多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第18話 対策会議

 新西暦186年7月半ば 地球 北米方面 ラングレー基地

 

 イージス計画における最新鋭主力機動兵器群の開発計画に成功したこの基地では、豊富な最新設備と集まった人材故に未だ地球連邦軍の各種開発計画の場として運用されており、現在では特に特機開発が盛んに行われている。

 その性質上、防諜も連邦軍情報部によって綿密に行われており、更には以前より秘密裡にA.I.M.から派遣されたナノマシン式自動人形が位相空間に潜行して基地全体の監視を行っている。

 そのため、表に出せないお話をするには、とても最適な場所だった。

 

 「…………。」

 「………。」

 「…………。」

 「お、おう…。」

 

 その地下100mに位置する秘匿大型地下ドッグ内部の会議室にて、一堂に介したこの太陽系の実質的トップ達+1とその護衛が勢揃いしていた。

 そして、その多くがとある少女の醸し出す圧倒的なプレッシャーに呑まれていた。

 一見、その愛らしい少女は軍でも企業所属でもない一般人にしか見えない。

 容姿は膝裏にまで銀髪に青み掛かった灰の瞳と白磁の肌、大凡人間味の感じられない程の美貌。

 ここまでならA.I.M.のいつもの自動人形と同じに思えるが、彼女には生きた人間の様な精神を感じられた。

 酷く感覚的な表現だが、この場の面々は確かにそう感じている。

 そんな少女が完全に感情を消した無表情で、誰に向けるでもなくただただ圧倒的な存在感を放ちながらこの場に参加者として座っている。

 護衛やオブザーバーとしてではなく、だ。

 席の配置はレムリア女王ことひびき玲子とA.I.M.社長兼代表取締の間なので、そのどちらかの関係者である事が類推できる。

 

 (となると、噂の表に出て来ないA.I.M.の会長さんかな?)

 

 メギボスはこの少女の形をしたモノの正体を知るべく、考えを巡らす。

 勿論マジンガーZEROという因果律兵器を搭載した暴走状態の無人機も大問題だが、この少女の形をしたモノもそれと匹敵する位の危険度があると彼の戦士としての直感が叫んでいた。

 

 「すまない、遅れてしまった様だな。」

 「いえ、予定時刻の3分前ですので遅刻ではありませんよ、レビル首相。」

 「いや、この状況で皆さんを待たせてしまったのなら、それは遅刻だよ。」

 

 地球連邦軍の実質的総大将に当たるゴップ大将。

 共和連合枢密院特使たるメキボス・ボルクェーデとその護衛の三将軍。

 A.I.M.社長たる五代目武蔵。

 今回初見の太陽系防衛用無人兵器部隊総司令艦のプトレマイオス

 ムー帝国今代女王レムリア。

 今回の議題の重要参考人にしてマジンガーZとZEROの産みの親たる兜十蔵博士(on車椅子)。

 そして、最後の一人である地球連邦政府代表のレビル首相。

 実質的な太陽系の指導者ら+1が直接顔を合わせる形での会合はこうして始まった。

 

 「今回は御集り頂きありがとうございます。司会進行は私、太陽系防衛用無人兵器部隊副司令官のSfが務めさせて頂きます。」

 

 その役職にレビルや三将軍らは少々目を開いて驚きを表現するが、大事の前の小事として出かけた言葉を飲み込んだ。

 

 「今回、太陽系防衛用無人兵器部隊は地球の最終防衛ラインとして配置されていた恒星間航行大型戦略工作艦ドゥーベと1億機もの無人量産型OF隊とシズラー改一個小隊、最近ある程度数の揃った巨人族系兵器を改装した無人機動艦隊の全てが壊滅しました。失った戦力を補充するには五年はかかるだろう見込みです。」

 

 円状に配置された机の真ん中、会議室の中央に表示された立体映像には、地球近傍の宇宙で残骸と化した地球防衛用無人兵器部隊の地球防衛部隊の姿があった。

 その余りの惨状に誰もが顔を険しくし、十蔵は普段のファンキーぶりが鳴りを潜めて顔を青くしている。

 

 「これだけの大損害を出したのは、たった一機の特機です。」

 

 次に表示されたのは、全長20m程度のたった一機の人型特殊機動兵器の姿だった。

 

 「名をマジンガーZ。そこの車椅子に座る兜十蔵博士の開発した特機になります。」

 

