多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第9話 ようやく決戦 その2

 新西暦186年7月 極東方面 光子力研究所近郊

 

 次々と落下してくる隕石群に対し、何とか補給を終わらせた部隊と各地に僅かに残っていたVF隊を先行させる形で迎撃が行われる。

 元々宇宙からの侵略に対して過剰なまでに防衛網が構築されているこの世界の地球は、地表から大気圏へ突入してくる物体への迎撃に余念が無かった。

 嘗ての一年戦争における地球史上最大の組織的大虐殺、コロニー落とし。

 それに対処するため、一年戦争後も地球の各所には濃密な対空迎撃網が構築されている。

 これらには敢えて現在の最新鋭兵器のそれでなく、もうローテクと言っても良い大型弾道弾と人工衛星を始めとした各種レーダー網の連携による迎撃システムである。

 態々他への転用の難しいシステム、それも旧型の改修品を使っているのは「ローテク故の良さ」からだ。

 既に開発されきり、信頼性が高く、アップデートも最小限で、人員の教育も既存の流用で済む。

 何よりも調達・維持コストが最新鋭の機動兵器や防衛用の艦隊を配備するよりも遥かに安い。

 システムそのものの土台や基本思想は旧世紀に開発されたものから殆ど変化がない程の完成度の高さもこれを後押ししていた。

 無論、各種兵器や電子機器の高性能化に伴って迎撃成功率は上昇している。

 これらのミサイルは一年戦争以降、日の目を見る事はないと思われていたが、幸か不幸か、ここに来てその役目を果たす機会に恵まれてしまった。

 

 「隕石群、マーキング完了。」

 「各基地から迎撃用弾道弾の発射確認。」

 「…着弾を確認。第一波の迎撃に成功。続いて第二波…着弾するも多数の破片が発生。」

 「第三波への弾道弾発射を確認。」

 

 この様にして、地表に落ちるだけで大災害へと繋がる隕石は全て破壊された。

 では数m~十数mサイズの、着弾した場合には巻き上がった粉塵によって地表の大気と日照量に多大な悪影響のある隕石への対応は?

 これらは無論、大型弾道弾では迎撃が難しい。

 大型弾頭弾は元来コロニーや資源衛星等の落下への対策だからだ。

 それには各地に配備された地対空ミサイルで対応が行われるのだが…

 

 「くそ、やはり足りないか!」

 

 それらはここ半年以上の戦闘による消費で、当初の予定量よりも大幅に下回っていた。

 何せ敵機動兵器群は硬く、大きく、空も飛べ、しかもムゲ兵程ではないが割と神出鬼没なのだ。

 事前計画の備蓄では全然足りず、対空ミサイルの類もその数を大きく減らし、それを運用する部隊もまた消耗している。

 これでは当然、迎撃し切れる訳がない。

 

 『ゴォォォォォッド、ゴォォォォガンッ!』

 

 故に、後は通常の機動兵器部隊や艦艇群、一部のおかしな兵器の担当となる。

 未だ巨大化したままのライディーンは、そのサイズと射程距離を活かして隕石群を迎撃する。

 他にも擱座したジガンⅡや通常のゲシュペンストmk-Ⅱ、対艦ミサイル装備のジムⅡにアーマードパック装備のVF、おまけに都市や基地防衛用の地上兵器として配備されたデストロイド部隊もその火力を生かして落下してくる比較的小さな隕石群を迎撃していく。

 

 「次、最大サイズの隕石が来ます!」

 「迎撃用弾道弾、完全破砕には足りません!」

 「展開中の友軍部隊に通達!我残弾無し!後は任せる!」

 「残存弾道弾、全て発射します。」

 

 そして、最後に残っていた全長1km近い巨大隕石が遂に落下、加速してくる。

 残った弾道弾はこの巨大隕石へと残らず発射され、その表面を砕いていく。

 しかし、数の不足と何よりもその巨大隕石内部の耐久性の高さによって砕けない。

 それも当然だ。

 この巨大隕石の中身、それはバードス島の中心部=Dr.ヘルの根城であり、機械獣生産工場なのだ。

 生半可な事で壊れはしない耐久力を持っている。

 寧ろミサイル程度で片が付くなんて幸運を期待する方がおかしい。

 

 「各機、連絡は聞いたな!?あれが最後だ、出し惜しみは無しだ!」

 「了解です。縮退炉、出力上昇。」

 「艦首ハイパーメガ粒子砲の充填開始。」

 「艦首、直上に向けます。」

 「全艦に通達。本艦はこれより艦首を直上に向けます!各員は艦内重力操作区画から出ないでください!非操作区画内の人員は直ぐに身体を固定してください!」

 「射線軸上並び周辺の友軍へ予想攻撃範囲の通達急げ!」

 

 故にこそ対応するのは、地球連邦軍の誇る最新鋭戦艦スペースノア改、その奥の手たるハイパーメガ粒子砲である。

 最大充填時ならばコロニーレーザーの三分の二の威力になるこの特装砲、当たれば如何にあの隕石であろうとも破壊できるだろう。

 

 「隕石、落下阻止限界点まで後20秒!」

 「艦首ハイパーメガ粒子砲、照準良し!」

 「エネルギー充填40%!45・50・55…」

 「後10秒!」

 「残り1秒で充填中止して発射する!トリガー寄越せ!」

 「3・2・1!」

 「発射ぁッ!!」

 

