多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第7話 イージス計画始動

 新西暦181年、4月。

 連邦政府首相に就任したレビルは持ち前のリーダーシップと英雄としての名声をフル活用して改革を進めていった。

 

 民間においては各地、特にコロニー並び太平洋沿岸地域と各地でジオン・連邦双方の戦場となった欧州・中東・アフリカがその焦点となった。

 ジャブローのある南米に関しては、定期便とジャブロー攻略部隊の侵入を許した以外は殆ど侵攻できず戦中の時点で復興がほぼ完了しているため、他所の方に注力された。

 こちらに関しては既にしてA.I.M.が現地自治体と素早く交渉して仕事を請け負い、肝心のインフラや道路、仮設住宅の設営等を大量に生産した各種作業用ロボット群「レイバー」によって素早く着工・完了している。

 これに対して前政権時代から担当者へとリベートを送っていたアナハイムからすれば大損させられた結果となり、連邦政府としてもこれには配慮すべきとする意見やA.I.M.グループの勝手な行動を非難する声も上がった。

 が、そんなもの馬耳東風とばかりにレビルは方針を伝えた。

 

 「一企業のみに任せては癒着や不正の温床となるだろう。A.I.M.は今後、復興関連事業には今期契約済みの仕事を除いて撤退してもらおう。」

 

 A.I.M.グループは笑顔でこれを受け、アナハイムはこれに喝采を上げかけたが、現実は甘くない。

 同じように初動で負けた他の大企業群がここぞとばかりに動いたため、戦前・戦中に予想されたよりも復興事業に食い込めなかったのだ。

 それでも十分黒字だったが、想定していた利益を思えば、まるで足りていなかった。

 文句を言おうにも平等に対応しただけのレビル首相に物言いはしにくく、リベートを受け取ったのもあくまで前政権所属の官僚であり、必要以上に過ぎたリベートを受け取った官僚らは既に閑職へと送られていた。

 これがゴップ大将の言う「共生関係にある寄生虫」なら兎も角、彼らは欲をかき過ぎたのだ。

 が、宇宙では新型のエーテル機関搭載前提のコロニーの生産と注文が一年戦争初期での経験からひっきりなしであり、これにはアナハイム他多くの企業群や労働者もにっこりだった。

 これに加え、ネルガルが新規に相転移エンジン搭載のDF展開可能かつ重力制御による非回転型コロニーを発表すると、比較的コストの低いエーテル機関搭載コロニーか、緊急時の防御力もあって重力制御により更に快適な相転移エンジン搭載コロニーとでどちらを購入するかで各サイド行政府は大揉めする事となる。

 対してA.I.M.グループは正直赤字同然だった強引かつ早急な地上復興から離れ、新型機開発を始めとした軍事部門へと注力していく。

 

 「現在、連邦宇宙軍で採用中のMSや艦艇では異星人に対して力不足だ。新型開発並びそれまでの繋ぎとして既存兵器のアップデート。加えて戦略兵器の開発を開始する。」

 

 あのア・バオア・クー攻略戦における奇襲を受け、連邦宇宙軍は力不足を悟っていた。

 無論、サラミスやマゼラン、ジム系列が弱い訳ではない。

 余りにも敵が強過ぎたのだ。

 そこで目を付けたのがコロニーレーザー、そしてヨルムンガンドと艦隊防空仕様ムサイである。

 

 「これら巨大な戦略兵器群を各サイド・各星に配置し、侵攻してくる異星人に対する切り札とする。」

 

 コロニーレーザーもヨルムンガンドも艦隊防空仕様ムサイも、全て急造品・試作品である事は否めない。

 それを現在の太陽系の技術で改めて作り出せば、どれ程の性能となるのだろうか?

