多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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PCの調子が悪過ぎて回線が日に10回以上断絶するわ再起動や有線接続しても落ちるわでここ数日全く執筆できなかったっす…(げっそり


第67話 皇帝VS皇帝その6

 「…止むを得ん。全軍を撤退させよう。」

 「な、それはいけませんぞ剣造博士!」

 

 洋上の科学要塞研究所にて、剣造博士と弓教授は状況をモニターしていた。

 そして、剣造は撤退を選び、弓はそれに反対していた。

 

 「カイザーが起動した以上、アレに敵うのは同格の特機しかいない。しかし、ライディーンやゴッドマーズ、サイバスターらはバラオとの戦闘が漸く終わろうという時。他のMSやVFでは超合金ニューZαを破壊する事は出来ない。」

 「ですが、ここで逃げれば闇の帝王によるカイザーの掌握が更に進みます!今しか期はないのです!」

 「だが、今のカイザーにすらこちらの手札の多くは勝てない!ゲッターGならば万が一の可能性はあるが、そんな不確かなものに賭ける訳にはいかん!ここは一度退き、態勢を立て直した後に確実な戦力を用意すべきだ!」

 「一体何処にそんな余裕があるというのですか!?今、地球上は各地がミケーネの襲撃を受けて手一杯なのです!現有戦力で対応するしかないのです!」

 「ぬぅぅ…!こんな時のためのカイザーだったと言うのに…!」

 「幸い、増援が向かっています。彼らと現場の皆の努力と奮闘に賭けるしか…。」

 「新型とは言えVFでどうにかなる相手ではない。時間稼ぎが精一杯だ…。」

 

 二人の博士が意気消沈して項垂れる。

 二人は光子力研究の第一人者とも言える優れた科学者だ。

 だからこそ、十蔵の作り上げたZERO、そしてカイザーの危険性を他の誰よりも承知していた。

 故に二人はこのままでは勝てないと同じ結論を出し、剣造は一時撤退を、弓は戦力を増強しての戦闘続行を選んだ。

 しかし、今やその選択をする余裕さえも有るかどうか…。

 MSやVFでは幾ら数を揃えても蹴散らされるだけだと、最強の一には最強の一をぶつけるしかないのだと、彼らは知っていたのだ。

 

 「は、博士!大変です!」

 「どうした!?」

 「試作型グレートブースターとスペイザーが発進しようとしています!!」

 『弓さやか、行ってきます!』

 『グレース・マリア・フリード、いっきまーす!』

 「「なにぃぃぃぃぃぃ!?」」

 

 そして、二人の男の苦悩は二人の少女の通信によって一方的に吹き飛ばされた。

 

 

 ……………

 

 

 新西暦186年9月28日 極東方面 旧光子力研究所跡地

 

 

 『ドリルプレッシャーパーンチ!!』

 

 甲児の駆る量産型グレートの右腕から螺旋状に4つの刃プレッシャーカッターが展開、高速回転しながら発射される。

 

 【なんだ、この玩具は?】

 

 戦闘獣の装甲すら容易く砕くロケットパンチの発展系を、しかしヘルカイザーはその左手であっさりと掴み取り、そのまま紙細工の様に握り潰す。

 

 【次はこちらじゃ。ターボスマッシャーパンチ!】

 

 ヘルカイザーの右腕からプレッシャーカッターに類似した刃が展開、同じく高速回転しながら発射される。

 

 『うおおおおおお!?』

 

 しかし、その威力たるや文字通り桁違いであり、回避し切れないと見た甲児は左腕全てを捥ぎ取られる事を代価にし、背面のスクランブルダッシュに後先考えぬ程の大出力を吐き出す事を命じて前進する。

 大気を引き裂く轟音と共に、瞬きの間よりも早く両者の距離は徒手格闘の間合いと等しくなった。

 剣を抜く間も与えず、両腕が無い状態で甲児は果敢に格闘戦を仕掛ける。

 

 『ニーインパルスキック!』

 

 その両足から棘と刃、即ち膝部の膝部に内蔵されたスパイクのニーキッカーと脛部に内蔵された刃のバックスピンキッカーを展開する。

 踏み込みの勢いを一切殺さず、そのままに膝を叩き付ける。

 だが、ヘルカイザーは小動もせず、反動でギシギシと量産型グレートのボディが軋むだけ。

 そんな事を分かっていた。

 だから、甲児は一切の遅滞なく、次の技へと繋げていく。

 

 『&バックスピンキック!』

 

 煙を吹き始めたスクランブルダッシュを更に酷使する事でのその場での回転、その勢いを活かした後ろ回し蹴り。

 脛部から展開された刃が超々音速の速度でヘルカイザーの首筋へと叩き込まれる。

 だが並みの戦闘獣ならば数体が容易く両断される威力の一撃であっても、魔神皇帝の前には意味を成さない。

 

 【温い!これでは肩こりも取れぬわ!】

 

 貴方、肩どころか肉体も無いですよね???

