多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第6話 星

 新西暦186年 7月 地球 極東方面 光子力研究所近郊

 

 戦闘は激化の一途を辿っていた。

 

 地底種族連合側は無敵戦艦ダイの一番艦は亜光速レールガンによって放たれた光子弾頭により撃破され、残る二番艦も駆け付けた増援のスーパーロボット軍団によって砲塔を破壊され、依然高い砲撃能力は持っているもののマグマ砲の使用は不可能になった。

 対する地球連邦軍も今作戦に参加していた虎の子のジガンスクードⅡが援護防御時にマグマ砲の直撃を受けて擱座、魔改造済みデストロイドモンスターも大気圏内で想定していなかった亜光速レールガン(大気圏内では出力を落としての使用が推奨)の最大出力使用によって砲身の過熱で使用不可能になった。

 両軍の最大火力が共に使用不可能になったため、戦闘は必然的に決め手が欠けていた。

 しかし両軍は最初から撤退なんて考慮の外、必然的に戦闘は泥沼の乱戦状態へと突入していた。

 

 「弾幕を絶やすな!主砲は照準付き次第撃て!数は向こうが上だ、母艦をやられれば前線が動揺して押し込まれるぞ!」

 

 今回、特機達の母艦として活躍しているのはスペースノア級一番艦を改装したスペースノア改だ。

 艦載機数の増大の他、センサー系と推進系の更新と対空火器の増設等の亜光速戦闘対応改装、そして艦首に搭載されたハイパーメガ粒子砲(資源衛星基地サイズの小惑星なら一撃で消滅)によってISA戦術対応母艦として十全な性能を獲得した。

 艦長は昇進したブライト・ノア中佐であるが、決してノア繋がりで選ばれた訳ではない。

 なお、以前の艦長のダイテツ・ミナセ大佐は二番艦のシロガネの艦長として就任しているため、ここにはいない。

 強化された火力による前線の支援だけでなく、内部に配置した各研究所のスタッフ達と設備によって特機の補給・整備・修理すら可能になっていた。

 

 「VF隊はどうか?」

 「未だ制空権確保出来ず。敵航空戦力の排除に手間取ってます。」

 「敵巨大要塞からの対空砲火激しく、未だ取り付けていません。」

 

 最初のVF一個中隊だけでなく、追加のスーパーパック装備一個中隊を加えた強力な航空戦力。

 それを以てしても尚完全に制空権を取れないのは、相手側の空中母艦群と空中要塞群、それらに搭載された圧倒的多数の航空戦力によるものだった。

 メカザウルス・バドやドローメに対しては機動性・火力共に勝っており、鴨撃ち同然なのだが、それ以外の戦力は基本性能が準特機とも言える性能を持っており、スーパーパックを搭載していない半数が火力不足に陥っていた。

 加えて、空中母艦群と要塞群からの火力支援と対空砲火によってその機動を制限されている事もあって不利であり、それをパイロットの技量と機動性の高さによって辛うじて互角の戦況に持ち込んでいた。

 だが、その状況も動き出した。

 

 『ここまでだ、あしゅら男爵!ブロッケン伯爵!』

 『ちぃ、ここまでか!』

 『ぼやくな、撤退するぞブロッケン!』

 『ぐぐぐ…兜甲児、次こそは貴様の終わりだ!』

 

 それだけを言い捨てると、あしゅら男爵とブロッケン伯爵は脱出装置を起動した。

 飛行要塞グール内部の人造兵士達を見捨て、自分達だけがワープによって逃げ出したのだ。

 

 『ハン!一昨日来やがれってんだ!』

 「マジンガーZ、グール飛行編隊を全機撃破しました!」

 「よし、押し込むぞ!ハイパーメガ粒子砲チャージ開始。50%で敵集団中枢に発射する。特機部隊はその隙に敵要塞へ取り付け!」

 

 その動きに素早く反応した者とそれを阻止せんとした者がいた。

 

 『させん!』

 『シャーキンか!』

 

 プリンス・シャーキンの駆るギルディーン。

 母艦たるガンテを落とされて、乗機に乗って現れたのだ。

 スペースノア改から感じる悪い予感に突き動かされ、チャージを阻止しようと動く。

 それをひびき洸の駆るライディーンが阻むべく、その正面に立ち塞がった。

 

 『これ以上、お前達の好きにさせるか!』

 『ほざけ!今日こそ貴様を討ち取るぞ、ひびき洸!』

 

