多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第59話 妖魔大帝その3

 新西暦186年9月28日 極東方面 臨海市

 

 ISA戦隊の旗艦マクロスと二番艦を務めるメガロード。

 この二隻は現在各地に湧き出た戦闘獣、特に戦略上の要地を守るためにVF・MS部隊と共に出撃している。

 では、この二隻でもないと運用できないサイズを持つ三機のシズラー小隊、即ちユン・グローリアス少佐率いるアガノ・カスミ大尉にカタヤ・ノリカ中尉のトップ部隊の女性教官3人組は一体何処にいたのだろうか?

 

 『二人共、ホーミングレーザー行くわよ!』

 『えぇ、良くってよ!』

 『いっけぇホーミングレーザー!』

 

 沖女、正式名称を地球連邦軍所属沖縄特別女性士官学校から出撃した三人は参謀本部からの命令により、戦力の足りていない臨海市へと出発、そこから友軍の窮地であると通信で聞き付けて急加速、見事味方の窮地に間に合ったのだ。

 流石は量産型とは言えバスターマシンの系譜。

 大気圏内で亜光速でなくともトバせば十分な速度が得られるのだった。

 

 『な、何だとぉ!?』

 

 ISA戦隊分隊の主に特機からなる前衛の面々をその物量によって包囲し、弟の仇として意気揚々と殲滅しようとしていた巨烈兄弟の兄、豪雷巨烈は自分の指揮下の戦力が一瞬にして壊滅した事に驚愕し、思わずその動きを止めてしまった。

 何せ対宇宙怪獣用の武装である。

 化石獣やそれよりもちょっと強い巨烈獣相手にはオーバーキルも良い所である。

 加えて言えばこの武装は改良された結果、一機につき最大3万もの亜光速目標を照準・追尾できる優れものなのだ。

 大気圏内で多少の減衰こそあれど、のろくさ動く標的に外す事など有り得ない上に三機いるので約5000機の敵に対して18発も割り当てられるので、そりゃー全滅も当然であった。

 

 『今だ!超電磁タ・ツ・マ・キー!』

 『超電磁ボール!』

 『おおおおおおお!?』

 

 硬いからと言って、特殊効果が通らない訳ではない。

 二機の超電磁ロボの拘束技により、巨烈獣バンカーはその動きを完全に停止させられてしまう。

 

 『合わせろ洸!サイバード・チェンジ!』

 『分かったマサキさん!ゴッドバード・チェンジ!』

 

 そして、バンカーもとい豪雷巨烈にとっての不幸は、彼の自慢の防御力すら突破し得る攻撃力の持ち主がこの場に複数いた事だった。

 

 『おのれおのれおのれおのれおのれェ!ひびき洸!人間共!我ら妖魔帝国はバラオ様がおられる限り滅びぬ!必ずや蘇り、次こそは貴様らを悪魔世紀への礎に…!』

 『即興の合わせ技だが、これで終わりだ!』

 『ダブルバードアタック!』

 

 背中合わせになった二機はそのまま回転する事でまるで一つのドリルの様な軌跡を描く。

 火の鳥の炎と放出されるムートロンの光を纏い、ゴッドバードとサイバードの二機は必死に逃れようともがき続けるバンカーへと一つの矢となって突撃する。

 

 『あ、あ、ああああああああああああ!?』

 

 断末魔の叫びを残して、豪雷巨烈は戦場の露と消えるのだった。

 

 

 …………

 

 

 『よし、各機は帰投を開始せよ。街の方は再編の終わった防衛部隊に…』

 『待てブライト!まだ邪気が消えていない、次があるぞ!』

 『それに、先程から戦場全体に妙なプレッシャーが掛かっている。妖魔帝国はまだやるつもりの様だ。』

 『何!?各員、索敵を厳に!次が来るぞ!』

 