 放たれた巨大な光の柱は嘗て空を貫いたコロニーレーザーのそれにも似ていた。

 嘗てはプラントを巨人族から救うために放たれたそれは、今度は地球を巨大隕石の落下から救うために放たれた。

 

 「効果確認!」

 「着弾確認、7割が蒸発!」

 「くそ、全部は無理だったか…!全艦、対ショック姿勢!DF出力最大!耐久性に問題のある機体は至急離脱せよ!」

 

 そして、隕石が落ちてきた。

 

 

 ……………

 

 

 太陽系外縁部 位相空間

 

 

 「通常空間への復帰、出来ません!」

 「特殊な力場を感知。妨害のためのものと思われます。」

 「合体型126体を感知、接触まで7秒!」

 「全身にデストロイヤーガン生成、準備次第発射!」

 

 通常の物理法則の外たる無にして有、存在と非存在の狭間とも言える位相空間の中。

 そこでは現在、互いに物理法則を一部とは言え超越した存在同士による戦闘が繰り広げられていた。

 片や全長70kmを誇る三胴型の巨大戦艦。

 片や全長3km以上、一対にして一体の合体型宇宙怪獣が126体。

 互いが容易く星すら滅ぼす戦力を持った状態での情け容赦無しの亜光速戦闘。

 通常空間での戦闘もさる事ながら、こちらでの戦闘もまた激しさを増していった。

 

 「状況報告!」

 「DF貫通されました!装甲表面に損傷多数!」

 「接触した宇宙怪獣3割の排除確認!」

 「! 敵勢、再度突撃してきます!」

 「艦体各部の修復は平常通りに。先ずは接近してくる敵の排除を最優先。」

 

 だが、両者の間には圧倒的なまでの個体間の性能差があった。

 たった一隻と言えど、その巨艦は銀河系全てを滅ぼすだけの性能があるのだ。

 多少不意を突いた程度で、たかが全長約3km程度の質量の亜光速突撃の繰り返し等、火力不足も烏滸がましい。

 それは宇宙怪獣側も分かっている筈。

 となれば、本命は別にある。

 

 「この妨害力場の発生源の特定を急いで。多分、それと何かもう一つが本命。」

 「了解しました。」

 

 指示を出す間にも、亜光速戦闘は続いていく。

 自動人形らの高い処理能力、そして構築された独自のネットワーク構造によって処理を分散する事で亜光速戦闘も十二分に可能になっている。

 態々ウラシマ効果を利用しなくてもこれだけの事が出来る辺り、エーテル宇宙の人類涙目であった。

 そんな中でトレミィは戦闘指揮を配下に任せつつ、思考のリソースを次へと割り振っていく。

 

 (宇宙怪獣側の戦術がいきなり変化した…。多少の学習や戦術立案は可能なのは知ってたけど、違和感がある。)

 

 宇宙怪獣の最大の理不尽、それは質を伴った物量による全面攻勢にこそある。

 全ての個体が亜光速戦闘を可能とし、更に超長距離ワープすら可能。

 その防御力は電撃や極低温には比較的弱いものの、恒星の中で泳ぐ事すら可能という出鱈目ぶり。

 攻撃力に至っては単体で惑星を破壊可能な個体すら多数存在するのだ。

 指揮官に相当する個体が撃破された場合、有利であってもあっさりと撤退したりもするが、それは彼らなりの戦術・戦略に則ったもの。

 怖気づいたとかそんな普通の生き物らしい感情は有り得ない。

 はっきり言って、歴代スパロボの敵勢力の中でも屈指のチートである。

 そんな連中を億単位で殺害してきたトレミィ達を相手に、そこまで有用でもない戦術など使用するだろか?

 自らの持ち味を生かす形での位相空間での戦闘そのものは兎も角、この場で何故物量攻めをしない?

 この位相空間でなら疑似フィジカルキャンセラーの使用にリソースを割り振らねばならないトレミィ側が不利なのに、決定打となる物量を投入してこない理由は?

 

 「撃破した宇宙怪獣の残骸を回収、解析急いで!」

 「ヴァルチャー隊、第17小隊出撃。敵残骸を回収せよ。」

 「但し本艦から余り離れるな。疑似フィジカルキャンセラー作用範囲内に留まるように。」

 

 地球と宇宙、そして位相空間での戦いの行方は未だ判明していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『バレたか。ま、いっか。今日は元々挨拶代わりだったし。』

 

 

 

 




なお、最後に出てきたのはガンバスターさんの御話合いで登場が決定したアインスト系オリキャラです。
その内設定をだす予定です。

○疑似フィジカルキャンセラー
トレミィ側の技術の一つ。
宇宙怪獣を研究して実用化したもので、位相空間を始めとした物理法則の通じない、或いは曖昧化する様な特殊な環境や敵勢力相手でも艦の運用・戦闘に問題を発生させないための装置。
周辺の世界法則に干渉し、自身と敵味方含む効果範囲内の存在を通常の物理法則が通じる状態へと変化、同時に自身と同じ位相空間深度へと移動させる。
本家であるトップをねらえ2やnextgenerationに登場した様な殆ど出鱈目な超能力の行使等は出来ない劣化品。
これを搭載した艦とその周辺空間にある存在は通常の物理法則下と同様の状態になる。
但し小型化が出来ておらず、更に効果範囲は装置に使用されるエネルギー量により決まるため、専ら大型艦や艦隊旗艦、移動要塞や基地にしか装備されていない。
ゼノサーガにおけるグノーシスやシンフォギアにおけるノイズ等の存在はこの装置によりその無敵性を排除されてしまう。
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