多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第3話 新型機開発スタート

 太陽系全土で今後どうするべきかで意見が紛糾している頃、連邦軍は冷静だった。

 

 「異星人と交渉するにしろ、戦うにしろ、どちらにせよ軍事力は必要だ。」

 

 戦うのは勿論、交渉するための背景として軍事力は必須だった。

 交渉というのは軍事力で解決できない、或いは損失が利益を上回る場合にこそ発生するのだから。

 そういう訳で、連邦軍は新兵器開発へと進む事となるのだった。

 

 「では、当社から色々と提供させて頂きましょう。」

 

 そう言って、A.I.M.グループがまた色々しようとしたのだが…

 

 「いえ、ここは私共が。」

 「いえ、私が!」

 「私こそが!」

 「「「邪魔すんな!」」」

 

 今更ながら復興需要の多くを掻っ攫っていったA.I.M.グループの底力を警戒してか、各企業群が連携して巻き返すべく、連邦軍新型兵器開発計画に参入してきたのだ。

 

 「大歓迎です。よろしくお願いします。」

 

 こうして、連邦軍は治安維持・災害対策部隊としてでなく、本格的な対外戦争のための軍隊として生まれ変わっていく事となる。

 

 「我々も混ぜてもらおうか。」

 

 そして、戦後のドサクサに紛れて結成されていたメテオ3郡調査委員会(後のEOTI機関)率いるビアン・ゾルダーク博士他多数の科学者・技術者らも参加し、更には元ジオン所属の技術者・科学者・軍人も招かれ、地球連邦軍設立以降類を見ない大規模な開発プロジェクトがスタートしたのだった。

 このプロジェクトは後に「イージス計画」と呼称され、太陽系地球人類共通規格たるユニバーサルコネクターや各サイド・各星系に設置される戦略兵器グランドキャノン、初の次世代型恒星間航行宇宙戦艦エクセリオンを始め、多くの新技術・新兵器が開発される事となる。

 

 

 ……………

 

 

 対異星人向けのMS並びロボット兵器開発のため、北米の地球連邦軍ラングレー基地にて、一年戦争に参加した多くのエースパイロットらが再び一堂に会していた。

 アムロとシャアもまた、その場で再会する事となった。

 

 「良かったのか、シャア?」

 「あぁ。ララァも納得してくれている。」

 

 イージス計画に参加すべく派遣された元ジオン軍人やミノフスキー博士らを筆頭とする技術者・科学者達。

 彼らは皆、復興の最中のジオンを支えるため、或いは家族との生活のための資金を稼ぐべく、この場に来ていた。

 シャアを始めとした一部は、政治的な思惑もあったが。

 

 「ジオンの方は今どうなってるんだ?」

 「復興の真っ最中だ。何せ全てを軍事に振り向けていたんだ。水と空気に困る事は無くなったが、賠償金の支払いもあってカツカツさ。」

 「でも、食うに困る事は無いんだろう?」

 「そこだけは幸いだな。」

 

 既存の農業用コロニーの他、水・空気の生成・循環プラント搭載コロニーにより、生活は以前よりも改善されつつあった。

 但し、一般工員の給料に関しては戦中よりも低くなっている。

 それでも格安の食料品等が多く入るようになっており、苦しくても決して生活できない状況にはなっていなかった。

 これは再度の蜂起を警戒した連邦の政策であり、他コロニーへの見せしめの意味もあった。

 

 「俺らの家族を殺した連中が、何でああも幸せに暮らしてるんだ?」

 

 こういった声が広がり、迫害の流れが起きるのもまた連邦政府の警戒対象だった。

 これは地球上で被害にあった人々にも言えた事で、ジオンはもう何年かは自らの行いに対して禊をする必要があった。

 例え指導者により煽られた結果とは言え、そんな指導者を選んだのは彼らの民意故なのだから。

 

 「軍備に関しては戦艦はチベとムサイを改装。旧型艦は皆退役か解体、或いは非武装化した上で民間に売却予定だ。」

 「MSは?」

 「半数近くが解体と売却だな。今後はゲルググとその派生型に絞るそうだ。」

 

 現在のジオンは復興こそが最優先課題であり、異星人対策に関しては連邦政府の指示を仰いだ後、それに追従する予定だった。

 最後のア・バオア・クー決戦時、ジオン単体では太陽系の防衛など夢幻だと実感していたが故だった。

 

 「ララァも私も、今後もNT研究には参加していくつもりだが…。」

 「余り乗り気じゃない?」

 「まぁな。彼女と婚約した身だからな、私は。」

 

 自分の妻となる女性に鉄火場に近い場所にいてほしくはない。

 男として、夫として当然の感情だった。

 

 「取り敢えず、ここにいる内は仕事をしよう。気は紛れるし、遣り甲斐のある仕事場だよ、此処は。」

 「その様だな。」

 