 敵を全滅させて一安心。

 そんな空気が場に流れそうになった途端、最も鋭敏な感覚を持つジオンと連邦双方の代名詞的なNT二人が警告し、それに慣れていたブライトは即座に警戒態勢へと戻る。

 

 『…来る!』

 『これは、下からか!?』

 

 そして、NT組に並ぶ程の鋭敏な感覚を持つひびき洸と明神タケルの超能力者二人が一様に海面へ視線を向ける。

 同時、臨海市の沖合の海面へと禍々しい六芒星が浮かび上がる。

 

 『何だあれは?!』

 『分かりません!データにないエネルギー反応ですが…空間の歪曲を確認!』

 『ブライトさん、敵が来ます!』

 『チィ!転移してくるつもりか!?』

 『各機、攻撃を集中しろ!出足を挫くぞ!』

 

 その言葉に三隻の戦艦と機動兵器部隊はその最大火力を叩き込むべく武装を構える。

 

 『エネルギー反応増大!来ます!』

 

 オペレーターの言葉と同時、魔法陣から巨大な岩塊が姿を現した。

 

 『撃てぇい!!』

 

 特装砲こそ使用されなかったものの、連装衝撃砲を初めとした大火力が一斉に叩き込まれる。

 しかし、手応えが無い。

 攻撃の余波で発生した水蒸気で目視できずとも、魔法陣から現れた質量が砕かれる気配も無ければ、この場を覆うプレッシャーが消える事もない。

 宇宙要塞であってもダメージは免れない程の火力を叩き付けられながら、その岩塊は無傷だった。

 

 『はは、はははははははははははは!手荒い歓迎だなぁ人間共よ!』

 

 現れたのは全長10kmはある巨大な島だった。

 否、島が全てではない。

 その島の中央、山となっている位置に巨大な怪物の上半身が生えている。

 上半身だけでもシズラーに匹敵する180m、下半身の島に至っては全長10kmという出鱈目な存在。 

 それが妖魔大帝バラオの姿だった。

 

 『しかし、随分とこのバラオの配下を痛めつけてくれたものだな。』

 『ハン!そんなに可愛いなら一生手元で飼っておけってんだ!』

 『ふふふ、威勢が良いな。しかし、これを見ても同じ事が言えるかな?バ・ラ・オォォォォォォ!!』

 

 ヒリュウ改所属のMS部隊隊長のカチーナがプレッシャーを跳ね除ける様に言い放つが、それに対するバラオの反応は予想外のものだった。

 

 『な!?げ、撃破した敵の残骸が融合、再起動しています!』

 『はぁ!?そんなのアリかよ!?』

 『うわーんカチーナさんが余計な事言うからぁ!』

 『あたしか!?あたしのせいだってのか!?』

 『ハハハハ、まだ終わらんよ!』 

 

 場は一転して混乱に包まれていた。

 何せ撃破した筈の敵が蘇ってくるとか、経験豊富なISA戦隊の一員としても未体験な現象である。

 理論は違うが似た様な事は太陽系防衛用無人機動部隊のナノマシン製兵器なら出来るが、それはさて置き。

 バラオの次なる行動によって更に混乱は加速する。

 

 『妖魔族1万2千年の呪いを込めて…今ここに鋼より強き我が爪と我が髪を以って、妖魔の守り竜を生み出さん…出でよ、妖魔巨烈獣バラゴーン!』

 

 そして、新たに展開された魔法陣から出現してきた存在に、場の混乱は頂点に達した。

 

 『ば、馬鹿な!?』

 『あれ、さっきの兄弟の首じゃないか!?』

 『嘘だろう…?』

 

 魔法陣から現れた巨大な竜。

 蛇の様な長い胴体に赤い装甲と白い鬣に角、金色の眼を持つその巨体は全長1kmにも達している。

 そして、一堂の注目を最も集めたのは、その背中に生えた4本腕槍と剣を携えた人型の上半身。

 その4本の腕の内、上に生えた2本の腕の先に付いた巨烈兄弟の首であった。

 それこそが本来のバラゴーンに加え、更なる後押しのために加えられた巨烈兄弟の魂、その証であった。

 

