多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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しまった、ノノリリまで入らなかった(汗


第21話 もみ消しと模索

 新西暦182年 夏 

 

 「自動化はもっと別の形にするように。」

 「了解しました。」

 

 様々な問題を孕んだヒューマノイド導入の是非は、ゴップ大将のこの一言によってお流れになった。

 

 「で、これで良いのかね?」

 「えぇ、恙無く。」

 

 ヒューマノイドの導入。

 これは政治的に明らかな戦略級核地雷だった。

 少なくとも、これの導入は事前に年単位の根回しや法規則の整理を必要とする程度には。

 それはゴップ大将やレビル首相が残る政治生命全てを使ってもなお終わるかどうか分からない程度には根深い問題だった。

 

 Q つまり?

 A 詳しくはアストロボーイ・鉄腕アトムを見てね!

 

 原作:手塚神かつ人間の怖さや愚かさ、頑なさが存分に見れる素晴らしいアニメぞ…!

 なお、この作品内ではAI搭載ロボットの社会参加による弊害で失業したりしたAIロボット排斥を叫ぶ人々のテロとそれに翻弄されるAIロボットと一般市民、そしてブチ切れしたAIロボット達による理想国家建設とその後の人類との戦争と、実にドロドロした問題が次々起こる。

 このアニメを日曜朝のアニメや特撮のゴールデンタイムでやろうという糞度胸には敬意を表する。

 そりゃゴップ大将も軍事的には有効かつ何れ必要と分かっていても、問題を先送りしたがる訳である。

 地球人類を守るための方策で、地球人類同士の内戦に繋がるとか、本末転倒も良い所だった。

 

 「ヒューマノイドを排斥、つまり我々がいなくなった時。人類にはその時の事を視野に入れておいてほしいのです。」

 「言わずとも君達におんぶ抱っこで居続けるつもりはないさ。」

 

 今現在は次の戦争までの準備期間だから良い。

 しかし、本当に目下の仮想敵がいなくなった時、地球人類の矛先はどちらに向かうのか?

 生き残るだろう宇宙怪獣?異星人の残党?共和連合?

 否、最も身近で自分達の近くにいるヒューマノイド、その総本山たるA.I.M.にこそ向けられるだろう。

 それを本人らが望んでいたとしても、ゴップはそれを断固として防ぐつもりだった。

 

 「だが、君達がいなくなると困る者も寂しがる者もいる事だけは覚えておいてほしい。」

 「承知しております。」

 

 ゴップは彼女らが何れ消えるだろうと何となく理解していた。

 何せ数々の梃入れはどう考えても後の事を考えていないとしか見えないからだ。

 A.I.M.という太陽系最大の企業グループでありながら、その働きは寧ろ公的機関に近い。

 そして、力を持ち過ぎた彼女らは自分達が恐怖され、排斥される側だとしっかり理解している。

 力を持った詳細不明の隣人なんて、一般人からすれば恐怖の対象だ。

 そして、人は恐怖に対して同化か排斥しか選べない。

 種族的に同化が無理なら、排斥しかない。

 その結果、地球人類は彼女らという庇護者を失い、他の勢力から袋叩きにされる。

 そうでなくとも、彼女らを巡って敵味方に分かれて争い合うだろう。

 が、本来なら部外者であると弁えている彼女らは、地球人類が己の生存権を守るだけの力を獲得したら、とっととこの世界から去る予定だった。

 故にこその後の事を考えない技術支援なのだ。

 

 「それと、本命の省力化に関してですが。」

 「あぁ、そちらは予定通りに頼むよ。」

 

 冥王星工廠基地の正式稼働によって確保された、新品の巨人族の軍用艦艇群並び機動兵器類と装備類。

 これらは地球圏に運び込まれ、現在は月にて各企業群が合同で解析・調査している。

 そして、巨人族の装備というのは元々プロトカルチャーの設計したものであり、何万周期も問題なく可動する極めて信頼性・耐久性・操縦性の高い代物なのだ。

 機動要塞など15万周期も普通だと言うのだから、地球人類他多数の知的生命体の作る兵器とは次元違いの技術力だとよく分かる。

 今回は入手したそれらの製造技術を解析し、今後作られる艦艇や機動兵器類に反映しようという計画だ。

 まぁ半年もあれば解析・実用化・試験・正式採用まで漕ぎ着けられるだろう。

 これさえあれば、概算だが一隻当たりの人員は半分近く削減される。

 その分ポストも減るのだが、ヒューマノイドに全部持ってかれるよりはマシと判断されている。

 機動兵器に関しては既に操縦系統にサイコセンサーを採用しているため、操縦系統に関してはそのままに機体構造の方にある程度反映される事となっている。

 

