多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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不穏なラスト。
誰が誰だか分かったかな?


第24話 戦力再編計画と商売四方山話 そして…

 新西暦182年 冬

 

 この時期から暫くの間、太陽系は小康状態が続いた。

 太陽系の外の脅威、それを直に体感した地球連邦政府はこれまでの楽観を捨て、一年戦争後という「戦後」から次なる戦争、即ち対外防衛戦争並び銀河への進出を目標とした「次の時代」へと目を向けるようになった。

 これらの動きはレビル首相やゴップ大将、そして各大企業群のトップとジオン首脳部等は既に意識して動いていたが、太陽系全体の意識改革となるとこの時期からとなる。

 

 「艦隊再編計画を修正し、対外防衛戦力の整備を開始する。」

 

 レビル首相の宣言に続く形でゴップ大将が発表した対外防衛戦力整備案は以下の通りとなる。

 

 1、艦隊建造の割合はクラップ4・るくしおん3・ナデシコ2・他1とする。

 以前はクラップ級の割合が6、るくしおんとナデシコが1ずつ、他2となっていた。

 また、るくしおん並びナデシコ級は拡張工事の開始された土星基地から優先的に配備される予定となっている。

 なお、その他にあたるエクセリオン級は冥王星工廠基地にて防衛用無人機部隊が建造したものを購入する形となる。

 

 2、各種機動兵器並び既存艦艇の対亜光速戦闘対応への改修。

 既にして限界まで改修されているマゼラン・サラミスを含めた艦艇群は、各種レーダー・センサー群の強化と更なる対空能力の向上と自動化の促進。

 亜光速の領域にまで突入した戦場では人間の指示では間に合わない所も多くなっており、対空砲火等の人の手の余り必要のない部分は自動化の割合を増やさざるを得なくなっていた。

 これにはポストの減少により嫌がる意見もあったが、艦隊の数自体はそれ以上に増やすため、余り問題視されなかった。

 機動兵器に関しては各種レーダー・センサー群の強化に加え、反応性の向上が図られた。

 本当なら文字通りの意味での亜光速戦闘を可能とする機動兵器が必要なのだが、そちらはまだ開発段階にあり、一部特機しか対応できてない。

 そのため、少しでも生存率を向上させるべく、サイコセンサーの感度向上並びバイオCPUへの交換、OSの改善、コクピット回りの耐久性向上ならび今一つ信頼性の低い脱出装置の改善が成される事となる。

 

 3、特機構想の大々的発表並び民間からの正式公募の開始。

 既存の特機構想を拡大したものであり、今までは実質一社が行っていた特機開発計画を本格的に連邦政府支援の下で行う。

 とは言え、既に主体となっていたA.I.M.には十分配慮して、看板が変わっただけである。

 また、民間が独自に細々と開発している特機他機動兵器等の研究に対して政府が出資、場合によっては特許や機体が正式採用、或いは購入される。

 これに関しては民間の研究所から既に数件の募集が入っており、宇宙開発公団や破嵐グループ、21世紀警備保障、シャフトエンタープライズ等の多くの中小企業が現在審査中となっている。

 

 4、人員募集枠の大幅増加

 このままでは確実に人数不足に陥ると見た連邦軍による人材募集。

 特に何等かの分野で特段に優秀な者は通常よりも技能分の追加ボーナスが出る。

 が、現在太陽系全域で開拓並び生産ラッシュが起きている現状、これで来てくれる人員は少なかった。

 そして、そんな状況で雇用対策でもある軍へ来る者は一癖も二癖もある者であり、大体そういった人員は纏められて運用され、その中でも特に癖のある連中が独立愚連隊「マーチウィンド」として活躍し、一躍有名となるのだった。

 

 この動きは次の戦争、即ち新西暦187年まで続き、それまで地球連邦軍は確実にやってくるであろう外宇宙からの侵略者を相手にその牙を研ぎ続ける事となる。

 

 

 ……………

 

 

 斯様に軍事面で地球連邦政府が必死になっていた頃、民間においては戦後初の好景気として沸いていた。

 と言うのも、ワープ技術を搭載したターミナルコロニー群が民間に解放された事により、月・火星・金星・土星、そして共和連合への移動がある程度条件付きとは言えノータイムで行える事となったのが大きい。

 これにより流通革命が起き、今まで他の星にまで行けなかった中小企業にもチャンスが巡ってきたのである。

 が、全てのものがその流れに乗れた訳ではない。

 何せこのターミナルコロニー群はまだまだ出来たばかりであり、初期は月と共和連合(勢力圏の何処か)しか繋がっておらず、しかも利用価格は結構するのである。

 勿論、上手く商品を捌ければ十分ペイできる程度の額だが、最初期は殆どの企業が躊躇いを見せた。

 

 『どうも~ゴライクンルです~。』

 