 それは次の映像ではまるで地獄の悪鬼の様なデザインに変貌、その機体性能・観測される光子力エネルギー・機体サイズも急激に変化している事が横に表示されたパラメーターによって表示されている。

 それは文字通りの桁違いの数値だった。

 

 「この機体には多数の特殊機能が備えられており、どれも目を見張るものですが、中でも特に注目すべき機能が因果律兵器になります。」

 

 詳細資料は既に各自に渡されているため、既に各員に驚きは無いが、それでも改めてその異常性が浮き彫りにされた。

 

 「変異後の本機自身の名乗りからマジンガーZEROと呼称しますが、この機体に搭載された因果律兵器は太陽系においては試作第一号に当たりますが、極めて驚異的な性能と完成度を有します。」

 

 例えば、マジンガーZEROを破壊可能な兵器が存在するとしよう。

 この因果律兵器を用いれば、その兵器へ有効な対策を持った可能性をこの世界へと持って来て、ZEROにその可能性を適応、その兵器による攻撃を無力化するのである。

 これは防御面でも逆の事が言えて、マジンガーZEROの攻撃を防御可能な兵器が存在した場合、その防御を突破する可能性をこの世界へと持ってきて、その可能性を実現してしまう。

 持ってくる可能性が0%の場合は流石に不可能なのだが、ZEROの進化具合では今後その可能性を0から作り上げる可能性が高い。

 

 「それは、理論上対抗不可能なのではないかね?」

 「いえ、まだ希望はあります。」

 

 余りに突飛な話に、ゴップ大将は言った。

 

 「マジンガーZEROの観測可能な平行世界は、あくまでもマジンガーが存在する並行世界に限ります。」

 「つまり、奴の想定の上を行けば勝機はある、と?」

 「理論上は、と付きますが。」

 

 それは途方もない話だった。

 自分達が観測できない程に膨大な、星の数よりも遥かに多い無限の平行世界。

 その中のマジンガーの存在しない並行世界から、マジンガーを打倒し得る可能性を掴み取る。

 

 「雲を掴み取る方が現実的にすら思える話ですね…。」

 

 厳しい表情を崩さないレムリア女王の言葉が、この場の面々の正直な感想を現していた。

 

 「ですが、対策はあります。ここからは十蔵博士にお願いします。」

 「ちょっと待った。何でこの場に事の張本人であるソイツがいるんだ?」

 

 メギボスが待ってましたとばかりに口を挟んでくる。

 が、これは地球連邦と共和連合の条約と外交関係上必要な事であるので、半ば以上やらせ感のあるものだったりする。

 

 「その爺がやらかしたせいでこっちは随分と気を揉む事になった。しかも、因果律兵器は両国の条約にて全面的に禁止されている。」

 「では、何をご要望なさいますか?」

 「その爺の身柄引き渡しと因果律兵器に関する各種資料の引き渡しだ。後、残った開発中のマジンガーとそのパイロットもな。」

 

 それは要するに、今回の一件の原因となったものを全て寄越せ、こちらで管理してやる、という事だった。

 

 実に上から目線というか、米帝チックな言い様だが、そうすると問題がある。

 

 「それは構いませんが、よろしいのですか?」

 「ほう?」

 「次にあのZEROが来襲した時、そちらにも確実に向かう事となります。」

 「根拠は?」

 

 Sfの発言に、メキボスは問い返す。

 

 「ZEROの目的はパイロットである兜甲児の守護、そしてあらゆる敵を打ち破る事での自己が最強にして唯一無二のスーパーロボットである事の証明です。これには勿論、この銀河に住む軍事力を持ったあらゆる存在が標的となりますが、パイロットである兜甲児並び対策を講じる事の出来るマジンガーの開発関係者を確保する事は、ZEROの最優先標的となる事を意味します。」

 「…続けてくれ。」

 「加えて、各勢力はあの戦闘を観測しました。インベーダーや宇宙怪獣、アインスト等の非人類勢力ですら一時撤退を決意する程の戦闘能力を持った存在がいる事を知ったのです。」

 「二度と現れないように、根を絶とうってか?」

 「その通り。ZEROは今この宇宙にはいません。しかし、二体目のZEROが誕生する可能性を彼らは知らないが故に否定できません。遮二無二この地球に、違うとなれば共和連合に襲い掛かってくるでしょう。自分達の種の存続を掛けて。」