 『豪雷よ、激怒よ、望み通りお前達は死んでも戦い続けるのだ!妖魔の守り竜としてな!!』

 『貴様、自分のために戦った死者の魂すら弄ぶのか!?』

 『ハハハハ、笑わせるなよムーの末裔よ!我が大妖魔帝国、そしてこのバラオの勝利の為!その為に使われる魂ならば、豪雷も激怒も喜んでおるわ!』

 

 バラオのその言葉に応える様に、バラゴーンが戦域全体に響き渡る程の恐ろしい咆哮を上げる。

 それこそがバラゴーンの、巨烈兄弟の意思だった。

 自らが死んでも、どうなっても構わない。

 憎い敵を殺せるのならば、何だって構わない。

 それが1万2千年以上昔に妖魔となった者達の総意だった。

 

 『さぁて、そろそろムートロンを頂く事にしようか…。手始めに、貴様らを血祭りに上げてなぁ!』

 『くそ、各員戦闘再開!奴らにこれ以上好きにさせるな!』

 

 こうして、戦闘は更に激化する形で次のラウンドへと移ったのだった。

 

 

 …………

 

 

 その様子を、遠くから見つめる者達がいた。

 

 『う~ん、やっぱり圧されてますの。』

 『どうしよっか…?』

 『下手に手を出す訳には参りませんの。アトミラール達に怒られますの。』

 『うん…。』

 

 山間部から戦場を眺めているのは、久々の出番のアインスト4人娘の年少組。

 アインスト・アルフィミィとレーベンの二人であった。

 

 (もう、アトミラールもフォアルデンも大事なお話合いがあるからって置いてけぼりは酷いですの!)

 

 会談場所がアインスト宇宙であるとは言え、もし万が一があっては困るからと不安定な部分のある二人は一時的にこちらに置いていかれたのだ。

 が、その結果としてこんな場所で巻き込まれているのだから、年長二人組の気遣いは無意味となったのだがそれはさて置き。

 

 『そうですの!』

 『どうしたの?』

 

 良い事を思いついた。

 顔面にそう書かれたアルフィミィに、レーベンは特に気付かずに問う。

 大抵こうしたタイミングでの思い付きは事態を悪化させるばかりなのだが、そんな事を知らない子供二名を止めるものは何もない。

 

 『どうせですから、私達もあそこに参加してみませんか?』

 『あぶないよ…?』

 『だからですの!大人達がいては出来ないアブナイ事を、今だからこそ出来るのです!』

 

 保護者組が聞いていたらオイ馬鹿止めろと即座に止めるだろう事を言い出していた。

 

 『うーん、そうかなぁ…?』

 『最近はお出かけも全然出来ないですし、ここらで一つ私達ができるおとなのおんなだと言う事を証明して、お出かけの権利を勝ち取るのです!』

 『えぇ…。』

 

 それは具体的にはどうとか言えないけど違う気がする。

 レーベンはそう思うものの、すっかり自分の案に乗り気になってしまったアルフィミィを止めるだけの言葉が出て来ない。

 

 『幸いにもあそこにいる妖魔の王様は悪い奴として以前からチェックされてましたから、アレを倒せば一杯褒めてもらって一杯お出かけできるに違いありませんわ!』

 『えぇっと…。』

 

 流石にアカンと感じてきたのか、レーベンが口を開こうとする。

 

 『しかもエクセレンにキョウスケまでいるとなれば善は急げ!行きますわよレーベン!』

 『え、あ、ちょっと待って!?』

 

 こうして、ちびっこ二人が飛び入りで戦闘に参加する事となったのだった。

 

 

 

 

 当然だが、この行動によって二人は戦闘終了後にクソ程怒られる事になるのだった。 

 

 

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