多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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開発は進むよ何処までも。


第9話 特機開発競争の始まり

 新西暦181年 夏 極東地域

 

 メテオ3群の落着により首都が壊滅、発生した津波によって太平洋沿岸地域が大きな被害を受けたこの地域も、インフラの復興と仮設住宅の建設は既に完了し、現在は一般住宅の建設ラッシュが始まっていた。

 そんな動きを他所に、ここ極東地域では高い技術力や新エネルギー開発を行っている個人や民間の研究所へとA.I.M.グループが支援を行い、MSよりも遥かに高性能な人型兵器の開発に取り組んでいた。

 その中でも既に形となっているのが3機種あった。

 一体は早乙女研究所からプロトゲッターロボ1号。

 塗装されていない純白の機体で、外見はゲッター1だが、未だにゲッタービームとトマホークしか武装がない上に変形・合体・分離機能がないし、搭載されているゲッター炉も一基だけである。

 二体目はA.I.M.グループからプロトシズラー。

 先日説明した通りの機体だがその完成度は高く、コストにさえ目を瞑ればこのまま量産しても大丈夫な程度には実用性も高い。

 そして三体目がビッグモス。何と地球連邦軍極東方面軍からである。

 獣形態・人型形態・車両形態へと変形する上、サイコミュから発展した独自理論による「野獣回路」なるシステムを搭載している。

 この回路は理論上パイロットの怒りや闘争心をエネルギーに変換し、更には機体と同調させる事すら可能となる。

 が、パイロットの精神力頼りな所が大きく、更には一人の操縦では今一つ安定しないため、縮退炉を搭載した上で複座式にする事が検討されている。

 他にも民間開発では兜十蔵博士のマジンガーや破嵐グループのダイターン、地球連邦政府の支援を受けた南原コネクションからはコンバトラーが、ビッグファルコンからはボルテスがそれぞれ発表された。

 これらは言うまでもなく全てが試作機であり、未完成だ。

 しかし、A.I.M.グループの後押しでその開発は史実よりも進んでおり、何れは日の目を見る事となるだろう。

 本来なら一か所に集めて試験運用や競合等をしたい所なのだが、何処も「未完成品を出す訳にはいかない」と拘りを見せて自分の所の研究所から出したがらなかった。

 これは未だ技術が足りず、安定して稼働できない機体を見せたくない開発陣のプライドからだった。

 既に設立段階からA.I.M.グループ肝いりだったゲッターロボに関しては実機試験段階に移っているが、こちらはこちらで相変わらず性能を上げる事に腐心しているせいでパイロット殺しと言っても過言ではない機体になっていたので、パイロットが極端に限定されていた。

 

 『そら、行くわよ!』

 『くそ、デカいのにこんな…!』

 

 そのため、テストパイロットの早乙女達人は現在訓練中であり、A.I.M.グループ極東支部の持つ演習場にてシミュレーターと実機訓練の双方でユン・グローリアスに良い様に扱われている。

 これにはトレミィも呆れ、急遽テスラ・ドライブを搭載してパイロット保護並びに機動性の強化へと繋げると同時、生産中のプロトゲッター2号・3号の完成を急いでいる。

 が、後にプロトゲッター三機でもユングの駆るプロトシズラーに勝てない事からこの仕様での生産は見送られ、後の三体合体・変形・分離機能を持った本家ゲッターが開発される事となる。

 また、他所の特機としてテスラ・ライヒ研究所のグルンガスト零式の完成も知らされているが、そちらは北米にあるため、極東までは遠いからとお祈りメールをされている。

 そんな訳で、無敵のスーパーロボット軍団にはまだまだ遠いのだった。

 

 

 ……………

 

 

 「で、我が社の特機はこれです。」

 

 いつもの北米のラングレー基地にて。

 唐突にネルガル重工とクリムゾングループ、イスルギ重工の担当者が持ってきた代物があった。

 

 「名付けてジガンスクード!」

 「広域展開可能なDFとグラビティブラストを搭載!」

 「それだけでなく要重力波ビームにより、受信アンテナ搭載機にはエネルギーを送信して常時補給可能!」

 「拠点防衛用特機としても申し分ない性能を持っています!」

 

 そう言って見せられたのは史実のジガンスクードである。

 ジガンスパーダの様な4門の主砲を持ったMAではなく、きちんと人型をしている。

 両腕に持つ巨大な盾(大型DFジェネレーター搭載)によりバランスが悪く、テスラ・ドライブ無しでは大気圏内運用は不可能なバランスをしている。

 しかし、拠点防衛用の特機としては文句ない火力と装甲、パワーを持っている。

 武装面も胸部GB、多連装ミサイルランチャー、腰部レールガン、頭部80mmバルカン、更に頑丈なシールドを衝角とした格闘も可能と、中々に整っている。

 指揮管制機能もあり、複座ならば防衛部隊の指揮官機としての役割も十分こなせるだろう。

 なお、当然ながら縮退炉搭載が前提である。

 

 「欠点は鈍い事です…。」

 「デカいから攻撃できない死角がありまして…。」

 「友軍機との連携が前提です…。」

 「まぁワンマンアーミーじゃないんですし、良いのでは?」

 

