多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第64話 皇帝VS皇帝その3

 新西暦186年9月28日 極東方面 旧光子力研究所跡地

 

 『ぐ、おおおおお!』

 

 グレンダイザーがスペイザーから分離し、空中から地表に向けて落下する。

 ジャンプ力こそ高い(高さ350mまで跳躍可能)だが、飛行能力はスペイザー頼りなグレンダイザーにとって、単独での空中は死地と同義である。

 

 『今だ、止めを刺せェ!』

 『この好機を逃がすなぁ!』

 

 犠牲を問わぬ攻撃によって多くの屍を積み重ねながらも漸くスペイザーを損傷させ、機体を分離にまで追い遣った戦闘獣軍団は地表への自由落下を続けるグレンダイザーを確実に撃破すべく殺到する。

 別にこの高度から自由落下してもパイロットも機体も無傷で済んじゃうグレンダイザーだが、流石に攻撃を集中されては先程分離したスペイザー同様に損傷、最悪は撃破されてしまう事だろう。

 

 『スペースサンダー!』

 

 故に、殺到する戦闘獣を寧ろ全滅させる勢いで迎撃する。

 

 『ダイザービーム!反重力ストーム!ハンドビーム!』

 

 眼からビームを、胸部から無重力場を展開する光線を、両手の甲から三条の光線を発射する。

 特に反重力ストームの効果範囲に入ってしまった敵は宇宙同様の無重力場に捕まり、地上仕様である故に碌に動けなくなって他の戦闘獣の射線を遮る壁となってしまう。

 

 『えぇい、邪魔だアホ!』

 『わわわわわ、何だこりゃ!?』

 

 だが、多勢に無勢だった。

 VF中隊は未だ辛うじて被撃破機こそ出していないものの、とてもグレンダイザーへと救援を出す程の余裕は無い。

 背から落下しつつ攻撃を連射するグレンダイザーの側面から、無重力場を迂回してきた多数の戦闘獣が迫って来る。

 

 『死ね、グレンダイザー!』

 『ショルダーブーメラン!』

 

 両肩に内蔵されたハーケンを個別にブーメランの様に射出する。

 射程12kmという出鱈目な武装は命中しても一切減衰する事なく、次々と戦闘獣軍団を斬り裂いていく。

 が、それでもまだ迫って来る戦闘獣は多い。

 

 『もらった!』

 『スクリュークラッシャーパーンチ!』

 

 グレンダイザーの両腕のクラッシャー部分(歯車状の紋様)が前方に展開し、高速回転しながら射出される。

 一瞬で迫り来る戦闘獣が撃滅されるが、それでも尚迫り来る敵の全てを撃破できない。

 

 『くぅぅ…!』

 『死ぃねぇぇぇい!』

 

 大介はダメージを覚悟した、最早完全な回避も防御も叶わない。

 ならせめてコクピットのある頭部や光量子エネルギーエンジンへの直撃を避けようと、見込みは薄くとも悪足掻きとばかりに機体を動かす。

 

 『おおっとゴメンよぉ!』

 『ぎゃぁっ!』

 『な!』

 

 しかし、迫り来る戦闘獣達は突如超高速で飛来した三機の戦闘機の体当たりによって蹴散らされた。

 

 『へ、どうやらナイスタイミングだったらしいぜ、竜さんよ!』

 『みたいだな!じゃぁ新型の初合体に初の実戦と行こうかぁ!』

 『応、何時でも行けるぜ!』

 

 赤と青と黄、特徴的なデザインの三機の見慣れぬ戦闘機、否、新たなゲットマシンはただの体当たりで戦闘獣を蹴散らしながら、遂にその真の姿を露わにする。

 

 『いかん!ゲッターチェンジを阻止せよ!』

 『ハン!遅すぎるぜミケーネ帝国さんよ!』

 『しゃぁ!チェンジ・ゲッターぁぁぁぁぁ!』

 

 慌てて阻止しようとする戦闘獣を機銃すら使わずぶちかまし、赤のドラゴン号を先頭にライガー号、ポセイドン号と並んで遂に三機のゲットマシンが合体する。

 

 『ドラゴン!行くぜおめぇら!』

 

 現れたゲッター1の意匠を色濃く残すそのロボの名はゲッタードラゴン。

 量産型ゲッターGに酷似した姿だが、ゲッター1同様の薄い布状のゲッターウイングに簡易変形機構のない手足等に違いが見られる。

 

