多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

170 / 188
ふぅ…久々の執筆だったから骨が折れたけど楽しかったっす。


第68話 皇帝VS皇帝その7

 新西暦186年9月28日 極東方面 旧光子力研究所跡地

 

 『スカル大隊全機散開!兵装使用自由!時間を稼げ!』

 

 VF-11という最新の高性能VFを駆るVF乗りとしては最精鋭のスカル大隊が、奇襲の利を取って先制攻撃を行う。

 この時点で物量的には倍であってもMSや同じVFでは壊滅的打撃を受ける事だろう。

 しかし、彼らが一斉に放った対艦ミサイル総数108発はその総数の8割近くが見事目標に命中したものの、その戦果は限定的なものでしかなかった。

 何せマジンガーZに匹敵する防御力に元素固定装置による高い再生能力を併せ持つ事から来るタフネスを誇る戦闘獣、そして未完成とは言えマジンカイザーを急遽改造して出撃させたヘルカイザーが相手とあっては単なる対艦ミサイルの一斉射程度では落とし切れないのも当然だった。

 

 【えぇい、水を差しおって!者共、あの羽虫を叩き落すのだ!】

 『『『『『ははっ!』』』』』

 

 闇の帝王の号令の下、戦闘獣軍団の矛先が一斉にスカル大隊へと向けられ、残った500機余りの戦闘獣の半数以上が対空攻撃を開始する。

 しかし、当たらない。

 VF-1とは雲泥とも言える程の機動性・運動性を獲得しているVF-11サンダーボルトと言う最新鋭機を与えられたスカル大隊にとって、その程度の対空砲火で落ちる事は余程運が悪くない限りは有り得ない(命中率3%以下)

 そして、スカル大隊への攻撃が始まったという事は、即ちISA戦隊への圧力が減った事を意味していた。

 

 『よし、態勢を立て直すんだ!』

 『損傷の酷い機体は撤退しろ!足手纏いになる!』

 『クロガネとシロガネはダメコンと復旧急げぇ!』

 『MSとVF向けの弾薬と武装はコンテナごと艦外に出せ!傾いた艦内じゃ無理だ!』

 

 この隙にとばかりにISA戦隊並びに特機軍団はその態勢を立て直す。

 元より優秀極まりない彼らはこの状況にあっても最適解へと真っすぐ行動する。

 整備班達はこの艦内重力も途切れがちな状況では艦載機の修理・補給もままならないからと、せめて武器弾薬の補給は出来るようにとコンテナに詰め込んで艦外に放り出したのだ。

 

 『助かる!これでまだ戦える!』

 

 艦周辺で直掩に当たっていたMS・VF部隊の残存戦力は順番に補給を開始する。

 戦闘開始当初、万全の状態で出撃した彼らだが、辛うじてパイロットには死人こそ出ていないものの、その消耗ぶりは目を覆う程だった。

 何せ頑丈極まりない上に完全に撃破しないと再生する戦闘獣の軍勢相手だったのだ。

 当然、撃破するには弾薬とエネルギーを後先考えず叩き込むしかないため、その消耗ぶりは一日中続く様な大規模戦闘に並ぶ程だった。

 

 『おおおおお!大・雪・山おろしぃぃぃぃぃ!』

 『『『ぐああああああああ!?』』』

 『っしゃあ!これで将軍は半分だ!』

 『へ、剣さんよ、そっちはまだなのかい?』

 

 そして、シロガネとクロガネの二隻とスカル大隊相手の二つに注目が行った隙を突き、ゲッターライガーが地中に高速潜行、地中から奇襲してゲッタードラゴン・ゲッターポセイドンに変形しての連続攻撃たるゲッターチェンジアタックによって将軍達を次々と撃破していったのだ。

 変幻自在のゲッターの相手は既に量産型ドラゴンで経験があった筈だが、やはり本家は格が違うのか、それまでの消耗もあってか将軍達は翻弄され、立て続けに撃破されていった。

 

 『ハン!言ってくれるじゃねぇか…!』

 

 一方、剣鉄也とグレートマジンガー対暗黒大将軍の一騎打ちもまた佳境に入っていた。

 既に互いに手の内は出し尽しており、それでもなお決着が着かないのは暗黒大将軍がそれをさせないがためだった。

 

 『そう易々と倒せると思ってか…!』

 『無論、思っちゃいないさ…!』

 

