多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第4話 参戦作品が大体決定

 外から見たA.I.M.グループは極めて大規模な企業グループであり、尚且つ健全な経営と労働環境を誇りとした労働者にも優しい財閥だ。

 だが、敵対的な政府機関や他企業等からすれば、不気味としか言いようがない。

 

 

 その始まりは第一次世界大戦直前、北米での起業だ。

 当初は極普通の小規模工場であり、社長始め経営陣も元は浮浪者とか他所の会社で首を切られた失業者とかの社会の敗北者でしかなかった。

 彼らの共通点は一つ、ほぼ同時期に結婚したというだけ。

 だが、第一次・第二次世界大戦の波に乗って急成長、更に冷戦期にはあのイージスシステムの重要箇所を任される程の情報通信産業に長じており、その成長速度は不自然に過ぎる。

 まるで最初からそうなるのが分かっていた、或いは最初からその技術を持っていたかのように。

 また、会社に属する女性達の多くが極めて有能で美しいが表情に乏しく、まるで人形の様だと言われており、グループ内の重役らの嫁やメイドの多くがこうした特殊な女性によって構成されている。

 無論、例外もいるのだが、そういった人材は既に結婚済みだったり、一癖も二癖もある女性だったりする。

 A.I.M.グループの進出している分野は多岐に渡り、それこそ揺り籠から墓場までを地で行く。

 その技術力・資本・人員の充実ぶりは他の追随を許さず、世界中の多くの分野でA.I.M.グループの傘下に入れればずっと食べていけるという神話を打ち立てている。

 事実、歴史上何度も起こった金融恐慌や紛争、事件等に対しても特に慌てる事なく対処し、その荒波を乗り越える所か逆に更なる成長を迎えたりと無茶苦茶な企業である。

 新西暦に入ってからは自社所有の人工衛星や宇宙ステーションをどこよりも更に早く実用化、低重力・無重力下での研究を進め、素早く各種特許を総取りしてしまった。

 こうした数々の功績により、地球圏の富の五分の一を持っているとすら言われる巨大企業群であるA.I.M.グループだが、そんな巨大な存在を政府や他企業等が見逃すハズもない。

 設立からこれまで、陰に日向に実に多くの妨害が成されてきたが、その悉くを弾き返してきた。

 特に非合法なそれに関しては極めて堅牢で、嘗て存在した中華系企業(公営)によるクラッキングに対しては一切侵入を許さず、反撃として中華系企業のみならずその背後の共産党政府の軍事情報すら丸裸にして米国政府に売った過去もある。

 また、嘗てのメテオ1・2迎撃作戦で大量の核ミサイルの使用による地球全土に影響した電磁パルスによる大規模通信障害に対しても、一企業群としては異常極まりないEMP対策を施された会社施設ならび各種電化製品や精密機器、医療機器を販売していたため、世界中の家電製品や精密機器が全滅する中で唯一安定して稼働するために一時期は地球圏全体の商業的覇権を握る等、今も昔も実質的な独り勝ちした様な状態だった。

 はっきり言って、余りに隙も無い上に強すぎて、喧嘩する程馬鹿を見る状態だった。

 無論、懲りずにこの巨大企業群の発展の秘密を明らかにしてみせる!と息巻いた聞屋や産業スパイ、諜報員は無数にいたが、その悉くが帰って来なかったか、傍らに無表情だけど超絶優秀メイド(ご奉仕大好き)を置いて寝返るかのどちらかだった。

 

 が、怖いのは敵として見た場合であり、味方としてビジネスパートナーとして見た場合はこれ以上ない程に頼り甲斐のある存在だった。

 航空宇宙技術に優れている事からメテオ1・2の早期発見への協力、各医療機関や公共施設への積極的なEMP対策済み製品のセールス、そして世界各地における孤児への教育並び就職の斡旋と医療施設の設置。

 大きなものだけでもこれで、商売上の各種提携に関しては最早数えきれない程に多くの利益を提供してきた。

 また、実利優先という訳ではなく、芸術にも多くの投資をしている事で知られる。

 特にアニメ・漫画・映画・ゲーム・小説等に関しては有名で、A.I.M.の出版・放送部門は数多くの制作会社やクリエイターを支援或いは引き抜きや版権の買い取り等をし続け、常に最高のクオリティで作品を作成し続けた。

