多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

40 / 188
第2話 真実の一欠片

 少し遅ればせながら、量産型オービタルフレームについて解説しよう。

 

 本来ならば量産型ヴァルチャーとセットで運用する予定のこの機体は、既に説明した通りにヴァルチャーと同様の性能を持つ。

 そのボディはナノマシン群で構成され、例え構成質量の7割を失っても再生するし、自在にその形状を変化させて環境に適応、時間さえあれば分裂して増殖すら可能で、火力においてもヴァルチャーとほぼほぼ同格である。

 では何故16m級のサイズを持つのかと言うと、指揮下のヴァルチャーへのナノマシン並びにエネルギーの補給機能を有するためだ。

 この機体を構成するナノマシン群はヴァルチャーのそれと同質であり、単に構成する数が何倍も多いというだけとも言える。

 その数だけエネルギー出力も高く、その消費し切れないエネルギーを小型のヴァルチャーへと分け与える事が出来る。

 

 その外観はジェフティを基準としつつ、両肩と両足が本家よりも大型化し、アヌビスのものに似たテールバインダーを備えている。

 これはアヌビスの持つ特徴的なバインダーユニット=ウィスプ(打撃・捕縛可能なビット兵器)に搭載されたジェネレーターの発展系を内蔵したもので、通常のアンチプロトンリアクターの他、更に主機関として小型縮退炉を持ち、本家たる二機よりも高い性能を持っている。

 武装面に関しては、アヌビス・ジェフティ二機と同質のものを備えており、通常はメタトロン技術による空間圧縮技術ベクタートラップによって格納している。

 亜光速戦闘向けにアビオニクスやFCS、センサー・レーダー系も改良され、トップ世界基準の戦闘でも十二分に通用する性能を持っている。

 更に通常のエネルギーバリアではなく、空間歪曲や空間断絶、転移障壁等の事実上無限に攻撃を防御・受け流し可能な防御手段を持つ敵に対抗するため、改良型のベクターキャノンを搭載している。

 これはメタトロン固有の空間圧縮効果を応用した兵器で、アヌビスとジェフティ両機も搭載しているが、欠点としてチャージ時間が極めて長く、更に使用の際には機体を固定しなければならないと実戦では殆ど使えない浪漫砲でもあった。

 なので、両肩に基部を背負い、脚部を地面に固定してチャージしてから発射という長い方式を一から見直した。

 大容量バッテリーを備えた機体そのものの倍以上の砲身を備えた大砲。

 加えて、重力・慣性制御を応用しての空中や宇宙での機体の固定を行う事で接地する必要を無くした。

 また、チャージそのものも最大出力のみでの使用のみならず、大型艦艇向けの低出力での使用も可能となっている。

 更にテールバインダーを砲の後部へと繋げる事で、ジェネレーターから直接エネルギーを供給するのみならず、他の同型機からのエネルギー供給を受ける事も出来る。

 こうした改良と工夫により、本家よりも高出力でありながら短い時間で発射可能となっている。

 なお、ロマンが減った!と嘆く者もいたが、実用性を犠牲にするな!と怒鳴り返されたという。

 

 さて、先の事件では最後に活躍したこいつらだが、連邦・ジオン両軍が戦っていた時、何をしていたかと言うと……フォールド中だったゼントラーディ艦隊に襲い掛かっていた。

 トップ世界でそうであったように、ワープ技術を実用化している勢力でもワープ中の襲撃を考慮した勢力は殆どいない。

 これはワープ全般の超長距離を一気に移動する性質上、襲撃・追跡側が圧倒的に不利なので仕方ない事なのだが、それでも大抵の勢力はワープ中の襲撃を考慮せず、TF艦隊がこれを使うと敵は大抵の場合大損害を被る事となる。

 それだけ技術的にも難しく、また対策が取りづらいものなのだ、ワープ中の敵への攻撃とは。

 彼ら以外にこれが出来るのは、あの物理法則を書き換える超能力を持った宇宙怪獣か、或いはそもそも物理法則に縛られない存在位のものだ。

 事実、フォールド中に襲撃を受けたゼントラーディ艦隊は壊滅し、僅かな残党と先遣艦隊の一部しか地球圏に到達できなかった。

 そんな量産型無人オービタルフレーム部隊だが、現在は地球圏の最終防衛ラインとして2億近い数が位相空間内に待機中である。

 

 彼らの次の出番は、もう暫く先になるのだった。

 

 

 ……………

 

 

 木星 アステロイドベルト某所 A.I.M.グループ秘密ドックにて

 

 

 唐突に、Sfが主たるトレミィへと話し掛けた。

 

 「そんな彼らですが、先日変なものを発見したそうです。」

 「変なもの?」

 

 現在、中破に近い状態まで追い込まれたプトレマイオスは絶賛大改装の真っ最中にあった。

 今までは過剰な装備は外敵を呼び込むと考え、ある程度制限してきたのだが、ここに来て「このままでは負ける」とトレミィらは痛感、大掛かりな改装へと踏み込んだ。

 とは言え、プトレマイオスはナノマシン製なので、全体の図面データを読み込み、必要なだけのナノマシンを追加すれば良いのだが。

 それはさておき、今は別の話題である。

 

 「こちらになります。」

 

 表示された空中スクリーンには、機械で出来た獅子の姿があった。

 

 「極東地域にて民間人と接触した際に機体内に保護していた赤子を預けています。また、この獅子型ロボットは以前旧東京シティにメテオ3郡が落着した直後にその姿が確認されたとの報告もあります。」

