多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第13話 プロトカルチャーの末裔と遺産

 新西暦182年、夏

 

 遂に人類は自らの意思で太陽系の外へ出ようと大いなる一歩を踏み出そうとしていた。

 参加する艦艇はスペースノア、ヒリュウ、アーガマ、クラップ、ナデシコ、るくしおん、そして旗艦たるマクロス。

 これら太陽系外縁部調査試験艦隊は月面宙域から土星最大の衛星タイタン周辺宙域へとフォールド。

 後にタイタンに建設された基地(元開拓基地)へと入港し、補給と調査を受けた後に太陽系外縁部を目指して長期航海を開始する。

 予定では全て順調にいって半年で地球圏に帰還する予定となっている。

 が、何が起こるか分からないため、物資は満載、兵器類も抜かりなく揃えている。

 各艦の艤装も既に完了し、フォールド技術の搭載も終了している。

 特に繊細な空間転移、フォールドに関しては技術者らも出港寸前まで念入りに調整を続けている。

 現在、旗艦マクロス以外の各艦は各社が持つ月面の建造ドッグにて待機中であり、出港の号令を待つばかりとなっている。

 号令後は月周辺宙域にてマクロスと合流し、本格的な航海の開始となる。

 

 

 ……………

 

 

 さて、その頃の我らがプトレマイオスはと言うと……

 

 「」

 「うわぁ…。」

 「あらまぁ。」

 

 プロトカルチャー産都市型移民船内部にて、鳥の人と移民船搭載AIから提示された「現在詳細な資料の残っているプロトカルチャー産技術の一覧」を見て、ちょっと驚いてる風の玲子夫人の傍らでSfと共に絶句してました。

 その一覧の要約がこれらである。

 

 1、人造フォールドクォーツ精製技術

 2、リアルタイムフォールド技術(通信込み)

 3、次元断層(フォールド不可領域)突破技術(大気圏内フォールド技術含む)

 4、自己進化機能搭載型機動兵器作成技術(マクロス30の自動防衛兵器など)

 5、ゼントラーディ艦に代表される劣化防止処理技術

 6、超巨大建築技術(1400km級機動要塞を建造可能な自動工場そのもの含む)

 7、超高度遺伝子操作技術(ゼントラン化に代表される後天的な遺伝子操作も可能)

 8、高度な次元操作技術(次元断層を人為的に発生可能)

 9、時間・平行世界跳躍技術

 10、因果率操作技術(フォールドエビルの持つ歴史改変能力)

 11、精神エネルギー変換技術(ライディーン系の念動力並びプロトデビルンを封印したアニマスピリチア関連)

 12、精神感応技術(マクロスΔにて銀河規模で全人類の精神の一体化も可能。恐らくバジュラの銀河並列思考ネットワークの模倣)

 

 「どうしてこれで滅んだんです???」

 「まぁ、時代の流れかしら?」

 

 なんだこれは、たまげたなぁ…(白目)

 思わず絶句するラインナップである。

 これを滅ぼすとは、プロトデビルンのヤバさがよく分かるというものである。

 トレミィは改めてプロトデビルン(まだバロータ星で封印中)の危険度を最上位から更に引き上げた。

 原作では一応ブラックホールで死亡するようなのでそこまで重要視していなかったのだが、少しでもアニマスピリチア持ちの人材を発掘すべく自社のアイドル部門をもう少し拡大しようと決意した。

 

 「これ、バレたら地球連邦と私達の戦力だけじゃどうにもなりませんね。」

 「そうねぇ。話し合い出来そうな勢力っているかしら?」

 「一応います。共和連合という星系国家の連合体ですけど、こっちまで来てくれるかは…。」

 「そもそも、私達の立場をどうするかと言う話ですね。」

 

 A.I.M.グループ、そしてプロトカルチャーの遺産たる太陽系防衛無人兵器群。

 これらを表の身分として選んだ故にこれまで太陽系の防衛ならび地球人類の発展に大きく寄与してきた。

 しかし、銀河に一大勢力を築く勢力との正式な外交となると、この身分は適さない。

 太陽系とそこに住まう人類に対しては有効であったが、その外の勢力との戦いではなく話し合いとなると、逆に足を引っ張られてしまう。

 向こうとの内通は可能だが、それは将来的に奴隷頭になって他の奴隷=地球人類を従わせる事に等しい。

 そんなんやりたい訳がないトレミィとしては、この事態には大いに困っていた。

 

