多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第10話 ようやく決戦 その3

 新西暦186年7月 もう何度目か分からない光子力研究所近郊

 

 「ぐ、ぉ…状況報告!誰か起きている者はいないか!」

 

 何時の間にか落下していたスペースノア改のブリッジから、ブライトは叫んだ。

 迎撃に失敗した隕石の直撃を貰った光子力研究所近郊、即ち富士山周辺は酷い状態だった。

 青木ヶ原樹海の殆どはクレーターと化し、一部では火災も始まっている。

 周辺住民は既に今作戦の前にシェルターに避難済みだったとは言え、生活再建には時間がかかるだろう。

 加えて巻き上げられた土砂と粉砕された隕石からの粉塵がどれだけの量だったか。

 既にかなりの日照量の低下が予測されており、地球圏全体の農業生産量の低下も懸念されていた。

 

 「乗員に死者は出ませんでしたが、負傷者多数!」

 「あだだっ…機関並びDFジェネレーターに負荷が掛かった模様。安全ブレーカーが作動しています。」

 「怪我人への対処を最優先!動ける人員には復旧急がせろ!」

 

 瓦礫の山となった周囲を見渡しながら、ブライトは己のすべき事をし続ける。

 

 (くそ、急いで部隊を掌握せねば…。)

 

 先程の隕石の落下でどれだけの損害が出たのか、考えたくもないブライトだったが、それでも彼は懸命に指揮官としての務めをこなしていく。

 故にこそ、その異変に素早く気付けた。

 

 「レーダーに反応あり!これは…!」

 

 オペレーターの言葉と共に、瓦礫とクレーターだらけの筈の戦場に変化が現れた。

 

 『まだだ……まだ終われぬ…!』

 

 瓦礫の中から幽鬼の如く、ゆらりと立ち上がったのはその手に剣と大楯を持ったプリンス・シャーキンだ。

 

 『おのれぇ…おのれぇ…!斯くなる上は貴様らを一人でも多く道連れにしてくれるゥ…!』

 

 元科学要塞島であった瓦礫の山からはブライ大帝の駆る巨大な百鬼メカの集合体が現れた。

 そのサイズは500mにも達し、今この瞬間も破損した百鬼メカのパーツを取り込んでは大きくなっていく。

 元々百鬼メカの一部に採用されていた合体機能を半ば暴走させる形で合体機能の無い機体まで無理矢理に合体、巨大化しているのだ。

 

 『ぐ、ぎぎぎぎ…!やはり百鬼メカと言えども限界があるかぁ…!』

 

 覚醒したライディーンのゴッドボイスの一撃を受け、本来なら塵も残さず消滅していた筈のブライ大帝。

 この男はもしもの時のため、自らの精神をコンピューター内に保存していたのだ。

 今ここにいるのは本人ではなく、過去に保存されたコピーに過ぎない。

 そして、そのコピーにしても先程のゴッドボイスと隕石の落下の衝撃によって大きく損傷していた。

 今のコピーブライは単なる意地だけでこの場に臨んでいた。

 

 『おおおおおおおおおおおおおお!!よくもやってくれおったな貴様らぁぁ!!』

 

 そして一際大きな瓦礫、嘗てはゴードンヘルであった残骸の山からは、Dr.ヘルが現れた。

 

 『な、何とか生き残れた…。』

 『今までで一番死ぬかと思った…。』

 

 その傍らにはげんなりとしたブロッケンとあしゅらの姿もあった。

 この二人は自分と似た姿の機体、即ちブロッケーンT9とアシュラーP1に乗っていたが、首領であるDr.ヘルのみは全く異なる機体に乗っていた。

 全体のデザインはマジンガーZに酷似している。

 しかし、その手足は両肩や太腿部は肥大しているのに、手足の先は細く、長くなっている。

 胸部のブレストファイヤー発射用の赤い装甲版の下には、機械獣のツインカメラアイに酷似したセンサーが設置されている。

 また、臀部からは先端に小型ドリルの付いた二本の尾が伸びており、不規則にしなっている。

 マジンガーZが悪堕ちしたらというIFを感じさせるその機体の頭部、パイルダーの部分にDr.ヘルは搭乗していた。

 

 『だが、儂さえ生き延びれば幾らでも再起出来る!その前にこうも邪魔をしてくれた貴様らを血祭りにしてくれる、このデビルマジンガーによってな!』

 

 デビルマジンガー。

 それは甲十蔵博士がペーパープランで終わらせた、マジンガーZの初期案だった。

 光子力エンジンを搭載、装甲に超合金Zを採用したこの機体は高い性能を有していた。

 特にマジンガーZよりも大型でパワーに勝り、それでいて関節部の自由度が高い事から高い近接白兵戦能力を獲得している。

 しかし、兜十蔵博士は何を思ってか「まだ人類には早過ぎる」としてこれを封印、より汎用性の高いマジンガーZの開発へと舵を切り、性能向上を目指し、魔神パワーを発明した。