 「では最後に今夜の予定ですが…」

 「うーん……じゃぁ今夜は巫女さんで。」

 「畏まりました。御幣は付けますか?」

 「頼むよ。」

 

 そして、ゴップ大将(奥方は7年前に他界)はその夜、秘書兼愛人のメイドさんと巫女さんプレイに興じるのだった。

 そんな感じで、ゴップ大将のファインプレーにより、何とかヒューマノイド導入による政治的混乱は回避される事となった。

 

 

 ……………

 

 

 地球連邦軍北米支部 ラングレー基地にて

 

 「火力が足りんッ!!」

 

 アナハイムの担当者がその場の一同の意見を代表して叫んだ。

 事の始まりは今年の初頭、初の宇宙怪獣との戦闘だった。

 地球から出発した太陽系外縁部調査試験艦隊と宇宙怪獣の偵察用小艦隊との闘いは、一部の特化戦力によって辛うじて勝利に終わった。

 しかし、その内実は薄氷の上の勝利であり、その後の3億にも上る宇宙怪獣の大艦隊に対してはプロトカルチャーの遺産たる無人兵器と異星人の艦隊任せという余りにも情けない結果で終わってしまった。

 そして、戦闘データを解析して見えてきたのは、太陽系外縁部調査試験艦隊の圧倒的な火力不足という点だった。

 一部の戦力、即ちマクロスとナデシコ、るくしおんの三艦は互角以上に立ち回ったものの、他の艦はDFとジガンスクードの守りによって辛うじて大破を免れただけという体たらくだった。

 機動兵器においては何とか勝っていたものの、火力の低さから大型種を撃破する事は出来ず、専ら小型種の対応のみに専念していた。

 その小型種にしても物量が三倍近くあり、とてもではないが余裕は無かった。

 それでも何とかなったのは、三艦の艦砲射撃で敵小艦隊の陣形に穴が空き、そこをプロトゲッター1とプロトシズラー0の特機達が切り開き、連携を乱したからだ。

 敵大型種の中でも取り分け強力だった巡洋艦級混合型による亜光速突撃にしても、追随可能なるくしおんによって辛うじて最初の一撃以降は防がれ、全滅を免れた。

 だが、それ以外の戦闘の様子は初見かつ生物相手という事も加味しても終始押されていた。

 

 「このままではいかん。」

 「とは言え、今回の戦闘に使用された機体は何れも既存の機体と艦よりも高性能ですよ?これ以上となると……。」

 「太陽系外縁部と内部では使用する兵器を分けるべきだな。」

 「だな。想定する敵が違い過ぎる。」

 

 太陽系内部では彼らの常識が通じるが、外部ではそうはいかない。

 勿論、機動兵器や艦艇群の強化は必須だが、根本的な性能不足に関してはやはり新規設計となる。

 

 「GP03は余り活躍できなかったか…。」

 「まぁ想定してたのが対人類の兵器だからなぁ…。」

 「大型メガ粒子砲ですら威力不足とか…。」

 

 各企業の担当者達は頭を抱えた。

 これ以上の火力向上となると、簡単にはいかないからだ。

 

 「取り敢えず、戦術核弾頭の改良は進んでるのか?」

 「あぁ、そっちは反応弾の開発に成功したそうだ。今後順次生産と配備していくらしい。」

 「VFはそれで良いとして、MSはどうする?」

 「反応弾の使用に関してはジェガンの反応弾仕様のグスタフ・カールがあるだろ?当面は反応弾頭を装填したバズーカで凌ぐしかない。」

 

 グスタフ・カール

 ジェガンと共通の内部構造とフレームにザクⅡC型やGP02のデータを参考にした最新の対核装備と重装甲、増加した重量を補うためのスラスター群を追加したこの機体はジェガン譲りの操作性と整備性を持ち、尚且つパーツ共有率が7割近いためコストも比較的低いという素晴らしい機体だった。

 重装甲の割に追加されたスラスター群のお陰でスタークジェガンに匹敵する機動性も確保しており、既に試験中の機体は高い評価を得ていた。

 

