多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第11話 因縁

 新西暦186年7月 極東方面 光子力研究所近郊

 

 

 先の隕石の落下の中心地であったにも関わらず、ここでは今もなお戦いが繰り広げられていた。

 

 『流派東方不敗…!』

 『機械道空手…!』

 

 シャッフルハートが中華拳法の様な構える。

 それに応じる形でデビルマジンガーもまた、空手の正拳突きに近い構えを取る。

 

 『劔覇千王気炎弾!』

 『超音速正拳突きぃ!』

 

 互いに20m代半ばの機体でありながら、放たれる拳の連打は全てが音速を軽々と置き去りにした同サイズの砲弾を遥かに超えた威力であった。

 僅か数秒の連打の応酬で地は裂け、岩は砕け、残骸は消し飛び、大気が吹き散らされる。

 

 『貴様、これ程の業を持ちながら、何故そうも道を外れる!?』

 『漢ならば世界征服こそ夢!貴様こそ、何故その拳を凡俗共のために振るう!』

 

 互いに相手を弾き合い、距離を取って態勢を整え、再度相手に痛撃を与えるべく踏み込む。

 

 『この青く美しい星を、汚す者は誰であれ許さぬ!それがワシが拳を握る理由よ!』

 『であれば貴様こそ我が下に下れ!』

 『何ぃ!?』

 

 東方不敗の心にある地球への愛を見取ってか、Dr.ヘルは告げる。

 

 『凡俗は所詮この星に寄生するダニに過ぎん!』

 

 それは彼が誰にも告げた事のない本音だった。

 

 『この星を真に浄化して嘗ての美しい姿を取り戻させるには、人類など不要!』

 『……!』

 

 それはきっと、地球の環境汚染を知る者ならば、誰もが一度は思った事だった。

 

 『全てを浄化した暁にはこの星を侵略者共から守るべく、このDr.ヘルと機械獣軍団が全霊を賭そう。』

 『その言葉に、貴様の野心が見えぬ。』

 『無論、ワシがこの星を欲するのは美しき地球こそが何よりも愛おしいからよ。だからこそ手に入れたい。そして守る。この願いを阻む愚か者は、誰であろうと容赦せぬ。』

 『では何故妖魔帝国等に屈した!?何故地底種族連合になぞ加わった!』

 

 それこそがDr.ヘルの本音。

 地球人でありながら人外たる地底種族連合に加わってしまった天才科学者にして戦士の本音。

 それこそを東方不敗は聞きたかった。

 

 『…現状はワシとて不本意よ。しかし、あのバラオめに対しては今のワシでは勝てぬ。故に今は膝を屈し、機会を待っておる。』

 『それよ。それこそが貴様の器の浅さよ。』

 『何?』

 

 対話、否、勧誘へと動いていた流れを断ち、東方不敗が再び構える。

 

 『ワシならば例え相手が百回戦っても勝てぬ相手であっても千回戦って手傷を与える事を、敵わぬまでも戦い続けて死ぬ事を選ぶ!野望のため、理想のためと言いながらも外道に堕ちた貴様に与する気などこの東方不敗には微塵も無い!』

 『よくぞほざいた!ならば我が機械道空手にて冥土へ送ってくれよう!』

 

 デビルマジンガーを駆るDr.ヘル。

 シャッフルハートを駆る東方不敗。

 共に地球を愛し守ろうとながらも、そのための手段が致命的に離れている二人は、互いを理解しながらも譲れぬ一線を持つがために再び拳を握って前に出た。

 

 

 ……………

 

 

 『えぇい貴様ら!退け、退けぇ!』

 『させぬよ!』

 『貴様ら如き外道、我らのみで十分よ!』

 

 一方、Dr.ヘルとマスターアジアが一騎打ちをしている傍ら、あしゅら男爵とブロッケン伯爵は機械獣軍団を率いて今度こそ動けなくなったスペースノア改を血祭りに上げようと進軍していた。

 しかし、そんな分かり易い行動を彼らが見逃す訳がない。

 

 『くそう!何故たかがMS擬きに負ける!?何故Dr.ヘルに作られし我らが押される!?』

 

 ブロッケンは叫ぶ。

 彼は元々はナチスドイツの優秀な軍人の死体で作られたサイボーグであり、相応の能力を持っている。

 だからこそ、どうしてここまで圧されているのかが理解できない。

 Dr.ヘルの、自分達の数々の作戦は全てが最善と言えぬまでも次善ではあった。

 しかし、その悉くが対応され、防がれてきた。

 何故こうも負け続ける?何故こうも勝てない?