 

 それは共和連合が最も恐れるパターンだった。

 何とか旧敵の星間国家同士で連合を組み、血と汗と涙を絞り尽くして辛うじて外敵へ対抗しているのが彼らの現状なのだ。

 それを根本から破壊し、滅亡を招くような事態は絶対に避けねばならない事態だった。

 

 「次のマジンガーを建造して、そいつがZEROに成らない根拠はあるのか?」

 「もし成るというのなら、既に成っている筈です。」

 

 映像が切り替わる。

 そこには格納庫に設置された次なるマジンガー、即ちグレートマジンガーの姿があった。

 

 「こちら、次なるマジンガーとして開発されたグレートマジンガーとなります。既に開発自体は完了し、ソフト面の調整とパイロットの慣熟訓練が完了すれば出撃可能なまでになっています。先の事件が起こる前に既にこの状態でした。」

 「成程、成ってるならもう成ってる筈か。」

 「加えて、ZEROは自分こそが唯一無二のスーパーロボットであると自称しています。自分以外のスーパーロボット、もっと言えばグレートマジンガー等決して認めようとしないでしょう。」

 

 ZEROはあくまで個人に過ぎず、自分という存在に対して強烈な自負、プライドを持っている。

 それが故にZEROは決して他者と交わる事はない。

 自分の行く道に他者が相乗りする程度は容認するかもしれないが、それだけである。

 普通、そんな個体など圧倒的物量と多数の連携や戦略・戦術に潰されるのがオチなのだが、生憎とZEROは神にも等しい存在へ進化し得る個人だった。

 それがこの事態をややこしくしているのだが…。

 

 「懸念は分かった。しかし、それならそれでうちがマジンガーの技術と自前の技術で対抗策を生み出すとは思わないのか?」

 「そうおっしゃっている時点で、メキボス様の目的は別にあると判断します。」

 「確かに枢密院としては今回の一件は再発防止とZEROを確実に仕留めるための対策をしたいが、同時にリスクは可能な限り避けたいと思っている。こっちで対抗策を研究して、そのデータを全部くれるんならこっちでやってくれて構わん。」

 「連邦政府としてはその方針であれば否応はありません、メキボス特使。」

 「同じく、秘密条約であったとは言え、そこまで配慮して下さるのなら、私共も賛成です。」

 「太陽系防衛用無人機動部隊はその提案に賛成します。」

 「それじゃ地球で対策を研究して、情報は全部こっちにも回してくれ。一応、こっちからも人員が出せないか本国に聞いてみる。」

 

 トレミィが静かに太陽系防衛用無人機動部隊の長として発言すると場が僅かに揺れたが、それ以外は特に反対もなく、大体の方針は纏まった。

 

 「さて、兜十蔵博士。」

 「何じゃ…。」

 

 車椅子の上から年齢通りの、否、それ以上の弱弱しさで十蔵博士は返答した。

 

 「この通り、我々はマジンガーZERO対策における方針が一致しました。これより対策プロジェクトを発足し、厳重な監視付きでありますが貴方にはそこで働いて頂きます。現状、マジンガーZEROを最も知っているのは貴方ですので。」

 「儂を責めんのか…?」

 「その権利を行使する意思を当機は持っておりません。」

 

 そこまで言って、初めてSfは視線をトレミィに向けた。

 

 「こちらは太陽系防衛用無人機動部隊総旗艦プトレマイオスの対人コミュニケーション用端末、通称トレミィと申します。お見知りおきを。」

 

 すっと、スカートの端を摘まんで淑女らしい礼をする。

 普段の彼女を知る者達からすれば失笑ものだが、初見の面々が多いこの場においては十分意味がある。

 

 「我々としましては、次にZEROが来襲した場合、我々は奮戦空しくほぼ間違いなく全滅するだろうシミュレーター結果を得ております。我々だけで太陽系防衛ラインを維持する現状のままでは確実に対抗不可能です。そのため、地球連邦政府ならび共和連合枢密院に致しましては共同でZERO対策をして頂きたくこうして参加させて頂きました。」

 「トレミィ君、君の立場は分かった。A.I.M.を通じて以前から地球人類を支援してくれている事にも感謝している。それで、具体的に君達は我々に何をしてほしいのかね?」