 連載の場合はややスローペースだったが、それは作品のクオリティを上げるためであり、資金・設備・人材面に関しては一切妥協しない事で有名だった。

 特にアニメに関しては毎年驚異的な放送本数であり、没になった企画の数はその10倍では利かないとも言われている。

 この多量にあるアニメ制作スタジオのスタッフに如何に入り込むかがアニメクリエイターとしての登竜門とも言われる。

 

 そんなA.I.M.産アニメにおいて、特にカルト的人気を誇っているのが「アーマード・コア」シリーズである。

 

 元々はとあるゲームが原作で、その会社の経営が傾いたと見るや即座に吸収してアニメ・ゲーム専門の制作部門の一つとして再出発させた後の初の作品となる。

 設定は「汚染された大地を捨てて地下都市に逃げ込んだ人類の生き残りによる非正規戦、その中で少年兵として生き抜く主人公」という救いようのない話であり、事実救いようのない話になっている。

 現実にも用いられる各種テロ行為にゲリラ戦、そして消耗品として使い潰される少年兵達。

 その少年兵の一人が地下都市での汎用作業機械から派生したヒト型機動兵器アーマード・コアへの適正を持つ事から、一人の傭兵として新たな戦いを始めるというストーリーとなっている。

 現実の非正規戦よろしく地雷や市街地での自爆・爆破テロ、少年兵や宗教テロリストらの自爆特攻、国家ではなく企業による搾取と圧制、簡単に死んでいく敵味方等々。

 未だ幼い少年が人々との出会いで心を取り戻し、しかしその人々を喪失する事で再び心を失い、泣きながら生き残るために戦い続ける。

 その一切容赦のない戦争描写からファンからはカルト的人気を誇り、保護者からは超絶な反感を向けられた「反戦アニメ」の金字塔。

 その後も複数のシリーズや番外編へと派生し、現在も放送・制作は続いている。

 特に人気のあるシリーズは所謂初代、次にネクスト系、そしてV系の三作品である。

 ここから更に同じ制作スタッフがファンタジー要素を加えたフレームグライド等も存在し、そこから更に純ファンタジーのソウルシリーズへと繋がっていく。

 色々と言ったが、要はアーマード・コアシリーズはその後のリアル系ロボットアニメの基礎を築いた名作の中の名作だという事だ。

 これと対を成すのがスーパー系ロボットアニメの名作「グレンラガン」なのだが、こちらは当時経営難に陥っていた複数の制作会社によるA.I.M.への対抗馬としての作品だったのが案の定資金難に陥っていたので資金援助するだけだったため、紹介は省略させて頂く。

 

 

 ……………

 

 

 「で、どうして無茶してあーいうアニメ作ったんです?」

 「だってガンダムみたいなリアル系ロボットが当時無くって…。」

 

 この世界は地球の近似世界だと言うのに幾人かの超有名クリエイターが存在しないのだ。

 日本人で言えば冨野監督と庵野監督、永井豪先生と石川賢先生が存在しない。

 つまり先日の仮説を信じるのなら、この世界にはガンダム・ダンバイン・エルガイム・イデオン・ザブングル・ブレンパワード・キングゲイナー・ザンボット3・ダイターン3・マジンガー系・ゲッター系・エヴァンゲリオン系・トップをねらえ系、下手するとこれに不思議の海のナディアが追加で現実に登場するという事だ。

 この悪夢的な仮説にトレミィは自室に引き籠って角を向きながら積みプラを消化し始めたのだが、やっぱりいつも通りお付きの高性能侍女型自動人形Sfによって部屋から引きずり出された。

 

 「無くても問題ないのでは?」

 「無いとそれ以後のリアル系作品が出ないかもだから。それに、リアルロボットアニメのない日本とか見たくない。」

 「他多数に関しては他の作品が注目されたのでそこまで問題ではないと?」

 「あの時期は大量のアニメが作られた時代だったからねぇ。玉石混交と言っちゃ悪いけど、その後もシリーズ続いた作品は少数だから。」

 「シン・ゴジラもないようでしたが。」

 「そっちは別の初代ベース作品作ったから…(震え声)。」

 

