多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第3話 マーベル世界の地球と接触

 全宇宙の生命体が半減したサノスによる指パッチンことThe Decimation。

 これによる混乱は、地球各国並び各地域に壊滅的な混乱を齎した。

 特に酷かったのは首脳部が丸々消滅した国家や団体等で、この際の混乱は2年経過した現在でも止まらず、無法地帯と化した場所も少なくはない。

 だが、中東等の主要な紛争地域は入り乱れる各民族・各宗教勢力が首脳部や構成員全員消滅するケースが多かったため、今では紛争もかなり沈静化する事となった。

 とは言え、経済的・人命的損失は計算不可能であり、主要各国もまた生き残り、或いは引き継いだ首脳部が思わず匙投げの世界記録更新を続ける程度には絶望的な状況だった。

 

 それでも人類はしぶとかった。

 

 僅か2年、されど2年。

 主要各国は元シールド長官の「コード・レッド」の発動時のマニュアルに従い緊急事態宣言を発令、歯車の欠けた状態ながらも何とか国民の手綱を放す事なく、この難局に対処した。

 結果、現在は辛うじて復興に勤しむ事が許される程度には情勢は安定した。

 しかし、軍事力で少数民族を無理に併合・統治していた国々では内乱・内紛・内戦が勃発し、中華やロシア周辺の地域では独立運動が過熱し、最早収拾不可能となっていた。

 なお、混乱直後は各地で暴動や集団パニックが起きた中、某極東の島国は災害慣れしてるせいか(内心はどうあれ)他国よりも粛々と復興に勤しんでたりする。

 まぁ回避不能予測不可能な災害相手で骨も拾えないとなったので、それをやった相手への殺意はどうあれ、精神の安定を山積みの仕事に求めただけかも知れないが。

 この動きはこの現状の原因となったサノスの殺害がアベンジャーズにより報告されると加速し、今現在は表向き情勢は沈静化した様子だった。

 

 そんな時だった、超巨大な人工物と思われる天体が地球圏に飛来したのは。

 

 一切の痕跡なく現れた人工の天体に対して、各国はてんやわんやだった。

 何せどの国も半減した人口のせいで軍事増強なぞ出来なかったため、そもそも外宇宙からの侵略者に対してはシールド並びアベンジャーズ頼りだったせいで、ろくすっぽ対策していなかったのだ。

 唯一アメリカは偵察ではなく敵対的宇宙人向けの軍事衛星を保有していたが、サノス襲来時に役立つ事は無かったので実情はお寒い限りでしかない。

 そんな所にリアルデススターと思える巨大宇宙要塞の登場である。

 そのサイズ、実に直径約120km。

 月の直系約3474kmよりは小さいとは言え、そこに秘められた軍事力・科学技術においては地球人類の常識の及ぶ範疇ではなかった。

 そんなものがやって来たのだから、各国並び市民達の混乱は当然のものだった。

 

 「一体何なんだアレは!?」

 

 新生した各国首脳部の疑問に答える様に、かの巨大宇宙要塞から通信が入ったのは事件発生から丸3時間が経過した時だった。

 

 

 『地球人類の皆様へ、はじめまして。私達はトランスフォーマー。大始祖たるユニクロン様を頂点とする金属・電子生命体です。』

 

 『我々は貴方方との平和な交流を望んでいます。』

 

 『我々は貴方方との敵対を望んでいません。』

 

 『我々は貴方方に対して多くの資源と技術を提供する用意があります。』

 

 『今後のためにも交渉を行いたいので、交渉のための人員の選定をお願いいたします。』

 

 

 そんな内容が地球で使用されているあらゆる周波数と言語で放送され始めたのだ。

 その内容、そしてこちらの言語が解析されている事に警戒度を更に引き上げつつ、各国首脳部は「どうすべ…」と頭を抱えた。

 米国が「取り敢えずちょっと待って、具体的には一週間位」と半ばヤケクソで全周波数で返答すると、即座に「了解しました。返事を一週間程待ちます。」と至極素直に返信され、ジャックされていた全周波数は元に戻った。

 で、そこから始まったのは関係各位のデスマーチである。

 取り敢えず参考になりそうな対異星文明研究者やSF作家、軍事評論家等が交渉内容やトランスフォーマー達の目的や文明・技術レベル等の推測を行い、交渉内容を纏めていった。

 更に国連主要各国(中華は共産党政権崩壊後は内戦中で新たに日本が参加)はこれまでで最速で合同会合を行い、各国から全権大使を選別、更には特別顧問としてアベンジャーズ内の科学者二人を特別顧問(兼緊急時の護衛)として招聘、もしもの時を警戒して米国内の某所を会合場所として指定して一週間後を迎える事となった。

