多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
新西暦186年 7月
極東方面を中心に地底種族連合が暴れ、地球上の各地にてムゲ帝国が不定期に出現しては暴れ、太陽系外では無数の異星人の艦隊とインベーダー、そして太陽系防衛用無人兵器部隊が鎬を削り合うご時世。
とある機関が地球連邦政府内の一部の支持を取り付けて、設立された。
その名を特務機関NERVと言う。
以前より水面下で独自の特機開発と発見されたプロトカルチャー関連と思われる遺物の研究を行っていたのだが、現在は南極の巨大爆発(で済んだセカンドインパクト)の原因となった巨大生物兵器群の管理・撃滅を主任務としている。
その前身はゲヒルンと言う連邦政府内でも極一部の者しか知らない非公開組織であり、こうした非公開組織の中でも特に厳重な秘密主義で知られていた。
しかし、その内実が実はお寒いものである事は知られていない。
というのも、実はゲヒルン時代からのスポンサーであるゼーレと言われる巨万の富を背景とした秘密結社がいるのだが、彼らが問題だった。
このゼーレ、元は組織ではなく中世暗黒期の欧州で誕生した宗教団体である。
アダム・カダモンへの道=不老不死を教義としていた秘教秘密結社であったとされている。
しかし、緩やかながらも確実に勢力を伸ばしていき、1900年代中頃には最後の抵抗勢力も壊滅させる事に成功し、以降は人類世界を裏から支配する隠然たる勢力となっていったとされている
原作においては、と頭に付くが。
この世界線においては、彼らが抵抗勢力の壊滅に成功する少々前にやってきたとある者達が結果的に地球圏のパワーゲームへと殴り込んで来たのだ。
その名は皆さんご存知のA.I.M.である。
この世界線へとやってきた彼らは北米を中心に活動を広め、最終的には太陽系最大の商業グループへと成長し、その資本は間違いなく太陽系第一位に君臨して久しい。
既にゼーレの老人方がどう足掻いても敵わない怪物と化していた。
無論、こうなる前に彼らは四方八方から手を回して何とかA.I.M.を潰そうとしていた。
商売敵のアナハイムを煽り、自分達の実行部隊として結成したテロ組織であるアマルガムを動員して、何とか潰そうとあの手この手を打ち続けた。
「? 何やら組織的サボタージュの気配がしますね。」
「一部で我が社の株式市場への上場を狙う動きがあります。」
「中東方面の支部の幾つかが襲撃を受け、撃退に成功。テロリストは全て捕縛しました。」
「サボタージュを実行並び協力した従業員には一度警告を。改善が見られない場合は意図的な業務妨害として個別訴訟或いは雇用調整・解雇を行ってください。」
「我が社は昔から有限会社です。株式市場という不安定な場所に打って出ずともよろしい。計画・賛同した者のリストを作成します。」
「今度は大規模クラッキングですか。鎧袖一触です。」
「どうやらゼーレやアマルガムなる組織の暗躍の様です。潰しますか?」
「ん~~そいつら潰しちゃうと色々不味い事になるかもだし、防衛と潰れない程度の反撃に務めて。」
「了解しました。」
が、こんな感じで打つ手全てにカウンターが飛んできた。
それでも彼らの目的、即ち人類補完計画のために彼らは頑張った。
それが彼女らの手の内である事も知らず。
「組織の全容解明まで、後27%といった所でしょうか。」
「資金源となっている各企業の調査、8割まで完了。」
「あ、南極で先史文明の遺跡を発見した様です。」
「南極周辺は何時何が起きても対応可能なようにOF隊を即応体制で待機。」
こうして、彼らは知らず知らずの内にその全てを丸裸にされ、彼らの持つ死海文書の中の最も重要な部分、即ち裏死海文書の中の予言の部分はこうして外れる事となったのだった。
以降、ゼーレやゲヒルンの動きは筒抜けであり、アマルガムと共に「何時でも潰せるけど今は都合が悪いから見過してやってる害虫」程度に区分されていた。
人類補完計画、彼女らからすれば全人類を巻き込んだ集団自殺にしか過ぎない愚行をしようとする連中への分類など、計画を知らない事を含めてもその程度でしかなかった。
故にネルフが公式に設立され、ゼーレの規模縮小に伴う予算の減少で喘いでいる時でも、彼女らは一切手出ししなかった。