 例え相打ちになったとしても、グレートと剣鉄也をこの場に縫い止め続ける。

 現状の戦力でゲッタードラゴンと共に唯一ヘルカイザーに有効打を与えられる敵戦力をこの場に釘付けにする事こそ勝利への道だと、暗黒大将軍は確信していた。

 故に、闇の帝王のためならば自らの命を捨ててグレートマジンガーと相打ちになる事も端から覚悟していた。

 だが、鉄也とグレートはそういう訳にはいかない。

 この場を勝って後にし、味方の救援に向かわねばならないからだ。

 そうでなくては味方があのクソッタレなヘルカイザーによって蹂躙されてしまう。

 次は宇宙に向かわねばならない彼らISA戦隊からすれば、貴重な戦力を失う事は絶対に避けねばならなかった。

 

 『鉄也さん、コレを受け取って!』

 

 そんな時、両者の上空から声がかかる。

 試作型スペイザーに乗ったマリアからだった。

 試作型スペイザー、その外見はダブルスペイザーに酷似しているが、最大の違いは両翼がホバーの様な縦向きのプロペラではなく、通常のロケットエンジン(と言っても科学要塞研究所製なので超高性能だが)となっている。

 言うまでも無くテスラドライブ並びにDFは搭載しており、武装も多目的汎用ミサイルと光子力ビームとそれなりの攻撃力はある。

 そして、搭載しているエンジンは何とゲッター炉と光子力エンジンである。

 これはグレンダイザーが戦線に参加してから日が浅く、他にもやるべき事が山積みで動力の光量子エンジンの解析が殆ど進んでいない事から代替として搭載された事、少し先に開発され始めた試作型グレートブースターのデータを元にした事が原因となっている。

 が、今その機体の胴体には機体の挙動が不安定になる程に重たい何かを抱えながら飛行しており、それをふらふらしながらどうにかグレート目掛けて投下した。

 

 『おわ!…何だこりゃ?』

 

 試作型スペイザーから投下され、地面に粉塵を派手に巻き上げて突き立ったものを見て、鉄也は困惑していた。

 

 『ハンマー?』

 

 それは銀色のハンマーだった。

 柄の長さ込みでグレートマジンガーの全長の三分の一程度の大きさで、ハンマーの頭部分は面取りされた前後に長い直方体と言った趣だが、柄に対して随分大きい。

 ぶっちゃけ、威力は有りそうだが使い辛そうだった。

 

 『隙だらけだぞ、剣鉄也!』

 

 が、そんな鉄也の困惑を見逃す程、暗黒大将軍は甘くなかった。

 隙だらけの宿敵目掛け、自らの身の丈に匹敵する大剣を袈裟懸けに振るう。

 

 『っ…!?』

 

 それを二本のマジンガーブレードで再び受け止めるも、しかし、酷使に酷使を重ねていたマジンガーブレードに亀裂が入る。

 

 『ハハハハハ!しくじったな、剣鉄也!』

 

 刀身の再生・再生成なぞ許さぬとばかりに暗黒大将軍はここぞとばかりに苛烈に斬りかかる。

 凡百のパイロットと機体ならば軽く100は死んでいるだろう剣撃の嵐を、しかし鉄也とグレートは罅割れた2本の剣でギリギリ凌ぎ続ける。

 が、それも後1分と続かないだろう。

 一撃を受け流す度、刀身に入った罅は広がり続け、もう間も無く完全に折れる事だろう。

 その隙を、暗黒大将軍は決して見逃さない。

 

 『鉄也さん、ソレ使って!』

 『無茶、言いやがる…!』

 『ゴッドハンマーって呼んで!そうすれば「来る」から!』

 

 上空のマリアからの言葉に、鉄也は内心で何だそりゃと思いつつ、訓練で磨かれ、実戦で鍛え上げられた戦士としての勘が何故かそれが勝機だと叫んでいた。

 

 『喧しいわ小娘が!』

 『きゃあ!?』

 

 いい加減煩わしかったのか、暗黒大将軍の目から破壊光線が試作型スペイザー目掛け放たれる。

 幸いにも低出力なのか、DFによってダメージらしいダメージを負う事は無かった。

 だが、それは鉄也にとって十分過ぎる隙だった。

 

 『来い、ゴッドハンマー!』

 (これで何も起きなかったら絶対ぶっ殺す!)