 明後日の方を向くトレミィに、Sfはじっとりとした視線を向ける。

 こいつ趣味に走り過ぎだろ、とその視線には多大な呆れが含まれていた。

 

 「ま、まぁ今の所は順調だから問題ないよ、うん。」

 「露骨な話の逸らし方ですね。ですが私は出来る侍女、主の必死な方向転換に乗ってあげましょう。」

 「あ、ありがとうございます…。」

 

 時は新西暦55年。

 彼女らは遂に火星の極冠遺跡の完全な発掘の完了、そして解析を始めた。

 

 「まさか終り頃になると無人兵器で迎撃されるとは思ってもみませんでした。」

 「木星にある遺跡には虫型無人機械の生産プラントがあるそうだから、こっちにあってもおかしくはないんだけどね。」

 

 黄色の装甲が特徴的な虫型作業機械群。

 元々は施設維持のためのものだったのだろうが、発見当初は完全に停止していた。

 しかし改エクセリオン級の自動人形や作業機械が遺跡内に侵入すると同時に再起動、戦闘を開始した。

 

 「幸いな事に小型相転移炉は搭載していても出力は僅か。武装も貧弱でしたので、問題なく排除できました。」

 「再起動の原因は?」

 「多量のナノマシンが機体内部から発見されたので、最初は死んだふりをしていたのかと。」

 「スリープモードで通常業務に復旧する時を待っていた、かな?」

 

 そんなハプニングは起こったものの、現在は複数の量子コンピューターを用いて遺跡の中枢たる演算ユニットの解析を行っている。

 幸いと言うべきか、中枢以外の部分の主な機能は相転移炉によるエネルギー生産と貯蓄、そして銀河全体規模の通信・探査、施設の機能維持のためのナノマシン生産となっており、既に情報のサルベージの終わった範囲内なのでそこまで重要ではなかった。

 まぁ接触した事のない異星人の文明という事で価値自体は高いのだが、それでもコイツから発生する厄ネタを思うと頭が痛くなるのだが。

 

 「ここでの作業が終われば、改エクセリオンの次の予定は木星でしたか。」

 「火星ではメタトロンの継続的採掘を除けば、アレの発見と秘匿さえ終われば大体の用事は終わりだから。それよりも木星の遺跡の発見と確保、ヘリウム3の継続的採取の方が重要になってくる。」

 「やはりどうあっても楽にはなりませんね。」

 「まぁ火星とは暫くさよならかな?数日以内には出発するから、何かやり残しが無いか確認しててね。」

 「畏まりました、Mein Meister.」

 『ご歓談中失礼します。プトレマイオス様、急報です』

 

 そんなやり取りはしかし、唐突な通信によって中断された。

 通信相手はメタトロン採掘担当のナノマシン式自動人形の一体であり、用心のために精神汚染対策を念入りに施された個体だった。

 その表情は相変わらず無表情だが、その声には何処か焦りが感じ取れた。

 

 「何があったの?真ゲッターでも飛んできた?」

 『…モニターをご覧下さい。』

 

 ピ、という機械音と共に、モニターに映像が映し出される。

 そこには明らかに経年劣化でボロボロでありながらも、その色が元は真紅だったと分かる巨大な戦艦の船首。

 周囲の作業機械からサイズを割り出せば、見えている範囲でも100mは下らない。

 恐らく、全長は数kmといった所だろうか。

 しかし問題はそこではない。

 そのデザインが余りにも有名で、見たくもない程に恐ろしいものだったからだ。

 

 『残存ライブラリ内の情報から、恐らくゲッターエンペラー率いるゲッター艦隊の内の一隻かと。内部には未だ高濃度のゲッター線の反応が観測されます。どうしてこんな所で沈んでいるのかは不明ですが……如何いたしましょうか?』

 「申し訳ありませんが、主は今卒倒してしまいました。起きるまで現状維持でお願いします。」

 

 トレミィは白目剥いて泡吹いて気絶してゆっくり後ろへと倒れていく所をSfに抱き止められていた。

 その後、無理もない事だったからと、一日だけ寝かせてもらえるのだった。

 

 

 

 




泣いて喜べ、遥か昔の遠い過去にファンだった作品の登場人物やメカと触れ合えるんだゾ

じゃぁ代われ?

絶対ヤダ。
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