多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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今回は説明回
具体的な土星基地VS先遣艦隊の戦闘は次回からです。


第74話 ズール銀河帝国その2

 さて、新西暦186年10月10日現在における地球連邦宇宙軍土星基地の戦力について見てみよう。

 

 各種艦艇

 ムサイ改級巡洋艦×70

 チベ改級重巡洋艦×30

 サラミス改2級巡洋艦(空母仕様と艦隊砲撃仕様合計)×200

 ムサイ級防空仕様×30

 ドロス級×2

 グワジン改×7

 エクセリオン級×1

 他補給艦含む支援艦艇×50

 

 各種機動兵器

 ジェガン×1000

 ゲシュペンスト×1000

 ゲルググ改(高機動狙撃or砲撃仕様)×1000

 ザク改(狙撃or砲撃仕様)×500

 ビグロ改×50

 各種デストロイド×500

 

 戦略兵器

 グランドキャノンⅠ(改良型コロニーレーザー)×1

 光子魚雷×多数

 ???

 

 これがズール銀河帝国襲来以前から配備されていた土星基地の戦力である。

 艦隊は未だ来れないものの、襲来が察知された時点でジガン系量産型特機(スクードとスパーダ双方)が10機ずつ、更に予備機としてガーリオンとバタラが予備パーツやオプション込みでそれぞれ一個大隊分、そして余剰分としてA.I.M.にプールされていたるくしおん級5隻が送られている他、潤沢な物資も補充されている。

 ここに本来ならば火星・月方面から抽出された優良装備の宇宙艦隊が揃う予定だった。

 そう、予定だった。

 結果だけ言えば、彼らは間に合いそうに無かった。

 他ならぬ地球連邦市民の手によって。

 

 『あんな人の殆ど住んでない場所よりも俺達を助けてくれ!』

 『地球にはもう安全な場所なんて無い!他でやり直すんだ!』

 『夫達に私達だけでも逃げろと…。他に行き場も無いんです。』

 『何であんなジオン共に加勢する!それよりも私を守りたまえ!』

 

 銀河ハイウェイに殺到する大量の民間所属船舶によって大混雑状態のゲート周辺宙域に、移動予定だった艦隊は頭を抱える事となった。

 銀河ハイウェイを構成するチューリップ型ゲートは当初、強力なDFを安定して展開可能な艦のみが通行可能だった。

 しかし…

 

 「んー…これだと商業利用しづらくない?」

 「では、非武装の小型艦でも利用可能なように外付けのDF発生装置等も追加いたしましょう。」

 

 な ん と い う こ と で し ょ う。

 これでは折角のハイウェイによるお手軽空間跳躍が主目的の商業利用し辛いだろうと気を利かせたA.I.M.がやらかしてしまった。

 その結果が民間用小型船舶向けの装備である追加式DF発生器である。

 追加式と言っても、単に外にポン付けするフィールドジェネレーターだけではない。

 ナデシコ級の特徴たるDブレードに大容量バッテリーと要重力波受信アンテナ、位置調整可能なアポジモーター類にドッキング用アーム、遠隔操作のための受信アンテナ等を追加したものを二基一対で運用する。

 対象の小型船舶(サイズによっては複数も可)を二基の発生器で挟み込み、アームでお互いを固定する。

 そして必要量のDFを発生させ、チューリップ型ゲートをくぐれば、その役割は終わりである。

 極短時間のみ安定した高出力のDFを発生させるだけならば、態々大仰なジェネレーターは必要ない。

 十分な量のバッテリーとそれをほぼ常時充電させる要重力波ビーム発生器と受信アンテナさえあれば十分事足りる。

 この追加式発生器よりも大きな船舶は流石に無理だが、そういった船舶は自前のジェネレーターとDFを持っているのでそもそも必要無い。

 一応四基二対の追加式発生器を同期させれば可能だが、追加式発生器への負荷の大きさから余程の緊急時でない限りは許可されない。

 使い終わったらドッキングを解除して、無人でゲートを経由して送り還すか、他の船舶に使用してまた別へと跳んでいく。

 この装置のお陰で太陽系内、そして共和連合辺境とは極めて活発に商業取引及び物資の移送が盛んとなり、常時戦時経済化しかけていた地球連邦経済の復活のカンフル剤となっていた。

 そのためチューリップ型ゲートの利便性は地球連邦市民、特に宇宙での運輸業や大企業ならばよく知る所となっており、結果として今回の様な事態へと繋がってしまった。

 地球人類にとっては無くてはならなくなったと言う点では大成功であったものの、当初の想定以上に頼られるようになってしまったのはA.I.M.の、U.T.F.の珍しい大失敗であった。

 

 加えて言えば、地球連邦の宇宙艦隊再編計画の方にも問題があった。

 地球連邦政府として言えば最優先すべきは最も票田が多い地球であり、他はその次であり、文民統制下にある連邦軍もまた最優先防衛目標は地球である。

 で、地球全体を守るとなると、外縁部を設定して太陽系外からやってくる敵勢力を撃滅していくのが上策であるのだが、ここで政府と軍で揉めた。

 政府の多くは一年戦争以前と同様に考え、地球圏外縁にルナツーを始めとしたジオンから接収したゼダンの門(旧ア・バオア・クー)やコンペイトウ(旧ソロモン)等の宇宙要塞とそこに詰める艦隊戦力で十分だと考えていた。

