多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
・偉大な勇者は… マジンカイザー(偽物)投棄作戦後
「よし、これで試作型グレートブースターは一応出来上がったな。」
「しかし剣造博士、よろしかったのですか?未だに光子力とゲッター線の相互作用はデータが不足しています。」
「それは私も分かっているのだ、弓教授。しかし現状、グレートマジンガーを早急かつ劇的に強化する方法はこれしかないのだ。」
要塞科学研究所にて、二人の光子力エネルギーの専門家のやり取り。
グレートマジンガーは現在量産(と言っても一号機含めて未だ12機のみだが)されている特機の中ではゲッタードラゴンと並んで最も高性能かつ高コストとなっている。
はっきり言って現在の地球産の技術ではこれ以上の早期な性能向上は望めない程に。
だと言うのに戦況は未だ予断を許さず、次なる侵略者の魔の手が迫っていると来た。
故にこそ、地球連邦政府並びに軍はこれに対応するため、通常の軍備増強に加えてISA戦隊の増強に踏み込んだ。
しかし、機動力を維持したままの質的向上を果たした部隊によるISA戦術は質的向上の限界による頭打ちを迎えていた。
無論、鉄也の乗る一号機よろしく再現に成功した4つの魔神パワーの解放を行えば劇的な強化を実現できるが、未だ魔神覚醒事件の記憶が色濃い地球連邦政府並びに軍はこれ以上の魔神パワーへ頼る事を禁止している。
これには「4つの魔神パワー搭載のグレートマジンガーを使いこなすだけのパイロットが鉄也位しかいない」という問題もあった。
そのため、兜十蔵博士と早乙女賢ちゃん博士の雪解けをこれ幸いとして光子力エネルギーとゲッター線の融合による更なる強化を模索していたのだ。
その結果が追加の光子力エンジンとゲッター炉+ゲッター線増幅装置を内蔵した強化パーツ、即ち試作型グレートブースターであった。
これを装備した場合、グレートマジンガーは全性能を劇的に向上させ、あの魔神に比肩する領域へと至るのだ(但し基準は過去に観測されたデータであり、次に遭遇するであろうZEROは高確率で大きく性能向上していると思われる)。
しかし、未熟な技術で圧倒的性能を得る代償は、余りに大きいものだった。
・偉大な勇者は…その2 マジンカイザー(偽物)投棄作戦後
「ちなみにこれ、一号機以外ではどの位いけますかね?」
「…理論上なら10分は行けるだろう。」
「使用は一号機のみに限定しましょう。」
「貴重なパイロットを死なせる訳にはいかんからな。」
剣鉄也の専用機となっているグレートマジンガー一号機には再現に成功した4つの魔神パワーが搭載されている。
それ即ち「再生」「吸収」「強化」「変態」の4つである。
具体的には極めて高度かつ高速の自己修復(パイロット除く全質量の6割近く失っても可能)、敵の攻撃等のエネルギーの吸収及び再利用、動力炉の耐久力や出力・武装の威力を強化(重ね掛けや変態との併用も可)、機体形状を変更しての武装(機能)の追加(ドリルプレッシャーパンチやアイアンカッター、サザンクロスナイフ等)となっている。
これらで限界まで機体を強化した上でしか試作型グレートブースターの使用は出来ない。
通常の魔神パワー無しの量産仕様のグレートマジンガー(2号機から12号機)では装備しようものなら、余りに高過ぎるエネルギーに機体とパイロットの方がもたないだろうという試算が出ている。
・無事採用されました 魔神覚醒事件後
『アレに対抗するためにも、シズラーは必要だと判断された。』
「正式採用してくださる、と?」
『うむ。掌を返すようで悪いが…。』
「まさか。こうなると分かっていたからこそ、我が社ではアレの開発と生産を続けていたのです。」
『すまないな。まさかあんなモノが出て来るとは…。』