 『景気付けだ!ゲッタービーム!』

 

 そして、ゲッター1や量産型ゲッターGとは比較にならない程に高出力のゲッタービームが戦場を薙ぎ払った。

 

 

 

 ……………

 

 

 一方同じ頃、艦の盾として引き続き活躍していたダイターン3もまたピンチを迎えていた。

 

 『いや、これはちょっと酷くないかい?』

 

 シロガネとクロガネに二隻を守る直掩部隊とダイターン3に対し、100を優に超える戦闘獣が押し掛けていたのだ。

 

 『ダイターン・ウェッブ!ビッグ・ウェッブ!ダイターン・クロスダート!ダイターン・スナッパー!』

 

 腕部と胸部の十字架を投げつけ、手から蜘蛛の巣状の投網を投げ、腰から取り出したワイヤーフック製の鞭を振り回し、必死に牽制する。

 補給に向かった量産型グレートとゲッターGと共にずっと盾役として戦闘していたダイターン3のエネルギーは既に2割を切っており、残った実弾兵装を手当たり次第に使って敵を近づかせないようにするので精一杯だった。

 この戦場で戦艦ユニットを除けば最もデカい機体なので、暴れるだけである程度抑止の効果はあるが、積み重なった損傷が迂闊な近接戦闘を万丈に躊躇わせていた。

 

 『ギギギギギ!』

 『ぬお、ダイターン・キャノン!』

 

 そして、地中から密かに掘り進んで来た戦闘獣に足を掴まれるも、足の裏から発射したダイターン・キャノンの巨大な砲弾によって一撃で消し飛ばした。

 

 『そら爆雷をあげよう!そしてダイターン・ハンマー!からのハンマー投げだ!』

 

 足掻く足掻く足掻く。

 ミサイル同様腹部から取り出した爆雷を投げつけ、くるぶしから取り出した棘付きの鎖鉄球をぶんぶん振り回し、ハンマー投げの要領で敵集団目掛けて投げつける。

 普段の快男児ぶりは鳴りを潜め、破嵐万丈は徹底的に味方の母艦を守るために盾としてヘイトを稼ぎ続ける。

 目論見通り、母艦に押し寄せてきていた殆どの戦闘獣はダイターン3を優先すべき目標として矛先を変えている。

 後は味方が再出撃するまで自分が死ぬまで持ち堪えれば良い。

 量産型グレートとゲッターGの特機軍団の実力は既に自分は体感済みだ。

 であるならば、彼らさえ戦場に戻ってくれば勝機はある。

 普段の快男児ぶりだけでなく、財閥の御曹司として十分な教育と高い才覚を持つ万丈は冷静に戦況を把握していた。

 

 (ちゃんと時間を稼いでみせようじゃないか!ちょっと喉が痛いけどまだ行ける!)

 

 しかし、そんな彼の覚悟を揺るがす様な敵が現れた。

 

 『ギギギギギ!』

 『こいつは…今までのとは違うな!』

 

 現れたのは全身が光で構成された様な特異な存在だった。

 その名も光波獣ピクドロン。

 本来ならダムドム星人の地球侵略における切り札なのだが、スパロボではよくミケーネや百鬼帝国と一緒に出て来るので何も問題はない。イイネ?

 こいつの特性は極めて厄介であり、原作アニメではグレートを、漫画版ではグレートだけでなくゲッターGをも苦しめた難敵である。

 口から対象物に命中すると、一定の時間差をおいて内部から爆裂させるという特殊性を持った「光の矢」と呼ばれる光学兵器を放射する。

 また、バリアの役割を果たす光に包まれており、実弾兵器を弾き返すだけでなくビームも吸収した上、自身を巨大化させる為のエネルギー源にしてしまう。

 更に全身から対象物に命中すると電気分解を起こさせる電撃を放つと言う、ちょっとフザケンナ!とクレームの付きそうな理不尽な強さを持っている。

 で、こいつを倒すにはバリアとなる光を引っぺがして中身を攻撃する必要があるのだが…生半可な攻撃では逆に吸収されかねないし、バリアを剥がすには反重力ストーム、グレートタイフーン、ルストハリケーンの様な特殊な攻撃が必要、或いはグレートブースターに搭載されたグレートミサイルの様な高威力の実弾兵器が必要となってくる。

