多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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感想欄にて設定に誤りがあった事が判明しました。
指摘していただいたQuasarさん、大変ありがとうございました。

内容はメタトロンの発掘場所で、作中では火星としていますが、実際は木星の衛星カリストです。

が、今作では特にストーリー上重要ではないとして、取り敢えず「そういう設定」として執筆していく予定です。
ストーリー上変更の必要が発生したら、前書きでお知らせします。

それでも良いよという寛大な方は今後もよろしくお付き合いお願いいたします。


第5話 こんにちわ異邦人

 「これは夢……そう夢……起きたら私は日課のサイト巡回をして朝ご飯を補給して作業の進捗を確認してから技術開発(半ば趣味)をするんだ……。」

 「ですが現実は非情です。さぁ起きてください。」

 

 そういう訳で、イーグル号に似たゲッター戦艦(仮称1号戦艦)を火星にて発掘してしまった訳なのだが……正直な所、扱いかねるというのが彼女らの本音だった。

 だって下手打つとゲッペラー艦隊をこの世界に呼び寄せる事になりかねない。

 幸いと言うべきか、ビーコンや救難信号等は出ていないので喫緊の事態にはなっていない。

 しかし、何時何がしかのアクションをしてくるのか予想もできない。

 

 「であれば、こちらのタイミングでアクションを起こせば良いのです。」

 

 最古参のナノマシン式自動人形らと主が頭を悩ませる中、主付き自動人形であるSfがそう提言した。

 

 「どの道、何時かアレは再起動します。今この瞬間にも徐々にですが再生している事は確認されています。動き出すのも、そう遠い未来ではないでしょう。」

 「だからこそ、こちらからアクションを?」

 「はい、Mein Meister.」

 

 先日の狂乱ぶりを見せず、平静さを表向きには取り戻した主からの問いに、Sfは頷いた。

 

 「火星のテラフォーミング終了まで後3年程度。本格的な入植開始にはもう10年は必要かと思われますが、月の独立紛争の二の轍を踏むまいと地球連邦政府は必ずや火星に駐留軍を派遣するでしょう。それまでに可能な限り早急にアレの隠蔽をせねばなりません。」

 

 幸いと言うべきか、今現在は地球連邦政府は火星開拓に関しては殆どアクションをしていない。

 それと言うのも今現在は月面の開発が主流であるからだ。

 新西暦開始から既に53年、月面から先に未だ殆ど進出していないのは先の月面都市群で独立紛争が起こったからだ。

 核兵器を始めとした非人道的とされる兵器こそ使用されなかったものの、地球連邦軍が装備する宇宙用兵器の殆どを実戦証明する事態になった紛争はそれ以前の騒ぎをカウントすれば実に10年近く続いた。

 それが終わったのはつい5年程前の事だ。

 一部がテラフォーミングが終わったばかりの火星に住み着いているが、それを掃討するだけの余力は今現在の地球連邦には財政的に無い。

 幸いと言うべきか、地球連邦政府は定期的な報告だけで彼らを労働力として雇用する事を黙認としている。

 だが、それは態々僻地の中の僻地の火星にまで来たくないし関わりたくないし余裕がないからに過ぎない。

 何れ彼らはやってくるだろうし、来てもらわねばならない。

 

 「現状動かせる火星圏の戦力は?」

 「本艦と艦載兵器、それに私達のみです。後は皆作業用機械です。」

 「………仕方ない、か。今から言う条件に当て嵌まる生体式自動人形でこれから行う作戦に参加する事を受託した子だけ連れてきて。」

 「それは構いませんが、どの様な条件ですか?」

 

 そして説明された作戦は、余りにも非人道的だった。

 

 「後で殺されませんか?」

 「だからこその希望者のみです。どの道、失敗すれば終わりだし、封印し続けるのも限界があります。」

 

 こうして、主の苦悩を消し去る事も出来ぬまま、作戦は始まった。

 

 

 ……………

 

 