 「初耳なんだけど?」

 「映像資料もなく、目撃者による口述しかありませんでしたので。また、当時は我々も忙しかったのです。」

 「…今度は怪しげな情報はちゃんと報告してね。」

 「ムーみたいな報告書になるでしょうが、了解しました。」

 

 その後の獅子型ロボの行動は奇妙なものであり、その後は再度地球圏をワープで抜け出し、何処かへと超長距離ワープしていった。

 

 「ワープ先は?」

 「現在こちらの索敵には引っかかっておりません。ですが…」

 「必ず来るでしょうね、また地球に。」

 

 あの獅子型ロボ、ギャレオンはそのために作られたのだから。

 自分が作られた三重連太陽系「緑の星」がゾンダーにより滅ぼされ、赤子を連れて遠い地球へと落ち延びてきた。

 そして、この星にもまたゾンダーの影があると知り、戦いのための準備をしているのだろう。

 

 「獅子王凱氏でしたか。連邦管轄の宇宙開発公団に属してします。」

 「既に形骸化していたのを、獅子王兄弟が絡んで息を吹き返した処ね。」

 

 ガオガイガーの主人公である獅子王凱、その父の獅子王麗雄と叔父の獅子王雷牙。

 後者の二人はA.I.M.グループとして以前から勧誘していた人材なのだが、企業ではなく敢えて落ち目の宇宙開発公団に所属する等、少々変わり者だった。

 この宇宙開発公団、宇宙移民が本格化するまでは宇宙関連技術の開発において多くの功績を上げていた。

 だが、宇宙開発が大凡軌道に乗った頃にはほぼ形骸化しており、A.I.M.グループを筆頭に各企業群の宇宙開発がドンドン進んだ事もあり、この二人が入るまでは各企業の宇宙開発関連技術の検証並び資料類の保管庫程度の扱いだった。

 それをこの二人が無茶苦茶やって盛り上げて、今では一端の宇宙開発技術の開発元となっている。

 

 「で、息子さんは?」

 「まだ生身ですね。」

 「んー?もう東京にあん畜生は落ちてるんだよね?」

 「えぇ。巧妙に偽装されていますが、恐らく。」

 

 では、彼の乗るシャトルは何と遭遇して事故を起こし、ギャレオンに助けられるのだろうか?

 

 「あーやだやだ。また厄介事の気配とか。」

 「仕方ありません。私達の任務は、そもそも達成困難なものですから。」

 

 それはさておき。

 

 「で、発表の用意は?」

 「いつも通り。武蔵がしっかりやっています。」

 「これで何の変わりも無ければ、本当に本国への救援要請送るつもりだけど、どうだろ?」

 「本質は変わりないでしょう。」

 

 どんな戦乱の最中にあっても変わらないからこそ本質と言う。

 しかし、そうでない部分は?

 

 「人類はしっかりと自分で歩くでしょう。所詮、私達は補助輪でしかありません。」

 「だと良いけどねー。」

 

  

 ……………

 

 

 プトレマイオスが大改装していた頃、地球でもまた大騒ぎが(A.I.M.グループによって)起きていた。

 

 

 「A.I.M.グループ地球本社所属調査隊が異星人の都市型移民船を発見した事を、ここに発表します。」

 

 

 切っ掛けは巨人型異星人の艦隊の残骸を連邦並び各企業群と共に回収・調査・解析していた最中の事。

 ワープアウト、正確にはフォールドアウトしてくる際のエネルギーをより精密に探知しようと地球のA.I.M.グループ本社にてセンサー・レーダー群を設計中(という事になっている)の時、偶然・たまたま・運良く微弱な反応を感知した。

 反応のあった海域の海底を調べた所、巨大な都市型移民船が発見された。

 しかも、この移民船は未だ生きており、自ら浮上すらしてみせた。

 都市管理用AIの要請により縮退炉を接続、エネルギーの供給を万全にした所、多くの事実が判明した。

 約2万年以上も昔、人型種族「プロトカルチャー」がこの星へと降り立った時に使用していたのがこの都市型移民船である事。

 巨人型異星人はプロトカルチャーに作られた戦闘用奉仕種族であり、文化的な行動が出来ないように制限されている事。

 また先史銀河文明、プロトカルチャーの時代に単体生殖が進んだ結果、男と女が争い始め、巨人族もまた二つに分かれた事。

 地球人の祖先である類人猿も彼らの遺伝子操作を受け、現在の地球人類が知るモノへと進化していったのだと言う事。

 また、現在の所プロトカルチャー達の持っていた「文化」を継承しているとされるのは地球人類のみであり、それを狙って二つの巨人族双方が太陽系に攻めてくる可能性が高いとも伝えられた。

 他、多くのプロトカルチャー由来の技術が発見されたが、その解析には今暫くの時間が必要となるため、詳細な説明は省かれた。

 まぁ、現状では他に何を説明した所で受け入れられないだろう。

 何せ、太陽系に住まう地球人類は、この情報により完全にパニック状態に陥っていたのだから。

 

 

 この日、突然の発表に太陽系全域が未曾有の混沌に突き落とされる事となった。

 この混乱を納め、後の対応を練るに当たって、連邦政府首脳部や経済界は大いに頭を痛め、奔走する事となる。

 同時、この混乱をこそ利用せんと蠢く者達もいた。

 

 

 




Q 何で復興進めてるのに混乱させるの?
A ここらで危機感煽っとかんと日和る輩が出るじゃろ?そういう事じゃ。
  ついでに地球内部の敵対的異種族が出てきやすい隙を作って、行動を誘引する。

Q 誘因して出てきたら?
A 対異星人相手の前哨戦にされます。早すぎor強すぎたら量産型OF部隊が後始末。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。