多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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ふぅ…やはりスランプ脱却には書くのが一番。


第64話 皇帝VS皇帝その2

 新西暦186年9月28日 極東方面 旧光子力研究所跡地

 

 現在、ミケーネ帝国と地球連邦軍ISA戦隊分隊と特機軍団が熾烈な争いを繰り広げる戦場は、徐々に地球連邦軍がやや押されていた。

 高い再生能力と高い攻防能力を持ったオリジナルのグレートマジンガーが暗黒大将軍の相手に掛かり切りになっていたからだ。

 対して、相手側は未だ1000機近い戦闘獣がおり、それらを七つの軍団の長たる将軍達が見事に指揮し、ISA戦隊お得意の斬首戦術を防いでいるからだ。

 加えて、戦闘獣はマジンガーZに比肩する基礎性能を持ちながら、同時に高い再生能力を持っている。

 胴体が両断されたとしても古代ミケーネ人の脳髄のある頭部さえ無事ならば、グレートマジンガーにも搭載されている空中元素固定装置による自己修復であっさり戦線に復帰するのである。

 この頑丈さと再生能力から来るタフネスは他の地球産特機には殆ど見られない能力であり、現在の地球連邦側の苦境の原因でもあった。

 地球連邦政府の主力機動兵器は言うまでもなくMSであり、次にVF、その次に量産型特機が来る。

 しかし、量産型特機の殆どが宇宙に回されており、地球上は旧式MSを主体として更新が遅れている。

 これは予算やリソースの問題であると同時に、地球環境への配慮でもあった。

 特機級の機動兵器が大暴れした場合、その戦闘の余波はMSやVFとは比較にもならない。

 特に大火力兵装に至っては着弾した土壌が熱量による融解や地面のガラス化=不毛の場所となる事も珍しくない。

 特殊なエネルギー兵器に至っては、生態系がおかしくなる事すら有り得る。

 例えば、ゲッタービーム着弾地点は焼け焦げるが、その周辺は動植物の異常繁殖や急激な成長が確認された事例もある。

 これは地球環境を再生させるべく宇宙移民を進める地球連邦政府としてはとてもではないが看過できない問題だった。

 少なくとも、戦時に入らなければとてもではないがグレートマジンガーやゲッターロボGの量産化計画は承認される事は無かっただろう。

 そんな事情によって、地球上での特機級戦力への対処方法は限定されている。

 即ち、囲んで遠距離から通常兵器の集中攻撃か、装甲の脆弱な部分への集中攻撃、光子魚雷等の強力な兵器の使用である。

 だが、それは相手よりもこちら側の数が多い場合か、制空権を持っている場合に限られる。

 

 『ブレイク!ブレイク!』

 『こいつら…!数が多い上に硬すぎる!』

 『救援はまだか!?特機軍団の再出撃は…!』

 

 現在、戦場の上空ではVF一個中隊が制空権奪取を防ぐべく、縦横無尽に暴れる特機部隊とは別に圧倒的多数かつ火力と防御力に勝る空戦可能な戦闘獣軍団を相手に必死に時間を稼いでいた。

 彼らは精鋭のVF中隊だがその圧倒的物量差によって時間稼ぎに徹する事しか出来ずにいた。

 如何に精鋭、如何に新型機と雖も物量はどうにもならない。

 搭載する武装の数と出力には限界があり、それらを優先している特機に対して即応性最優先のVFならば力負けするのは当然の事。

 しかも相手は硬い上に高い再生能力を持つ戦闘獣なのだ。

 VFではどう足掻いても火力不足が祟り、その機動性を活かした時間稼ぎが関の山だった。

 他の友軍であるMS中隊や量産型グレート二機は地上の敵を相手にしており、加勢は望めない。

 このままでは増援が来るまでに磨り潰される、そう思われた時だった。

 

 『ハンドビーム!』

 

