多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第14話 脅威その2

 新西暦186年7月 地球 極東方面 光子力研究所近郊

 

 

 更地に、否、星ごと砕かれかねない状況に陥ったこの場において、最も始めにその精神を立て直し、こちらを睥睨する魔神に問いを投げたのは、何とシャピロ・キーツだった。

 

 『マジンガーZEROと言ったな。貴様の目的は何だ?何故今になって出てきた?』

 

 

  知 れ た 事 

 

 

 すると、また照射された光子力エネルギーの光が文字となり、魔神の意思を伝えてくる。

 

 

  我 が 望 み は マ ジ ン ガ ー こ そ が 唯 一 無 二 に し て 最 強 で あ る と 証 明 す る 事 

 

 

 『そのための手段は?』

 

 ZEROの言葉に最悪を予想しながらも、それでも軍人としての義務感がシャピロを突き動かす。

 結果、その予想は的中する。

 

 

  我 以 外 の あ ら ゆ る 者 を 打 ち 砕 く 事 

 

 

 『それなら、お前の望みはまだまだ先だろう。この銀河には無数の敵が存在する。我々地球人類は敵対する諸勢力と戦争状態にある。それら全てを駆逐すれば、お前の望む通り、マジンガーZEROこそが唯一無二にして最強だと証明されるだろう。』

 

 ごくりと生唾を飲み込んでから、シャピロは言った。

 それが無駄だろう事を知りながらも、それでも地球人類として、地球連邦軍の軍人として言うべき事を言った。

 

 

  そ れ で は 足 り ぬ 

 

 

 故に、その言葉だけで心が折れかけた。

 

 

  光 子 力 ビ ー ム 

 

 

 マジンガーZEROから放たれた一条の光は、駆け付けてきたライディーンへ向け放たれた。

 

 『うおおおおおおお!?』

 

 それを直感によって辛うじて回避するライディーン。

 無理な機動で体勢が崩れた所を変形し、人型となって着陸する。

 回避された極太の光子力ビームは彼方へと延び、消えていったが、完全に減衰するまでには地球・月間以上の距離がかかっていた事からも、当たっていれば如何にライディーンとて大破は免れなかっただろう。

 完全に殺すつもりの攻撃だった。

 

 『くそ、止めてくれ甲児さん!』

 

 

  サ ザ ン ク ロ ス ナ イ フ 

 

 

 マジンガーZEROの体表から無数の光が溢れる。

 光子力エネルギーが物質化するまで縮退され、質量を獲得した十字型の刃となって殺到する。

 

 『ドリルストーム!』

 『Vレーザー!』

 『ガトリングミサイル!』

 

 それをゲッター2、コンバトラーV、ボルテスVが迎撃する。

 しかし、余りのエネルギーの差か、無数の光の十字は減る事なく向かってくる。

 

 『っ、ダメだ、効いてない!』

 『ならコイツだ、ゲッタービーム!』

 

 が、流石にゲッター線は有効だったらしく、次々とサザンクロスナイフが爆散していく。

 

 『何故だ!何故こんな事をする!』

 

 ひびき洸の声に、マジンガーZEROは律儀に答えた。

 

 

  お 前 達 も ま た 我 が 敵 で あ る 故 

 

 

 その返答に、シャピロは舌打ち所か絶望感に包まれた。

 やはりこの魔神は、自分以外のあらゆる敵性体(と成り得る存在)を撃破する事で、自らの絶対性の証明を行うつもりだと。

 本当はもっと先に進んだ「マジンガー以外の存在を許さぬ世界」を構築しようとしているのだが、それはさて置き。

 

 (これ程の存在、どうしろと言うのだ!?)

 

 これが宇宙空間ならまだ連邦艦隊がいただろう。

 しかし、地球上の戦力は先の隕石迎撃によってほぼ枯渇状態に近い。

 再出撃させるにしても直ぐにとはいかないだろう。

 加えて、そもそもの話として…

 

 (この化け物に通じる武器はあるのか?それは地球で放って良いものなのか?)

