学技術は未熟のみの字にすら至っていない時代で、尚且つ社会保障に関しては未だ未成熟であったため、孤児を拾っては教育して社員や工員に、そうでなくても優秀な消費者になってくれるため、彼女らとしては万々歳だった。

 

 そうして足場を固め終えると、A.I.M.社は素早く行動を開始した。

 冷戦の終末時計が最後までその針を進めぬように、進んでも人類が存続するようにとイージスシステムを始めとした核ミサイル迎撃技術の開発を推進しつつ、宇宙開発に遅れ気味だった米国の尻を蹴り上げ、旦那に奉仕しつつ、遊びにかまけているロリクロンに説教しつつ、人類の文明を繁栄させ、この星から出るためのあらゆる後押しをし続けた。

 無論、企業体として利益を得る事は忘れない。

 自動車、航空機、情報産業、各種食料生産、医療、重工業等々。

 その時代でオーバーテクノロジーにはギリギリならない範囲を見極めて、常に時代の最先端に立ち続け、先導し続け、利益を得ながら宝はここだと各国・各企業に叫び続けた。

 特にロリクロンの我儘で始まったアニメ・漫画・ゲーム・映画のコンテンツは侍女達がちょっと忌々しいと思う程度には庶民から上流階級まで大人気であり、時代が経過した後も数々の不朽の名作が綺羅星の如く輝いている。

 こうして、A.I.M.社はその役割を十二分に果たしていた。

 

 

 ……………

 

 

 で、我らがロリクロン様は言うと……

 

 「マジか……遺跡とメタトロン見つけちゃうとかマジか……。」(白目)

 

 新西暦50年、他のあらゆる企業と地球連邦政府に先んじて始めた火星開拓事業において、改エクセリオン級(に変化した嘗ての頭部パーツ)と共にやべーもんを見つけてしまっていた。

 

 なおこの後、侍女達に「何余計なもん見つけて仕事増やしてるんですか貴女は」と怒られる事となる。

 

 

 

 

 

 

 




スター・オブ・プトレマイオスの頭部パーツ→改エクセリオン級

 デザインはセンサーマスクで顔全体を覆い、顔の側面を大型レドームが覆い、頭頂から後頭部にかけては蛇腹状の装甲に覆われている。
 それでも元がデススターサイズなので、頭部だけでも全長8kmのナノマシンの集合体。
 それを長い時間をかけて地球に飛来する隕石や宇宙開発が始まった際に発生するスペースデブリなんかを取り込んでナノマシンの数を増やしつつ、宇宙空間で活動するのに最適な形へと変化した。
 性能はほぼエクセリオン級をアップグレードしたものであり、TFらしく変形して亜光速でのマクロスアタックも可能。
 但し、ワープ方式や縮退炉に関しては宇宙怪獣を引き寄せる原因となるため、エーテル宇宙式ではなくあくまでTFが独自開発したもの(以降TF式)となっている。
 なお、艦載機は現時点で虎の子のヴァルチャー型50機と亜光速戦闘対応型無人戦闘航宙機500機(デザインは楽園追放の無人迎撃機)と
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