 

 半ばまで折れかけたマジンガーブレードを手放し、ヤケクソになって叫ぶ鉄也だが、その怒りはすぐに消し飛んだ。

 グレート目掛け、地面に突き立っていたハンマーが一瞬でカットんで来たのだ。

 

 『ん、な!?』

 

 受け止めると同時、接触回線で一秒と経たずにグレートとのマッチングが終了、その詳細なデータがコクピット内に表示され、その機能に鉄也は驚く。

 

 『止めだ、剣鉄也ぁ!』

 

 大上段に振り被られ、超音速で落ちて来る大剣に対して、鉄也の反応は迅速だった。

 

 『らぁッ!!』

 『なんと!?』

 

 下段から垂直に、ゴッドハンマーを真上へとぶち上げた。

 機体性能は互角の状態で、そんな事をすれば上から下へと落ちていく重力加速を味方に付けた方が勝つに決まっている。

 だと言うのに、ゴッドハンマーの一撃はそれと覆し、暗黒大将軍はたたらを踏んで後退した。

 

 『へぇ、中々ご機嫌じゃねぇか。』

 

 ゴッドハンマー。

 トレミィの黒歴史ことアベンジャーズ計画のデータを譲り受けた科学要塞研究所が手を加えた事で完成したグレートマジンガー用追加試作武装の一つ。

 ネタ元は勿論雷神ソーのハンマー、ムジョルニア(又はミョルニル)である。

 超合金ニューZα製のハンマーであり、一見ただの鈍器だが内部にはゲッター線増幅装置を参考に開発した光子力エネルギー増幅装置が内蔵されている。

 グレートの光子力エネルギーを増幅して出力を向上させたり、光子力を込めて殴り付けたり、光子力ビームとして放出することが可能。

 サンダーブレークの増幅装置としても作用するため、最大出力で放った場合、理論上は小惑星クラスの質量を単体で消滅させる事も可能。

 また、柄の部分には超電磁エネルギーを使用した電磁吸着・吸引システムが搭載されており、離れた所から手元に引き寄せる事も、手元から離れない様に吸着させる事も、投擲した際の速度を増加させる事も出来る。

 後者の機能は勿論アベンジャーズ計画の名残であり、トレミィ的には見ただけで頭を掻き毟りたくなる代物である。

 ターボマンスーツは違うのかって?

 アレはアレで人気と利益出たから良いのです。

 

 『行くぜ、暗黒大将軍!そろそろてめぇの顔も見飽きてきた所だ!』

 『ほざけ、剣鉄也!その首、我らが闇の帝王様への捧げ物にしてくれるわ!』

 

 今この瞬間しか、相手を倒す好機は無い。

 暗黒大将軍は鉄也とグレートは新兵器への習熟が出来ておらず、また今の一撃から推し負ける可能性が高い事を知った。

 鉄也は新兵器に内蔵された増幅装置の負荷が思ったよりも高く、そう長くは使用できない事、威力は高いが大振り故に隙が多い事、しかし十分正面から打ち勝てる事を知った。

 そして、この状況故に一刻も早く目の前の敵を倒す必要があると、両者は知っていた。

 故に迷うことなく両雄は決着を付けるべく、最後の激突へと突入した。

 

 『お』

 

 踏み込み、更に機体の推進系を全開にして加速する。

 

 『おおおおおおおおおお…ッ!!』

 

 人型機動兵器の接近戦における基礎とも言える動作。

 ミケーネ帝国の戦闘獣、その中でも最上級種たるジェネラルクラス。

 その中で最も長く最も強く在り続けた暗黒大将軍は闇の帝王直々に徹底的に改良され、その性能を向上させ続けていた。

 同時に、暗黒大将軍はそれに奢る事は一切無く、闇の帝王の忠実なる戦士として己を鍛え続けた。

 結果、そんな基礎的な動作を芸術の域まで高めるに至った。

 一歩目から音速を超過、二歩目からはマッハ2、三歩目からはマッハ3と、一歩ごとに音を超え続ける。

 接敵する時には既にマッハ5へと到達していた。

 

 『おおおお…』

 

 だが、それは鉄也とグレートも同じ事だった。

 

 『らあああああああああああぁッ!!』

 

 慣れぬ武装、慣れぬ出力。

 されど、天才的な戦闘センスと弛まぬ努力、積み上げた経験で以て鉄也はグレートに一切のブレを許さない。

 ゴッドハンマーの重量に振り回される事なく、暗黒大将軍へと正面からブチ当たるべく音速超過の踏み込みに微塵も怯まず正面から挑む。

 

 互いに真っ向唐竹割に、大剣とハンマーが振るわれた。

 