 で、現在のダイターン3だが……ENは2割を切り、実弾武装も殆ど使い切り、残るは実体系近接武装のみである。

 ぱんぱん、とダイターンが腰や背中を叩いても出て来るのはザンバーやジャベリンのみで、遠距離武装は出て来ない。

 

 『『…………。』』

 

 見つめ合う二機。

 に、にこ…?とダイターン3はぎこちない笑みを浮かべ、ピクドロンはちょっと分かり辛いが満面の笑みを浮かべた。

 

 『ギシャアアアアアア!』

 『おわーやっぱりー!?』

 

 哀れダイターンはピクドロンの餌となるか!?

 その瞬間、幸いにも救いの手が差し伸べられた。

 

 『断空ぅぅぅぅ剣!』

 『ぎぃぃぃ!?』

 

 戦場に参加していたが、今までスポットの当たっていなかったダンクーガの一撃が、ピクドロンの右腕を断ち切った。

 

 『っし、断空剣は通るな!』

 『油断するなよ忍。奴さん、まだまだ元気だぞ。』

 

 ガンドール砲を小型化し、そのエネルギーで刀身を形成する断空剣はその性質上エネルギー攻撃と実弾等の質量攻撃双方の特性を持っている。

 それはピクドロンの持つ光のバリアを突破するには十分な威力を持っていたのだ。

 

 『万丈さん、大丈夫でしたか!?』

 『ここは私らに任せて、そっちは一旦補給に戻りな!』

 『分かった!ありがとう獣戦機隊!』

 

 ISA戦隊側が圧されているものの、戦いはまだまだ終わりの兆しは見えていなかった。

 

 

 ……………

 

 

 旧光子力研究所跡地 地下秘匿区画

 

 「よし、これで大丈夫じゃな。」

 

 あちこちから爆音や振動が響く中、兜十蔵は一人コンソールへの入力を続けていた。

 

 「博士!もう時間がありません!早く逃げてください!」

 「ミネルバや、お前はもう行くのじゃ。儂は見届けねばならん。」

 「な、何を言って…!」

 

 既に脱出の準備を終え、最低限の荷物を抱えたミネルバは十蔵の言葉に目を剥いた。

 周囲にはいつもの自動人形らもいない。

 彼女ら全員が二人の脱出までの時間を稼ぐため、ミケーネの諜報軍相手に戦い続けているのだ。

 

 「全ての研究データはお主にインプットし、予備も剣造の所に送信済みじゃ。」

 「だ、だったら博士も!」

 「いいや、儂は残る。残って、見守らねばならん。」

 

 コンソールから振り返り、ミネルバを見つめる十蔵の片方だけの瞳は超合金Zよりも尚硬い決意に彩られていた。

 

 「あの魔神を作った者として、これから起こる戦いを見届ける義務が儂にはある。」

 「そんな…!別にここでなくとも戦況を見届ける事は可能です!」

 「いいや、ここで待つ必要があるのじゃよ。」

 「ですが…!」

 「ミネルバX、緊急コード■■■■。」

 『緊急コードを承認しました。命令をどうぞ。』

 「大至急この基地を脱出し、ISA戦隊に合流し、兜甲児を補佐せよ。…頼んだぞ。」

 『了解しました。命令を実行します。』

 

 意思を一時的に停止させられたミネルバXは兜十蔵の言うがままに秘匿区画から去っていった。

 それから10分と経たない内に、十蔵の下へとミケーネスや人間サイズの戦闘獣から成る諜報軍を率いるゴーゴン大公とヤヌス侯爵が現れた。

 

 「兜十蔵博士、お会いしとうございました。」

 「我らが主君、闇の帝王様がお待ちしております。格納庫の方へご案内致します。」

 「ふん、意外と遅かったのぅ。まぁ良い、とっとと案内せい。」

 

 地上での戦闘が激化する中、地下でもまた事態が進むのだった。

 

 

 




○量産型ゲッターG
簡易変形機能、新型ゲッター炉+縮退炉、一人乗り

○オリジナルゲッターG
三体合体分離変形、新型ゲッター炉+ゲッター線増幅装置+縮退炉、三人乗り

コストや操縦性、安全性は勿論後者の方が悪いが、ゲッター特有のトリッキーな戦闘やパイロットの頑丈さ故の無茶な戦い方を得意とする。
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