 「仕方ありませんねぇ。」

 

 深々と溜息をつく玲子に、トレミィはギョッとして目を向ける。

 

 「玲子さん?まさかと思いますが表に出るつもりですか?」

 「えぇ。そうでもないと交渉できないのでしょう?」

 

 星間国家の連合体と言えば聞こえは良いが、原作のゼゼーナンやウェンドロの様なタカ派も多いのが共和連合である。

 両者程過激ではなくとも、同じような意見の人物は珍しくもなく、銀河の辺境も辺境のド田舎の太陽系に向ける目など碌なものではない。

 懐柔しようとするなら交渉の余地もあるが、大抵は隷属に近い関係を構築しようとするだろう。

 普通ならそれが正しいのだろう。

 まだまだ星間国家としては未熟に過ぎる人類が生き残るには巨大勢力の庇護下に入るのが一番だ。

 但し、普通なら、と付くが。

 トレミィ達を含めれば、この銀河の大勢力の一角程度ならば、現時点でももう数年あれば十二分に対応可能なのが太陽系なのだ。

 実に恐ろしきはスパロボ時空である。

 

 「どんなストーリーをお書きで?」

 「私と夫の一郎との出会いは正直に。その後、この地の遺跡に呼ばれてプロトカルチャーの遺産の正式な相続者となった…で如何でしょう?」

 「詳細はこちらで詰めますので、後でご確認ください。」

 「苦労をおかけします…。」

 「いえいえ。皆さんには今後、正式に私の後援者として助けて頂くのですから、お互い様ですわ。」

 

 早急に詳細を詰め、ゴップ大将並びレビル首相との合同面談の予定を組みながら、トレミィは思う。

 事態が急速に動き始め、人類は自分達の支援を受けたとは言え、独力で太陽系外に出ようとしている。

 ほぼ間違いなく、そのタイミングを狙って外部の勢力がアクションを起こす事だろう。

 それが武力か、共存か、隷属かは知らない。

 だが、もしも人類が隷属を選んだとしたら……

 

 (いや、その可能性は低い筈。)

 

 連邦政府首相は軍ではタカ派で通ったレビルであり、己の基盤である軍からの支持を失うような真似はすまい。

 他の連邦政府閣僚や議員らに関しても、現状では異星人の情報が少な過ぎて交渉のとっかかりがない。

 太陽系内部に侵入済みの異星人、即ちバルマーのスパイに関しては如何なるアクションを起こしたとしても即時撃滅可能なように量産型ヴァルチャーが一人につき三体、位相空間から監視を続けている。

 これはイングラム・プリスケンらが齎したSRX計画を初めとした多くの技術とその参加者らの成長を評価したものであり、彼の行く末である因果律の番人に敬意を表するからだ。

 また、彼らは未だ地球人類に牙を向く事なく、人類の技術・軍事面の成長を促している事もあり、少なくとも利益のある内は、彼らを制圧・殺害・撃滅する事はない。

 ゾヴォークならびウォルガに関しては特に利益も思いつかず、ゼゼーナンやウェンドロの行動からこちらの情報を抜かれる事がない様に制圧した後、生きていれば冷凍睡眠につかせ、死体からは生体クラッキングによって情報を抜き取るに留まった。

 おかげで他の勢力とは異なり、共和連合に関するデータはそれなりに揃いつつあった。

 こうした積み重ねを経て、人類が即時降伏並び隷属を選ぶ事は無いだろう。

 

 (まぁ、その時は躊躇いつつも呼ぶしかないかぁ…。)

 

 暗い展望にげんなりしつつ、今後の準備を大急ぎで始めるのだった。

 

 

 ……………

 

 

 新西暦182年 夏

 

 この時、地球連邦政府から衝撃的な情報が発せられた。

 

 プロトカルチャーの生き残りが発見された、と。

 

