多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第23話 次への課題と再会

 新西暦182年 秋

 

 機動兵器の改修・開発・再設計が順調に進んでいく中、艦隊再編計画は停滞していた。

 

 「亜光速戦闘対応で統一すべきだ!」

 「予算が足らんだろうが!復興が終わったとは言え、予算は有限なんだぞ!」

 「全部るくしおん級とナデシコ級で統一したら予算が3年分になるんですが…。」

 「だからといって宇宙怪獣対策を疎かにする訳には…。」

 

 宇宙怪獣との戦闘から、その圧倒的戦闘能力と物量に衝撃を受けた連邦軍は何とか対策を講じようとしているのだが、遅々として進んでいなかった。

 原因はただ一つ、予算不足である。

 今年度は既に予算割り振りが終わり、これから本格的に建造していこうという段階だったのだ。

 それが宇宙怪獣との戦闘により、「現状の艦隊再編計画では勝てない」と判明したのだ。

 一年戦争の経験から現場からの声に真摯に耳を傾けるようになった連邦軍上層部はこの問題に対してどうするか考え続けた。

 

 「よし、るくしおん級とナデシコ級の割合を増やそう。」

 「スペースノアとヒリュウの本格的な亜光速戦闘対応への改装をしましょう。」

 「エクセリオン級だったか、あの艦へ割り振る人員の選抜も始めよう。」

 「マクロスに関しては太陽系防衛用無人部隊の旗艦を参考に改装しよう。バリア持ちに対しては近接戦闘が有効らしいしな。」

 「太陽系の外縁に近い場所には亜光速対応、そうでない場所は既存の改修で済ませる他あるまい。」

 

 ここまでは割とすんなり決まった。

 しかし、「実際に各艦の生産割合をどの程度にすべきか」では大揉めした。

 結局、計画当初のクラップ級主体の計画から、クラップ級の割り当てを少なくし、るくしおん級とナデシコ級の割合を大幅に増加する事となるのだった。

 そして、その高い艦載機運用能力と機動性、ブロック構造故の改装の容易さと耐久性からヒリュウ並びスペースノアは大破した艦首にそれぞれGBと重金属粒子砲の搭載を始めとした亜光速戦闘並びISA戦術艦へと正式に改装される事となる。

 後のスペースノア級はこの二隻のデータを元に全艦が亜光速戦闘対応で建造され、各艦が空母・砲艦・強襲揚陸艦として艦首ブロックと両舷のみ異なる仕様に異なる形で建造されている。

 ナデシコ級も同様であり、対空レーザー砲の増設並び機動性・索敵性能の強化を始めとした亜光速戦闘対応改装がなされ、後の同級は全てこの状態で正式に生産される事となる。

 

 「エクセリオン、どうします?」

 「乗員は艦載機のパイロット含めて2万人ですか…。」

 「どっから人員出しますかねぇ…。」

 「艦載機はVF含む航宙機なら800機、MSなら400機以上…。」

 

 そして、エクセリオンをどう使うかでも揉めていた。

 何せ現存するドロス級2隻を上回る艦載機運用能力と光子魚雷を始めとした無数の武装による超火力を誇るのだ。

 足回りもそのサイズにしては極めて良好であり、単独でのフォールドも可能となっている。

 なお、トレミィらの技術によって強化されているため、原作よりも高性能になっている模様。 

 

 「土星基地に回すか?」

 「馬鹿言うな。あそこの人員の半数以上がこの艦に取られるぞ」

 「それにもし反乱を起こされたら地球圏が終わるぞ。」

 

 そうなのである。

 連邦軍上層部としては反乱防止等も考えてこの艦を運用しなければならないのだ。

 しかも、今後も同級は増えていく予定なのだ。

 

 「宇宙怪獣相手にはこれ以上なく頼りになるんだが…。」

 「地道に人員を募るしかあるまい。」

 

 忘れられがちだが、この世界の地球は一年戦争での人口の消耗が少ない=人材が多くいるし、教育すればものになる人材も多い。

 如何に火星・水星・木星・土星に入植しているとは言え、まだまだ地球環境を浄化するまで減らす人口は多いのだ。

 

 「無人防衛部隊が組織される訳だ。こんな巨艦、まともに運用していては人材が払底する。」

 「とは言え、政治的爆弾なぞ抱えたくないですしな。」

 「折角コーディネーター問題も事実上消えたのですし、新たな火種は熾さないに越した事は無い。」

 

 そういう訳で、エクセリオン級の運用は普通に地球連邦宇宙軍の人員で運用される事となる。

 なお、内部にはそれなりの数のナノマシン式自動人形(見た目はメカ)がいるし、艦のメインCPU内の人工知能のお陰で大分運用は楽になっている模様。

 

 

 ……………

 

 

 同じ頃、共和連合もまた頭を抱えていた。

 それは枢密院特使メキボスが持ち帰ったお土産に関してだった。

 エクセリオン級とその中身?