 まだ漫画家風味の抜けない闇の帝王へ突っ込みを入れる間も無く、ヘルカイザーの頭部の両横にある角が輝き出す。

 

 【冷凍ビーム!】

 

 グレートマジンガーでは使用頻度が低いからとオミットされた初代マジンガーZの武装もまた、この魔神皇帝には搭載されていた。

 その一撃は一瞬で量産型グレートの両足を凍結し、地面へと固定されてしまう。

 

 『ま、だまだぁぁぁぁぁあああッ!!』

 

 五体を実質失った状態になってもなお、祖父を再び失った(と思ってる)兜甲児は折れない。

 既に死に体のスクランブルダッシュに最後とばかりに喝を入れ、甲児は量産型グレートに自壊を覚悟で限界を超えた出力を命じる。

 肘から先を失った左腕を突き出した姿勢での再度の突撃。

 同時、頭部の両横の角が帯電する。

 言わずもがな、グレートマジンガーの内蔵兵装最強のサンダーブレークの予兆だ。

 

 【ほう?】 

 

 それを闇の帝王は無防備のまま実に面白そうに眺める。

 この期に及んで兜甲児の行う悪足掻き、それに興味が湧いたのだ。

 

 『エレクトロ…!』

 

 肘から先を失い、関節部が剥き出しの状態の量産型グレートの左腕。

 それをヘルカイザーの胸元へと叩き付ける。

 同時、そこを基点として最大出力を超えた限界出力のサンダーブレークを直接相手へと流し込む。

 

 『サンダースパァァァァァァァァクッ!!』

 

 将軍クラスの戦闘獣であろうとも直撃すれば撃滅可能なサンダーブレーク。

 それを武装も両腕も無くした状態でのみ、腕の関節部を相手に接触させる事で一点集中させ、直接相手へと流し込むこの技は文字通りグレートマジンガーの最後の奥の手である。

 本来ならば両腕でやる技なのだが、今回は片腕だけでの形となるが、その威力に関してはそれでも十二分なのだが…。

 

 【流石に驚いたぞ、兜甲児!が、此処までだな。】

 

 それもこの悪に堕ちた魔神皇帝には届かなかった。

 膨大な出力の電撃を受け、各所から白煙を昇らせながらも、それでもその身は微塵も揺らぐ事が無い。

 

 【そおぉら!】

 『ぐあああああああああ!?』 

 

 単なるパンチ。

 それだけで殆ど達磨状態だった量産型グレートの装甲は叩き割られた。

 ただのパンチと思う事なかれ。

 この魔神皇帝の拳は他所の世界ではあしゅらマジンガーや試作型グレートマジンガーを単なる打撃だけで打ち負かしてきた実績のある立派な武器である。

 半死半生状態の量産型グレートの装甲を叩き割る位は簡単にしてみせる程の威力はあるのだ。

 圧倒的性能を持つ魔神皇帝を前に、甲児は正に万策尽きた状態だった。

 僅か1分、それが甲児の量産型グレートマジンガー先行生産機がヘルカイザーを前に立っていられた時間だった。

 

 【ハハハハハ!我が正体を見抜いた事と啖呵だけは見事だったと褒めてやろう!】

 『…るっせぇ…!爺ちゃんの、作ったもんを奪うばっかの奴が…!』

 

 左腕は肩から捥ぎ取られ、右腕は肘から先が消え、両足は膝のすぐ下から粉砕され、スクランブルダッシュを構成する背部のブースターとウイングも焼け付いて噴煙を吐き、半ばから折れている。

 頭部のブレーンコンドルもキャノピー部分がひび割れ、中のパイロットが剥き出しになっていた。

 パイロットの兜甲児も重傷を負い、全身から激痛が伝わって意識が朦朧としている。

 そんな状態でも甲児が死んでいないのは、闇の帝王ことDr.ヘルが手加減をしていたからに他ならない。

 