 それがどうしても、彼には分からなかった。

 

 『それが分からぬからこそ、貴様らは負けるのだ!』

 『道を外れた者には、相応の末路しか残らん!』

 

 消耗しているとは言え、機械獣軍団がたった二機のMFによってその進軍を止められている。

 その間にスペースノアの復旧並び特機軍団の補給が進んでいく。

 時間も状況も敵の味方で、刻一刻と状況は悪くなっていく。

 それが分かっているからこそ、ブロッケンは強引に前に出ようとする。

 

 『おおおおおおお!』

 『む!』

 

 シャッフル・ダイヤの超高熱の火炎放射を受け、装甲が溶解する。

 しかし、剣を持たない左腕を犠牲にし、敢えて強引に突っ切る事で損害を減らしてブロッケーンT9が包囲を抜けて駆ける。

 

 『何と、ぐ!』

 

 それをカバーすべくシャッフル・クラブが両肩の大型ビームキャノンを放とうとするも、あしゅら率いる機械獣軍団がそれを支援する。

 

 『させぬさせぬ!我ら此処で討ち果たされようとも、貴様らだけは地獄へと道連れにさせてもらう!』

 『そこまでして、貴様は一体何を望む!』

 『知れた事!我らが創造主たるDr.ヘルの願いを叶える!ただそれだけよ!』

 

 アシュラーP1がやはり自身の存在を気にも留めず、機械獣軍団達と共にスペースノア目掛け突撃を開始する。

 それを止めねばならないシャッフル・クラブは必然的に抜けられたブロッケーンT9への対処が遅れてしまう。

 

 『ははははは!見ていてくだされDr.ヘル!今我らの手によって、憎き兜甲児らめを冥土に送ってくれましょう!』

 

 言うや否や、ブロッケーンT9は首のある筈の位置に剣を設置、自身をドリルの様に回転させながら突撃を開始した。

 

 『やった!スーパーロボット大戦αこれにて完結!』

 

 だが、最後にネタに走ったのがいけなかったのか、横から放たれた一発のレールガンがブロッケーンT9に命中、その衝撃で盛大に地面へと叩き付けられた。

 

 『貴様が如き化け物に、私が手塩にかけて育てたダンクーガをやらせん。』

 『き、貴様は獣戦機隊の!』

 

 颯爽と駆け付けたのはシャピロ率いるコマンドウルフ隊、否、指揮官機たる一機だけは他と一線を画すカスタマイズが施されていた。

 その名をケーニッヒウルフ、コスト以外のあらゆる性能が向上したコマンドウルフのシャピロ専用カスタマイズ機だった。

 

 『隕石の迎撃に駆り出されて遅れてしまったがな、貴様らはもう詰みだ。安心してあの世に送られるがいい。』

 

 

 ……………

 

 

 『ゲッタァァァァロボォォォォォォ!!』

 『おおっと!』

 

 一方、未だ補給の出来ていないゲッターロボは、自身を執拗に狙う巨大合体百鬼メカに対して苦戦していた。

 

 『ったく、随分大胆なイメチェンだなブライ!』

 『しかもデカいのに死角が無いと来てやがる。』

 『やり辛いったらねぇぜ!』

 

 ゲッターチームの愚痴の通り、この巨大合体百鬼メカはその巨体の割に死角が少なく、攻めあぐねていた。

 何せ背後や足元だとか通常の機動兵器でも対処のし辛い位置取りに入ったとしても、元が無数の百鬼メカの集合体であるせいで、即座に対応し、迎撃してくるのだ。

 それだけなら良いのだが、下手に組み付かれるとそのまま自爆してくるため、対応も慎重にならざるを得ないのだ。

 しかもメカザウルスよりも全般的に固く、非生物であるからかゲッタービームも今一つ通らない。

 他の追加装備もとっくの昔に使い切り、現状のゲッターロボでは打つ手が無かった。

 故にこそ、この合体百鬼メカの矛先が母艦や研究所に向かわぬ様にこうして挑発代わりの攻撃を繰り返しながら時間を稼いでいるのだが。

 

 『仕方ねぇか…隼人、任せるぞ!』

 『応とも!』

 『よぉし、ゲッターチェンジ!』

 

 振るわれる触手や巨大な腕部、無数の破壊光線やミサイルを掻い潜りながら、分離したゲットマシンが超音速で飛び回り、一瞬の隙を突いて合体する。

 

 『ゲッター2!』

 『よし、やったれ隼人!』

 『ゲッタービジョン!からのゲッターマッハ!』

 

 分身を作り出して攪乱すると、空かさず今度は土中へと潜行するゲッター2。

 土中ですら音速での移動が可能という特機でも指折りのおかしな性能を持った本機を捉え続ける事は例え亜光速戦闘対応機であろうと困難を極める。

 巨大合体百鬼メカと聞こえは良いが、寄せ集めの機体である巨体ではセンサーやレーダーが効率的に配置されておらず、完全な死角こそ無いものの、ゲッター2を捉える事は出来ない。