 その人物は女性であり、プロトカルチャーの直系王族の末裔、女王である事。

 現在は十年程前に日本人の考古学者によって冷凍睡眠から目覚めた所を保護され、その後に結婚。

 現在は一児の母であり、プロトカルチャー由来の遺跡=都市型移民船の再稼働を聞き付けてA.I.M.と会談した後、正式に発表する事となった。

 彼女の協力によって都市管理AIが正式に稼働を開始、協力関係を結ぶ事に成功。

 現在、都市型移民船はその本来の姿と機能を取り戻すべく本格的な改装作業を行っている。

 また、今後同様の生きている遺跡等を発見した場合、彼女の協力さえあれば「正規のアクセスで起動が可能」となっており、プロトカルチャーの極めて優れた技術を取り入れる事が容易になるだろう。

 もしプロトカルチャー由来の遺跡や遺物等を発見した場合、発見者による連邦政府当局への情報提供に対しては多額の賞金が出る事が正式に発表された。

 その直後、数々のEOTを採用した太陽系外縁部調査試験艦隊の出港予定日が一週間後と発表された。

 これにより、事態は大きく動く事となる。

 

 「例え工作員の殆どをやられていたとしても、公共放送の傍受までは防げません。」

 「バルマーは当然として、共和連合にも漏れる。バッフクランとズール銀河帝国は銀河中心領域を挟んでほぼ反対側だし、こっちに来るには時間がかかる。」

 「残す宇宙怪獣とインベーダーはプロトカルチャー関連に余り意味を見出していません。」

 「他雑多な勢力に関しては私達で十分対処可能。」

 「…そう上手く行くかしら?」

 「止めてください。マジ止めてください。」

 「サイコドライバーの悪い予感とか殆ど予言じゃないですかヤダー。」

 「あら、ごめんなさいね。」

 

 和気藹々と話すも、内二人はやってくる厄ネタを思って目が死んでいた。

 

 「で、移民船の状況は?」

 『現在、艤装はほぼ完了。艦載機の搭載に関しては無人型のクラウドブレイカー隊と無人戦闘機を中心に搬入中です。』

 『私の力があればこの程度の作業、数時間で終わるとも。』

 

 現在、都市型移民船はマクロス7以降で登場した巨大都市型移民船(シティ7やアイランド1等)を参考にその形状を大きく変化させていた。

 これは鳥の人の持つ機能の一つ、「周辺の物質を吸収・変化させての自己修復」であり、現在都市型移民船に搭載されている鳥の人を正式に移民船と融合させ、この機能を発揮させたのだ。

 これにより、数多くのプロトカルチャー由来の超技術がこの船一隻へと搭載され、この銀河の中でも有数の安全地帯にして移動拠点と化したのだった。

 なお、船自体の武装はほぼ鳥の人のものと共通しているが、500近い艦載機に関してはA.I.M.製の無人仕様クラウドブレイカーⅡと無人戦闘機(亜光速戦闘対応型ゴーストV9)、アーハンⅡが搭載されている。

 

 「渡しても良い技術情報に関しては纏まりましたか?」

 『完了しています。時間・空間・次元・因果律操作は全面的に秘匿とし、その他の情報は段階的に地球連邦政府へと公開し、異星人との交渉に利用する。非公開・公開の技術情報のリストはこちらになります。』

 「確認しますね。……うん、よく纏まっています。頑張りましたね。」

 『頑張りました。』

 『おい、今のは私を褒めたものだぞ。』

 『おや、嫉妬ですかな?』

 『機能維持も一人で出来ん程度の奴が…。』

 『首と胴体泣き別れ野郎が…。』

 「二人とも、仲良くしてくださいね?」

 『『了解です。』』

 

 今後、この都市型移民船は正式にその所有権をひびき玲子、即ちムー帝国女王レムリア陛下へと返還される。

 この船の運営に関しては多少の相談は出来るが、その最終意思決定はレムリア陛下、その死後は息子の洸へと託される事となる。

 以後、この船は地球連邦政府からの依頼で対異星人との外交船として、レムリア陛下もまた地球連邦政府の外交特使として活躍していく事となる。

 

 「そう言えば、ご家族の方は?」

 「久々に家に帰ったけど元気だったわ。泣かれちゃったけど…。」

 「で、夜はしっぽりと…。」

 「Sf、下品。」

 「うふふ、あの人ったら泣きながら私の事を抱きしめてくれたのよ、それはもう情熱的に…!」

 (あ、これ惚気話だ。)

 (長くなりますね。お茶の用意を致します。)

 

 これが一連の戦争の始まる前の、最後の平和な一時だった。

 

 

 




次は人類が遂に太陽系外部へ。
そこで彼らが見たものとは?
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