 それらを検証すべく戦後直後のサイド3駐留艦隊は多くの技術者らも同伴しており、これら戦略兵器の解析・検証は連邦軍にとって今後のための死活問題だった事が伺える。

 未だ設計段階だが、多数のエーテル機関に縮退炉、太陽光発電パネルを用いて発電し、ある程度連射の可能とするコロニーレーザー或いはそれに匹敵するビーム兵器が予定されている。

 この運用には専用の機材を多数積んだコントロール艦に加え、防衛戦力として新設される艦隊群が予定されている。

 また、ジオン公国時代にはコストの問題で見送りにされた拠点防衛用MAの再設計品か現在開発中の特機を配置する事も考えられていた。

 これに加え、太陽系全体への配備までの繋ぎとすべく既存の戦略核弾頭もジャブローの保管庫から出され、より高威力・広範囲になるMk.82弾頭への換装が進められ、連邦宇宙軍へと配備されていく事となる。

 これらの他にも旧型の戦術核弾頭等も対異星人装備として配備され、運用にはジオンのザクⅡC型を参考に改良を加えられたジム核武装仕様として1個中隊が配置された。

 しかし、Mk.82の運用に関しては明らかにジムの改装では追い付かないため、既存の大型弾道ミサイルの流用も考慮されたのだが、これにはアナハイムからの提案もあり、後に専用のMSを開発する事となった。

 

 次に、宇宙の主力となる戦闘艦艇並び艦載機なのだが……揉めていた。

 一先ずは既存戦力のアップデートで時間を稼ぎ、その後に改めて新型艦や新型MS等を配備する予定なのだが、既にして合同開発兼コンペとなっている次期主力機開発は取り敢えず置いておくとして。 揉めたのは艦艇についてだった。

 

 「異星人の戦艦は強力だった。特にあの旗艦、防御力も火力も尋常じゃなかった。」

 「そうだ。あれを撃破可能な艦艇がほしい。」

 「でも、それだと艦載機運用能力が下がるのでは?」

 

 艦艇の更新・改良ごとに毎度の如く起きるリソースの取り合い。

 しかも今回は人類の存続がかかっているとなっては揉めない筈はなかった。

 

 「取り敢えず、サラミス級に関しては複数の改装案を採用しません?」

 「どういう事かね?」

 「機能ごとに役割分担するんですよ。艦載機運用・艦隊砲撃戦・快速パトロール艦って具合に。」

 「艦載機運用はコロンブス級の改装型ではダメかね?」

 「弱いじゃないですかコロンブス。艦隊組むの前提なら兎も角ねぇ…。」

 「艦隊砲撃戦仕様となると…既存艦からどう改装する?」

 「先ず主機関はどうする?エーテル機関か相転移エンジンか、それとも縮退炉か。」

 「取り敢えず、DFは搭載しましょう。あれがあればビームやレーザーは殆ど効きませんし、実弾もある程度までは防いでくれます。」

 

 こうして、連邦宇宙軍艦隊再編計画はスタートした。

 イージス計画の内、これら戦略兵器の配備並び艦隊再編計画が一応の合意を得るのは新西暦187年までかかるのだった。

 

 

 ……………

 

 

 地球某所 位相空間内 秘匿ドックにて

 

 「早いわね、改装。」

 「そりゃまぁ得意ですから。」

 

 えへん、と胸を張るトレミィの姿にほのぼのしつつ、ユングは視線をドック内のエクセリオン級へと向けた。

 現在、大気圏内並び海中での運用、そして位相空間への潜航と浮上を前提とした外装を接続している所であり、外観は大きな開閉式のウイングスタビライザーが左右に接続されている。

 また、艦載機として予定しているシズラーシリーズ一個中隊もまた改装を終え次第搬入予定だ。

 実質A.I.M.グループの秘匿戦力として運用する予定となっており、人員はナノマシン式自動人形が詰め、最高指揮権はユングが握る事となる。

 お仕事は主にこの地球上で未だ連邦軍や初期スーパーロボットが敵わない敵勢力の撃滅であり、場合によっては宇宙怪獣とも戦う事となる。

 

 「ここは元々私達の旗艦の修理なんかを担当する予定だった工作艦でしたからね。暫く前から地球防衛用の絶対防衛線担当としてずっとここにいますけど。」

 「へぇ…。」

 

 恒星間航行大型戦略工作艦ドゥーベ。

 それがこの艦の名前である。

 ドゥーベは北斗七星の一つであり、天文学者プトレマイオスの作ったトレミーの48星座の一つである大熊座に属する。

 本来のこの系統の艦の役割は前線における損傷した艦艇並びマシーン兵器の修理と補給である。

 全長14kmもあり、エクセリオン級なら難なく格納可能で、早期の修理・補給・改装を可能としている他、独自に機動兵器の工廠を持っている。

 が、対宇宙怪獣ではそんな事する暇もなく大抵轟沈・撃沈するし、修理するには長距離ワープして地球や月面、火星辺りに帰還してドック入りすれば良いと判断されたため、余り活用される場面は無かった。

