多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第62話 妖魔大帝その6 最後に加筆修正

 新西暦186年9月28日 極東方面 臨海市

 

 妖魔術を無効化され、パイロットらの気力が十二分に回復した時、この時点で既に勝敗は決していた。

 この後の展開が正に消化試合としか言い様が無かった事からも伺える。

 しかし、バラオは撤退しなかった。

 否、出来なかったと言える。

 幾ら戦力を無尽蔵に復活させられるとは言え、それはバラオの魔力=エネルギーを消費してのもの。

 また、巨烈兄弟やシャーキンの様な優秀な配下の数は少なく、自分自身は未だ最盛期程の力を取り戻した訳ではない。

 それを補うためのムートロンの奪取だったのだが、それも既に失敗した。

 そんな状況で物理・魔術両面で今の自分を相手に有利に立つ事の出来る敵を相手にする事は自殺行為に等しい。

 普通の指揮官ならば撤退を選んでいる状況だ。

 だが、U.T.F.とノイ・レジセイアの双方がこんな美味しい状況を見逃す筈がない。

 

 『重力による空間干渉開始、転移阻害力場は順調に作動中。』

 『札を一つ切ったのだ、ここで終わらせてもらうぞ。』

 

 妖魔術と物理科学双方での転移並び反則技を封じられた状態では逃げ出す事も、そのための隙を作る事も出来ない。

 結局、この二勢力が戦場に現れた時点で、バラオ率いる妖魔帝国は詰んでいたのだ。

 後はもう過たず詰んでいくだけで良い。

 

 『ホーミングレーザー!…けほっ』

 『音声入力も考えものね…。通常入力に切り替えましょ。』

 『後で喉飴買いましょうか…。』

 

 シズラー三機の存在により、未だ復活を続ける巨烈獣・化石獣の群れは実質的に無力化され、その物量を悪戯に消費していくだけとなっていた。

 

 「GYAOOOOOOO……!」

 『チィェストオオオオオオッ!!』

 『ファイナルゴッドマーズ!!』

 

 バラゴーンは先ず巨烈兄弟の首を落とされ、竜の身体の半ばから生えた上半身を叩き潰され、最後に巨竜の首を落とされるという丁寧に丁寧に部位破壊された末に撃破された。

 下手にその高い戦闘力を誇示した上、そもそもが死者の尊厳を汚す様な存在である事からISA戦隊の怒りを買ったからこその末路だった。

 

 『おのれぇ…おのれぇぇぇぇ…!幾度死すとも我は必ずや復活し、貴様らを地獄にぃ…!』

 『いや、もう終わりだよ、バラオ。』

 

 そして、無尽蔵に復活する軍勢を無尽蔵に撃滅されながら、未だなお身に抱えた怨恨と憎悪を叫び撒き散らすバラオ。

 余りに往生際の悪いその姿に、ひびき洸は1万2千年前に母の故郷を滅ぼした存在を前にしながら静かに告げた。

 

 『弾道修正完了、照準よし!』

 『エネルギーチャージ並びに装填完了!』

 『亜光速レールガン、発射ぁ!』

 

 当初は全滅も覚悟していた防衛部隊、そこに配置されていたデストロイドモンスター。

 その特徴的な4連装の亜光速レールガンが火を噴き、光子弾頭を亜光速で投射した。

 使徒ですら致命打を叩き出すその砲撃は容赦なくバラオの下半身を構成する島へと直撃、岩盤を砕いて内部に潜り込んだ時点でマイクロブラックホールを発生、綺麗にその下半身を消滅させた。

 

 『がああああああああああッ!馬鹿な馬鹿な馬鹿な!?何故、何故このバラオがただの人間に、ただの物理兵器にこうも…!?』

 

 バラオには心底理解できなかった。

 例外である念動力者や魔術を扱う者、先史時代の戦士達を除き、後世から現代に至るまでの人間とはバラオにとっては無尽蔵に餌=恐怖・憎悪・悲嘆等の負の感情を生み出す存在でしかなかった。

 なのに、ただの人間の軍勢に今、無敵であった筈のバラオが圧倒され、敗北しようとしていた。

 認めない、認められない、認める訳にはいかない!