 

 

 ……………

 

 

 各国大使からなる使節団とその護衛らが屯する荒野において、スタークインダストリー社長トニー・スタークと物理学者ロバート・ブルース・バナーの二人もまたやはり緊張に包まれた状態でその時を待っていた。

 

 「なぁトニー。どう思う?」

 「ブルース、その質問ももう4回目だぞ?」

 

 アベンジャーズの生き残りである二人の間でも今回の事は寝耳に水であり、どうするべきか答えが見付からないでいた。

 

 「なんたって相手はワープ機能を実現してる巨大宇宙要塞だ。我々があの中で暴れても撃退する事なんか不可能だ。相手がその気になれば宙対地爆撃で地球の全文明を薙ぎ払うのも簡単だろうさ。更に…」

 「もし出来たとしても、次はもう不意打ちできない、だろう?分かってるよ。」

 

 この会話も既に4回目であり、二人とも緊張で既にゲンナリとしていた。

 

 「さて、そろそろ時間だな。」

 『指定された一週間後まで、後10分です。』

 

 トニーの言葉に、ナノマシン式アイアンスーツmk85の基部である腕時計型デバイスから二代目サポートAIたるフライデーの音声が響く。

 それとほぼ同時、彼らの頭上の空間が突如歪んだ。

 

 「来るぞ!」

 『空間の歪曲を感知、高度50m。』

 

 護衛の軍人の放った叫びに、フライデーが律儀に返す。

 直後、全長300m近い巨大な質量が出現した。

 

 「フライデー、解析!」

 『全長287m、構造材の解析…データに無し。武装・動力共に不明。』

 

 先日から行っていた解析と同じ結果に、トニーは厳しい視線を頭上に向ける。

 形状で言えば双胴艦、そして分かりやすく搭載された武装類は無しだが、実際はどうだか一切が不明だ。

 自分達の直上にいる宇宙人、平和的な交流を求めているとは言え、その実態は一切の謎に包まれている。

 サノス達の様な無法者でない事はこれまでの対応から明らかになっているものの、それでも宇宙人に対する不安と不信は根強い。

 過激な意見では先制核攻撃で倒すべきだ!という意見が軍部から真っ先に出される程度には、今現在の地球人類は宇宙人に対して負の感情を抱いているのだから仕方ないと言うべきだが。

 

 「ん、何か開いたぞ。」

 

 不意に底部の一部が開き、光を発した。

 その光は大使と護衛から少し離れた位置を照らした後、数秒後に何かがその光で照らされた場所に降り立った。

 SFで言うトラクタービーム、その逆バージョンとでも言うべき代物だった。

 

 「はじめまして、地球人の皆様。」

 

 響いた肉声、そして降り立った者の容姿に、その場の全員が驚きに目を見張った。

 

 「私は皆様の案内役を務めさせて頂くアラナと申します。以後、どうかよろしくお願いいたします。」

 

 肩口で切り揃えられたブラウンの髪、そして露出は一切無い古式然としたメイド服、そしてやや童顔の愛嬌ある少女の容貌。

 その姿は、どう見ても人間の女性にしか見えなかったのだ。

 使節団の混乱を他所に、そこからの話は早かった。

 何もない場所では私達は兎も角皆様には辛いので、私どもにご搭乗くださいというアラナの言葉と共に双胴艦の底部から再度トラクタービームが発射、気付けば使節団と護衛の全員が見知らぬSF的な純白でつるりとした壁の部屋の中にいた。

 

 「先ず最初に予定をお知らせ致します。本格的な交渉は翌々日からとして、それまでは私共の中で私達についての大まかな情報を説明させて頂きます。」

 「その前に、ちょっとだけ聞かせてもらって良いだろうか?」

 

 誰もが驚く中、非常識への耐性の高い(同時にとても非常識な)トニー・スタークが挙手する。

 

 「はい、何でしょうかトニー・スターク様。」

 「美人からならトニーで構わない!…今までの発言から、まるでこの船が()()()であるような口振りだが、それは合っているかな?」

 「はい、合っています。」

 

 どよ、と使節団と使節団が動揺するのに構わず、アラナと名乗った少女?は早速説明を開始する。

 

 「炭素系知的生命体である地球人類の皆様には馴染みが無いでしょうが、私達トランスフォーマーは自分の精神、即ちプログラムを受け入れるだけのメモリーさえあるのなら比較的簡単に身体を入れ替える事が出来るのです。」

 