 だがその修理・補給能力は本物であり、TF達の梃入れもあって帰還する艦艇やマシーン兵器らが多くなると、途端にその出番が多くなっていった。

 このドゥーベはプトレマイオス同様にそうしたエーテル宇宙の艦艇をナノマシンでコピーした物であり、欠点であった大型サイズでありながらも戦闘能力の無さを艦載機である量産型OFで補っている。

 OFを運用するにあたり、メタトロンによる精神汚染対策に生体式自動人形はおらず、全員がナノマシン式自動人形で揃えられている。

 また、メタトロン取り扱いエリアは基本的に生身の人間は立ち入りが禁止されている。

 火星で発掘されたメタトロンは一度この船に運び込まれ、ナノマシンにより加工され、OFが生産されていく。

 生産が完了したOFは順次位相空間へと出ていき、そこで出番が来るまで休眠状態で待機している。

 極めて高い加工精度が求められる事から月産10体が限度だが、通常のMSやマシーン兵器ならば材料さえあれば月産500は固い。

 現在ユングが滞在しているのがこの艦の乗客向け宿泊区画である。

 その心地良さは一流ホテルに匹敵し、ユングは快適さの余りここが何処だか忘れかける程だった。

 

 「で、私が乗る予定の機体は何処?」

 「こちらになります。」

 

 示された格納庫には、約130mのシズラーシリーズからすれば半分にも満たない50m程の機体が鎮座していた。

 

 「暫定名称は試作機としてシズラー0。縮退炉一つに予備としてゲッター炉を搭載しています。」

 

 それはブラックゲッターに似たシルエットを持っていたが、シズラーの系譜であると分かる特徴的な頭部のデザインはそのままだった。

 が、ゲッターロボに強く影響を受けているのか、両肩にはトマホーク生成口が存在し、胴体も寸胴、手足の太さもほぼ一定など、実に古臭いデザインが見られた。

 なお、マント状のウイングは無く、通常のシンプルなバックパックと肩部装甲に内蔵されたスラスター、そしてテスラ・ドライブが主な推進方法である。

 

 「武装は頭部にバスタービーム発射口、肩部のランサー生成口に腹部マルチロックオン拡散・収束切り替えゲッタービーム砲、両前腕にバルカンブラスター、サイドアーマーにチェーンアンカーを装備しています。」

 「ランサーが出てくるのが何で肩なのかしら?」

 「あれ、組み付かれた時の隠し武器としても有用でして。後、バルカンブラスターの弾頭は通常弾頭です。」

 

 が、炸薬は安心驚愕のA.I.M.製であり、弾頭の素材がスペースチタニウム=ガンバスターの装甲材質なので威力に関してはお察しである。

 

 「このサイズなのは他の殆どの特機が大体このサイズだからです。」

 「競合させるなら、ある程度揃えようって事ね。」

 

 事実、初代ゲッターロボは全長38~20m、ゲッターロボG系が約50mと、その性能を考えるにとても小さい。

 他はガンバスターの頭頂高が200m、シズラーが130m、ダイターン3が120m、イデオンが105m、グルンガストが48.7m、有名なマジンガーZが24mと随分差が大きい。

 そして殆どのスーパー系の敵メカが含まれるのが大体50~100mであり、バッフ・クランもこれに含まれる。

 そういう意味では本家シズラーのサイズが理想的なのだが…問題があった。

 

 「お役所って、割と前例主義的な所がありまして…。」

 「先ずはこのサイズから徐々に大きくしろって事ね…。」

 

 連邦軍で運用されていたMSは20mにも満たない程度が殆どであり、大型兵器との交戦経験もMAや艦艇が精々とあらば、いきなり超巨大な人型兵器は運用するにしてもそのための施設が無いために困難になってしまうだろう。

 

 「大型の機体を運用できる巨大な戦艦って、太陽系では私達以外持っていませんから…。」

 「何時になったらエクセリオン級作れるかしら?」

 「3年以内には建造開始しますので、それまでお待ちくださいとしか…。」

 「前途多難ねぇ。」

 

 こうして、新西暦181年の春は過ぎていった。

 

 

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