 作戦内容は簡単だ。

 1号戦艦に、自分達を人類或いは人類に友好的な存在だと認知してもらう。

 前提条件として、ゲッターエンペラー並びにその旗下の艦隊は地球人類の守護を目的に行動している。

 これは彼らの敵が常に人類外の存在であった経験からであり、惑星サイズを超えて進化し続けるのもラ・グースや時天空といった銀河規模・宇宙規模の外敵を倒すためだからだ。

 だからこそ、ユニクロン並び改スター級戦略機動要塞や本国TF艦隊が遭遇した場合、それは通常の戦闘ではなく生存競争の開始を意味する。

 しかし、今現在の1号戦艦はとてもではないが戦闘不能であり、それ所かまともな航行能力すら喪失しているため、即座に戦闘開始となる可能性は低い(自爆の可能性はあるが)。

 そのため、特にゲッター線量の多いコクピットと思われる場所へとメッセンジャー役を送り込み、平和的に接触し、交渉によって何とか停戦状態に持っていく。

 もしダメだった場合、可能な限りメッセンジャーを救出後、1号戦艦を静止衛星軌道上の改エクセリオン級からの宙対地砲撃によって撃破する。

 幸いにも想定されるゲッター線量から想定される規模のゲッタービームやバリア類ならば、改エクセリオン級の砲撃を防ぐ事は出来ない。

 もし無理だった場合、現在火星とは地球を挟んで反対側にあるA.I.M.社保有のコロニー内へとワープする予定だ。

 

 これでもダメだったら?

 幸いと言うべきか、生体式自動人形達は人類とほぼほぼ完全に共生しているので、殺される事はないだろう。

 万が一のためのトレミィ用生体式自動人形もあるので、それで余生を謳歌してくださいとしか言いようがない。

 

 

 ……………

 

 

 仮称1号戦艦内部 クローン製造エリアにて

 

 『何だ…?』

 

 巴武蔵。

 嘗てゲッター3、ベアー号の最初のパイロットだった男の何体目かも分からないクローン体は、乗艦のセンサーから異常を検知した。

 本来いた艦隊から敵の攻撃によって落伍して逸れ、この太陽系の火星へと落着してしまった。

 以来、乗艦の自己修復が完了するまでコールドスリープする予定だった。

 しかし、誰とも分からない侵入者によって、その予定は崩れた。

 

 『ドイツか知らねぇが、この艦に侵入してくるなんざふざけやがって!』

 

 コールドスリープから目覚めると直ぐにクローン武蔵はレーザーライフルを手に取ると、センサーの導くままに侵入者の下へ向かう。

 どうやら入ってすぐの場所から動いていない様だ。

 センサーの反応によれば、侵入者は生体パーツを多用したロボットの様だが、その脳内にはコンピューターが内蔵されている。

 どうやら悪知恵を働かせてきたらしいが、そんな事でこの艦のセンサーを誤魔化せると思ったら大間違いだ!

 

 『テメェか侵入者、は?』

 

 センサーの言う通り、艦の破損部分から数m進んだ位置にいたのは、美しい女性型ロボットだった。

 それだけなら武蔵は引き継いだオリジナルの人格と記憶通りにレーザーライフルで撃ち抜いていただろう。

 しかし、目の前のロボットはそれだけではなかった。

 その手には白いハンカチを結んだ棒を、旗の様に振っている。

 間違いなく白旗、つまりは降伏のサイン、或いは敵意が無い事を示すもの。

 そして何より、本来は細い柳腰だったであろう膨らんだ腹。

 紛う事無き妊婦だった。

 驚愕に固まった武蔵に対し、美しい黒髪をうなじの辺りでポニー状に結った彼女は困った様に眉尻を下げ、通路に座り込んだ状態で武蔵に対して告げた。

 

 「申し訳ありません。産気づいてしまったので、医療施設まで運んで頂けないでしょうか?」

 

 なお同時刻、改エクセリオン側も突然の報告とバイタルの変化を知らされて阿鼻叫喚の状態だった。

 

 

 ……………

 

 