 「所でソルデファーとスヴァンヒルドは…。」

 「あっちで担当者が死んでるぞ。」

 「まぁ良い所殆ど無かったからなぁ。」

 

 ソルデファーとスヴァンヒルド。

 決して悪い機体ではないのだが、その人型機動兵器としてのコンセプトが一年戦争時から殆ど変わっていないため、艦隊直掩で小型種を迎撃するのが精一杯だった。

 しかし、それならジェガンでも出来るし火力不足も変わらないとして現在は窮地に立たされていた。

 

 「……申し訳ないが、Z&R社はスヴァンヒルドを諦める。」

 「え?」

 「マジで?」

 「その分、艦隊防衛や直掩、拠点防衛に特化させた機動兵器を設計する。」

 「具体的には?」

 「スヴァンヒルドから機動性と余計な機能落として火力と射撃精度を上げる。」

 「要は砲台化ですか。ガンキャノンよりもガンタンクですね。」

 

 中途半端な機動性や近接戦闘能力等を削除し、火力と射撃精度を向上させる。

 つまり、他の機体で不足している火力を補うため、或いは艦隊火力の向上のための支援機にしようというのだ。

 更にZ&R社はビガース社、クラウラー社、センチネンタル社、クランスマン社等の旧式兵器の開発企業と共同開発(後に吸収合併)を行い、割り切った設計によって低コストながらも高い信頼性・火力・射撃精度を持った傑作デストロイドシリーズを生み出す事となる。

 が、同時に問題も起きた。

 

 「異星人の巨大兵器並び宇宙怪獣を大火力によって駆逐する。」

 

 こんなコンセプトを元にデストロイドシリーズ唯一の問題児が誕生した。

 そう、デストロイドモンスターである。

 ケーニッヒ・ティーゲル博士は昨今の対異星人・宇宙怪獣を念頭に置いたデストロイド開発に参加し、準特機とも言える機体の開発に着手した。

 

 「火力が足りない?じゃぁ大口径にしよう。」

 「当たらない?じゃぁセンサー系強化した上でレールガン化しよう。」

 「それでも火力が足りない?連装化しよう。どうせだから4連装だ。」

 「まだ足りない?弾頭を反応弾にしよう。腕部ミサイルランチャーもだ。」 

 

 が、ここまでやっても実弾兵装ではまだ火力が足りない。

 そのため、一度はこの設計案はお蔵入りになりかけたのだが…

 

 「話は聞かせてもらったぞ!」

 

 呼んでもないのに更なるマッドが追加されてしまった…(俯き)。

 

 「この敷島が貴様らに手を貸してやろう!」

 「何おう!他所者は引っ込んでおれ!」

 「何じゃと若造!」

 

 出会って早々大喧嘩、その後も口と拳で会話しながらも、敷島博士とケーニッヒ博士は次第に打ち解けて開発は順調に進んでいった。

 

 「どうせじゃ、弾を光子魚雷にしちまおう。」

 「何?」

 「機体動力も縮退炉にして、レールガンの弾速を亜光速まで上げるぞ。」

 「だが、それでは反動で機体が吹っ飛ぶぞ?」

 「テスラ・ドライブがあるじゃろ。あれ反動抑制にも使えるぞ。」

 「コストが上がる。だが、だが…!」

 「やっ て み た い じゃ ろ?」

 「そ れ も そ う だ な。」

 

 こうして、二人のMADはイイ笑顔で試作機を完成させた。

 こうして出来上がったのが全長40m、全備重量370tというデストロイド最大の巨体を持った怪物が完成した。

 これがデストロイドモンスターの開発秘話である。

 縮退炉からの溢れんばかりの出力を利用した亜光速レールガンにより発射された光子弾頭の一撃は、フィジカルキャンセラーを用いる大型の宇宙怪獣であっても通用する。

 大質量の亜光速の弾頭を止めるために一度使い、そこから更に発生するブラックホールならば攻撃が通るのだ。

 

 「面白いものを作っていますね。」

 

 そこに更にA.I.M.からの担当者が追加された。

 

 「とは言え、縮退炉を使ってはコストが高騰します。」

 「あぁ?それじゃ火力が落ちるじゃろ!」

 「なので、新型のプラズマリアクターを二基搭載しましょう。これで十分な出力を確保できます。」

 「ふむ…これなら排熱の問題も解決するな。」

 「後は脚部も大型化して後退防止用のドーザーも追加しましょう。これで多少なりとも発射時の衝撃を分散できるかと。」

 