 正式な通商条約締結直後、そこに現れたのが三河屋か何かの様な挨拶と共にやってきたゴライクンルからのセールスマンだった。

 彼らは兵器類ではなく、先ずお互いの文化や趣味嗜好等から交流するべきだと食料や文物等、娯楽用の民需品等を持ってセールスにやってきたのだ。

 

 「買います。」

 「うちも!」

 「こっちもだ!」

 

 そこから先は早かった。

 真っ先にA.I.M.が食い付いたのを見て、我も我もと他の企業群も食い付き始めたのだ。

 勿論、お値段はターミナルコロニー利用料金分を差し引いても割とボラレたが、この商売は歴史に残る一回目であり、その程度は互いに想定内であるため、大量に持ち込まれた各種商品は一時間足らずで売り切れとなった。

 

 『毎度有り~。』

 「所でうちの商品どうです?空荷で帰っては損でしょう?」

 「うちのもどうです?先ずは民間交流からという事で…。」

 『おやおや、これは勉強させてもらいましょか~。』

 『「「ふっふっふっふ…。」」』

 

 海千山千の商人連合と地球の企業群の銭を用いた戦争はこの時から始まり、次の商売の約束を交わすのだった。

 銭の繋がりは時に国家の思惑を超えていく。

 今一つ警戒を崩す事のなかった共和連合と地球連邦はこの時から民間の交流が活発化、徐々に互いへの態度を軟化していく事となる。

 それにターミナルコロニーの追加建造が拍車をかける事となり、活発化した商取引は両勢力を否応なく近付かせていくのだった。

 

 Q つまり?

 A どっちかが滅んだり経済恐慌起きるともう片方にも大打撃☆

 

 これが原因で後に両勢力は相互軍事条約を締結、正式な同盟国となるのだった。

 

 

 ……………

 

 

 新西暦183年 初頭 某所

 

 『由々しき事態だ。』

 

 暗がりの中、モニターだけが浮かぶ空間で、モニターの一つから声が発せられた。

 

 『確かにな。』

 『その点に関しては異論はない。』

 

 他のモニターからも続々と同意を示す言葉が出て来る。

 

 『だが、どうする?』

 『地上人共の発展は我々の予想を超えている。迂闊に手出しは出来ん。』

 『然り。やるならば確実に仕留めねばならん。』

 『最近、我らの存在に感付いてか各地への探索も進んでいるぞ。』

 『残された時間は少ないか…。』

 

 明らかに物騒な内容に、しかし顔を顰める者はいない。

 この場で通信している全員が、今の太陽系の状況を忌々しく思っているからだ。

 

 『フン!猿共なぞ我らだけで十分よ!』

 『ハ、ゲッター線で溶ける貧弱な蜥蜴が何じゃと?』

 『貴様…!』

 

 明確な嘲りに、モニターの一つに移っていた人型の爬虫類染みた存在が擦過音にも似た唸りを上げる。

 

 「五月蠅い。」

 

 ピタリと。

 突如響いた声一つで、全員が静まり返った。

 

 「貴様ら、今日まで人間共の跋扈を許していた程度の者が何を騒いでおるか。」

 

 声を発した存在、それは巨大な石像だった。

 だが、真に恐ろしいのはその内部にいる恐るべき存在だった。

 この場でモニターを通じて話しているだけだと言うのに、その存在の恐ろしさを知る面々はただひれ伏す事しか許されない。

 

 「レムリアめが表に出たとあっては、最早猶予は少ない。彼奴らが態勢を完全に整える前に、何としてもムーの末裔を皆殺しにし、ムートロンを手に入れねばならぬ。」

 

 ギシギチと、圧倒的プレッシャーがモニター越しに一同へと伸し掛かる。

 石像の中で1万2千年もの長き眠りについておきながら、その力は一向に衰えていない大帝の力に、一同は全身を恐怖で震わせていた。

 

 「が、それも間も無く終わる。」

 

 腹立たしさを隠そうともしていなかった大帝のプレッシャーが突如和らいだ。

 

 「漸く交渉が終わった。数年もすれば我と力を等しくする者共がこの星を目指してやってくるであろう。」

 

 ざわり、とモニターの向こうの者達が驚愕で顔を歪めた。

 唯でさえ自分達の敵わない大帝が、自らと力を等しくする者達?

 それは一体どんな悪夢だと、それぞれが野心を持っている一同は絶望で心折れそうになっていた。

 

 「地上の人間共の目が宙へと完全に向いた瞬間、その時こそを狙う。無論、失敗は許されぬ。お前達の身命を賭して千載一遇の機会を掴み取るのだ。」

 

 これから一体、自分達の欲するこの星はどうなってしまうのか?

 野心を秘めつつも、それ以上の危機感を抱えた一同は、今はただ従うしかなかった。

 

 

 

 

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