 巨人族等であればそれでもまだやりようはあっただろうが、宇宙怪獣と言う極め付けに危険な存在を知った地球連邦軍はそれでは不足と判断した。

 何せ亜光速で機動する億どころか兆単位の敵勢力である。

 その程度の戦略的縦深では時間稼ぎも出来ずに滅ぼされるのが関の山だった。

 故に既存艦隊の亜光速戦闘対応仕様への更新のみならず、亜光速戦闘を前提とした新型艦艇や機動兵器類の開発と大量生産、それらを運用する大量の人材の教育を求めた。

 具体的なデータに基づく戦略予測をし、しっかりとプレゼンもしてある程度この辺りのコンセンサスは取れた。

 しかし、やはり予算と時間と人手の問題が当初の計画案を破棄させてしまった。

 何せ戦後は軍縮して経済を回さねばならない。

 人類史上最大規模の人類間戦争であり、億単位の人命が失われたのだから尚の事。

 何よりも荒れてしまった地球と破損したコロニーの修復と人々の生活再建は急務だった。

 故にせめて水際防御は完璧に行うべく、連邦軍は地球圏所属の艦隊は最新鋭艦及び機動兵器類で揃える事となった。

 結果的に連邦政府側が当初提案した再編計画に近い形になってしまった。

 

 更に言えばこれは連邦政府及び軍内部の反ジオン感情を持つ者達にも原因があった。

 一年戦争時、ジオンの手により家族や友人、恋人等の親しい相手を失い、場合によっては故郷を滅ぼされた者達。

 彼らの恨みは当然ながら凄まじく、例え太陽系の端っこと言えども自分達の生活を滅茶苦茶にしやがった連中を許す事は出来ず、あの手この手で旧ジオン軍が中核となっている土星基地へとあらゆる妨害工作を行い続けた。

 止めようにも政府高官や軍人がかなりの人数がこれに参加しており、下手に止めると盛大な政争に発展する恐れがあった。

 しかもこれ、下手に止めると「ザビ家を支持した」サイド3市民の方に飛び火しかねなかった。

 そのため、ガス抜きの意味も込めて連邦軍内部ではこの動きをある程度は黙認する事となってしまった。

 が、勿論ながら軍内部で特にそれらしい理由もなくやらかしたのなら盛大に修正され、関わった者は最悪再訓練や降格を命じられるのだが、それはさておき。

 

 こうした理由で予定よりも大幅に遅れてしまった土星基地の戦力配備だが、その戦力は決して脆弱なものではない。

 先ず、人員が一年戦争当時からの生え抜きやベテランが多く、元々MSの運用に長けたジオン兵である事から機動兵器部隊の練度に関しては特筆すべき所がある。

 そうした人員の特性を活かすべく、機動兵器類は最新鋭量産期たるジェガン系やゲシュペンスト系が多数揃えられており、支援用機の数も多い。

 艦艇類も構造的欠陥が多いものの全てが亜光速戦闘対応仕様を始めとした大幅な改修が加えられた事で、問題点の多くを解消している。

 そして旗艦にして戦略級万能戦艦であるエクセリオン級や多数の光子魚雷、そしてグランドキャノンの存在。

 艦艇の更新は地球圏防衛が優先されたために大幅に遅れてこそいるものの、十分に有力な戦力と言えた。

 

 だが、それは土星基地の既存戦力だけでズール銀河帝国に勝てる事を意味しない。

 

 ズール銀河帝国軍がその支配領域を出発した当初、その艦体数は補助艦艇を除いて約1万隻という現在の地球人類からすれば途方もない物量だった。

 それが太陽系に来るまでにU.T.F.や誘因された宇宙怪獣やインベーダー、巨人族に他の大勢力からの横槍によって約3千隻まで減少した。

 そこから外様の被支配領域所属の艦艇のみを集められた先遣艦隊が約500隻で、それが更に妨害によって疲弊していき、現在では約450隻だと推定されている。

 数字上では地の利がある事を考えると、そう差は無いように思える。

 

 だが、幾ら艦隊を撃滅した所で、敵の最大戦力にして最高権力者であるズール皇帝には決して敵わない。

 

 敵艦隊を撃滅し、ズール皇帝一人となった所で、それは地球連邦側の勝利を意味しない。

 寧ろ、そんな状態は敗北と言っても良い。

 負の無限力の化身、宇宙に満ちる悪の思念体であるズール皇帝にとって、自身の配下の艦隊と死した敵兵の全ての負の念を手に入れた状態は正に絶好調。

 個体戦闘能力でこの銀河において五指に入るズール皇帝にとって、今回の遠征は嘗て同類たる他の負の無限力の化身を討った地球人類(より正確にはその先史文明)への雪辱が叶うまたとない機会であり、未だ育ち切らぬ自身の脅威の芽を摘む重要なものだった。

 

 こうした多くの思惑を孕みつつ、遂に土星基地の防空識別圏へとズール銀河帝国先遣艦隊が近づいて来た。

 ここに地球人類主体となる初の対異星人防衛戦争が始まった。

 時は新西暦186年10月10日、太陽系に未だ安息の時は遠かった。

 

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