多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
皆さん、誤字脱字等の指摘、毎度ながらありがとうございます。
言い訳になりますが、やはり疲れていたようです。
やっぱ早朝から農作業して午後に出勤はきついね。
昔は一回寝れば全快してやれたんだけど、歳かなぁ…。
新西暦183年初頭 太陽系外縁部にて
太陽系外縁部調査試験艦隊は3億近い宇宙怪獣の大群とそれらを統率する母艦級に圧倒されていた。
自分達が必死になっていた50程の偵察用の小艦隊など足元にも及ばない圧倒的物量、そして母艦級というkmサイズの宇宙怪獣を億単位で運用可能な惑星サイズの宇宙怪獣達の親玉という悪夢。
それを見て多くの者達が心折られながらも、なお己の責務を果たさんとしている者達もいた。
「…フォールド可能な艦はすぐに冥王星基地まで撤退せよ。」
その一人、グローバル准将は覚悟を秘めた声で静かに告げた。
「本艦はこれより縮退炉を臨界まで上げる。非戦闘員はすぐ脱出を開始せよ。」
「司令!?」
「縮退炉内のブラックホールなら奴らを多少は削れる。脱出に成功した者は誰でも良い、直ぐに地球圏に危機を知らせよ。」
『グローバル司令、それなら私のクラップが受けます。本艦は既に左舷エンジンをやられています。非戦闘員の数もマクロスより少ない。』
『一隻では心もとないでしょう。損傷を受けているるくしおんも引き受けます。』
『何の。それを言ったらワシのスペースノアもそうだろう。』
『おや?私共が仲間外れとは許せませんな。』
『ここは中・大破してる損傷艦が殿を受けるべきでしょう?グローバル司令、悩んでいる時間は無いですぞ?』
次々と通信を入れてくる各艦の艦長らに、グローバルは忸怩たる思いだった。
漸く勝ったと思ったら、それは前座未満の何かでしかなかった。
この銀河は、地球人類にとって余りにも過酷に過ぎた。
それを知るためだけに、多くの貴重な人材と最新鋭の装備という余りにも大きな犠牲を払ってしまう。
「…艦隊司令官として命じる。クラップ、スペースノア、ヒリュウは艦隊のフォールド完了まで時間を稼げ。同時に縮退炉を臨界まで上げ、ブラックホールを発生させよ。が、その前に非戦闘員は脱出させ、マクロスへと収容する。」
拳の骨が砕きそうな程に握り締めながら、グローバルははっきりと苦楽を共にした仲間達に告げた。
『クラップ、了解!』
『スペースノア、了解した。』
『ヒリュウ、了解しました。』
「貴官らの挺身に感謝する。」
三者三様の返答にそれだけしか返せない自分自身に、グローバルの腸は煮え繰り返った。
『その必要は無いぜ。』
だが、彼らがそれを実行に移す前に、騎兵隊がやってきた。
「司令!後方上部にフォールドアウト反応!」
「いかん、挟み撃ちか!?」
「いえ、これは友軍のIFFとアンノウン?いえ、ゲストID?」
オペレーターの声と同時、消耗した太陽系外縁部調査試験艦隊の後方に現れたのは彼らの知るものと知らないものが混在した未知の艦隊だった。
……………
それは、空間を割り砕きながら現れた。
なお、おすすめBGMはガンバスターマーチです。
『太陽系防衛無人兵器部隊所属改エルトリウム級プトレマイオス、推参!』
『これ、オレも乗るべきか?……こちら、共和連合枢密院所属外交使節艦隊特使メキボス・ボルクェーデだ!』
通信画面一杯に映ったのは腕を組み、鼻息荒く自己紹介?をした美麗な少女と顔に傷を持った異星人らしい男の姿だった。
しかし、その通信以上に太陽系外縁部調査試験艦隊はワープアウトしてきた艦隊の威容にこそ度肝を抜かれた。