無論の事ながらエヴァ開発に失敗されても少し困るので邪魔はしない、しかし一切の援助もしない。
A.I.M.のこうした態度に何かを感じ取った生き馬の目を抜く政経関係者らは素早くネルフとその周辺関係者、その裏にいる人類補完委員会=地球連邦政府内でのゼーレの隠れ蓑から距離を取った。
そのため、巨大な人造人間にして汎用人型決戦兵器たるエヴァンゲリオンの開発もやや遅れており、新西暦186年にして漸く初号機・零号機・弐号機までが完成した程である。
そんな訳なので、手持ちの武装やそれ以降の機体に関しては正直言って先行き不明である。
武装に関しては50m程度なので、特機向けの武装を手直しすれば装備可能とあるのでそちらから持って来る予定だ。
エヴァ本体に関しては前述の三機で得られたデータを元に対使徒を想定した防衛・迎撃戦闘を主眼として現在完成が急がれている。
「まぁ直に支援要請が来たのなら、相手の態度次第では支援するし、現場判断最優先だからどうなるかは分からないけどね。」
「それにしても単機で国が傾く程の費用を使って作るのがあの程度とは…。」
「せめてデモンベイン並みの代物になってから来いって話だよ本当に。」
こうして、ネルフは原作同様に常に赤貧に喘ぐ事になるのだった。
が、何だかんだで現場で必要なものは融通された。
第5使徒ラミエル戦においては縮退炉直結式のGBライフルが貸与され、第7使徒イスラフェルにおいてはスーパーロボット軍団が応援に駆け付けてくれたので、現場に問題が出る程の悪感情はお互いに抱かれる事はなかった。
……………
さて、ゼーレの実働部隊たるアマルガムだが、この組織にはこういった武装テロ組織にしては他にない特徴を持つ。
それが「実質的なトップが存在しない」という点であり、各種金属の名を冠する複数の幹部達による「網の目状のネットワーク」がアマルガムという組織の本質に当たる。
幹部は互いの素性を知ることはなく、また各人にそれぞれ同等の権力が与えられており、組織としての方針はオンラインでの議論を通じて民主的に決定される。
こうした情報はゼーレ周辺の情報収集を行っていた時に判明し、更にこの組織の性質は利用できるのではないかと思われた。
つまり、この幹部の何割かを掌握すれば、アマルガムを実質的に支配する事が出来るのだ。
これに目を付けたA.I.M.の非公式部門も早速行動を開始、一年戦争前にはアマルガム内の3割を掌握し、現在もそれは継続している。
これにより地球上で活動中の各種過激派団体やテロ組織等に関して、彼女らでは把握し切れていなかった雑多な情報と様々なコネクションを得る事に繋がった。
彼女らの指揮下にあるアマルガムの主な仕事は民衆を煽り、危機感を増大させ、軍備増強を求める意見を大にする事である。
こうでもしないと直ぐに自分達は後方地帯にいるから大丈夫だ等と油断慢心する者達が出るからだ。
戦争開始前は文化的活動の推奨、過去の遺跡や文化遺産の保護、各種NGO(調査済み)の支援等、割と平和的な活動に徹していた。
それ以外があるとすれば、自分達以外のアマルガムの活動の把握、平時における消費拡大・兵器更新を目的とした人死にの出ない綺麗なテロ位なものだろう。
そんな訳でアマルガムはゼーレ派とA.I.M.で実質二極化しており、両派閥が主導権を握るべく日夜互いに活動している。
……………
太陽系外縁部
「来ないね。」
「来ませんね。」
位相空間内で散発的かつ断続的にに発生しているゼ・バルマリィ帝国・ズール銀河帝国・インベーダーらによる戦闘を観測しながら、トレミィらは何時でも纏めて消し飛ばせるように待ち構えていた。
しかし、待ち構える時間がそろそろ半年近くなるのにさっぱりこちらに来ないので緩んでいた。
無論、人間と違って即応できる態勢も整え、知覚能力・処理速度も桁外れな彼女ら基準での緩みだったが。
が、古今東西、そんな時にこそ危機は訪れるのだ。
突然、艦体に衝撃が走った。
「状況報告!」
「攻撃を受けました!種別…STMC!」
「フィジカルキャンセラーを用いての奇襲だと思われます!」
「通常空間に復帰!全機、戦闘開始!」
こうして、宇宙の状況もまた大きく動く事となる。