多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
これの他に各艦艇の改良とかまだ残ってると言うのに!
新西暦182年 夏 いつものラングレー基地
Z&R社のデストロイドシリーズの誕生や各MSやVFの反応弾の採用が決定した頃。
他の企業群もまた、死力を尽くして対宇宙怪獣を想定した兵器開発・改良に万進していた。
先ずはイスルギ重工から見てみよう。
「やはりと言うべきか、ガーリオンじゃぁ火力が貧弱過ぎますか…。」
「まぁ実弾兵装主体ですからねぇ。」
ガーリオンは良い機体である。
しかし、ジェネレーターをプラズマ・ジェネレーターではなく、通常のミノフスキー式核融合炉(それでも一年戦争当時よりも高性能)を採用したためにどうしても武装に回せる出力が他の機体に比べて低いのだ。
「武装に関してはジェネレーターをプラズマ・ジェネレーターに換装した上でビーム兵器を搭載するか…。」
「近接武装のアサルトブレードは整備の手間がかかり過ぎて不評でしたし、思い切って手首にビームガン兼用ビームサーベルを設置しましょう。」
これは他の機種で実戦証明済みなため、直ぐに採用された。
「問題は射撃兵装か。」
「ビームライフルはオプションで装備可能でしたが…。」
「レールガン自体は好評でしたからね。ビームバズーカとかどうです?」
「それも有りだが、FI社のソルデファーが使っていたビームマシンガンがあったろう?アレをガーリオン向けに手直しするのはどうだ?」
「良いですねそれ。」
元が良い機体で全機種がユニバーサルコネクターを採用しているだけあって、この辺りはすんなり決まった。
が、それだけで満足するなど地球の大企業には有り得ない。
「それでも火力低いな…。」
「デストロイドでしたっけ?アレらを参考にうちも砲撃特化のAM作ってみますか。」
この時の話が元で、簡易式デストロイドモンスターとも言えるバレリオンが生まれる事となる。
なお、ヘッドレールガンは後に連装式になった上、最終的に弾頭も通常弾から反応弾へと変更される模様。
そこまでやってもデストロイドモンスターの半分近いコストだったりする。
「機動性の向上は今は置いておくとして…。」
「確か恒星間航行機開発計画がEOTI機関で進められてたろ。そっちの人を呼ぼう。」
これがプロジェクトTDチームnイージス計画参加の発端であり、完全健康体のドルオタなフィリオ・プレスティ博士が大活躍する切っ掛けだった。
「ジガンスクードの方はコクピット周辺を球体状の装甲で覆って、それごと脱出装置化する予定です。」
「GBのマルチロックオン拡散化については…。」
「ビームなら兎も角、重力兵器は難しいとA.I.M.さんから言われました…。」
「そうか…。」
彼らもアプサラス式のマルチロックオン拡散メガ粒子砲の技術は手に入れていたが、実装するには色々問題があった。
特に小型化とコストと排熱の問題が。
「お困りの!」
「ようですな!」
そう言って現れたのは、ネルガルとクリムゾングループの担当者らだった。
何か背中合わせで片てで顔半分を隠す妙なポーズを取って現れた。
こいつら紅魔族でも乗り移ったのかな???
「どうしたんですお二人共?」
「いえ、うちでもジガンを生産してるじゃないですか?」
「どうせですし、ジガンベースでアプサラス式メガ粒子砲を組み込もうかと。」
「む。」
それはイスルギでも考えられたが、上記の課題がクリアできずに頓挫していた。
「こちらのデータを。」
「これは…。」
「ジガン本来の盾としての役割は捨て、純粋な砲撃用特機として再設計したものです。」
そのデータには上半身が丸々ジガンスパーダとなったジガンスクードの改良機が表示されていた。
人型の腕部と盾は無くなり、胴体のGBと両腕だった場所に備えられた片側2門ずつの巨砲が目を引く。
「成程、大胆な改装ですな。」
「システム的にジガンスクードよりも大型かつコストも高くなりましたが、これで漸くアプサラス式メガ粒子砲の量産が叶います。」
「しかし、ジガンは今も各方面の連邦宇宙軍で取り合いになっているのでしょう?おいそれと生産できるとは…!」
そこまで言って、イスルギの担当者は気付いた。
「成程。そちらは主力機の採用で落ちていたのでしたな?」
「えぇ、ですのでこいつの生産はこちらが請け負いたいと思っております。」
「そちらには引き続きガーリオンとジガンスクードの生産をお願いしたいのですよ。」
勿論だがその分の受注生産分の利益はそちらに行く。
特許やら何やらの関係で利益は決して0ではないが、それでも直接受注するよりは低くなる。
それは次期主力機の採用で実質落ちている二社にとっては大きな利益となるだろう。
何せこのジガンスパーダはデストロイモンスターと並んで太陽系を守るための剣となり得る性能を持っている。
圧倒的多数かつ巨大な宇宙怪獣の防御を突き崩すだけの火力とマルチロックオン能力はそれだけの価値がある。
