多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
ユニクロン様主催レース(航空部門)開催当日
「いやぁ今年もこの時期がやってきましたね!ユニクロン様主催の大星レース!実況は恒例の私ブロードキャストと…」
「解説のサウンドウェーブがお送ります。」
「で、サウンドウェーブさん。早速ですが今年のレースはどうでしょうか?何か注目するべき所はありますか?」
「今回のレースは指定されたコースが都市の再開発地区であり、武装の使用が全面的に禁止されてはいますが、多数の障害物が並び、旧式の自律砲台も設置されています。更には今年は異例の参加者もいます。いつも以上に波乱に満ちた大会となる事でしょう。」
「ですね!今回の異例の参加者、ダークホースとしての活躍を期待されているのは地球からやってきた鉄の男トニー・スターク!お手製のパワードスーツを纏い、アイアンマンと名乗って地球の危機を救った最精鋭部隊アベンジャーズの頭脳担当!そんな彼が大会前日になって緊急参加!うーん、控えめに言って自殺志願か!?」
「ですが、彼のスーツの性能は地球人類の技術レベルからすれば目を見張るものがあります。加えて、我らが大始祖ユニクロン様も注目している人物の一人です。その技術力を侮ってはいけません。」
「地球人類でも最高峰の頭脳を持つ男トニー・スターク!彼が一体どんな波乱を巻き起こすのか!?レース開始まで後10分、皆が待ってるぜ!」
そんな喧しい実況席からの放送を他所に、しっかり睡眠と軽めの朝食を済ませたトニーはスーツの最後の調整をしていた。
「トニー、本当に大丈夫かい?」
「大丈夫だよブルース。調整は完璧だ。地球の私の研究室以上の設備でレース向けに調整したんだ、抜かりはないよ。」
「だと良いんだけど…。」
「君こそ明日だろう、無差別級格闘大会への参加は。そっちこそ大丈夫なのか?」
「と言っても、君と違って事前にできる事は会場の下見や参加選手のデータを覚える位だし、実際に戦うのはハルクだしね。僕自身に出来る事は少ないんだ。」
「なら良いんだけどね。ハルクと会話は?」
「出来てるよ。彼は彼ですっかりやる気になってくれてる。」
「そうか、なら安心かな?」
「おっと、もうすぐ時間だよ。」
「よし、行ってくる。」
「あぁ、幸運を!」
こうして地球人類史上初、異星人のレースに出場した男というトニー・スタークの数ある伝説の一つが築かれる事となった。
……………
レースの内容は低空域のビル街をコースとし、途中ある幾つかのチェックポイントを通過しながら順位を競う。
なお、参加人数に制限は無しなので、記念参加する者やイロモノな恰好をして参加する者、他種族からの参加者も多い。
今回のレースの範囲は大体日本列島と同じ位で、北海道から沖縄を目指そう!な位の距離。
但しTF勢の能力ならレースの時間は直線なら大体1分もあれば終わるのでチェックポイントや砲台の設置で放送用の尺(約10分)を稼いでいる。
残りの時間はレース中の映像のピックアップとか選手紹介による。
大体の様子はスター○ォーズEP1のポッドレースをより立体化させたような感じと思ってくれれば良いです。
コースを形成するビル群は老朽化しており、解体予定の再開発地区なので、好きな様に利用してOKだが、多数の無人砲台を備えているビルもあるので、迂闊に近寄るとその時点でTHE END。
なお、ビル群は後日業者が解体して分子変換器で資材にするかユニクロン様の物質変換炉でエネルギーにします。
コースの一部は何通りかに分かれて存在し、中には地下もある。
地下などの閉鎖空間は短いがトラップ満載だったり、カーブ多めで減速の必要があったりと、コース短縮は可能だがその分難度が高い。
稀に安全だが大回りのコースを地下に入れない大型のTFが最大速度でかっ飛ばして優勝したりする事もあるので、参加者は自分の性能に合ったコース選択と調整が必要となる。
更に実際のレースは武装で攻撃する以外はほぼ何でもあり(但し盛り上がりに欠ける行いはNG)なので、他の選手から、又は選手への妨害を意識して行動するのも忘れてはいけない。
が、細かく書くと余りにも長くなるのでダイジェストで行くことにします。
1、スタートと同時、始まる有志のTF達による「野郎オブクラッシャー!」発動。
アイアンマンを質量差で押し潰す!として突撃した連中多数に対し、ジャミング&ダミー映像&光学迷彩発動により上手く逃げ切るトニー・スターク。
「野郎オブクラッシャー!」
「やろう、ぶっころしてやる!」
「いてて、オレじゃないあいつだ!」
(うわー予想通りだけど嫌われてるなーこれは。)
2、何故か例年よりも弾幕が高密度になっているビル群にて撃墜者多数。サイズの小さくジャミングしてるアイアンマンは何とか掻い潜る。
「おっとどうした事だー!これはまた例年にない弾幕の嵐!負傷者続出ー!」
「中には過去の上位入賞者もいますね。バリア機能持ちの参加者が多いのでボディーを喪失する者はいないようですが…。」
(よし、予定外だが想定通り…。)
3、中盤に突入、上位陣の優勢は崩れない。スタースクリーム始めジェットロン軍団が毎度の如く優勝候補!