 色々言ったが、要はこの機体はグレートジオングを現在の技術で再現したものなのだ。

 特に指揮管制機能や補給能力を持たせた辺りにそれが垣間見える。

 武装とDF担当がネルガルで、機体そのものはリオン系列の発展形なのでイスルギ、その他内装系やセンサー・レーダー等がクリムゾングループ(に就職した元プラント技術者含む技術チーム)が担当している。

 どうやらあの特徴的な鶏冠状のブレードアンテナが備わっているのは、プラントからの伝統らしい。

 割り切った運用を目標にしているためか、約70mのサイズの割に生産性も悪くない。

 三企業のガチぶりが見える本当によく練られた機体だった。

 

 「そして、これが私の開発したプロトタイプ・ヴァルシオンだ!」

 「どっから運び込んだんですかねこれ…。」

 

 ビアン博士が堂々とその巨体をお披露目してくれた。

 縮退炉を主に大型プラズマリアクターをサブに持ち、DFにテスラ・ドライブ、武装はクロス・スマッシャーという強力なビーム兵器だけでなく、広域重力兵器たるグラビトンウェーブを持つこの機体は威圧感たっぷりな外見もあって、正に究極ロボに相応しい性能を持っている。

 だが…

 

 「「「「「却下。」」」」」

 「な、何故!?」

 「装飾多過ぎ!」

 「デザインで勝負してんじゃねーぞ!」

 「無駄に資材使うな!」

 「だってのに性能も完成度も高いのが腹立つ!」

 「格闘性能も高いし広域破壊もできますけど、どうせならマルチロックオン兵器が欲しいですね。」

 

 そうなのである。

 極めて高性能なのだが、異星人への威圧感を目的に外連味たっぷりな外見にしたため、無駄な装飾が多く(特に肩回りやウイングバインダー)、生産するに当たり無駄な手間となっている。

 重力下での格闘戦の際のバランサーやスタビライザーとして機能する事は分かるが、それにしてもデカくて派手で邪魔過ぎる。

 結果、もう少しブラッシュアップする事となった。

 

 「私共はプロトシズラーを持ってきました。」

 「相変わらず異常に高性能で異常に完成度の高いもんを…。」

 「これ超えられる奴おりゅ?」

 「あ、模擬戦させろってヤザン大尉が騒いでますよ。」

 

 こんな感じで、実にカオスに開発は進んでいた。

 そんなカオスな開発現場に参入していたアナハイムからの新規派遣組、即ちガンダム開発計画担当チームらはと言うと………真っ白になっていた。

 鳴り物入りで始まった計画だと言うのに、各企業による合同開発計画の方では既にして自分達の開発中の試作機よりも高性能な量産機が開発されようとしているのだ。

 実際の生産開始は来年度からになる予定だが、彼らから見てもジェガンやゲシュペンスト、バタラにガーリオンらの性能は文句の付けようもない。

 おまけに自分達のそれよりもコストが低いのでは、どうしようもなかった。

 

 「……よし、切り替えよう。」

 「具体的には?」

 「あくまで我々の機体は概念実証機としての側面が大きい。特にGP03と04。」

 「MAとNT専用機ですからねぇ。」

 「そういう訳で、俺達の機体で得られたデータを、我が社のジェガンに反映させる。」

 「……必要ですかね?」

 「必要だとも。ジェガンは対核装備も追加武装もまだ開発されてないんだぞ?」

 「あ!」

 

 そうなのだ。

 ジェガンはオプションに多数の武装はあるが、機体本体の性能を向上させるFA系の装備は未だ存在しない。

 況や一年戦争で連邦軍が使用しなかった核武装対応MSの装備など何処も開発していなかった。

 

 「ユニバーサルコネクターだったか。今直ぐこちらの機体をそれに合わせた改装をするぞ。そうすればあっちから取り入れる事も容易だ。」

 「直ぐに取り掛かりましょう。」

 

 こうして、ガンダム開発計画組は辛うじて首の皮が繋がるのだった。

 GP01で開発された追加武装とスラスターを内蔵した追加装甲群は後にスターク装備として、特務部隊向けのジェガンの代表的オプションとして名を馳せる事となる。

 また、対核装備に関してはGP02のデータを元にジェガンが再設計され、重装甲かつ高出力のジェガンN型として完成するも、余りに外見が異なる事から別の名称、即ちグスタフ・カールの名前を送られる事となる。

 なお、GP03と04はその性質上宇宙での運用が前提となるため、この基地にはない。

 GP03に関してはオーキスの方に縮退炉を試験的に搭載、後にアップデートしながら一連の戦乱を戦い抜く事となる。

 対してGP04に関してだが…

 

 「アムロ少尉を招聘しよう!」

 (こちら側に引きずり込んでやる…!)

 「よろしい。ですが、こちらの指定する場所での試験をお願いします。」

 (A.I.M.職員配置済みの連邦軍基地を提示)

 

 アナハイム担当者とテム氏の間でこんなやり取りもあったそうな。

 後に有線式純サイコミュから有線式疑似サイコミュへとシステムを変更、後の疑似サイコミュシステムのダウンサイジング化を達成した初の機体となった。

 が、性能的には既にして時代遅れが否めなかった事と総ガンダリウム合金故のコスト高騰もあり、データ取りが終了と判断されて直ぐに解体された。

 

 

 

 

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