 まだ彼らには心強い味方がいた。

 UFOロボことグレンダイザー。

 制空戦闘の不利を見て、専用の円盤メカと合体したスペイザー形態で戦闘獣が山といる戦場の空へと突っ込んで来たのだ。

 

 『これ以上好きにはさせないぞ!スペースサンダー!』

 

 頭部の角から発せられた電撃が、空中を飛び交う戦闘獣の群れへと直撃、次々とコンガリと焼かれて撃ち落としていく。

 その圧倒的な威力と高熱に古代ミケーネ人の脳髄を破壊された機体は活動を停止し、死ねなかった機体は地表に激突し、動けなくなった所を地上のMS中隊がしっかり止めを刺していく。

 

 『えぇい、怯むな!火力は高いが小回りはこちらが上だ!圧し包んで叩き落せ!』

 

 鳥類型戦闘獣を指揮する怪鳥将軍バーダラーの声に、動揺していた戦闘獣が冷静さを取り戻して態勢を立て直し、反撃を開始する。

 無数の破壊光線に溶解液、衝撃波、レーザーにミサイルにビーム、ブーメランにドリル等々。

 多種多様な攻撃がスペイザーに命中するが、それだけで落とされる程最盛期のフリード星の科学力で建造された守り神は脆くはない。

 宇宙合金グレン製の装甲で全ての攻撃を弾き、反撃を開始する。

 

 『行け、スピンソーサー!』

 

 スペイザーの両翼の先端、小型の円盤部分が内部の回転鋸状を展開して分離、戦闘獣の群れ目掛けて飛行し、自動操縦で敵機を切り裂いていく。

 そうして敵の動きが乱れた所にスペイザー本体が突撃し、敵の陣形に風穴を開けていく。

 

 『上下から狙え!そこには武器が無いぞ!』

 『ギギ、ならオレは下から行くぞ!』

 

 が、巡航形態とも言えるスペイザーはその性質上死角が多い。

 特に上下には武装らしい武装も付いておらず、反撃もし辛い。

 

 『なんの!メルトシャワー!』

 『ぎ、ぎゃあああああああああ!?』

 

 スペイザーの胴体から強力な溶解液としての性質を持った液体金属が発射される。

 それは武装が無いと油断していた戦闘獣に直撃し、ものの数秒で頭部を含むほぼ全身を溶かし尽した。

 

 『ローリングメルトシャワー!』

 『ひいいいいい!』

 『あぁ、溶ける溶けちゃうぅぅぅ!』

 

 しかも、放出しながら機体を回転させて溶解液を四方八方に撒き散らすという無差別テロ染みた攻撃を行い、殺到していた多数の戦闘獣に量の多寡こそあれど命中し、そこかしこで悲鳴が上がった。

 再生可能と言えども生物である戦闘獣もこれには恐れを成し、じわりと狭まっていた包囲網が広がり、即座にその中からスペイザーが脱出する。

 

 『今だ!』

 『よし、主砲斉射三連、撃てぇい!』

 『な、しまっ』

 

 そして、密集していた戦闘獣の群れへと連装衝撃砲の斉射三連が放たれる。

 如何にマジンガーZに並ぶ装甲と雖も、最新鋭戦艦たるスペースノア級クロガネとシロガネの二隻の主砲の直撃には原型を保てず、直撃した機体は消し飛び、他の多くも損傷が激しく、地表へと落ちて行った。

 

 『小癪!だが、まだまだこちらの手勢はいるぞ?』

 『対空迎撃開始!敵をこちらに近付かせるな!』

 

 今の砲撃で存在感を示してしまったクロガネとシロガネ目掛け、戦闘獣が殺到する。

 それに果敢に対空砲やミサイルで迎撃を行うも、硬い上に数の多い戦闘獣を完全に仕留めきるには至らず、接近を許してしまう。

 

 『おおっと、このダイターンをお忘れかな?』

 

 そこに無敵の快男児、破嵐万丈の駆るダイターン3が迎撃に加わる。

 

 『ダイターンは火力も凄いのさ!』

 