 そう怒りと憎悪のままに暴れ狂うが、現実は非情だった。

 今までの鬱憤を晴らすかの如く、雨霰と砲弾が、ビームが、ミサイルが、レーザーが、バスタービームがバラオへと降り注ぐ。

 

 『おおおおおお…おおおおおおおおおおおおおおお!?』

 『妖怪退治もこれで終わりだぁ!』

 『全弾持っていけ。』

 『オクスタン・ランチャーBモード、おまけしちゃ~う!』

 『バスタービーム!』

 『各艦、主砲照準…撃てぇ!』 

 『これはサービスですの。』

 

 ISA戦隊分隊のみならず、アインスト側から加勢した4機(正確には3機と1隻)にエクセリオン級4番艦から放たれる過剰なまでの大火力が相手では、如何にバラオとて最盛期よりも大きく弱体化した状態では耐え切れるものではなかった。

 

 『バラオ、最後に一つだけ言葉を送ってやる。』

 『超電磁タ・ツ・マ・キー!』

 『超電磁・ボール!』

 

 二機の超電磁ロボにより、気味の悪い触手の様な本来の下半身を晒したバラオの動きが拘束される。

 

 『お前は人間を舐め過ぎた。』

 

 その言葉と同時、ライディーンは内部に蓄えられたムートロンを解放、即ちラ・ムーの星を発動させ、そのサイズを52mから300mへと一気に巨大化させ、その胸部に三つの砲口を展開する。

 

 『ゴォォォォォッド・ラ・ムゥゥゥゥゥゥッ!!』

 

 現状のライディーンの最強の攻撃が、超電磁の縛りから抜け出そうともがき続けていたバラオへと直撃した。

 

 『ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……』

 

 長い断末魔の末、自らの肉体と魂魄が消滅していく無尽蔵の苦痛を味わいながら、妖魔大帝バラオは塵一つ残さず消滅した。

 こうして、臨海市を巡る妖魔大帝との決戦は辛うじてISA戦隊側の勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 ……………

 

 

 戦闘終了後、一同は臨界市の復旧作業の全てを防衛部隊と現地の警察、そして漸く駆け付けてきた連邦軍極東方面軍に任せると、挨拶もそこそこに未だ戦闘終了の知らせが届かない光子力研究所へと向かうのだった。

 

 「さて、向こうは彼らに任せておくとして、こちらはこちらでやるべき事をやっておきましょうか。」

 「然り。次なる負の無限力はもうそこまで来ている。」

 

 一方、エクセリオン級4番艦と真紅の結晶体から成るズィーゲルヴィーゲにアインスト4人娘を残して、トレミィとノイ・レジセイア(の端末)は個人規模での転移で姿を消した。

 

 「では、残った皆さんは私と共にこの赤い船を連れて各地を巡りましょう。この船さえあれば、精神攻撃で受けたダメージの後遺症もある程度は癒せるとの事。アインストとの休戦条約と限定的軍事同盟の件を認識してもらうためにも、皆さんには私と共にあちこちに顔を見せなくてはなりません。」

 「加えて、本艦に搭乗するアイドルの皆様と共に欧州等の戦火に晒された地域の慰問も行います。言うまでもありませんが、この件は既にノイ・レジセイア様の御許可を頂いております。」

 「了解しました。私共としては異論はありません。」

 

 こうして、残ったレムリア女王とエクセリオン級4番艦の艦長、そしてアインスト4人娘とデレマスニュージェネレーションズの3人娘もまた、忙しなく働く事となったのだった。

 

 

 ……………

 

 

 「ふむ…概ね予定通りと言った所ですか。」

 「その割には悩まし気だな、孔明。」

 

 一方その頃、BF団は次の手筋を考えていた。

 

 「地球連邦政府はアインストとの同盟もありますが、ズールの相手さえ終われば取り敢えず落ち着けるでしょう。」

 「何だ、やはりミケーネの連中は負けるか。」

 「当然です。彼らは端から勝てない者達ですので。」

 