「ですが、そちらはナデシコ級の正式採用が決まったのではありませんかな?」
しかし、ここでイスルギ側もただ飲み込むだけなら企業でのエリートなんてやっていない。
即座に痛い所を突き返した。
先の戦闘で、ナデシコ級は砲艦としての価値を大いに示し、コストもそこまで高くなく、真空での運用に限るとは言えDブロックによる極めて高い防御力・耐久力を持つ事からも採用は本決まりし、現在対空火器を増設した制式モデルがネルガル・クリムゾン両方の造船所で順次建造中だった。
「えぇ、御蔭さまで。」
「中々潤っていますよ。」
ニコニコ、ニコニコ。
三者の安心できない笑みは結局、この話を渉外担当へ渡す形でお流れとなるのだった。
後に正式採用されたジガンスパーダはジガンスクードと並んで艦隊・重要拠点防衛のための盾にして剣たる兄弟機として運用される事となる。
なお、パーツの互換性が高い事から既にジガンスクードの配備されている部隊に優先的に配備された事から、また現場で激しい取り合いになってしまうのだが、それは置いておく。
……………
その頃、マオ社からの担当者らも悩みを抱えていた。
「う~~ん。」
「これ以上どう改修せいと…。」
ゲシュペンストは採用の決まった主力量産機の中で、最も堅牢かつ高性能な機体だった。
白兵戦・格闘戦に重きを置いたムーバブルフレームを採用した機体構造は武装無しでの打撃戦においてすら一切壊れず、高い信頼性を誇る。
更に高い機体出力と豊富なオプションにより火力も機動性も高い。
その分、コストは最も高くなっているが、それを飲み込む程度には優れた機体性能を持っていた。
「取り敢えず、左腕部のプラズマステークですが、オプション式にしちゃいましょう。」
「まぁ射撃戦だとデッドウェイト化しているからな…。」
悪くはないのだが、無駄な重りになっていると言われてしまったのなら外さねばならない。
「開いたスペースにはウェポンラックを備えて、標準装備としてバタラのビームシールドを付けましょう。」
「確かに防御手段として優秀だし、近接戦闘にも使え、おまけに軽いから有りだな。」
「出力に余裕もあったし、これで行けるな。」
「けどコスト更に上がってね?」
最後の一言に、全員が俯いた。
それは彼ら全員が自覚していた事だったからだ。
「このままじゃ主力機に採用してもらってもアナハイムに持ってかれかねんぞ…。」
「ジェガンもかなり良い機体だからなぁ…。」
「うぬぬぬぬ……!」
頭を抱える一同に、唐突に救いの手が差し伸べられた。
「あの、ちょっと良いですか?」
「おや?君はジオンの技術者の…。」
「えぇ、実は本国からゲシュペンストを主力機として採用したいと言われまして。」
「「「はぁ!?」」」
曰く、今後の対異星人・宇宙怪獣相手では既存MSの改修機ではどうにもならない。
曰く、だったら新しい機体を購入するか開発するしかない。
曰く、でも技術者殆ど派遣中で開発できないの…。
曰く、だったら購入するしかないじゃない!
「で、うちのゲシュペンストが欲しいと?」
「えぇ、まぁ。」
「だが何でうちなんだ?コストならイスルギやA.I.M.さんの方が…。」
「今後の改良の土台となれるだけの冗長性と少ない数でも異星人に対抗できるだけの性能が欲しいとの事です。」
「あー確かにガーリオンもバタラも構造が単純か小さいかでコスト低くして生産性高めてる所あるからなぁ…。」
「それに見た目もジオン系MSに近いから現場でも受け入れやすいだろうって事でして。」
「あー納得。」
そんな訳で、ゲシュペンストは全機が順次後期型に改修され、連邦軍で余り採用されなかった枠は全てジオン共和国仕様(モノアイ版)として輸出される事となった。
これには一部苦言を呈する者もいたが、「運用・改修データは全て連邦とメーカーであるマオ社に提出する」というマ・クベ首相との契約によりGOサインが出た。
が、マオ社はこれだけで満足できる程に意識の低い企業ではなかった。
「火力はまぁ一旦置くとして。」
「機動性、ですね。」
「亜光速で突っ込んでくるとか何なの…?」
現状、亜光速突撃に対応できる戦力はるくしおん級と太陽系防衛用無人兵器達のみで、人類側は碌な対抗手段が無かった。
相手が加速する前に圧倒的火力で叩き潰そうぜ!というコンセプトの絶対火力主義のデストロイドモンスターや相手の攻撃位受け止めてみせらぁ!なジガンスクード、そしてこっちも亜光速じゃオラぁ!なプロトシズラー0位しかいないのが現状だった。
「取り敢えず、テスラ・ドライブ沢山載せててみるか。」
「理論上は亜光速までいけるらしいですしね。」
「おや、面白そうな事をしているね?」
そこにひょっこり現れた二人の人物に、マオ社の担当者達は驚いた。
「あ、テム博士にミノフスキー博士!」
「亜光速、か。実に面白そうな題材ですな博士。」
「うむ、ワシらも少し混ぜてくれるかのう?」
これが後に「MSにしてMSにあらず」、「特機級なのにMSサイズ」、「初の亜光速戦闘対応MS」として知られる傑作機ヒュッケバイン開発の始まりであった。