 音速超過の踏み込みで散らされた大気が激突の衝撃で再び全方位に吹き散らされ、一拍遅れて轟音と衝撃波を伝播させながら広がっていく。

 一瞬の均衡、その後に轟音と共に砕け散ったのは、大剣の方だった。

 一連の戦闘で再生も追い付かぬ速度で徐々に消耗を重ねていたのは暗黒大将軍も同様だった。

 それは武器にも言えた事であり、マジンガーブレードと同様に此処に来て圧倒的質量と運動エネルギーの合わさったゴッドハンマーの一撃に耐え切れず粉砕されてしまった。

 振り下ろされたゴッドハンマーは一瞬の拮抗の後にそのまま暗黒大将軍の右半身を叩き潰し、地面へ盛大なクレーターを作り上げ、凄まじい量の粉塵を巻き上げた。

 

 『ま・だ・だぁッ!!』

 

 だが、それは暗黒大将軍にとっては想定の内だった。

 自身とその武器に消耗が積み重なっていた事を、彼は激突前から知っていた。

 知っていて、敢えて愚直にそれまで通りの行動を取り、正面から挑んだ。

 それで打ち勝つ自信もあったが、それで打ち負けるのなら当初と同じく自分の命を捨ててまで相打ちに持ち込むまでの事。

 その覚悟が右半身を叩き潰されてもなお、暗黒大将軍を動かした。

 ゴッドハンマーを振り下ろし、足元に巨大なクレーターを作り上げたグレートマジンガー。

 その衝撃と巻き上がる粉塵に死にかけの身体を揺さぶられながらも、暗黒大将軍はグレートの頭部目掛け残った左手を伸ばしつつ、同時に残った胴体と頭部の顔の目から先程とは違う本気の破壊光線の発射と機体内部のジェネレーターに自爆目的の臨界を命じる。

 幸いにも巻き上げられた粉塵で視界は悪く、どれか一つでもこの至近距離から命中すれば、唯では済まない。

 加えて、左手が狙っているのはグレートの頭部=コクピットであり、これを無視する事は即ち死である。

 

 (我が誇りよりも、闇の帝王様のため…!)

 

 武人としての暗黒大将軍は、今の一撃で死んでも良かった。

 だが、永らく仕え続けた主君のためにもここで終わる事は出来ない。

 だから、武人としての暗黒大将軍は先の一撃で死に、ならばここにはもう闇の帝王の一従僕しかいない。

 そう自分に言い聞かせて、暗黒大将軍は彼の流儀ではない卑怯とも言える攻撃を行った。

 だが、だが!

 

 『これで終わりだぜ、暗黒大将軍。』

 

 グレートの背部ユニット、スクランブルダッシュから延びる翼がまるで鋏の様に動き、暗黒大将軍の左腕を断ち切ったのだ。

 これがオリジナルのグレートマジンガーに搭載された4つの魔神パワーの内、再現された第4の魔神パワー「変態」である。

 物理法則の常識を超え、機体の形状・性能を変化させることができる。

 これによってマジンガーブレードの生成やドリルプレッシャーパンチ等の使用時に機体形状を変形させる他、適宜性能を変化させたり、こうしてマニュアルで武装の形状を変化させる事もできる。

 今やったのは本来すれ違いざまに斬り裂く形で使用するスクランブルカッターを可動させた訳だ。

 更に、これだけでは終わらない。

 

 『な』

 

 足元で再度爆発が起きる。

 それも今度は先程の比ではない程の大爆発だった。

 原因は簡単、ゴッドハンマーによって増幅された光子力エネルギーが解放されたのだ。

 これには右半身が叩き潰され、まともに踏ん張る事も出来ない暗黒大将軍は吹き飛ばされるしかなかった。

 

 『ハ、やはり向いていない事などするべきではないな…。』

 

 空中へと吹っ飛ばされて、最早自爆を止める事も出来ない暗黒大将軍はそう自嘲した。

 

 『願わくば、貴様のt』

 

 そこまで言った時、不意に暗黒大将軍の身体に再びの衝撃が走った。

 残った左半身の胴体の顔に、折れたマジンガーブレードの切っ先が突き刺さっていたのだ。

 残った左側だけの頭部で見れば、何かを蹴り飛ばしたらしく右足を上げたグレートマジンガーの姿があった。

 

 『   』

 

 何かを言う前に、暗黒大将軍は爆発四散した。

 しかし、鉄也の目に刹那映ったその死に顔は、満足げに見えた。

 

 『あばよ、暗黒大将軍。これ程手古摺らされたのは初めてだぜ。』

 

 こうして、偉大な勇者は一先ずの勝利を手にして戦線に復帰したのだった。

 

 

 

 

 




最後の暗黒大将軍の空白のセリフには皆さんのお好きな言葉を入れてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。