多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
最近仕事が忙し過ぎる…。
しかもお世話になった上司や同僚、先輩の皆さんが移動&退職で主力メンバーががががが
いやこれどうすんねん???
ズール銀河帝国はズール皇帝を頂点とした多くの居住惑星並び種族で構成された恒星間国家である。
ギシン帝国及びギシン星を本拠とし、ズール皇帝の独裁体制の下に多数の星へと侵略戦争を行い、多数の支配惑星と夥しい犠牲者を築いてきた。
その余りの無法ぶりと大戦力から他の大勢力とも度々衝突し合ってきた、この銀河系でも特に危険な勢力の一つである。
全方位所か内部からすらも凄まじい怨恨と憎悪を向けられているこの帝国が未だ国体を保っている理由はただ一つ、ズール皇帝の恐ろしさ故であった。
ズール皇帝、その正体は負の無限力の一つ、様々な星々の悪の思念体とも言える存在だった。
目的の為には手段を選ばない冷酷非情で極悪な性格を持ち、自分の意思に逆らう者は絶対に許さず、即刻抹殺を命ずる。
それでいてその実力はこの銀河でも五指に入る程だ。
サイコドライバーに比肩或いは凌駕する程の超能力を持ち、それでいて死者の魂を操り、他者の負の感情を糧として無尽蔵に超能力を振るうと言う悪夢の様な存在だ。
その性格と性質故にズール皇帝は配下の命に頓着しない。
必要だろうが不必要だろうが幾らでも平然と使い潰すし、平然と残虐な戦術を取る。
何せそうして死んだ配下の魂も負の感情も自分の力に変換するし、自分の配下全軍よりも強化され続ける自分一体の方が強力だからだ。
そんな最悪の存在の配下であるズール皇帝に従うズール銀河帝国軍。
それに敗れて、或いは戦わずして屈した他種族や他惑星人で構成される外様の先遣艦隊はある種異様な士気の高さを持ってトラップのあった冥王星を超え、現在の地球人類の最終防衛ラインである土星へ向けて進軍していた。
彼らの士気の高さの理由、それは極々単純なものだった。
負ければ死ぬ、退けば死ぬ。
なら前進あるのみ。
戦って勝利を掴み、生き延びる。
自分達と言う防衛戦力のいなくなってしまった母星、そこに住む人々。
彼らに何かあったのではないか、彼らともう会えなくなってしまうのではないか。
それらも当然心配で仕方ないが、それ以上に自身に迫る死こそが彼らには恐ろしかった。
ズール皇帝と言う絶対的圧制者の存在によって裏打ちされた不退転の決意。
それが彼らを動かしていた。
既に母星を失くした者達も多いが、彼らも絶望に押し潰され、ズール皇帝に従っている点に差は無い。
しかし、そんな身勝手な理屈を地球人類が受け入れる理由は無かった。
『右舷デブリ帯よりエネルギー反応感知!』
不意にデブリの中から艦隊の中枢へ向け、ビームが放たれた。
その一撃は通常の艦艇ならば一撃で撃破されただろうが、先遣艦隊旗艦であるセント・マグマの強固な装甲はそれに耐えきった。
『敵の位置情報を確認。反撃開始。』
そして、警戒していた艦隊外縁部の艦から即座に反撃が加えられる。
直後、デブリと共に設置されていた自動砲台は爆散し、再び宙域に静寂が戻る。
太陽系に入ってからこっち、常にこんな感じだった。
最初は無人機、次に自動砲台、そして正体不明のステルス機による攻撃。
地球人類側(正確にはU.T.F.のヴァルチャーや無人戦闘機等)のハラスメント攻撃により、不退転の覚悟を持たされていた先遣艦隊の面々は碌に休む事も出来ず、集中力に欠け、ギラギラと殺気立った状態だった。
先日なぞ、亜光速(それも光速の98%以上!)で比較的小型の艦艇群(るくしおん級の小艦隊)による大型のミサイルや無数の小型爆弾による通り魔的な一撃離脱を受け、母艦に戦艦、小型艦等に10隻近い被害が出たため、警戒を厳にし続ける必要があった。
この状態が吉と出るか凶と出るか、それが分かるのはもう少し先の事。
彼らの目指す土星、そこの基地に集まった旧ジオン公国並びに地球連邦宇宙軍艦隊と遭遇するまでもう間も無くだった。
……………
地球連邦宇宙軍土星基地総司令部
「そうか、連中は狙い通り警戒したまま向かってくるか。」
『はい閣下。攻撃と受けてからの反撃までの時間や精度が以前より向上しています。』
『無人化が進んでいるなら兎も角、運用に多数の人員を用いている有人艦でこれは問題かと。』
総司令たるドズル・ザビ中将はハラスメント攻撃を担当しているるくしおん級5隻からなる小艦隊の艦隊司令、そしてU.T.F.の太陽系外縁部防衛担当者より敵先遣艦隊の情報を聞いていた。
『大凡こちらのハラスメント攻撃は十二分に効果を発揮していると思われます。しかし…』
『これ以上は欲張り過ぎですな。向こうが本腰を入れてデブリの排除や強行偵察のための部隊を出して長期戦の構えを取るかもしれません。』
「そろそろ仕掛け時と言う事か…。」
ここ数ヵ月、土星方面軍は大幅に後退したU.T.F.に合わせ、太陽系へと来襲する異星人艦隊の侵攻を少しでも遅らせるべく、様々なハラスメント攻撃を続けていた。
機動兵器や快速のるくしおん級を用いた奇襲に固定砲台や浮遊機雷による行動の抑制、そして位相空間へ潜航可能なU.T.F.無人兵器群による各種工作。
