多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第3話 参戦作品を探せ

 ロリクロン、愛称をその本来の名称からトレミィとする彼女は趣味として全てのサブカルチャーを愛している。

 それは嘗てからの情報収集の名残であり、本人の趣味でもあった。

 しかし、この世界においては単なる興業利益以上の意味があった。

 例えば、初代マジンガーZの漫画・アニメを企画し、本格的にプロジェクトを始動させようとしたのだが……どこの出版社も何故か断り、自社内の出版社ですら様々な理由でNOと言われてしまった。

 はて、企画自体は良いものなのに何故?と感じたトレミィが人員を出して本格的に調査した結果、ある可能性が浮かび上がってきたのだ。

 

 マジンガーZ、ゲッターロボ、ガンダム、そしてトップをねらえ等。

 この世界で将来的に実現する可能性のあるロボットを原作とする作品は、存在できない可能性がある。

 

 既に改エクセリオン級内部と地上、コロニー、月面にある各種ラボによってゲッター線やジャパニウム鉱石、ミノフスキー粒子、エーテルの観測には成功し、新西暦50年には火星にてメタトロン鉱石並び火星極冠遺跡の発見もあった。

 これらから想起されるアニメ・漫画・ゲーム作品群は以前から企画はあったのに何故か不採用されていたという共通点がある事から、この馬鹿馬鹿しい可能性を後押ししていた。

 事実、ミノフスキー粒子の関係ない各アウターガンダムも不採用だし、超時空要塞マクロスや伝説巨人イデオン等も不採用となっている。

 同じ監督の他の作品は採用され、歴史に残る名作となっているにも関わらず、だ。

 これに関しては最早確認する術がトレミィらには無いものの、超越存在による因果干渉の可能性すらあった。

 だが、逆にこれを利用して将来どんな作品世界の存在がこの世界に絡んでくるのかを予測する事も可能になった。

 現時点で将来登場する可能性が高いと思われるのは、判明している限り各種ガンダムとマクロス系にナデシコ、そしてゲッターとマジンガー系、イデオンにトップをねらえ!系となっている。

 この結果が出た時、トレミィは完全に無表情となり、数日程自室に引き籠って角に座り込んでいた(そして侍女に引きずり出された)。

 なお、欧州にロームフェラ財団の存在を確認したため、ガンダムW系列は今後出てくる可能性はほぼ確定だと思われる。

 他にもイスルギ重工やマオ・インダストリー、アナハイム・エレクトロニクス、そしてネルガル重工にクリムゾングループが確認されている。

 また、各種ラグランジュポイントにはコロニー建設計画が立ち上がっており、将来的にジオン公国や木星帝国、火星の自治都市群が成立する土台が出来上がりつつある。

 また、世界中に複数の秘密結社が存在しており、その正体や組織の捜索活動も継続して行われている。

 既に存在が判明しているものだけでゼーレにアマルガム、世界解放戦線にロゴス等がある。

 これに関しては「よし、ブラックロッジが無い!」としてトレミィは大喜びした。

 とは言え、まだまだ安心は出来ないとして、更なる調査と人類全体の地力向上、そして自分達の技術・戦力向上を目指していくのだった。

 

 

 ………………

 

 

 火星極冠遺跡上空 改エクセリオン級「プトレマイオス」にて

 

 

 「あれ?もしかしなくてもマトリクス作れるんじゃない?」

 

 

 未だテラフォーミングの最中である火星、その極冠にある遺跡にて分厚い氷と超高出力のディストーションフィールドに苦戦しながらも作業を進める採掘部隊の様子を眺めながら、ふとトレミィは呟いた。

 なお、火星のテラフォーミングは某虫漫画よろしく地球から環境改善用ナノマシン(A.I.M.社)搭載の大型弾頭弾を幾度も打ち込む事で進めている。

 現在は未だ宇宙服の装着が必要だが、もう50年もすれば普通に呼吸が可能となるだろう。

 無論、そんなに待たなくても彼女ら改エクセリオン級クルーには関係ないのだが。

 

 「一体何を言い出すのですか?気でも狂いましたか?」

 「相変わらず辛辣過ぎる…。まぁちょっと聞いてみてよ。」

 「畏まりました。下らない話と判断できれば中断させて頂きます、物理的に。」

 

 そう返す自分付きの侍女に対して本当に辛辣だなぁと思いつつ、トレミィは自らの思い付きを話し始めた。

 

 「サイコフレームって知ってる?」

 「無論。幸いにも主のライブラリに残存していたデータに断片的な記録が残っていたかと。」

 「そうそれ。と言っても現在完全再現しようと研究中だけどね。」

 「それがマトリクスと何か関係が?」

 「その前にちょっとおさらいしよっか。」

 