 盾と弓、剣を打ち合わせる高速の空中近接戦闘。

 更に互いの機体性能の高さと超能力による直感によって、その反応速度は互いを高め合う様にドンドン早くなっていく。

 もう外野が迂闊に手を出す事は出来ない状態だった。

 

 『おおおおおおおおッ!』

 『ぬぅぅ……ッ!』

 

 必死になって戦うひびき洸に対して、シャーキンの心中には焦りが募っていた。

 バラオから最後通告を言い渡され、配下である他の地底種族+αからの提案もあってこの作戦に乗ったシャーキンであるが、内心では自分こそがライディーンを、ひびき洸を討ち取るのだと決めていた。

 しかし、実際はどうだ?

 ムー帝国帝室の血を引きながら、しかし母の身分が低い故に継承権は限りなく無に近かった。

 ならばせめて、自分はどうなっても良いから溺愛する弟を王位に。

 それだけを胸に祖国を裏切り、祖国滅亡の引き金を引き、しかして時勢故にバラオらと共に永き眠りに就く事を選び、こうして現代に蘇った。

 だと言うのに、だと言うのに!

 滅んだ筈の、死んだ筈のムー帝国の血は自分達以外にも生き残り、その象徴たるライディーンと共に復活した。

 あのレムリアの、あの小娘の息子が、あの偉大な皇帝の超能力を受け継いだ者が、自分の前に立っている!

 それだけでシャーキンの思考は怒りと屈辱、嫉妬と憎悪の念で埋め尽くされる。

 加えて今、自分が押されつつある事が一段と頭に来る。

 ひびき洸のパイロットとしての腕前と超能力は、今この戦いの中で刻一刻と強くなっている。

 それに釣られて、ライディーンもまた刻一刻とその本来の性能を解放していく。

 既に成長期を終えてしまった自分には無い、若さ故の感情と直結した爆発力。

 それが負の感情に満ち満ちたシャーキンの攻勢を逆に押し込めていた。

 

 『馬鹿な、この私が…!』

 『ゴォォォッド…』

 

 屈辱と敗北への恐怖。

 気迫で負けたか、圧倒されたのか、シャーキンは知らず知らずの内に機体を後退させてしまった。

 それが、洸に決め手を出させる隙となった。

 

 『ゴォォォォガァン!』

 『しまっ』

 

 放たれた矢は、狙い違わずギルディーンの頭部、即ちコクピットを貫き、爆散させた。

 

 『さらばだ、シャーキン。』

 

 パイロットとなり、嫌になる程やり合った相手に敬意を込めて、洸は別れを告げた。

 

 『チャージ50%に到達。』

 『よし、味方機に退避命令!』

 『射線軸上からの味方機の退避確認。』

 『照準、敵陣中央に合わせました。』

 『よし、ハイパーメガ粒子砲、撃てぇ!』

 

 スペースノア改の艦首から放たれた強大なメガ粒子の奔流は多数の敵ユニットを飲み込んでいく。

 そして、その一撃は密集して対空迎撃・対地砲撃を行っていた二つの巨大要塞の内、恐竜帝国のマシーンランドへと直撃した。

 

 『ぐあああああああ!?』

 『ぬぅぅぅぅぅ!!』

 

 それだけでなく、密集していたが故に百鬼帝国の科学要塞島へと無数の破片と衝撃波が吹き荒れ、大きく揺さぶられる。

 そして射線軸上にいた敵軍は全て蒸発して二つの巨大要塞にも大きなダメージが入った今。

 未だ衝撃波が吹き荒れども、通常の機動兵器ならぬスーパーロボットならばそれを乗り越えて突入できる。

 

 『今だ!特機部隊、突入!』

 『『『『『『『『『『『『おおおおおおおおおおおおお!!』』』』』』』』』』』』

 

 ブライトの号令の下、特機部隊は要塞内部へと侵入すべく一気呵成に突撃した。

 

 

 ……………

 

 

 「くくく」

 

 その上空、否、直上の宇宙空間にて、大規模なワープ反応が検出された。

 そこにあったのは全長30kmにも及ぶ島、否、超巨大機械獣である。

 つい先程、通りがかった哨戒中のパトロール部隊(全機ジェガン)をものの10秒で全滅させたこの超巨大機械獣、その名はゴードン・ヘルという。

 正真正銘、このバードス島そのものを改造した機体がDr.ヘルの文字通り最大の切り札である。

 