 加えて、飛行自体は可能だがその巨体故に鈍足も良い所のこの機体は、隼人からすれば決め手こそないものの鴨同然だった。

 

 『ぐオオおおおおおおおおッ!?』

 『単純に強い奴には、単純な手が一番なのさ。』

 

 巨大合体百鬼メカの周辺をゲッター2が円を描く様に疾走する。

 すると掘り起こされた土がソニックブームによって散らされながらも、ゲッター2の回転運動によって発生した竜巻に巻き上げられ、巨大合体百鬼メカの巨体を包飲み込んでいく。

 手あたり次第に破壊光線やミサイルを撒き散らしているが、そんなものに当たる程ゲッター2はのろまじゃない。

 これでもう、鈍足な事も相俟って殆ど身動きできないだろう。

 

 『暫くはコイツの足止めに徹するぞ。』

 『応!』

 『止めさせねぇのが歯痒いったらねーぜ!』

 

 こうして、何とか地上の戦況は優勢に傾きつつあった。

 

 

 なお、残りのシャッフル同盟2名のシャッフル・スペードとシャッフル・ジョーカーは化石獣相手に順調にスコアを伸ばしていた。

 

 

 ……………

 

 

 「ここに居たか、ひびき洸。」

 「シャーキンか…。」

 

 一方その頃、シャーキンは撤退していたライディーン、ひびき洸の元へと来ていた。

 

 「その様子…やはり先程のは消耗が激し過ぎる様だな。」

 

 鍵たるラ・ムーの星によらないムートロンの解放とライディーンの覚醒、そしてゴッドボイスの使用。

 どれ一つ取っても凡百の超能力者では一瞬で枯渇し、ミイラ化するであろう消耗。

 それをたった一人で使いこなし、戦局を変えてみせたひびき洸の才能の何と凄まじい事か。

 彼こそ正に最新のサイコドライバーと言っても過言ではないだろう。

 しかし、そんな彼でも流石に多大な消耗だったのか、今は機体から降りて地べたに大の字になって倒れ伏していた。

 

 「止めを…刺さないのか…?」

 「その前に答えろ。」

 

 それは以前からシャーキンが思っていた疑問だった。

 弟を皇帝に。

 それだけを胸に故国を裏切り、亡国へと導いたシャーキン。

 一つの戦乱の時代を戦い抜いた彼だが、元はムー帝国帝室の一員であり、実家が帝国中枢からは遠くとも高位の神官であった事と彼自身の能力と才能もあって相応の教育と訓練を、そして経験を持っている。

 その彼からしても、ひびき洸という少年は、ある種異常に見えた。

 

 「何故、お前は戦うのだ?」

 

 弟を皇帝に。

 そんな大それた野心を持ち、しかしムー帝国が滅んだ今、弟の存在は単なる人質になり、最早バラオの走狗となったシャーキン。

 大望を抱えて戦っていたシャーキンからすれば、ひびき洸は特段これと言った願い、欲望や野心が無いのにも関わらず戦い続けている。

 それがとても不思議だった。

 それこそ、執念だけでこの場に立っている状態でありながら、その執念よりも優先してしまう程に。

 

 

 ……………

 

 

 太陽系外縁部 位相空間内

 

 

 「解析結果出ました。やはり生物系の存在ですが、宇宙怪獣とは別種の様です。」

 

 未だ位相空間内で千日手に近い戦闘の最中のトレミィらであったが、ここに来て重要な情報が入ってきた。

 

 「詳細は?」

 「プロトカルチャー関連資料含むライブラリを漁った結果、嘗ての先史時代に地球を襲った異次元からの監視者と同種である事が判明しました。」

 「監視者?」

 「画像データを見れば分かるかと。」

 

 共有回線から送られてきた画像データ。

 そこには身体のどこかに赤い宝玉の付いた生物系の敵性体。

 即ちアインストの姿が映っていた。

 

 「これより敵をアインストと呼称。コードREDの発令並び一刻も早い通常空間への復帰を目指します。」

 「了解。」

 「現在、この空間は敵アインストの本来属するアインスト宇宙へと近付いていると予測。その基点となっているストーンヘンジを破壊すれば通常空間へと復帰できる可能性が高いです。」

 「了解、戦術目標を敵の撃滅から空間変異基点の破壊へと変更します。」

 

 こうして、宇宙での戦いもまた決着の時が近づいていた。

 

 

 




合体巨大百鬼メカ

 漫画版真ゲッターロボに登場。
 死亡した筈のブライ大帝が昆虫型異星人によって改造された姿。
 全身が無数の百鬼メカが合体して構成された巨大な鬼の頭部を持った浮遊要塞とも言うべき兵器。
 中枢のブライ大帝を撃破、或いは全身を消し飛ばす、部品となっている百鬼メカ全てを破壊しないと撃破できない。
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