 そう言って放たれたのはその巨体に見合うだけの武装による弾幕だった。

 額の太陽からはサン・レーザー、両腕部からはロケット砲、腹部からはダイターン・ミサイルを一斉に放ち、100m級の巨体を盾にしつつ迫り来る戦闘獣を立て続けに撃破する。

 しかし、やはり全てを撃破とは行かなかった。

 

 『死ねぇデカブツが!』

 『おおっと、ダイターン・ファン!』

 

 遂に接近戦の距離へと到達し、飛び掛かってきた戦闘獣相手に膝から取り出した武装が展開され、シールドとして受け止める。

 ファンの名が指す通り、左手に握ったダイターン用の巨大な鉄扇を広げて盾にしたのだ。

 しかもその直後に右手に持った同様の扇を刃として、戦闘獣を一撃で斬り裂いてしまった。

 

 『さぁ、この日輪の輝きを恐れぬのなら掛かってくるがいい!』

 

 この様に、宇宙の王子と財閥の跡取り息子の二人によって、辛うじて戦線の瓦解は防がれていた。

 尚、どちらも戦場に出るべき人材ではないという正論は聴かない事とする。

 

 

 

 ……………

 

 

 「ふん、やはり人形ではこの程度か。」

 

 一方その頃、光子力研究所跡地付近の森の中では、歩兵戦力同士の決着が着いた所だった。

 と言っても、諜報軍率いるミケーネスが量産型自動人形部隊に勝利した訳ではない。

 何せゴーゴン大公とヤヌス侯爵他諜報軍所属の小型戦闘獣を除けば、他は全て再生能力も無いクローン兵士であるミケーネスなのだ。

 想定し、待ち構えて簡易陣地を構築し、EM銃や歩兵用対装甲レールガンにガトリング砲を多数運用する量産型自動人形部隊を早々簡単に突破できる程の戦力ではなかった。

 寧ろ正面から撃破され、撤退すら視野に入れる程には不利だった。

 それが覆されたのは至って単純な理由、腹に含むものはあれども強力な増援が来たからだ。

 

 「感謝する、怒鬼殿。」

 「………。」

 

 ゴーゴン大公からの感謝の声すら一顧だにせず沈黙を保つ男。

 質素な和装に腰に佩いた日本刀、そして如何なる時も寡黙に過ぎる彼の名は直系の怒鬼。

 BF団最高幹部たる十傑集の一人である。

 

 「貴様、ゴーゴン大公が折角お声を掛けてくださったと言うのに…!」

 「止めろ化け物共。怒鬼様にお声を掛けて頂きたくばとっとと例のブツを手に入れろ。」

 

 その周囲には本来BF団で禁止されている怒鬼の私兵部隊である「血風連」の面々が勢揃いしていた。

 国際警察機構のエージェント達でも上位の面々でなくば対抗できない彼らの加勢により、量産型自動人形達は全滅の憂き目に会ったのだ。

 

 「貴様ら言わせておけば…!」

 「目的をはき違えるな。先ずは例の皇帝を手に入れてからにしろ。」

 「ぬぐ、ぎ…!」

 「では失礼する。怒鬼殿に血風連の方々には後で改めて礼をさせて頂く。」

 

 激昂するヤヌス侯爵を諫め、ゴーゴン大公ら諜報部隊は生き残ったミケーネスを引き攣れて再び光子力研究所跡地へと向かって行く。

 それを怒鬼は最後まで沈黙を保ちながら見送るのであった。

 

 「………。」

 「よし、撤収するぞ。これ以上は巻き込まれる可能性がある。」

 

 そして、それ以上何かをする事もなく、直系の怒鬼率いる血風連の面々は一瞬でその場を離脱するのだった。

 彼らは事前の情報収集と戦況予測で、この後に何が起きるかを十二分に把握していた。

 魔神の中の魔神、魔神皇帝同士の戦いに巻き込まれる等、彼らであっても御免被る事態だった。

 

 

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