 Dr.ヘル、そしてミケーネ帝国。

 彼らは最初から野心を抱いて行動した時点で、多くの世界に溢れる因果に囚われ、敗北を決定付けられる。

 或いは無数の因果を繰り返して特異な可能性を見つけるか、最初から野心を抱かずにいれば違う結果の一つや二つ見付かるだろうが…少なくともこの世界では有り得なかった。

 野心を抱き、人々を守らんとするスーパーロボットと敵対する事を選んだ時点で最終的な敗北が決定付けられる。

 それが彼らに纏わる虚憶であり、因果であった。

 これは恐竜帝国や百鬼帝国等にも当て嵌まる事だった。

 

 「問題なのは第二新東京市です。」

 「エヴァか。」

 「確かに連邦軍の強化に伴って、総体的に弱体化しとるからなぁ。」

 「そうなのですよ。連邦軍の強化それ自体は歓迎すべきなのですがねぇ…。」

 

 第二新東京市防衛のために配置されたエヴァンゲリオン。

 その裏に潜むゼーレと人類補完計画。

 後者は既にしてトレミィ達の手で何時でも粉砕する準備が整っていて問題ないのだが、前者は違う。

 余り強くないのに妙に高価なエヴァシリーズ。

 それを動かすためには適性を持った少年兵が搭乗し、運用しなければならない。

 そんなもの、まともな感性を持った人間なら眉を顰め、切迫した戦況なら兎も角として運用の必要性無しと判断されれば、即座に封印か解体処分される事だろう。

 実際、第二新東京市に配置された極東方面首都防衛部隊は一年戦争のエースオブエースの一角たるヤザン少佐率いる精鋭部隊であり、現在は以前BF団で攻め入った時よりも更に増強されている。

 結果、エヴァが戦う必要性は減り、高価な置物と化しているのが現状だった。

 

 「と言う訳でセルバンテス殿、あちこちに散らばってる使徒、纏めて誘導してくれませんかな?」

 「簡単に言ってくれるな孔明殿。流石にあれらを誘導するには一体一体が限度なのだよ?」

 

 セルバンテスの言う事は事実だった。

 人間や普通の動物とかなら兎も角、使徒の様な特殊極まりない存在を眩惑し、誘導するのは随分と神経を使うのだ。

 それを一度に何体も、と言われたら流石に専門家と雖も苦言を呈するだろう。

 

 「勿論一度に全てではありません。既に倒された第10使徒を除き、第14にまで至る残りの使徒を誘導して頂きたいのですよ、予定を進めるために。」

 

 それは即ち、第7・8・9・11・12・13の合計6体もの使徒が一斉に、或いは短期間の内に連続で第二新東京市に襲いかかる事を意味していた。

 

 「良いのかね?とてもあの子供達が対応できるとは思えんが。」

 「ご安心を。重要なのは第14使徒であり、それまでは経験を積ませるための当て馬でございます。連邦軍の強化ぶりを考えれば、多少の被害が出たとしてもどうとでもなるでしょう。」

 

 勿論、その策にはU.T.F.や未だBF団対策として配置されているドモンも計算されている。

 なお、もしトレミィが聞いていれば「レリエルとか面倒なのは止めてほしいのですがそれは」と苦情を出した事だろう。

 

 「そういう事ならば分かった。こちらで何とかやっておこう。」

 「お頼みしますぞセルバンテス殿。何せもう、あの方の時間は余り残されておりませんからな。」

 

 こうして、第二新東京市は使徒のパーティー会場と化す事が決定したのだった。

 

 

 ……………

 

 

 『おのれ……おのれぇぇぇぇ……!』

 

 『まだだ・・・まだ終わらぬぅぅ…!』

 

 『必ずや悪魔世紀の実現を、必ずやこの恨み晴らしてくれる…!』

 

 『このバラオの名にかけて…!』

 

 

 




バラオ、丁寧に強敵描写をした結果、丁寧に対策と増援を重ねられて撃破
アインスト勢、これよりブラック労働開始
BF団、使徒のりこめー作戦開始
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