「仕方ありません大統領。あんなモノ、本来なら予想なんて出来る筈が無いのですから。」
A.I.M.社長五代目武蔵とレビル大統領の極秘通信の一部。
魔神覚醒事件後、この宇宙に埋まる宇宙滅亡系厄ネタ地雷の存在を知った連邦政府は迷うことなく軍拡への道を選んだ。
その一環としてのグレートマジンガーの開発並びに更なる強化、そして一度はコスト面から見送ったシズラーの正式採用だった。
なお、一機当たりの初期費用はパイロット込みでクラップ級一隻よりお高い所か二隻分近いのがシズラーである。
これは他の量産型特機であるジガン系やヴァルシオン系よりも更に高いため、グッサリと財政に突き刺さった。
・無事採用されましたその2 魔神覚醒事件後
「あんなモンに対抗するためだって言っても、ものには限度があるんだぞ!?」
「また戦時国債の発行かぁ…。」
「何時になったら返済できるんだろうな、この額の国債…。」
戦時国債の大規模追加発行に阿鼻叫喚に陥る地球連邦政府財務省。
相変わらずデスマーチしっぱなしの事務方であるが、それでも各企業と軍の事務方に比べれば彼らはまだマシな方だった。
なお、突然の大規模追加発行された戦時国債だったが、A.I.M.とアナハイムを始めとした大企業群、そして共和連合政府によって無事に売り切れた模様。
・ここはデスマーチ地獄の一丁目 時系列不明
「書類、書類、書類…。」
「ハンコ、ハンコ、ハンコ…。」
「サイン、サイン、サイン…。」
「報連相、報連相、報連相…。」
「在庫確認、追加発注、仕様変更…。」
「」
「おい誰か倒れたぞ。」
「壁際に除けておいてくれ。」
「追加来たぞー。」
アナハイム・エレクトロニクス地球本社所属の生産工場での一幕。
如何に高度に電子化された時代と雖も、だからこそ電子データに関わらず残るアナログな紙媒体は重要なデータを残すために使われ続ける。
一年戦争時にNジャマーやミノフスキー粒子によって多くの電子データが消失してしまった経験から、地球ではこうしたアナログな手法が消える事なく脈々と受け継がれている。
それはつまり、電子データと紙媒体双方の資料を作らねばならないという手間の増加に他ならない。
で、戦闘・戦争というのは基本的に準備と後始末が物凄く手間と時間、費用が掛かるのである。
銀河の命運を賭けた宇宙大戦争の序盤なんざやってるのだから、必要となる物資は一体どれ程なのか…。
社内向けのものから軍向け、政府向け、更には一部の民間向けとその内容も多さも様々で、日々増え続ける作業量に事務方は全員が死んだ目でただ只管終わらぬ仕事の山脈をスコップで削るかの如く苦行に挑み続けるのだった。
戦時とその後の混乱の余波によって発生した全ての事務作業が終わるのは、実に戦争の一時終結から半年を過ぎてからの事になるのだった。
・ここはデスマーチ地獄の一丁目その2 時系列不明
『集計完了。データを管理部門へ。』
『誤差修正完了。部品生産を予定より7%増産する事は可能か?』
『4%までなら問題なく可能。それ以上は作業員の負担大きく、残業が発生する可能性あり。』
『了解。4%の増産で対応されたし。』
『了解。』
『エクセリオン級8番艦、完成まで後17日と17時間となっております。』
『予定通り共和連合への売却分に割り当てとします。るくしおん級の追加生産分は…。』
一方のA.I.M.は社内各部門に多数存在する自動人形らの量子通信ネットワークによって人類よりも遥かに効率的・超高速・超大量に情報をやり取りできる特性を用いて、各部門を連携させているため、他の大企業群よりも遥かに事務方への負担が少なかった。
少なくとも戦時下にありながら頑なにホワイト業務を貫きながらも利益を出し続けているのはこいつらだけであろう。
・ナデシコ級は今 時系列不明
「相転移エンジン…やはり純粋なエネルギー機関だけでなく、兵器転用も可能ですか。」
