多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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共和連合と外交スタート
なお、問題はちっとも減らない模様。


第20話 共和連合

 新西暦182年 春

 

 太陽系は未曾有の混乱に包まれていた。

 

 何せ事前通告はあったとは言え、未曾有の巨大戦艦と異星人の艦隊が自分達の最新鋭試験艦隊と一緒にやってきたのだから、そりゃー驚くのも当たり前である。

 事前にフォールド通信で事情を聴いていた連邦政府ですら大慌てだったというのだから、一般市民の混乱たるやどれ程のものだったか。

 この合同大艦隊の姿が確認された土星基地では当時、駐留艦隊のスクランブル発進が行われ、木星と火星の駐留艦隊も即応態勢に移ったと言う。

 なお、無人防衛部隊の旗艦たるプトレマイオスは「自身に対外交渉の権限はないので」と告げて、太陽系外縁部調査試験艦隊を下した後はさっさと太陽系外縁部の防衛任務へと復帰した(素面に戻って恥ずかしかった)。

 その後、先日の戦闘の起きた宙域で驚天動地の発見をするのだが、それはさて置き。

 

 「私が地球連邦政府首相のレビルです。共和連合の皆様、遠路遥々ようこそ太陽系へ。」

 「共和連合枢密院所属外交使節艦隊の特使メキボス・ボルクェーデだ。よろしく頼む。」

 

 地球において行われた共和連合との会談は、太陽系全体に巨大なニュースとして受け入れられた。

 この一週間後、共和連合枢密院と地球連邦政府の間で正式に外交が開始、大使館が設置される事となる。

 また、メキボスはレムリア女王とも謁見し、密かに枢密院と「地球人類に対する過剰な技術供与の禁止」を互いに決定し、以後一連の戦乱の中にあってもずっと守られ続ける事となる。

 なお、後世の資料においてこの秘密条約は地球連邦側も承知の上であり、敵を増やしてまで制御の困難な技術を研究するよりも戦わずに済む大勢力を作る事の方が重要視されていたためにほぼノータイムで首脳部によって可決させていた。

 また、通商条約も結ばれる事となった。

 が、流石に遥か遠くから商品を持って来るというのは難しく、当初は平和的な関係構築に成功した、という証拠扱いだったのだが…。

 

 「このままじゃ商売なんて出来ないし……お願いできるかしら?」

 「お任せを。丁度良いものがあります。」

 

 レムリア女王陛下のお願いにより、A.I.M.がやって下さいました(白目)。

 

 「こちらをどうぞ。チューリップ型超長距離ゲートのターミナルコロニーです。これがあれば銀河の端から端まで相互に行き来が可能になります。但し、強力な空間歪曲力場、当方ではDFを使用していますが、そうしたものを展開しないと生物はご利用できませんのでお気を付けください。」

 

 直径3kmもある巨大なチューリップの球根の様な空間跳躍装置、通称「チューリップ」である。

 装置本体の先端が開閉し、内部に広がる位相空間に入ると、出口として設定されたチューリップから出る事が可能となっている。

 これを独自の戦闘能力とか航行機能を削除し、単独フォールド機能を追加、チューリップ一基につき出入り用に二つの空間跳躍装置を配置しており、デザインは大型化したナデシコ劇場版のヒサゴプランのターミナルコロニーそのものである。

 これを用いれば銀河の端から端までノータイムで移動可能となり、共和連合と地球は自由に行き来が可能となるのだ。

 なお、真の中枢たる演算ユニットは勿論ながらA.I.M.が抑えているのは言うまでもない。

 双方の状況に極めて大きな影響を与えるこの装置がポンと出された事に、地球連邦も共和連合も思わず噴き出した。

 

 「「待て待て待て!!」」

 「お気に召しませんでしたでしょうか?では、エクセリオン級三番艦もご一緒に…。」

 「違う、そうじゃない。」

 「落ち着け。いきなりそんな大層なもん貰っても困る。」

 「もんと門をかけた高度なジョークかと。では女王陛下から許可の下りた各種フォールド技術に関する情報一式を…。」

 