 こうして、問題だったコスト面もある程度改善した事で、デストロイモンスターは日の目を見る事となったのである(白目)。

 が、当然ながら試験運用において数々の問題が起きた。

 

 「地上だとテスラ・ドライブ無しじゃ動けん。」

 「ホバーで移動するとクッソ遅い。歩いた方が早いとは一体…?」

 「あの、甲板や格納庫の床を踏み抜くんですけど…。」

 「普通のデストロイド向けの格納庫だと天井が足らん!」

 

 こんな感じでその巨体と重量から苦情が多発した。

 これにより危うくモンスターの採用は取り消されかけたのだが、連邦軍はその圧倒的火力に目を付けた。

 

 「対異星人・宇宙怪獣のためには確実に奴らを葬れるだけの火力が必要だ。」

 「重力下での運用には問題が多い?よし、宇宙でだけ運用しよう。」

 「下手に新型戦艦作って火力向上させるよりもこいつ作って拠点防衛や艦隊火力の補佐させた方が火力が出るな…。」

 「現在設計中のスペースノアの新型と改修中のヒリュウ、貰ったエクセリオンと砲艦のナデシコ級は兎も角として、数揃えるにはクラップ級が一番だしな…。」

 「足りない火力はこいつを揃えればいけるか…?」

 

 そんな紆余曲折を経て、合計500機近く生産された本機は太陽系内の重要拠点やコロニー駐留艦隊、各星系駐留艦隊、土星基地等に配備され、一連の戦乱初期において足りない火力を補う貴重な切り札の一つとして運用され、戦乱後期においても通用するその火力で最後まで戦い抜く事となる。

 なお、余りにも使い勝手が悪いからと移民船団等では後継機のケーニッヒ・モンスター(サイズ半分で火力は若干低下)が配備される事となり、ケーニッヒ博士は一時不貞腐れたという。

 

 「何じゃ、やる事ないんだったらワシの手伝いをせい。早乙女の所に行くぞ。」

 

 こうして招聘されたティーゲル博士は敷島博士と共にゲッターロボ運用のための母艦であるゲット・ボマーを開発、更なる火力主義へと身を浸す事となる。

 

 

 ……………

 

 

 「弱ったな…。」

 

 同じ頃、ソルデファーの開発元たるフレモント・インダストリー社ことFI社は困っていた。

 元々が航空機開発会社なので、ソルデファーの採用が無くなっても想定内だったが、それでも開発費用が回収できないのは痛い。

 かと言って現在それなりに高性能なソルデファーの改良並び後継機開発となると直ぐには出来ない。

 どうするべきか、と悩んでいると、にこやかな営業スマイルで彼に近づく者がいた。

 

 「お困りのようだね?」

 「おや、貴方はアナハイムの。」

 

 アナハイムからの担当者だった。

 

 「お宅は良いですな。ジェガンにグスタフカール。クラップ級の採用も決まりましたし。」

 「えぇ、ですがまだまだ問題があるのはご存知でしょう?」

 

 事実だった。

 何とか対策は打てているが、それでも根本的にアナハイムの商品はコスト最優先な所があり、太陽系内で運用するには十分だが、外では火力も機動性も装甲も足りない。

 

 「FI社さんは以前からサイコセンサーの改良を試みていましたよね?」

 「えぇ、まぁ。変形機構も試していますが中々……。」

 「よろしい、大いによろしい。どうです?私共と共同開発してみませんか?」

 

 この共同開発によってサイコミュを搭載した高性能・可変MSの試作機が多く開発された。

 FI社はボール状のエネルギーを思考誘導するスプラッシュブレイカーを搭載した可変機たるアシュクリーフを、アナハイムはZガンダム並びガンダムmkⅡからmkⅤまでが完成する事となる。

 しかし、この成果も技術開発料を払われる程度には評価されたものの「いや、可変機とかVFのが良いし」という無常な一言で切って捨てられ、「いや、このご時世にサイコミュって…何処に使い道があるの?」とコストが高く使い辛いサイコミュ兵器搭載機もお断りされた。

 この失敗を契機に経営難に陥ったFI社(アナハイムは他で稼いで補填)はこの共同開発を契機にアナハイムへと経営合併、旧経営陣もそこそこの役職を割り振られる形で分散されて完全に吸収される事となる。

 が、この時の開発データが元となり、アナハイム最高の開発の一つとされるサイコフレームの完成へと繋がる事となる。

 

 

 

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