一番最初は冥王星基地の自爆による敵歩兵部隊への打撃、そしてそれを囮として敵艦隊にヴァルチャーを用いたビーコンの設置だった。
これにより敵艦隊の位置はこちら側に常に丸見えであり、効果的な足止めを行えていた。
そう、足止めである。
数ヵ月前、未だ土星基地は異星人艦隊、ズール銀河帝国軍の宇宙艦隊を撃滅するための準備が整っていなかったのだ。
無論、理由がある。
地球連邦の母星である地球で地底から、異世界からやってきた侵略者達。
即ち地底種族連合にムゲ・ゾルバドス帝国、そしてミケーネ帝国の侵攻により、地球は一時壊滅の危機に陥りかけたのだ。
更に更に魔神覚醒事件ことマジンガーZEROの存在により、太陽系各星域に展開する宇宙軍すら危うかった。
何せ無尽蔵の光子力エネルギーを持った恒星間規模の攻撃を放つ恐るべき存在なのだ、彼らの混乱も責める事は出来ないだろう。
ある程度事前にその存在を知らされていたレビル首相や軍最上層部ですら、データではなく実際に目にする事でその危険性を漸く正確に認識したのだから。
本来の予定通りならば冥王星基地で一当てして時間を稼いだ後、土星基地に集結した旧ジオン軍と更新済みの連邦宇宙軍の艦隊複数で数と地の利を持って戦う予定だったのだが…魔神覚醒事件、そしてミケーネ帝国の侵攻によってその予定は大きくずれた。
地球に援軍に行くべきだ、いやここは防備を固めるべきだ、先ず総司令部からの命令を待つべきだ。
混乱した宇宙軍は即応体制を堅持しながらも、その実際は混乱の坩堝と言うべき状態だったのだ。
何せ連邦政府首都ダカールのあるアフリカや連邦軍総司令部ジャブローのある南米も一連の戦いで戦場となったのだ。
通信・索敵関係が一年戦争以前よりも劇的に向上し、上からの命令が太陽系の何処にいても届くようになった結果、実際の戦場以外で「現場の判断」をする事は困難となっていた。
そのため、混乱こそしていたものの、しっかりと指揮系統が機能していたが故に勝手な行動を取る者は出なかった。
各艦隊や防衛部隊の司令達もこの事態に対して司令部へと問い合わせし、迂闊な戦力の分散を避けるべく別命あるまで待機しただけで、常識的な対応であったと言える。
しかし、その常識的な対応故に、今現在土星基地は半ば孤立していた。
太陽系の植民済みの星、即ち金星-地球-月-火星-木星-土星間(+共和連合の辺境惑星)にはチューリップ型ゲートを用いた銀河ハイウェイが設置され、待ち時間僅か数日から一月程度で自由にゲート間を移動できる。
この銀河ハイウェイを軍籍の船はほぼ無条件で優先して使用可能であり、本来ならば連邦艦隊もその予定だった。
『報告します!現在、地球から民間の避難船が大量に…!』
『何だと!?』
例え優先通行券が軍艦にあっても、それを行使できない状況とあっては意味が無い。
短期間に幾度も地球へ襲い来る侵略者に、富裕層や宇宙船を有する中小企業までもが大慌てで地球から夜逃げしており、その大渋滞に邪魔され、艦隊が通行できなくなっていたのだ。
無論、こういう時のために誘導マニュアルは存在するのだが、想定していた数の十倍所か百倍近い隻数がいきなりやってきたため、完全にパンクしていたのだ。
大渋滞の内訳は地球圏発で、出口は火星・金星・木星の何れかだった。
火星は既に人口は環境汚染の発生しない上限いっぱいとは言え短期間なら住めるし、文明も発展して快適に暮らせる。
金星はまだまだ開拓基地が設置されるも過酷過ぎる故に開発はスローペースだが、新たな人手は大歓迎だ。
木星は太陽系で現在最も開発ラッシュの高まっている資源惑星であり、仕事は多種多様で大量にある。
こんな感じなので、しっかりと準備出来ていて仕事への意欲があるのならどの星でもなんとかやっていける環境が揃っている。
そしてチューリップ型ゲートのお陰で移動も比較的短時間かつ楽と来た。
フットワークの軽い人種が戦闘が終結するまで避難を考え、実行するには十分な要素が揃っていたのだ。
この時ばかりは地球人類の発展に協力し続けていたA.I.M.のトップも頭を抱えたとか。
未だ地球連邦宇宙軍の主力艦艇のほぼ全てがフォールド機能は搭載しておらず、亜光速戦闘対応仕様に改修するので精一杯だったのも痛かった。
かと言って一年戦争時の様に大型ブースターを付けて半年から数ヵ月かけて地道に移動するとか本末転倒だ。
彼らを落ち着かせ、最寄りの補給ステーションやコロニー等に移動させ、艦隊が通行できるようになるまでかなりの時間がかかり、結局地球上での敵勢力の撃滅に成功、地球上の安全が分かった事でこの夜逃げ渋滞は漸く解消した。
その結果、土星基地を目指して移動する予定だった月・火星方面から抽出された艦隊は総司令部からの追加の命令もあり、やっとこさ移動を開始した頃には、既に冥王星基地は落ち、土星基地にも敵が迫りつつある状況だった。
『土星基地への増援が到着するまで後三日の予定となっておりますが…。』
「ゲートと基地の防衛を考えると、我々だけでは厳しいものがあるな。」
『はい。ですが、グランドキャノンを使えばいけるかと…。』
「…仕方あるまい。敵先遣艦隊の予定コース上に合わせてグランドキャノンの発射準備を行う。」
こうして、地球圏が漸くの小休止を迎えた頃、遠く土星では地球人類が主体となる初の対異星人迎撃作戦が始まろうとしていた。