 【して、どうして儂だと分かったのだ?十蔵ならば兎も角、貴様と儂の間に類似性はあるまい?】

 『ハッ!自分で分からねぇのかよ…お前は、そんなだから負けるのさ…ッ!』

 【ほう?】

 

 大破というかスクラップ寸前の量産型グレートの前まで勿体ぶる様に悠然と歩いて来たヘルカイザーは、量産型グレートの首を掴み、持ち上げる。

 その様子を横目に見ながら、しかしISA戦隊の面々は手を出せない。

 特機軍団こそ復帰したものの、ヘルカイザーの攻撃によって母艦が擱座、MS・VF中隊の多くが撃墜・大破して後退した状態であり、母艦を守るために必死に意気高揚となった戦闘獣軍団を相手に防戦一方の状態にあったからだ。

 

 『く、そ!誰か…甲児の援護を!』

 『馬鹿野郎、母艦の防衛が先だ!』

 『だが、このままでは全員死ぬぞ!カイザーの注意が甲児に行っている今しかチャンスは無い!』

 『鉄也、そっちは何とかならないの!?』

 『無茶言いやがる…!だがこっちもプロだ、何とかしてやるさ…!』

 『こちらこそ、いい加減剣での語り合いも終わりだぞ、剣鉄也…!』

 

 この通り手を離せない状態の友軍に、甲児を助ける余裕は無かった。

 

 『爺ちゃんの発明が欲しいなら、爺ちゃんの身柄でも十分だ…だが…。』

 【儂は態々十蔵を殺そうとした。その才覚を認めながら、殺そうとする者はそう多くない、か。理由付けとしては弱い。弱いが、儂を知る貴様ならばそれだけで気付くか。成程成程…。】

 

 ふむふむ、と闇の帝王は顎先(もう無い)を撫でる様に手(に当たる様な部分)を動かし、漸く胸の痞えが取れた様に数度頷いてみせた。

 

 【よし、疑問も解消した事ですっきりした。嘗ての宿敵としてせめてもの情けをかけてやろう。兜甲児、貴様は楽にあの世へ送ってやろう!】

 

 そして、死に体の量産型グレート目掛け、光子力ビームが…

 

 ズガァン!!

 

 『しゃぁ!ジャックポット!』

 

 発射される直前、ヘルカイザーの頭部に精密極まる狙撃が命中した。

 その直後、全機がVFー11から成るVF大隊が戦場の空へと現れた。

 今の狙撃はその中の狙撃仕様の一機が放ったスナイパーライフルの一撃だった。

 

 『こちらスカル大隊、お姫様方のエスコート序に援護に来たぞ!』

 『各員、ISA戦隊分隊並びに特機軍団を支援せよ。正面から当たるな、時間を稼げ!』

 

 何故先日まで欧州にいた地球連邦軍参謀本部直属空中機動艦隊のスカル大隊が遠き極東方面に来ているのか?

 実はこれ、理由があったりする。

 アフリカ方面に回航していたマクロス級二隻の内、二番艦のメガロードはスカル大隊の面々のための新型VF受領のために一度北米へと赴く事が決まっていた。

 そして現在の状況を鑑みて大気圏内フォールドを敢行(データがまだまだ不足しているので、技術的には既に可能だが推奨されない)して北米で機体を受領、更に極東方面の日本海上空にフォールドアウトし、急いでこの場に駆け付けたのだ。

 スカル大隊はその精強ぶりを評価され、全員がVF-11A(先行生産型。エンジンとジェネレーターはVF-1のまま)へと乗り換える事が許されている。

 その性能は以前のVF-1よりもあらゆる面で凌駕しており、基本鈍重な特機ではその速さに追い付きつつ有効打を与える事は難しい。

 そして、そんな彼らにエスコートされる形で二機の戦闘機?が飛んでいた。

 

 『甲児君、助太刀に来たわ!』

 『お兄ちゃん、無事!?無事みたいね!今手伝うわ!』

 『んな!?さやかぁ!?』

 『ま、マリア!?何でこんな所に!?』

 

 偶々戦場に駆け付けようとしてブッキングしたヒロイン二名の姿に、恋人の甲児と兄のデュークは驚きのまま叫び声を上げるのだった。

 

 




スカル1「いや、戦場行こうとしてる未成年の女性2人を放っておくとか軍人としてダメだろ?なんで優しくエスコートしながら来た。」

次回、強化パーツ装着!飛び立てグレンダイザー!新生せよ量産型グレート!
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