 サイコフレーム。

 それは科学全盛の宇宙世紀にて発明された、ファンタジーの産物とも言える奇跡の技術。

 サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを、金属粒子レベルで鋳込んだMS用の構造部材。

 その効果は本来の用途たるサイコミュ兵器の小型化のみならず、パイロット以外の周囲の人間の感応波の受信、それまでの素材よりも軽量かつ稼働状態においては物理法則を超える程に頑丈となり、更には思考による機体操作とサイコミュ操作難度の緩和、果てには共振現象やバリアの発生や機体出力の突発的な上昇、遂には人間の意志をエネルギーへと変換するという余りにもトンデモナイ代物だ。

 負の側面として、サイコミュ機能を応用した洗脳効果もあるが、こちらは本件には余り関係ない。

 

 対してマトリクス。

 純粋な高エネルギーの結晶体にしてTFの叡智の集積体であり、TFのスパークを納める器であり、時には感情すらエネルギーへと変換してしまう奇跡の物質。

 

 そしてメタトロン。

 火星にて発見された、核物質を超えるエネルギーを秘めた物質。

 シリコンをベースに金属を含む複合高分子体で動力源、量子コンピュータ、装甲などの素材に応用できる。

 また、下記の三つの特性を持つ。

 1.エネルギーを与えスピンさせると周囲の空間を巻き込んで圧縮する。

 2.高純度で大量使用すると、「魔法」としか思えない既存の物理法則を無視した現象を引き起こす。

 3.接触した人間の記憶や人格、思想などを記録し、同時にそれまでに記録したものを触れた人間に対しフィードバックする。

 この三つめの特性が曲者で、繰り返し接触すると自身の欲望や願望の中で特に強い部分を極端に肥大化させる事になる(精神汚染)。

 常人でも僅かな破壊衝動や破滅衝動があればそれが肥大化され、やがて周囲にそれを振り撒く異常者となる。

 が、逆に健常な精神の持ち主、或いは揺るがぬ精神力の持ち主ならある程度抑え込む事が出来る。

 

 そして、この三つの物質には一つの共通点が存在した。

 

 「物理法則を超越し得る、人の精神に干渉可能な物質、ですか。」

 「正解。そしてこの内二つがこちらの手の内にある。」

 「サイコフレームは未完成ですが?」

 「まぁね。でも、金属粒子サイズのCPUなんて、私達はもう実用化しているでしょう?」

 「成程。ナノマシン技術によってサイコフレームを再現。その後はサイコフレームによって精神をエネルギー化、メタトロンによって更にそれを強化してしまえば、届くかもしれません。」

 「サイコミュ技術そのものも、既にマシン兵器の操作系統にある程度の思考操作があるから、そこから応用できる。」

 

 目指すのは、サイコフレームとメタトロン両者の特性を持った夢の素材。

 しかし、これは逆に永遠に闘い続けられる怪物を生み出しかねない諸刃の剣。

 もし機動兵器に利用するならば、そのパイロットは厳選に厳選を重ねねばならない。

 まぁそれは人間に限った話で、幾らでも精神をフラットにできるTFにとっては関係ないし、負の感情が薄い自動人形には縁遠い話なのだが。

 

 「納得しました。では早速取り掛かりましょう。」

 「さっきの時点でラボにその方向で研究するように指示したよ。」

 「完成は何時頃の予定で?」

 「全部上手く行っても10年はかかるんじゃない?メタトロンの研究はとっくに終わってるけど、情報の欠けた状態でサイコフレームの研究は手探りなんだし。」

 「やはりマトリクスが無いのが痛いですね。」

 「仕方ない仕方ない。ないものねだりしたってねぇ。」

 

 そう言って、目線を床一面のスクリーンへと移す。

 そこには各種無人作業機械を指揮する最初期ロットのナノマシン式自動人形達の姿があった。

 作業自体は予定よりも少し遅いとは言え、順調に進んでいる。

 空間干渉技術はTFには十八番だし、単なる寒さと氷では彼らの動きを妨げる事はない。

 半年もあれば全施設を発掘可能だろう。

 遺跡自体はナノマシンで構成されているので、解析の方も抵抗なく進んでいる。

 また、もしもの時を考えて直接改エクセリオン級を降ろしたり、繋げる様な真似はせず、あくまで地表に設置した研究所で作業を行っているのだが。

 どうして改エクセリオン級が上空で待機?もしもの時に吹っ飛ばすためです。

 

 「嘗てに比べれば情報処理能力は万分の1もありません。持ってる情報も1割未満。」

 「それでもやらねばなりません。同胞のため、家族のため、社員のため、友人のため。」

 「分かってますよ。だからこそ、今も足掻いてるんですから。」

 

 何れ戦乱に満ちる地球圏も、今だけは表に出ない内輪もめだけの平和な時間だった。

 

 

 

 

 

 

 




後数話はこうした説明会になるかと。
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