 それはそれで問題だけど違う。それに高度なフォールド技術は寧ろ大歓迎です。

 地球連邦政府との対等な関係での通商条約?

 それは想定範囲内だったし、多少過激派から文句言われても通すから良い。

 真に問題なのはチューリップ型超長距離ゲート搭載のターミナルコロニー(自力での単体フォールド可能)の存在だった。

 

 「どうするんだこれ…。」

 「というか、何処に設置するかも問題だぞ。」

 「確実に位置情報と流通情報はばれるし、かと言って解体するには余りにも惜しい…!」

 「何なんだこのオーバーテクノロジーは…。」

 

 共和連合もワープ航法は実用化しているが、重力の関係で行える場所が限定されている等の問題がある。

 しかし、このターミナルコロニーはその辺りを完全にクリアしている上に、理論上銀河の端と端からノータイムで移動可能なのだ。

 唯一、生体を送るにはDF等の空間歪曲力場や重力波での防御を必要としているが、そんなもの些細と言って良い程に革命的な代物だった。

 

 「これは、女王からのメッセージでもあるな。」

 「やはりか。」

 「こちらと争う気はない、か…。」

 

 当然の話だった。

 地球連邦の軍備はその文明の発達度から見れば驚異的であり、自分達の足元へと急速に追い上げてきている程だが、宇宙怪獣こと生体災害相手には未だ対抗できていないし、巨人族からも身を守らねばならない。

 そうなると、少しでも敵を減らして備えなければならない。

 話し合いの通じない生命災害や巨人族に対して、共和連合は話し合いが通じるというだけで大歓迎すべき勢力だった。

 

 「今後とも商売をし続ける程度には仲良くしたい、という意味だろうな。」

 「では、通商条約に関しては予定通り良しとして…。」

 「高度フォールド技術も解析中です。何れは流通改革は我々単独でも起こせるでしょう。」

 「成程、良いタイミングで売り込んだものだな。」

 

 既にワープ航法は条件付きだが運用している共和連合にとり、技術情報もあるのだから何れは同じ領域へと到達できるだろう。

 なので、その前にお手本兼見せ札兼積極的通商の切っ掛けとしてのターミナルコロニーの贈呈である。

 

 「宜しい、乗ってやるとしよう。」

 「とは言え、何を売り出すのだ?」

 「先ずは互いの文化的交流を促すべきだろう。民間に任せてみるさ。」

 

 意訳:政府が先に手出しして火傷するより、先にゴライクンル辺りに任せてみようや。ビジネスチャンスだし大丈夫やろ別に。

 流石は枢密院、食えない連中である。

 

 「で、機動兵器だが…。」

 「技術者らも頭を抱えていたぞ。何故この文明発達度でここまでの兵器が出来るのかと。」

 「まぁ女王とその配下の無人兵器らの梃入れだろうな。」

 「それにしたって異常ではある。」

 

 MSに特機、VFを始めとした各種機動兵器の解析データを見て、枢密院が思った事を地球風に例えると…

 

 「何でこいつら、第二次大戦以前の文明なのに超音速ジェット戦闘機実用化してるの???」

 

 といった具合である。

 自分達はF-22が型落ちしてる状態だけど、この発達速度はヤベェと思わされていた。

 

 「加えて、我らよりも高出力の機関を実用化しているのがな。」

 「縮退炉か。あの艦や大型機に搭載されている奴だな。」

 「これに関してはゴライクンルの連中も脱帽していたぞ。」

 「いい気味だ。奴らも偶には困るがいい。」

 

 実際、数々の共和連合製兵器の開発・生産を請け負うゴライクンルは今回の一件に頭を抱えていた。

 主機関というのはその更新に多大な費用と地道な研究開発を必要とするものであり、幾ら性能が高くても信頼性が落ちるのでは話にならないと嫌悪される事もあり、ブラックホールエンジンからの更新は遅々として進んでいなかった。

 

 「まぁ有り難く使用させてもらうとしよう。」

 「そうだな。技術者達もこれを契機に奮起してくれるだろう。」

 

 彼らは知らない。

 自分達が漸く縮退炉の解析を完了し、量産段階に入った頃にはより小型化が進んだ傑作機ヒュッケバインが実用化され、更には「人の精神をエネルギーへと変換する技術」が正式に開発されるという事を。