 

 これである。

 先の亜光速レールガンの光子砲弾の使用とてかなりギリギリなものだった。

 もしこの魔神を倒せても、それで地球が滅びてしまっては何の意味もない。

 加えて言えば、今のこの場の戦力でどうこうしようにも連戦に次ぐ連戦で機体は兎も角パイロットの消耗は既に危険域に入っている。

 

 (撤退すべきだ。しかし、逃がしてくれるか?いや、そもそも逃げるべきなのか?)

 

 奴は自身に敵対せんとするあらゆる存在を打倒し、勝利する事を目標としている。

 もしこの場で自分達が逃げれば、その先にまで追跡してくる可能性も高い。

 民間人への被害を考えれば、この場で自分達が討ち果たされる事も視野に入れねばならない。

 

 (否。そんな自己犠牲をした所で、本当に民間人への、地球への被害が減るとは思えん。)

 

 だが、現状ではどうしようもない。

 完全に詰みだった。

 

 『全方位に通達。誰でも良い。こいつの情報を少しでも詳しく入手し、広く伝達するぞ。』

 『それはまたキツイね。』

 

 シャピロの指示に返答したのは、今しがた漸く補給と整備の終了したダイターン3、破嵐万丈だった。

 

 『…ライディーンの足なら奴から逃げ切れる。ひびき洸は最寄りの連邦軍基地への伝達を任せる。』

 『まぁ妥当かな?それじゃ僕も加勢しようか。』

 

 事実であるが、その実態は「要人中の要人の息子にしてZEROに対抗できる可能性のある戦力を温存」させる事だ。

 ZEROのデータにしても、先程の牽制程度の攻撃を捌くのすら必死にならざるを得ない戦力差ではどれだけ保たせられるか不安だ。

 故にこそ、隕石落下の混乱から続く通信状況の不調から、ひびき洸を合法的に脱出させる。

 それ以外の若者や少年少女らが、自分の部下達が乗るスーパーロボット達を生贄にして。

 

 (きっと死後は地獄だな。)

 

 それでもすべき事をするために、シャピロは冷徹に指示を出そうとした。

 

 

 『コードRED・パターンZに従い、地球防衛用無人兵器部隊はこれより所定の作戦行動を開始します。』

 

 

 だが、それよりも早く動いた者達がいた。

 

 

 ……………

 

 

 『量産型無人OF3000機、重力操作最大出力。』

 『重力場レール形成開始。最大出力まで10秒。』

 

 突如空間を歪曲させて現れたのは、空を埋め尽くす程の数の量産型無人OFの軍勢がその出力の全てを振り絞って重力操作を敢行する。

 これにより、まだまだループ初期段階程度の性能しか持たないマジンガーZEROを抑え込む事に成功する。

 しかし、これも一時間もせぬ内に対応されてしまう。

 故に間隙を空けずに次々と手を打っていく。

 

 『無人シズラー改、一個小隊出撃。』

 

 直後、虚空から現れたのは無人のシズラー改一個小隊3機である。

 元はユング大統領がタイムスリップにて持ってきたエクセリオン級内部に格納されていた一個中隊9機の内の3機であり、無人化を始めとした改良が施され、カタログスペック上ならばガンバスターに勝る性能を保有している。

 

 

  小 賢 し い 

 

 

 だが、通常の機動兵器どころか戦艦ですら圧縮され、球体に成型されてしまう程の高重力であろうとも、マジンガーZEROを完全に拘束するには足りない。

 周辺の無人量産OFを駆逐するべく、マジンガーZEROの全身から再びサザンクロスナイフが、正面から迫るシズラーにはブレストファイヤーがそれぞれ放たれる。

 特にブレストファイヤーは地殻を破壊し、マントルを露出させ得る威力をループ初期段階程度の現在でも保有している。

 そもZERO時空のマジンガーZはその総出力が太陽に等しい。

 魔神化によって更に強化され、進化し続けるマジンガーZEROに至ってはどれ程になるのか、そんな出力で放たれる攻撃の威力と被害など計算不可能、想像しか出来ない。

 