 二人の視線の先、演習場で大暴れしている二機の機動兵器が模擬戦を行っていた。

 一機は青い塗装を施されたフレモント・インダストリー社(以降FI社)製のアサルトドラグーンと言われる種別の新型人型兵器、ソルデファーである。

 それと対戦しているのはZ&R社製のヴァルキュリアシリーズと言われる種別の新型人型兵器、スヴァンヒルドである。

 前者は元々航空兵器開発から、後者は戦車開発からロボット兵器開発に参入しており、前者は機動性を、後者は火力と装甲を重視している。

 共にMSの技術に自社の蓄積したノウハウを盛り込んだ機体であり、性能は良好だった。

 但し、良好であるだけだった。

 

 「やはり決め手に欠ける印象だな。」

 「まぁ、こればっかりはな。」

 

 ソルデファーはビームマシンガンにロングバレルのレールガンを、スヴァンヒルドは通常の砲やグレネードを主兵装としている。

 機動性・反応速度・装甲・出力と、全てにおいて一年戦争に参加したMSと比較しても高水準に纏まっているが、それだけなのだ。

 圧倒的物量と高火力・高耐久を誇る大艦隊、それに搭載された高い機動性と多数のミサイルやビームキャノンを搭載した機動兵器に対して決め手となるものが無かった。

 

 「っと。」

 「あっちは期待大、か。」

 

 不意に二人の頭上を影と共に豪風が吹き荒れる。

 この基地の演習場上空もまた、試作機の模擬戦が行われていた。

 

 「YF-0フェニックスか。」

 「可変機という事だが、想像以上の機動性だな。」

 

 後のVFシリーズの祖となる全領域対応人型可変戦闘機。

 その試作一号機が空を舞い、模擬戦闘だが本格的なドッグファイトを行っていた。

 

 「クラウドブレイカーか…。」

 「やっぱり嫌か?」

 「まぁな。」

 

 その相手はクラウドブレイカーⅡ。

 機動兵器向け縮退炉を搭載し、つい最近イスルギ重工ならびにメテオ3郡調査委員会により開発されたテスラ・ドライブにより重力制御と慣性質量を個別に変動させる事で更に高い機動性と耐G能力を獲得、更に新規に搭載されたディストーションフィールドによって空力抵抗を軽減、マグネットコーティングも採用して反応速度も向上、操縦系統も連邦製MSと統一し、武装面もより対機動兵器を主眼としたものへと変更されている。

 序にエース向けにはリミッターを調整し、以前ヤザンが見せた超高機動状態も再現できる。

 既に購入した機体を改修するだけなので、財布にも比較的優しい機体だった。

 

 「他にも二機か。」

 「あちらはステルンクーゲルにリオンだったか。」

 

 どちらも航空機から発達した機体であり、前者なクリムゾングループが、後者はイスルギ重工が開発した機体だ。

 ただし、どちらもロボット兵器としては問題があった。

 

 「コストも低い。生産性も高い。操縦性も良い。しかしだな…。」

 「どっちもモドキなんだよな。悪い機体じゃないんだが…。」

 

 どちらも人型と航空機を混ぜた様な、似たシルエットを持っていた。

 技術交流もあるのだから当然なのだが、どうしても収斂進化にも似た事態が起こっていた。

 

 「ま、これだけ色々作ってるんだ。良いものに仕上げていこう。」

 「中々に手間がかかりそうだが……何、うちの連中も重機からMSを作ったんだ。やってみるさ。」

 

 こうして、地球の兵器開発はどんどん進んでいくのだった。

 

 

 ……………

 

 

 A.I.M.グループ探索部門 調査中のプロトカルチャー製都市型移民船内にて

 

 「こんにちわ。」

 『こんにちわ。』

 『こんにちわ。』

 

 人ではない、しかし知性を持った存在三体が一堂に会していた。

 

 『で、貴方方としてどんなスタンスなのか知りたいのだけど、良いかしら?』

 『了解。こちらとしては今後も人類には文化的活動を維持しつつ、発展して頂きたい。』

 『了解。私としては地球人類には可能な限り平和的にその活動を維持・発展してもらいたい。』

 『…思いっきり攻められてるのに?』

 『そちらの意見では現状に対応できるとは思えません。回答を要求します。』

 『私のスタンスは変わらない。それが創造主による任務だからだ。』

 『でも、貴方の言う通りにしたら、人類は滅亡してしまうけど、それで良いの?』

 『プロトカルチャーの系譜を、状況に即しなくなった古い命令で絶やすのですか?』

 『…それが我が使命なればこそ。』

 

 トレミィ、都市型移民船の管制AI、そして鳥の人。

 三者の意見のすり合わせは、こうして始まった。

 

 

 

 

 




 なお、鳥の人の態度次第では量産型オービタルフレーム部隊が出撃する模様。
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