多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第30話 開発開発 そして巨人立つ

 新西暦185年 いつもの北米ラングレー基地

 

 最新主力量産機開発計画が一段落した現在、生産の現場は未だ終わらないデスマーチの生き地獄状態ではあるが、開発現場は初期不良等の手直しも済み、一段落していた。

 しかし、開発はまだ終わっていなかった!

 

 「中々愉快な事になっていますね。」

 「これを愉快の一言で纏める貴方の胆力にビックリですよ。」

 

 現在の北米ラングレー基地は大量の特機や準特機、その試作機等で溢れ返っていたのだ。

 

 EOTI機関の協力で完成したイスルギ重工のグラビリオン。

 対抗馬のネルガル重工・クリムゾングループの合作のジンタイプ。

 テスラライヒ研究所のグルンガスト。

 EOTI機関、というよりもビアン博士の作品のヴァルシオン改。

 ゴライクンルからの刺客こと怪獣型特機ガルガウ。

 アナハイムからは安定性重視の非変形の強化型ZZことMZ(メガゼータ)。

 A.I.M.より正式版シズラー(サイズとコストがヤバい)。

 

 これらがその性能・完成度を高めるべく日夜鎬を削ってデータ取りや模擬戦に明け暮れていた。

 なお、ヤザンは「デカい機体は性に合わん」として、現在は教導隊と共にあちこち派遣されて、ベテラン向けの教導任務に当たっている。

 また、上記の機体以外の民間研究所で開発されている特機の多くは極東方面である事から、こことは別口で研究開発が進められている。

 

 「しかし、やはりコストがなぁ…。」

 「宇宙怪獣とかが仮想敵ですからね。致し方ないかと。」

 

 シズラーの元となったガンバスターを始祖とするバスターマシン。

 あれは億単位かつ亜光速戦闘が普通の宇宙怪獣と対抗するための超兵器なのだ。

 その性能の割に生産性が高いとは言え、そのコストはどう足掻いてもクラップ級よりも高い。

 

 「そう考えると、MZやグラビリオンは分かり易いな。」

 

 この二機は既存兵器の発展系と簡易型であるため、その運用方法も分かり易い。

 MZは変形・分離機構こそオミットされたものの、縮退炉を搭載した大型MSだ。

 全長こそ25mとMSとしては大型であるものの、腹部に配置されたハイメガキャノン(ジェネレーター直結かつ頭部のセンサー系に干渉したいため移動)を始めとした高火力武装を搭載し、FAプランすらあるこの機体はジェガン並びグフタスカールとの共有パーツも多く、量産型準特機としては最も有望視されていた。

 この機体にはMF開発で培われた最新のムーバブルフレームや駆動系が新たに採用されており、試作数機で終わったZ系やペーパープランで終わったZZ系列よりも更なる高性能を実現していた。

 なお、MFに関しては余りに再現性が低いとされ、アナハイムによる人材派遣業と最近開始されたガンダムファイトによる興業にて活躍している。

 グラビリオンに関してはジンタイプがリオンとステルンクーゲルの時と同様に似た様なコンセプトの機体となってしまったため、現在設計の統廃合が進んでいる。

 

 「まぁ今優先するべきは主力機の配備だからな。特機並び準特機の正式採用と量産は再来年辺りだろうな。」

 「仕方ありませんね。生産ラインが絶賛デスマーチ中では。」

 

 そんなこんなで、開発は進んでいくのだった。

 

 

 ……………

 

 

 「このままでは不味い。」

 「然り。」

 「特機とは盲点だったからな。」

 

 一方その頃、同基地にて深刻な顔で頭を突き合わせている者達がいた。

 彼らはそれぞれストンウェル・ベルコム、新中州重工、センチネンタルの担当者らだった。

 

 「宇宙怪獣。あんな連中が本当にいるとはなぁ…。」

 「異星人はまぁ納得せざるを得なかったが…。」

 

 VF-1バルキリーという傑作機を世に送り出した彼らだが、その反面、特機開発においては大幅に遅延していた。

 というのも仕方ない。

 あんな無茶苦茶な一騎当千を体現する巨大ロボなんて、一朝一夕で開発できるものではない。

 

 「……仕方ない。ここはアナハイムに習おう。」

 「と言うと?」

 「可変機構を排した上での大型化か?」

 「いや、可変機構に関しては引き続き搭載する。大型化は行うがな。」

 「だが、単なる大型化と縮退炉の搭載じゃ、直ぐに陳腐化するんじゃないか?」

 「無論、それだけでは終わらせない。」

 

 VFは既に幾つも派生(通常仕様のA型と指揮官用のS型、電子戦仕様や偵察仕様、練習機仕様等)も出来ている傑作機だが、昨今の技術開発の流れを前にしては直ぐに置いていかれかねない。

 本社や他の会社でも新型機の開発が進んでいるが、それにしたって特機に敵うだけの性能はない。

 ならば、自分達が特機に匹敵するVFを開発するしかない。

 

 「特機級の可変戦闘機か…。」

 「先ずはどれ程の性能が必要かを纏めてだな。」

 「縮退炉搭載の関係で大型機が前提だから、多少は無茶が効く。」

 

 縮退炉。

 現在、A.I.M.以外で生産できず、各社に販売されているそれは信頼性・整備性を最優先した関係でMSに搭載可能な大きさまでしか小型化できないでいる。

 シズラーや戦艦等の大型機にはこれとは別に大型縮退炉、そしてエクセリオン等のkm超えの機体には超大型縮退炉が搭載されている(なお、マクロスは大型縮退炉を複数搭載)。