数は30程と先程の宇宙怪獣の小艦隊よりも少ないものの、異常なのはとある一隻の大きさだ。
全長70km超という、小惑星を改造した要塞サイズにも匹敵する巨体に、一同は呆然とした。
なお、メキボスはこの名乗りに羞恥心とか色々あったが、ここでノッた方が美味しいと判断した模様。
『後は私達に任せて太陽系外縁部調査試験艦隊は後退してください!さぁ出番だよ皆!』
『細かい話は後で飽きる程にしてやるさ。先ずは害獣退治だ。』
その通信と共に、合同艦隊の直掩だった量産型ヴァルチャー軍団とレストジェミラ部隊が構える。
『無人兵器部隊、前方の宇宙怪獣に対し全力攻撃!』
『全艦隊、無人兵器部隊に合わせ最大出力で一斉射!』
『『撃てェッ!!』』
改装された改エルトリウム級プトレマイオスの艦首4連装空間破砕砲を始めとした火器類。
同時に展開していた無数の量産型ヴァルチャー軍団のデストロイヤーガン。
共和連合外交艦隊の旗艦たるウユダーロ級制圧砲艦の主砲を始めとした火器類。
一部展開したエース向けの量産型ライグ=ゲイオス他多数の有人指揮官機の火器類。
無数に出撃、連結して出力を向上した無人のレストジェミラ隊の火器類。
それらが一斉に火を噴き、3億近い宇宙怪獣の大艦隊へと真っすぐに突き刺さった。
一切の防御も回避も許さぬ、空間に存在したあらゆる者を爆砕する砲撃の津浪に、宇宙怪獣の9割近くが消し飛んだ。
『敵旗艦母艦級へのダメージ、47%と類推。』
『敵、総数の9割を撃滅。残敵の掃討に移行。』
『砲撃を続行!無人量産型ヴァルチャー一個大隊は太陽系外縁部調査試験艦隊の護衛に就け。』
『敵母艦級からの反撃、着弾まで3秒。』
『太陽系外縁部調査試験艦隊の護衛担当機は物理保護最大規模で展開!』
トレミィと共和連合、太陽系外縁部調査試験艦隊の護衛へと未だ3000近く残っている宇宙怪獣と母艦級からの攻撃が殺到する。
未だ10倍近い物量の開きがあるものの、その反撃は宙域に展開したヴァルチャー部隊の広域バリアによって悉く防がれた。
そして、反撃を行ったという事はこちらからの射線も開いており、更には正確な位置情報も分かるという事。
後は、一方的な鴨撃ちである。
しかし、次々と配下を討ち取られ、その半身を消し飛ばされながらも母艦級は未だその命脈を保っていた。
『プトレマイオス、前進。』
『よろしいので?』
『どうせ効かないし、最後っ屁で誰か落とさせる訳にはいかないでしょ。』
『了解。前進を開始します。』
そして、止めを刺すべく前に出たのは改エルトリウム級プトレマイオスだ。
全長70kmとエルトリウム級らしい巨体に加え、更に左右両舷に一隻ずつ全長30kmを超える改2エルトリウム級を張り付ける様に装備した本艦は、予定していた改装の他にプロトカルチャー由来のフォールド技術を多数取り入れる事でかつて改スター級に搭載されていた機能の幾つかを再現するに至っている。
即ち、現状の太陽系において最強にして最大の戦艦だという事だ。
事実、この艦を超える戦艦は銀河広しと言えど存在せず、後世での比較対象は専ら宇宙要塞が担当している程だ。
最大の武装はマクロスアタック並び二隻のエクセリオン並び本艦の艦首(変形時に腕として左右に分割)の備える4つの空間破砕砲の一斉射による次元崩壊現象の発生であり、後者は命中しさえすればプロトデビルンにすら有効打を与えられる見込みだ。
そして、その最大の防御手段は…
『敵旗艦級からの砲撃、着弾。』
『フォールド断層障壁、変化なし。』
『ダメージレポート、無し。』