 「地球・共和連合・太陽系防衛用無人機動部隊合同のZEROを始めとした超強力な敵対存在への対抗手段の開発です。」

 

 それは確かにZEROの様な異常な存在を知っていれば必要だと分かる。

 だが、それをこうして提案するという事はZERO以外にもZEROに匹敵する存在がいるという事をトレミィ達が知っている事の証左に他ならなかった。

 

 「他にもいるのか、アレみたいなのが?」

 「それにつきましては、只今から解説を始めたいと思います。Sf、コードRED各種パターンについての解説を初めて頂戴。」

 「了解です。」

 

 この日以来、地球連邦と共和連合はトレミィ達と同じ悩み、即ちこの銀河を単体で滅亡させる様な異常存在への対策のために一連の戦乱が終結するまで奔走し続ける事になるのだった。

 なお、走るのを止めると滅亡するので止まりたくても止まれなかった。

 

 

 ……………

 

 

 「突然の我ら全員の招集、どういう事だ孔明?」

 「BF団の軍師たる貴殿と言えど、今回は説明を求めるぞ。」

 「えぇ勿論。さて皆様に今回集まって頂いたのは他でもありません。我がBF団が行っているGR計画、その真の目的について今日は語るつもりで皆様に集まって頂いたのです。」

 「………。」

 「そして我らが主ビッグファイア様の目覚めが近づいている事を、この場にて発表させて頂きます。」

 「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」

 「さて皆様、お手元に飲み物は行き渡りましたね?それでは話を始めさせて頂きます。」

 

 

 ……………

 

 

 『く、くくくくく…!もう直ぐだ、もう直ぐワシの新たな身体が、神が如き新たな身体が手に入る!』

 「もう間も無くですな、闇の帝王様。」

 『長い、余りにも長い時を待った…だと言うのに準備がさっぱり終わらんからワシは終始締め切り前の漫画家が如く仕事に追い詰められてきた…。』

 「は、はぁ…?」

 『しかし、それも後僅か!暗黒大将軍よ、我がミケーネ帝国の戦闘獣らの準備をするのだ。我らの存在を天下に知らしめる最初の戦場は宇宙となろう。手抜かりは許さぬぞ。』

 「は!我が身命に代えてでも、必ずや帝王様の悲願を叶えましょうぞ!』

 

 

 ……………

 

 

 「むぅ……。」

 「如何致しましょうか?」

 「地球侵攻はゼ・バルマリィ帝国も一時停止している様ですが…。」

 「いや、是が非でも進まねばなるまい。」

 「何と!?」

 「た、確かに御身の御力なら可能でしょうが…。」

 「あの魔神の力、我ら以外の勢力へ渡れば如何に我とて危ういものがある。ここで地球を滅ぼさねば、我らが滅ぼされよう。」

 「そ、それでは…。」

 「行くぞ、地球へ。戦力の再編を急ぐのだ。次は私も出る。」

 「「は、ははー!」」

 

 

 ……………

 

 

 「これはまた……予想外の事態だね。」

 『…………。』

 『…………。』

 「よしてくれよ。この状態で火遊びなんて、僕だってしないさ。我らが神の覚醒も近い。その前に多少の間引きと選定は済ませておくってだけでね。」

 『…………。』

 「分かっているよ。僕も敵を増やしたい訳じゃない。だけど、それをするのはあくまで現在の人類だって事を忘れないでくれよ?今の僕はまだまだ裏方なんだしね。応龍の傷だって癒えていないんだから。」

 『…………。』

 「しかし、あんな魔神を作るなんて、この時代の人類は凄いね。これはウカウカしてられないか。」

 

 

 ……………

 

 

 「これは…素晴らしい。何としても手に入れねばならん。」

 『しかし、現状では余りに危険では?』

 「だからこそだ。他の勢力に、我らと敵対している共和連合共と地球は協力関係にある。今更のこのこと行った所でお零れすら貰えまい。」

 『………。』

 「加えて、我らは既にあの星にセプタギンを埋め込んでいる。敵としか見られぬだろう。ならば、するべき事は一つしかない。」

 『…了解しました。命令を遂行します。』

 

 

 

 




どうやら隠れた勢力&地球目指してた勢力が軒並みアップを始めた様です。
これも全てマジンガーって奴の仕業なんだ!(ガチ)

次回は具体的な全体の動きを解説します。
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