 順当に会議室は「暫くお待ちください」、或いは「お見せできないよ!」状態に陥った。

 結局、一番基を月に設置し、二番基を共和連合に譲渡する事で決着した。

 なお、これだけを決めるのに丸々三日かかった。

 

 「チューリップは私共がガス星雲等で資源を採取するのに効率が良いので使っていたものを転用しています。あれがあると風上に向けるだけで自然とチューリップ内に流入、好きな場所に送れますので。」

 「太陽系各所にも設置する。金は出すので急ぎで頼む。」

 「畏まりました。ついては防衛用の駐留部隊の編制もお願いします。」

 

 この一連のやらかしにより、A.I.M.がプロトカルチャー由来の超先進技術の管理者であり、レムリア女王の部下に当たる事が連邦政府並び共和連合内に周知される事となった。

 最終的にメキボスはエクセリオン級三番艦と(一番艦は地球連邦に、二番艦はユングの乗っていたノーチラスに番号が割り振られた)内部に搭載された現在地球連邦で正式量産されている各種機動兵器類とプロトカルチャー由来のフォールド技術に関する技術情報を持ち帰り、枢密院に「今後ともヨロシク」と地球との交渉を任される事となる。

 なお、過激派を中心に俄かに地球人脅威論が沸き起こるが、レムリア女王陛下との秘密条約の内容が明かされるとあっさりと鎮火した。

 

 (ま、実際は違うのですが。)

 (私に何かあってもこの子達は自由に動ける。勝手に勘違いしてくれて助かるわー。)

 

 なお、当然の結果として、「チューリップの次の設置場所は何処にするか」で太陽系は大揉めした。

 だって、異星人との流通の一大拠点になる事は決定してるんだもん。

 誰だってそうする、俺だってそうする。

 特に異星人相手に商いが出来る!という事でいつもの大企業群がハッスルして暗闘を繰り返した。

 

 「そんなに慌てなくても、チューリップなら地球・月・火星・木星・金星・土星に一基ずつ配備するには2年もあれば大丈夫ですよ?」

 

 が、A.I.M.の担当者がこの発言で大体収まった。

 これ以降、太陽系の物流の活発化は更に進む事となる。

 だが、既存の惑星間航路は潰れる事はなかった。

 だってチューリップの前で行列できる位に混雑しちゃったせいで、既存の資源運搬用の大型輸送船の利用が乗り入れが不可能になっちゃったんだもん。

 これは一連の戦乱が終わった後、チューリップの大増産が始まるまで続く事となる。

 最終的には対話可能な人類の版図の多くにチューリップが配備され、銀河全域を結ぶネットワークとして機能していく事となる。

 

 

 ……………

 

 

 月面 A.I.M.月面支社にて

 

 「ひゅ~凄いね~こりゃ~。」

 「想定以上の発展速度だな。」

 「何でこの文明レベルでこんな優秀な兵器を大量生産できてるの…?」

 

 表側の外交はメキボス他同行する外務官僚らが担当し、裏側の軍事・技術力調査等に関しては三将軍指揮下の諜報部が担当した。

 が、外交に参加している事は間違いないので、彼らは彼らで地球側の軍事技術の多くを担う大企業が比較的狭い地域に集まる月の中立都市群へと訪れていた。

 

 「特に何だこのガーリオンとバタラ。ここまで簡易的な構造で何故これだけの性能が…?」

 「コストも低いし~こりゃうちにも売ってもらいたいもんだわ~。」

 「そうね。火力は兎も角、慣性・重力制御に空間歪曲バリアの搭載は素晴らしいわ。こちらのバイオロイド兵に使わせる分には優秀ね。」

 

 そして、彼らは地球人類の余りの軍事・技術力の発展ぶりに驚いていた。

 