「えぇまぁ…しかし、やはり制御面と出力に関して問題がありまして。」
「それならば我が社からの技術提供を行います。ことソフトウェアに関しては太陽系最高を自負しておりますので、それならば十分実用化できるかと。」
「おお、それならば確かに。では具体的な事は今後の交渉で決めるという事で…。」
A.I.M.とネルガル重工の渉外担当者(担当自動人形とプロスペクター)の一幕。
ナデシコ級はそのGBの火力に比しての比較的低コストかつ小型さが売りであるのだが、昨今の大型艦の大量建造や侵略者の大戦力相手では火力不足が指摘されており、それを解決するために強化パーツの開発・追加が考案されていた。
一部の技術的問題に関してはいつもの安心と驚愕のA.I.M.の手を借りる事でリーズナブルかつ早急に解決する事に成功している。
考案された強化パーツ、所謂Yユニットは砲艦とされたナデシコ級を戦略兵器へとジョグレス進化させる代物であり、理論上の最大攻撃可能範囲であれば共和連合のウユダーロ級初期型に比肩する見込みとなっている。
勿論これを知った共和連合は開いた口が塞がらなかった、だってコストとサイズ比で圧倒的に自分達の方が劣ってたから。
この時の驚愕と敗北感が後にバランシュナイルというウユダーロ級戦略砲艦の機能を機動兵器サイズまで小型化するという技術的ブレイクスルーを発生させる事となる。
・ナデシコ級は今その2 時系列不明
「勿論、我が社も噛ませていただけるのでしょうねぇ…?」
「…勿論です。詳しくは今後の交渉で話し合いましょう。」
その場に混ざってきたクリムゾングループの担当者に対し、プロスペクターは内心の舌打ちを隠しながらにっこり笑顔で対応した。
なお、後日の交渉は言うまでも無く熾烈なものになった。
・そう言えばあの二人は? 時系列不明
「お父さんもお母さんも、生きてました…。」
「私もよ。父さんと母さん、そしてあの人も…。」
「でも、皆こっちの世界の私と一緒で…。」
「私達には私達の帰るべき世界がある。その日が来るまで、私達は心の炎を燃やし続ける。あの人に、コーチにそう言われたでしょう?」
「はい、お姉様…。」
「でも、今日くらいは泣いて良いのよ、二人共?」
「ユング…。」
「今はユン・グローリアス大尉だってば。さ、今日はパーっと飲みましょ?私が奢るからさ。」
分かたれた戦友達の再会後暫くしてからの一幕。
嘗て別離を経験した大事な人々が、この世界の自分達と仲睦まじく平和に暮らしている。
例え薄氷の上の平和だとしても、それは彼女らにとって何よりも羨ましく、大切な、しかし当の昔に掌から零れ落ちてしまった幸せの形だった。
その夜、三人は浴びる様に酒を飲んで、仲良く一塊になって眠りに就いた。
・そう言えばあの二人は?その2 時系列不明
「あ、言い忘れてたけど、貴女達の偽名とか戸籍の作成終わったわよ。」
「あら、どんな名前かしら?」
「偽名って…大丈夫かなぁ?」
「ダイジョーブダイジョーブ。私だって慣れたし、元の名前を捩ったものだから渾名みたいなもんよ。」
タカヤ・ノリコ→カタヤ・ノリカ。
アマノ・カズミ→アガノ・カスミ。
後に沖女にユンと共に教官として赴任してからは流石にお姉様呼びはヤベーという事で先輩呼びになったが、身内しかいない時は以前の通りお姉様呼びである。
ノリカはこの世界の自分と偶にオタトークで盛り上がり、カスミは素直になれない自分に見せつける様にオオタ中佐にモーションをかけては嫉妬と悔しさ、不安でギリギリ歯噛みするこの世界の自分とそれを宥めるオオタ中佐を見てニヤニヤするのだった
なお、訓練の厳しさは全員沖女の成績上位陣が昇天仕掛ける程に厳しかったりするが、元生徒としての視点からのアフターケアを欠かさず行っている事から、脱落者が出ない事で有名となる。