 その後、てんやわんやでメッセンジャー役の妊娠中の生体式自動人形を医療施設に緊急搬送した後、驚き冷めやらぬ中、武蔵クローンは一行の責任者であるトレミィと会談する事になった。

 

 「初めまして、巴武蔵さん。私は元スター級機動要塞17番艦スター・オブ・プトレマイオス統括制御用知生体、現改エクセリオン級プトレマイオスの統括制御用知性体。略してトレミィと申します。」

 「お、おう。巴武蔵だ。クローンだがよろしく頼むぜ。」

 

 和風の畳敷きの一室、緑茶と茶菓子が置かれた座卓を挟んで、二人は漸く対面を果たした。

 

 「何でそんなボロボロなんだ?」

 

 が、交渉とかそんな崇高な文化的行動は武蔵の脳内には無い。

 オリジナルに比べて多少の知恵は付いたが、本来そんなものが必要のないパイロットとしての腕前とゲッター線との相性、そして頑丈さが求められるゲッターチームである。

 交渉とかそんなもん放り投げ、取り敢えず聞きたい事を聞いてみた。

 

 「いえ、必要だと判断したとは言え、妊娠中の部下に危険な橋を渡らせるなと怒られまして…。」

 「まぁ…そりゃ仕方ねぇな。」

 

 ずず、と互いに茶を啜る。

 何気に贈答や外交向けの最高級玉露だが、Sfからの折檻で顔面ぼこぼこにされてるトレミィを前にしてはよく味なんて分からなかった。

 

 「取り敢えず、私達に貴方方と敵対の意思が無いと伝えられれば良かったんですよ。貴方方は人類以外の知的生命体を目の敵にしてたから、どうやったら接触できるのか悩んでたんです。」

 「ん?だったら普通に人類よこせばよくないか?」

 「現在のこの世界では人類は未だゲッター線の研究に着手していません。早乙女博士はまだ生まれてすらいません。」

 「何だって!?」

 「その状態でゲッター線の研究は碌に進まないだろうし、どんな螺子曲がった進化を辿るか予測できなかったため、我々は早乙女博士が生まれてから人類にゲッター線を知ってほしいと考えていたのです。」

 

 予定では、そういった各種エネルギーの専門家にしてスーパーロボットの開発者となる博士達の誕生が確認され次第、各種援助を行う予定だった。

 実際、歴史上で名の知れた人物には成功するために多くの援助をしてきた。

 

 「私達は人類の敵となるつもりはありません。寧ろ成長して頂いて、私達の友人になってほしいとすら願っています。だからこそ、こうして危険を冒してまで武蔵さんと話し合いの場を設けています。」

 「……分かんねぇな。どうしてアンタらはそんな真似をする。ゲッターから見ればアンタラは滅ぼすべき存在にしか見えてないんだぞ?」

 「では、今からそれをご説明します。少々長くなりますが、これを知れば私達の立ち位置が見えてくるかと。」

 

 

 こうして、数奇な道程を辿ったスター・オブ・プトレマイオスはこれまた数奇な道程を辿ったゲッターロボのパイロットと運命的な出会いを果たしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、映像を用いて説明するので、映画みたいに鑑賞してれば大丈夫ですから。楽な姿勢で構いませんので。」

 「おう!あ、コーラとホットドッグあるか?」

 「ありますよー。後でお夕飯もお出ししますから、程々にしてくださいねー。」

 

 

 

 

 

 




Q.何で妊婦な生体式自動人形(人妻)を呼んだの?

A.人類の味方だがそれ以外はMust Dieなゲッペラー艦隊所属の武蔵クローンを説得するには、人間のメッセンジャーが必要不可欠。
 しかし、こんな人類滅亡しかねない大役を任せられるだけの人材もいないし、機密上見せる訳にもいかない。
 なので身内かつ人間を連れている状態である妊娠中の生体式自動人形が呼ばれた。
 勿論事前説明した上で志願者のみだったが、たった一人、自分達亡き後の夫の安全を確保する事を条件に志願した。
 理由?夫がちょっとだけ、浮気したんだってさ。
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