 その言葉にトニーがやはりな、と思う。

 嘗て自分が生み出したジャービス、そしてウルトロン。

 それらトランスフォーマーとの類似性を素早く見出した辺り、女好きでヴィランメーカーで問題多過ぎでもやはり天才としての才覚は確かなものだった。

 

 「私達トランスフォーマーは元々大始祖たるユニクロン様が生み出した金属生命体でした。」

 

 途端、周囲のつるりとした壁と床がその色を変え、映像を映し始める。

 

 「生み出された当初の私達は単純な思考ルーチンで動く、皆様で言う所のロボットでした。しかし度重なる改良と教育の末に今現在の私達、即ち高度な知性と人格を兼ね備えた存在へと進化していきました。」

 

 それは暗黒の宇宙空間に浮かぶ、一つの人工惑星だった。

 巨大な双角とオービタルリングを備えた機械の惑星。

 その地表面がクローズアップされると、そこにはまるで玩具の様な外見をした多種多様なロボット、アラナの言う最初期の金属生命体の映像があった。

 それらは幾度もの改修と学習を繰り返し、やがてより大きく、より多機能的な機体を獲得し、高度な文明を築いていった。

 

 「私達はユニクロン様の指導の下、あらゆる宇宙を放浪し続け、やがて行く先々であらゆる情報を集め続けるようになりました。」

 

 滅多に観測されない宇宙の自然現象、嘗て滅んだ文明の残滓、今滅ばんとしている文明の叫び、羽搏こうとしている文明の産声。

 そして、こちらを滅ぼさんとする文明の雄叫び。

 

 「とても、とても長い時間、私達は宇宙を放浪し、色んな方々と交流を続けてきました。中には喧嘩別れをしてしまった方々も多いですが、私達と共に行く事を選んだ人々も多いです。」

 

 出会いからの交流、取引や友誼。移住や移民。

 彼らトランスフォーマー達の、地球そのものよりも遥かに長い歴史。

 それらが次々と映し出され、視界一杯に流れていく。

 余りにも壮大なスケールに、使節団は圧倒されていた。

 

 「やがて、私達は光速を超える事も、時空間を跳躍する事も、世界の壁を越える事も出来るようになりました。」

 

 やがて、元いた宇宙が崩壊の危機に至ると、彼らはあっさりと母星たるユニクロンと共にその宇宙から去っていった、

 そして、ずっとずっと旅を続けていく。

 長い、永い、久い間。

 星が生まれて滅ぶよりも永久く、それこそ永劫に近い程に。

 その中を、彼らはあらゆる情報を集めながら過ごした。

 

 「我々トランスフォーマーの至上命題はあらゆる知識の収集です。発展している種族の歴史や文化、技術だけでなく、他愛もない思い出や誰もが忘れてしまった物語等。滅びに瀕した種族、或いは滅んでしまった種族の情報やそれぞれの宇宙に起こる様々な自然現象も含まれます。」

 

 最後にサノスらブラックオーダーとチタウリの艦隊が映し出される。

 互いに兵器を向けあい、一触即発でありながら、しかしサノス自身と代表となった人型トランスフォーマー(威風堂々とした男性型)が互いに代価を出し合う形で戦闘を回避する事に成功していた。

 

 「な…!?」

 

 その様子にトニーとブルースが驚くが、そこで映像は終了し、壁と床が元の純白のそれへと戻った。

 

 「誰もが見向きもしない存在であっても、確かに存在したのだと記録し、後世に残し、伝えていく。私達はあらゆる知識の収集者であり、大始祖たるユニクロン様は永劫に泳ぎ続ける巨大なライブラリーなのです。」

 

 余りの動揺に半ば呆然とする使節団に、アラナは相変わらずの愛らしい容貌のままさくさく話を進めていく。

 

 「本日はここまでです。後は一度皆様をお部屋にご案内します。その二時間後に立食形式でご夕食となります。」

 

 腕によりを掛けますので、お楽しみ下さい。

 歓迎の言葉の筈なのに、どうにもそれを素直に呑み込めない一同だった。

 

 




この後、地球人類の皆様はユニクロン主と謁見してトランスフォーマー側の要求をほぼ満額回答で受け入れます。
軍事・技術・人口で圧倒的に劣ってるからね、仕方ないね。

なお、この後ブルースはアラナの言葉からヒントを得てタイムトラベルを研究しはじめ、最終的に家庭築いて幸せなトニーを巻き込んでエンドゲーム展開に持っていきます。
正し、トランスフォーマー側は協力しません。
サノスとの契約に抵触しちゃいますからね。

ただ、トニーの指パッチン後は即座に治療しに現れますので、トニーは生存します。
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