 『迎撃、ホーミングレーザー発射。』

 

 それでも、彼女らは使命を果たす。

 超々音速で迫り来る無数のサザンクロスナイフを無人量産OF隊が射撃精度・誘導性・弾速で勝るホーミングレーザーにて迎撃、全弾破壊に成功する。

 

 『シズラー改2号機、防御専念。』

 

 三機の内の一機を捨て駒にして、残りの二機が突撃する。

 巨大なマントにDF、イナーシャルキャンセラー、そしてスペースチタニウム製の装甲による多重防護も、マジンガーZEROの灼熱のブレストファイヤーの前にはものの10秒で完全に溶解・蒸発してしまう。

 それでも2号機はその役目を完全に果たし、自身を犠牲にして残りの2機がZEROに接近するだけの時間を稼ぎ切った。

 本来なら地球に悪影響を与えるとして施されている大気圏内用リミッターを全て解除したシズラー改の動きは亜光速対応のそれだ。

 如何にマジンガーZEROとて未だ拘束された状態で、自身の3倍はあろう巨体に接近されてしまっては打つ手は少ない。

 それが例えその防御力によって碌に有効打を受けないと分かっていたとしても、この終焉の魔神にとっては極めて屈辱的だった。

 

 『重力場レール、射出まで2カウント。』

 『カウント合わせバスターホームランを実行。』

 

 シズラー改1号機が膝に格納していたバットを構え、振り被る。

 その姿は何処かシュールさすら感じさせるが、150m近い巨体を艦艇用大型縮退炉を二基も搭載した本機が全力で振るった場合、それは山すら両断する程の威力となる。

 

 

  貴 様 ら 

 

 

 空かさずマジンガーZEROが両耳に当たる突起から冷凍ビームを放と、シズラー改に直撃するも、これは悪手だった。

 純粋な熱量なら兎も角、物理法則をちょいちょい超えたりするエーテル宇宙産のマシーン兵器の最高峰たるシズラーシリーズ、その改良機。

 戦艦よろしく自身の攻撃に耐え得る設計をしている本機に当たって、絶対零度を超えていない程度の冷凍ビームでは毛程の損傷も与えられなかった。

 これは未だマジンガーZEROが完全に物理法則を振り切れていない事の何よりの証明だった。

 

 『バスターホームラン、実行。』

 『重力場レール、射出。』

 

 バッゴーン!!とマジンガーZEROはバスターホームラン(と言う名の単なるフルスイング)を腹部に受け、同時に重力波レールによって亜光速の8割近くまで加速する。

 こうして、マジンガーZEROは易々と大気圏を超え、宇宙空間へと真っすぐに叩き出されてしまった。

 

 『パターンZ対処戦術、第二シークエンスへ移行します。』

 『無人量産型OF隊全7000機、これより第二シークエンスを実行します。』

 

 マジンガーZEROが叩き飛ばされた宙域。

 そこには既に7000機もの無人量産型OF隊並び冥王星工廠基地より緊急展開してきた巨人族用兵器を改装した無人機動艦隊が展開し、手ぐすね引いて待ち構えていた。

 

 

  面 白 い 

  やっ て み せ ろ 人 形 共 

 

 

 戦いはまだ、終わらない。

 

 

 

 




 今回のZEROさん=ループ初期も初期仕様。
 つまり、まだ何とか破壊できる可能性はある。

 ループ後期から最後?
 諦めろん。どうせマジンガーZが敗北しない世界線として再構築される。

 なお、地球上に潜んでたまだ出て来てない勢力は軒並み心臓止まりかける程にはZEROの存在に驚いていました。
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