 それらを解析するには自分達の宿敵とも言えるゼ・バルマリィ帝国ならびズール銀河帝国の専売特許である念動力関連の研究(二勢力に比べて全っ然進んでない)を進めなければならないという事を。

 一連の戦乱が終わる頃には、最終的に技術面では完全に追い抜かれるという事を。

 彼らはまだ知らない。

 

 

 ……………

 

 

 火星 A.I.M.秘匿ドック内医療施設にて

 

 「ノリコ!カズミィ!」

 「ちょ」

 「ゆんgぐえっ!?」

 

 回収されて治療を終え、漸く意識を取り戻した二人の元へと諸々の仕事を終わらせて最速でやってきたユングは一切の躊躇なく二人を抱き締めた。

 

 「バカバカバカ!私が、残された皆がどんな思いで待ってたと思ってるのよ!だってのに人の気も知らずにグースカ寝て!」

 「ごめんなさい…。」

 「ごめん、ごめんねユング…!」

 「ゆ゛る゛ず!」

 

 そこからはもう、意味のある声は聞こえてこなかった。

 同じ世界線からの漂流者たる三人は今生の別れを覚悟していながら、それでも望んで止まなかった再会を果たして歓喜に咽び泣き続けていた。

 

 「ぐす……。」

 「どうぞ、ハンカチです。」

 「ありがど。」

 

 それを病室の外から見ていた自動人形達とその主は病状が悪化しないか見守っていた。

 

 「良かったなぁ…。」

 「はい、最近では珍しい慶事かと。」

 

 タカヤ・ノリコとオオタ・カズミ。

 彼女らはどちらもTFの介入の無い原作のエーテル宇宙出身であり、因果律の測定からユング大統領と同じ世界線からの来訪者である可能性が濃厚である事が分かっていた。

 この調査結果を知った時から、ユング大統領は普段以上に仕事を精力的にこなし、間も無く目覚めるという知らせを受けた時には即座に地球のA.I.M.本社へと訪れ、そのまま地下のワープ施設にて火星へと赴いた。

 そして、上記の再会と相成ったのである。

 

 「…それで、ガンバスターの方は?」

 「予想通りですが、大破です。修理は不可能かと。」

 

 一方、一緒に来ていたガンバスターは完全に大破しており、搭載CPUが辛うじて動いていた予備電源でコクピットの生命維持機能やイナーシャルキャンセラーを騙し騙し用いて辛うじて二人を守り続けていたのだ。

 が、無理が祟った結果、もう搭載CPU含めて完全にお釈迦になっていた。

 今後は解析し、データを取った後は保管し、何れ本体と合流した暁には彼女らが行くべき時間軸へと送り出す予定だ。

 なお、ユング大統領に関しては偽名や戸籍を用意した上で同じ時間軸へと送る予定となっている。

 最早あの三人を引き裂くものはないのだと。

 それが地球を、人類を守るために必死になってくれた三人への、トレミィ達の出来る細やかな贈り物だった。

 

 「幸い、メモリー自体はある程度回収できました。新たなハードに入れれば動作はします。」

 「でも、完全じゃないんでしょう?その時点でガンバスターじゃないんだし、休ませてあげよう。」

 

 最後までパイロット二人を愚直に守り続けたガンバスターに敬意を表し、眠らせる事を選択した。

 勿論、パイロット二人の意向は最大限汲むつもりだが、あの二人も同じ選択をするだろうな、とトレミィは思っていた。

 

 「では、残されたメモリーの断片は如何しましょう?」

 「G.G.に注入しちゃおうか。同じバスターマシンの系譜だし、今後来るだろう戦いに役立つでしょう。」

 「了解。では以前から進めていたパイロット保護を前提とした改修案を進めていきましょう。」

 

 こうして、漸くノノリリとその親友は再会を果たす事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、そう言えばこの世界の貴方達二人と家族、オオタ中佐(現在は大尉)とか皆生きてるからね。」

 「「え。」」

 

 なお、二人の戸籍・偽名作成はプライスレス。

 




やっっっっと三人の再会書けた!
これがやりたかったからこそ、面倒な手順踏んだまである。
ちょっとあっさりだったけど、無理に文字数多くしても違和感あるので敢えてあっさり。
なお「オカエリナサト」と言わなかったのはわざとです。
この世界は彼女らの居場所じゃない、本当に帰る場所は別だからね、という意味で。

この感動がより濃く味わいたかったから「トップをねらえ!」1と2を見ようね!
お勧めは両方の劇場版を一気見だよ!
音声のズレが気になる方はOVA版を見よう!
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