プロトカルチャーの崇拝対象である超時空生命体バジュラでも超大型の個体(或いは群体)でしか搭載できなかったフォールド・バリア(空間転移の応用。受けた攻撃を位相空間に逃がす)を採用し、エネルギー攻撃に対しては実質的に無限の防御力を誇ると言って良い。
加えて、弱点となる質量攻撃に対しても短距離ワープや通常の電磁バリア、DFによって対処可能となっている。
敵小型種や艦載機?全身に配置された無数の対空火器と直掩のヴァルチャー部隊に任せます。
加えて、装甲に関しては鳥の人にも採用されていた「周辺の物質を吸収して自分の一部とする」機能の発展系を採用し、「触れた物質を吸収し、自分の一部や望む資源へと変化する」という錬金術染みた出鱈目機能を持つ。
それ故、本艦を落とすならば、同じ様な出鱈目な侵食機能や物理法則そのものへの干渉が必要となる。
なお、ラスボスかそれに匹敵する存在ならば割といけるため、こんな巨大な新ボディでも決して楽勝とはいかない辺り、スパロボ時空とは実に地獄である。
『止めはどう刺します?』
『変形して空間破砕剣で。』
『了解。我儘を実行します。』
改装後の初のお披露目でウキウキしているトレミィの言葉に従い、10秒程でプトレマイオスはその巨体を人型のそれへと変形させる。
変形機構はほぼ改エルトリウム級の時のままだが、その両腕には一隻全長30kmを超える改2エルトリウム級が盾のように装備され、シルエットは単純な人型からジガンスクードの様な両腕に大楯を持った姿へと大きく変わっている。
『右腕空間破砕砲を連続照射モードに切り替え。』
『モーション選択、一刀両断で!』
『了解。』
そして、プトレマイオスはその巨大な右腕を振り上げ、空間破砕砲を照射しながら振り下ろした。
その一撃はたった一太刀で半死半生だった母艦級に止めを刺し、爆散させた。
しかし、その切っ先は母艦級の背後の遥か先、2000万kmよりも先にまで届き、こちらを観測していた何かを粉砕した。
母艦級の撃破時の爆発は周辺に未だ展開していた宇宙怪獣をも巻き込み、生き残っていた個体のほぼ全てを撃滅せしめた。
『これぞ必殺!』
『と言うよりもオーバーキルかと。』
『最後まで決めさせてよモー!』
『はいはい。後で相手しますので、今は負傷者の救護を最優先で。』
『それはもう指示出した。』
余りの荒唐無稽な光景に太陽系外縁部調査試験艦隊と共和連合枢密院所属外交使節艦隊は揃って驚愕していた。
特にステルスを看破された挙句、「話し合いに来た?どうぞどうぞ、上がってって」と軽く艦隊ごと収容される羽目に陥っていた共和連合の面々は(敵対しなくて良かったマジで!)と内心で安堵していた程だった。
『じゃ、全員お話は冥王星基地に行ってからで良い?フォールドできない艦があればこっちで収容するから言ってくださいね。』
『なお、MIA認定された方々はこちらで全員回収、医療施設に送り済みです。ご安心ください。』
こんな小さな戦場を掌握する程度、彼女らにとって割と楽な作業だった。
巡洋艦級混合型の突撃時こそ少々焦ったものの、その時も含めて今回の戦闘でMIAとなった人員は全て位相空間を伝って回収済みだった。
プトレマイオスから送られる少女と涼し気な銀髪のメイドの驚愕だらけの言葉に、全員の気持ちを代弁してグローバルは精神力の多くをつぎ込んで何とか今最もほしいものをリクエストしてみせた。
「………救援、感謝する。しかし、もう少しだけ待ってくれないだろうか。ちょっと、ちょっとだけ、飲み込む時間が欲しい。この通りだ。」
これには太陽系外縁部調査試験艦隊と共和連合枢密院所属外交使節艦隊の面々は揃って頷いた。
なお、改エルトリウム級の仮想敵はプロトデビルンです。
次元崩壊兵器を搭載しているのはそのためです。