 そうして日の目を見る事の無かった設計図を研究所襲撃の折に奪取し、Dr.ヘルによって更に手を加えられたのがこのデビルマジンガーである。

 

 「く、付近の友軍に救援要請を!」

 「駄目です!先の隕石迎撃でどこの基地も直ぐに動かせる戦力はありません!それに情報も錯綜していて…!」

 「艦の状態は!?」

 「ブレーカーの解除に手間取ってます!エネルギー系の武装と伝達系が使い過ぎで殆ど駄目になってます!」

 「実弾系だけでも良い!このままじゃなぶり殺しになるぞ!」

 

 現在、周辺には百鬼メカとメカザウルスこそいないものの、再度出現した化石獣や瓦礫の中から起き出した機械獣(あちこち損傷中)が動き始めており、包囲されるのも時間の問題だった。

 

 『ふははははははは!沈むがいい、スペースノア!いや、乗員を皆殺しにして新たな我が拠点にしてくれようぞ!』

 「ここまでか…!」

 

 ブライト達に諦めの感情が芽生える。

 しかし、忘れてはいけない。

 この戦場には多くのヒーローが、スーパーロボットがいる事を。

 

 『そこまでぇい!』

 『ぬ、貴様らは!』

 

 突如、戦場に現れた5機のMS、否、MFの姿にDr.ヘルの足が止まる。

 

 『窮地にあっても折れぬ心構えは見事!』

 『しかし、戦えぬ者に手をかけんとするその所業!』

 『例え天地が見逃そうとも!』

 『このシャッフル同盟が見逃さぬ!』

 『地底種族連合、貴様らは今日ここで潰えてもらう!』

 

 五機の色取り取りのMF、シャッフル同盟らは見事な啖呵と共にスペースノア改を守る様に布陣した。

 

 『貴様ら、一度ならず二度までも!』

 『外道がほざきよる!』

 『何ぃ!?』

 『人が、知恵持つ者同士が争うのは必然の業よ。しかし、この美しき星を、母なる地球を汚すというのならば容赦せん!』

 『しゃらくさい!先程の借り、今ここで返してくれる!』

 

 そうして仕掛けようとする機械獣と化石獣の群れだが、しかしその進撃は唐突に止められる。

 

 『ロケットパーンチ!』

 『トマホークブーメラン!』

 『ダイガン、マキシマムレベルシュート!』

 『ダイターンキャノン!』

 『Vレーザー!』

 『ガトリングミサイル!』

 

 瓦礫や土中からの突然の奇襲に、一瞬にして前に出ていた機械獣と化石獣が薙ぎ払われたからだ。

 

 『貴様ら、しぶと過ぎるわ!』

 『ハン!そりゃこっちのセリフだぜ、パクリ野郎!』

 『ゲッタァァァァ!ゲッタァァァァロボォォォォォォ!』

 『こいつぁ随分と派手なイメチェンじゃねーかブライ!』

 

 現れたのは見当たらなかった6機のスーパーロボット達。

 唯一ライディーンはまだ出て来ていないが、それでも頼りになる戦力である事は間違いない。

 が、彼らは既に連戦続きで消耗を重ねている。

 余り無理は出来ない上に、そう長く戦えはしないだろう。

 

 『ぬ、ひびき洸は…あちらか。私は奴と決着を付ける。この場はDr.ヘル、貴様に任せたぞ。』

 

 それだけを言うや否や、巨大化したシャーキンは戦場を離脱していった。

 

 『いかん!誰か洸君の援護を!彼は今戦える状態じゃない!』

 『と言っても、こっちも手一杯です!』

 『彼に任せるしかない!今は目の前の敵に対処するんだ!』

 

 こうして、地球では漸く長過ぎる一日が終わろうとしていた。

 

 

 ……………

 

 

 その頃の都市型移民船(+鳥の人)

 

 「離してください!洸が、息子には私の助けが必要なんです!」

 「大丈夫ですって!もう現地のうちの人員が救助に向かってますから!」

 「まだ完全に戦闘が終息した訳じゃないんです!お願いだから待ってください!」

 「えぇい離しなさい!我が子の心配をしない母がいるとお思いですか!」

 「ちょ、念力は反そk」

 

 わーわーぎゃーぎゃー!

 どたんばたんベキベキメキメキ!

 

 「…修理費、幾らになるでしょうか?」

 「全額A.I.M.に請求しよう。」

 

 なお、レムリア女王陛下が息子の元に行けたのはここから一時間後(移動時間含む)であった。

 

 

 

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