 「プロトカルチャーの末裔の女王とその旗下の無人兵器らの支援があればこそだとは分かるが、だとしても…。」

 「でも~向こうさん、別にこっちとやり合いたい訳じゃなさそうだぜ~。」

 「そうね。彼らとしてはあの害獣、宇宙怪獣と呼んでるのだっけ?それへの対処で手一杯でしょう。」 

 

 事実、地球連邦政府としては是が非でも共和連合とは非戦関係でいたかった。

 そのためには不平等条約程度、幾らでも飲むつもりだった。

 何せ太陽系を出た直後に宇宙怪獣というデータだけだった存在から奇襲を受けたのだ。

 辛うじて太陽系外縁部調査試験艦隊は生き延びたが、それは彼らの奮闘以上に太陽系防衛無人機部隊の活躍が大きい。

 その様な状況を脱するべく、地球連邦は今回の戦闘を各企業と共に解析し、如何にしてこの無尽蔵の物量と高い戦闘能力を併せ持ち、亜光速で飛来してくる化け物共に対処するかと頭を悩ませていた。

 

 「何だこのフィジカルキャンセラーって…。」

 「物理法則への干渉或いは無効を可能とする超能力ってどう対策するの???」

 「おい、大型の個体は光子魚雷の直撃に耐えるってあるぞ。」

 

 が、遅々として進んでなかった。

 そりゃそうである。

 地球人類がちょっと頑張って解決策を出せる程度で済むのなら、宇宙怪獣がこの銀河で最大勢力を誇る訳がないのだ。

 なお、次点がインベーダーである辺り、この宇宙は実に(ry

 

 「仕方ない。コスト度外視で特機を量産するしか…。」

 「るくしおん級もだな。あれなら大丈夫だろう。」

 

 しかし、この考えは大いに甘かった。

 

 「プロトゲッターの量産?無理だ。」

 「プロトシズラー0の量産?駄目です。るくしおんは大丈夫ですが。」

 

 勿論、理由はある。

 プロトゲッターは本来のそれに比べれば高性能だが、それでもまだまだ技術的に未熟な点も多い。

 そのため、正式に量産ラインに載せるのなら、更なるブラッシュアップが必要だった。

 また、プロトシズラーも地球連邦軍における特機の運用データ蓄積のためのものであり、少数生産されたそれらは現在も適性ありとされたパイロットら向けの練習機として使用されている。

 はっきり言って、どちらも対宇宙怪獣としては非力に過ぎた。

 

 「るくしおん級は自動化を進めてより少人数での運用を可能にしたものを量産しようかと。ただ、コストがクラップ級の倍ですが。」

 「……致し方ない。その点は目を瞑ろう。所で自動化とは具体的にはどんなものなのかね?」

 「こちらになります。」

 

 担当者が示したのは、肩にA.I.M.のロゴが入った腕章を付けたメイドと執事達の姿だった。

 

 「彼・彼女らは全員がナノマシンで全身を構成されたヒューマノイドです。量産可能かつ大抵の仕事が出来ますのでお任せを。」

 「」

 

 特大の政治的爆弾に、レビル首相の胃壁は消失した。

 この超高性能ヒューマノイドの存在に、太陽系は今までで一番面倒な程に長く揉める事となる。

 

 

 ……………

 

 

 太陽系外縁部にて

 

 「まさか、4連装空間破砕砲の次元崩壊の影響でしょうか?」

 「どちらにせよ急いで回収を。医療班の手配は?」

 「既に。生体反応も二人分確認しています。」

 「状態は軽度の衰弱か…。」

 「にしても…この二人と一機が来てしまいましたか…。」

 

 「全損状態のガンバスター。そしてパイロット二人はバイタルデータからタカヤ・ノリコ中尉とオオタ・カズミ少佐とは……この銀河は一体どうなっているのやら。」

 

 炎を心に秘めた二人が、遂にこの銀河へとやってきた

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