 現在の機動兵器では排熱の問題から最も小型な縮退炉しか積めないのだが、現状プラズマ・ジェネレーターでも十二分に全力戦闘可能となっている。

 そのため、単に縮退炉を積んだだけでは完全にオーバースペックとなり、無駄になってしまう。

 

 「余剰出力をどう使うべきか…。」

 「ビーム兵器の搭載はどうだ?既に手首にビームサーベル兼ビームガンがあるだろう。」

 「特機級であるからにはミサイルに反応弾や戦術核無しでもある程度の火力は欲しい。」

 「そうなると機動性の低下が問題だな…」

 「そもそも切込み役なのだから、機動性と火力を維持しつつ、防御力も向上させねば。」

 

 こうして特機級可変戦闘機開発は始まった。

 この開発計画は後に更に洗練され、AVF計画へと昇華され、傑作機たるVF-19やVF-22の正式採用、そしてVF-25の誕生へと繋がるのだった。

 

 

 ……………

 

 

 新西暦185年 夏 地球連邦軍 首相官邸

 

 「では、地球圏防衛用特務部隊ティターンズの発足を正式に認めよう。」 

 「ありがとうございます、レビル首相。」

 

 この太陽系で表向きの最高権力者からの許可に、ジャミトフは頭を下げた。

 

 「とは言え、テロリストの監視と対応には手を抜かないでくれ。」

 「分かっておりますとも。」

 

 無論、これは言葉通りの意味ではない。

 ブルーコスモスに同調する様な、反体制過激派等の把握ともしもの時の対処。

 それはつまり、ティターンズそのものもその中に含まれている。

 

 「君には苦労をかけるな…。」

 「何の。これも地球のためですとも。」

 

 やれやれ、と言った風情のレビル首相に対し、ジャミトフはにやりと嗤ってみせた。

 元々、地球防衛のための特務部隊は必要であり、そのためのISA戦術対応艦を用いた機動力の高い小艦隊は設立予定で、ジャミトフはそれの音頭を取っただけだった。

 しかし、実際はこんなアレな仕事を任される事となり、原因となった過激派や反体制派に対して、ジャミトフは内心で激怒していた。

 

 「内情はどうあれ、折角貰った椅子です。精々乗りこなしてみせましょう。」

 「頼んだよ。」

 

 レビルもジャミトフも、これを機に今後の外宇宙移民計画で邪魔になる連中を一纏めにした上で排除する予定だった。

 今後の太陽系に、地球人類に無駄にして良いリソースなど一切存在しないのだが、それをしてでもここで連中を排除しておかないと、本当に大事な時に後ろから刺されかねないと危惧していたのだ。

 そう確信する理由は現在の地球人至上主義者の中心人物であるロード・ジブリール氏の人格や来歴等の詳細がロゴスメンバーから密かに提出されたという事も大きい。

 現在、ジブリールが主となって動かしているブルーコスモスも過激派が幅を利かせており、その主張も自然保護から地球人類至上主義に置き換わっている。

 しかも質が悪い事にロームフェラ財団もここに加わって貴族主義が入り込み、「地球人類の中でも特権階級にある者こそが最も支配者に相応しい」というお前ら頭大丈夫?煮えてない?と問い質したくなるアレな人種へと変貌しつつあった。

 これにはブルーコスモス内の穏健派と中道派も嫌悪しており、彼らの実質トップであるアズラエルと共に徐々に別組織化しつつあった。

 当然、こうしたブルーコスモス過激派の要請と支援を受けて成立したティターンズがまともである筈もない。

 現在は実質ブルーコスモス過激派が尖兵となり、指揮官はロームフェラ財団の息のかかった連邦軍人という形で構成された武装テロ組織に近かった。

 

 「先ずはスペシャルズと繋ぎを取らんとな。」

 

 首相官邸を辞した後、ジャミトフは今後の予定を改めて考えた。

 トレーズ・クシュリナーダ。

 貴族主義を拗らせた老害が多いとされる欧州の雄たるロームフェラ財団において、若手ながら最もカリスマと能力、人格を併せ持った唯一と言っても良い傑物である。

 表向きは地球連邦軍准将だが、その実際は連邦軍の欧州におけるMS運用を前提とした下請け民間軍事会社スペシャルズのトップである。

 このスペシャルズの人員と別口のジブリール肝いりの連邦軍人らがティターンズの指揮系統の中核を成す予定であり、この時点で内紛の種が見えていた。

 

 (両方が食い合って自滅してくれるのが理想形だが、あのトレーズめがそんなヘマをする訳もない。)

 

 トレーズは間違いなく人類を愛しているが、対話可能であれば間違いなく異星人すら愛してみせるだろう。

 そういう「エレガント」かつ「人類に対して最も真摯」な男なのだ、あれは。

 そんな男がブルーコスモスやロームフェラの流儀に合う筈もない。

 

 (デルマイユめも若い頃はもう少しマシだったのだがな…。)

 

 地球人ではなく、あくまで地球至上主義者であるジャミトフとしては頭の痛い問題だった。

 だが、ティターンズの解体まで勤め上げれば連邦議会議員としての席を貰える約束であり、レビルやゴップから直々の依頼であるため、断る事も出来ない。

 

 「前途多難だな…。」

 

 ジャミトフのぼやきは誰に聞かれる事もなく消えていった。

 

 

 

 

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