「序盤からハプニング続出でしたが、いつも通りを崩さない上位入賞は独り占めと言わんばかりにジェットロン軍団が先頭集団を独占ー!」
「休暇取れなかった者は参加してないようですが、この辺りは流石艦隊勤務の精鋭部隊ですね。」
「やはりトップはスタースクリーム!普段の小物染みた口調とは裏腹に、勝負事ではフェアに徹するジェットロン軍団のトップガン!流石優勝候補は格が違う!」
「流石は矯正施設出身勢の希望の星。格が違いますね。」
「てめぇら少しは黙ってやがれ!」
「「だって話すのがお仕事ですしー。」」
4、中盤その2、いよいよレース本格化&無人砲台の弾幕が激化。トニー被弾によりジャミングと光学迷彩解除。
「おっと、マジで砲台の弾幕凄過ぎない?ルナティックかな?解説のサウンドウェーブさん!」
「どうやら毎度のレース時間の短さに業を煮やした放送局が砲台を3倍に増やしたみたいですね。予定ではもっと少なかったようなのですが、有志による寄付と作業の手伝いがあったようです。」
「っ、被弾したか。ダメージレポート!」
『ジャミング並び光学迷彩が使用不能です。』
「その分抑えていた出力を推進系に回せ。ここからはスピード勝負だ。」
5、終盤に突入。無人制空戦闘機3機出現、先頭集団へと攻撃開始。一機をトニーが撃墜。
「おい待て誰だこんなもん許可したの!?旧式とは言え現役の無人戦闘機じゃねぇか!」
「流石に障害物に備えて減速した状態じゃもたなかった様ですね。先頭集団の過半数が食われました。」
「テメェら後で鍛え直しだ!こんなもんこうしてやらぁ!」
「おーっと!スタースクリーム選手、無人攻撃機2機をトラップに誘い込んで撃破!部下の仇を取ったァー!」
「流石はトップガン。見事な飛行技術です。」
「残り一機はこっちか…。フライデー、奴のデータを出せ!」
『了解。…武装はレーザー機銃3門、空対空ミサイル21発です。逃げ切るのは困難です。』
「レーザーの出力は…これなら耐えられるな。奴が焦れてミサイルを撃ったら他に擦り付けるぞ。」
6、ゴール前の直線。背面と脚部・腕部に推進器を追加し、自滅すら厭わぬ加速によってスタースクリームとデッドヒート。
「凄い凄い凄い!レース前に一体誰がこんな結果を予想していたか!史上初の地球人の参加者が、まさか我らがトップガンとここまで競るとは!?アイアンマン前に出た!スタースクリームが追い越した!アイアンマン追い縋る!だがスタースクリーム追い越させない!アイアンマン追い越した!スタースクリーム!アイアンマン!」
「最早凄いとしか言えない。あの地球人の選手には色々と嫌疑がかかっていましたが、まさかここまでとは…。」
「そんなもんは些細些細!さぁ決着はどうなる!?」
7、遂にゴール!写真判定の結果、優勝は変形して腕を伸ばしたスタースクリームの勝ち。だがトニーはその目的を達成し、ボロボロの身体で表彰台に上った。
「写真判定の結果はぁ……………ジャジャン!優勝は腕の差でスタースクリーム選手ー!!」
「今のドラムロールは何処から…?とは言え、やはりトップガンの壁は高かったという事でしょう。」
「今回のレースはちょっと障害がきつ過ぎたのもありますが、それは参加者全員同じ事。それでもなおその王者の座を譲らなかったスタースクリーム選手と初の地球人の参加者でありながら見事2位を捥ぎ取ったトニー・スターク選手始め全ての選手に盛大なる拍手を!」
なお、無茶をしたトニーはむち打ちと打撲、重度の筋肉痛で入院した。
……………
再びヒューマノイド向け医療施設にて
「やぁトニー。初参加で2位おめでとう。でも随分無茶したみたいだね。」
「仕方ないさ。どっかの誰かさん達のお陰で、踏ん張らないと外交問題になる所だったんだからさ。」
「その節は本当に申し訳ない。」
深々と頭を下げるブルースを、トニーはベッドから見上げた。
既にブルースからは嘗ての彼らから感じた陰鬱な雰囲気は感じられず、一皮剥けたと言うべきか、吐き出すべきものを全て吐き出してすっきり爽快といった様子だった。
それに安堵しつつ、忠告を送る事にした。
「次は君の番だが、用心するんだぞブルースにハルク。傍らで止めようとした僕でこうなんだ。直接女王陛下に手を挙げてしまった君らに対しては、それこそ本気で殺しにかかるだろう。例え試合であっても、だからこそ事故は付き物なんだ。」
「分かってる。覚悟はしてるよ。でもね…」
言って、ブルースはその右腕で力瘤を作る。
緑色になり、筋骨隆々となった右腕で、だ。
「今の僕らなら大丈夫さ。遅れは取らない。あ、サノスみたいなのは別だからね?」
「期待しているよ。ベッドの上でね。」
友人達の素晴らしい進歩に対し、トニー・スタークはベッドの上で愉快気に笑った。
次回、ブルース&ハルク出陣。
ちなみに、前話に出てくる「ディジット」は破壊魔定光に登場する連中です。
こいつらはこいつらでヤベー技術力と戦力持ってます。