 「ははははははははは!よくやってくれたぞ、ブライにゴール!お陰で無事にこのゴードン・ヘルを出撃できた!」

 

 既にこの宙域周辺の戦力ではどう足掻いても対応できないのは既に調査済みである。

 故にこそ、Dr.ヘルは勝利を確信していた。

 内部にある無数の機械獣とその生産工場、そしてこのゴードン・ヘルの戦闘能力。

 どれを取っても既に地球連邦軍では(表向きは)対応できない程の戦力だった。

 

 「後は憎きマジンガーZ、貴様らにはこの儂直々に引導を渡してくれる!」

 

 そして、ゴードン・ヘルはゆっくりと地表へと落下すべく加速を開始した。

 このままではもう5分とせぬ内にコロニーに匹敵する巨大質量が地球へと落下する事だろう。

 そうなれば、大陸の地形が大きく変化し、どれ程の犠牲が出るか見当も付かない。

 

 「安心せよ。全てが終われば、この儂の手によって地球は元の美しい姿へと戻してやろう。だがその前に、全ての邪魔者を消してやらねばなぁ!」

 

 パトロール部隊は余りにも不運だったが、最後に辛うじて緊急通信を送る事には成功していた。

 だが、止めようにも奇襲を受ける形となった連邦軍ではどう足掻いても戦力が足りない。

 何よりも絶望的に時間が足りない。

 何せ地球近郊の各種軍事要塞、即ちルナ2やコンペイトウにはつい先程情報が入ったばかりなのだ。

 例えワープを用いても、止めるだけの戦力を送る事は出来ない。

 例え送れたとしても、ゴードン・ヘルとその内部に搭載された無数の機械獣がそれを阻む。

 もう、地球連邦に打つ手は無かった。

 

 『待てぇいッ!!』

 

 だからこそ、その声にDr.ヘルは驚いた。

 

 「何奴!」

 『この外道めが!あの美しい星の輝きが見えぬのか!?あれを汚す事を、何とも思わぬのか!?』

 

 そんな糾弾の声と共に、月方面からやってくる5機の機影があった。

 その加速性、明らかに尋常な手段によるものではない。

 事実、彼らはこの事態を止めるため、最新の機体を月面上から資源運搬用のマスドライバーで撃ち出してもらっていたのだ。

 常人ではテスラ・ドライブがあっても気絶する様な激烈なGと通常のMSが分解する程の衝撃を受ける事を覚悟して。

 そして、彼らはその二つを極限まで鍛えた超人的肉体と彼らのために設計された特機同然のMFによってクリアした。

 

 「貴様らは!?」

 『その非道、見過ごせぬ!』

 『この星を、人々を守るのも我らが務め!』

 『故に止めるのだ!』

 『この新たな愛機によって!』

 

 シャッフル同盟。

 月を拠点とするアナハイム社、そこに所属するMFパイロット達の頂点に立つ5人が現れたのだ。

 辛うじてパトロール部隊が最後に出した通信を元に、あらゆる手段を尽くして駆け付けたのだ。

 

 「抜かせ!我が野望の邪魔立ては誰にも出来ぬ!」

 

 途端、無数の機械獣がゴードンヘルより発進、シャッフル同盟らへと襲い掛かる。

 だが、それらは濡れた障子紙よりも容易く打ち砕かれ、シャッフル同盟らはただ真っすぐにゴードンヘルへと突き進んでいく。

 

 『この大きさ、一人では無理だな。』

 『ならば合わせるのみ!』

 『この拳に魂を込め!』

 『更に極限まで高めれば!』

 『倒せぬ者などぉぉ…無い!』

 『『『『『シャッフル!同盟けぇぇぇぇぇんッ!!』』』』』

 

 「ば、馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 シャッフル同盟全員の、魂の絆による一撃は地球の危機を防いだ。

 ゴードン・ヘルは砕かれ、億単位の死者が出る事はないだろう。

 しかし、未だ大量の瓦礫は存在し、それは地表へと降り注がんとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「」

 

 なお後日、アナハイム会長のメラニー・ヒュー・カーバインはマスドライバー管理会社からのもの凄い額の請求書とシャッフル同盟の余りに現実離れした活躍に絶句したそうな。

 




なお、ギルディーンはCR版です。
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