多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第21話 束の間その3

 新西暦186年7月末 地球

 

 現在、地球においては戦力の再編が進んでいた。

 何せ先の魔神覚醒事件により、太陽系外郭の防衛ラインが冥王星まで狭まり、異星人を始めとした外宇宙からの侵略者の脅威が以前よりも間近に迫ったためであった。

 土星開拓兼防衛基地に木星駐留艦隊並び衛星に設置された各基地、そして火星駐留艦隊並び本星と衛星の各基地。

 これに加えて木星・土星航路上の小惑星基地等が存在し、外側になればなる程に戦力が優先的に配置されている。

 特に土星基地に至っては既に完成した改良型コロニーレーザー(大型艦艇用縮退炉を無数に連結)と光子魚雷搭載のるくしおん級、光子砲弾を使用可能な亜光速レールガンを持つデストロイドモンスター、防空・拠点防衛に特化したジガン系特機等、地球ではまだまだ揃っていない戦力が亜光速戦闘仕様に改修された上で豊富に揃えられていた。

 もしここに攻めて来たのが単体の勢力によるものならば、一部の単体戦力を除けば例え宇宙怪獣であろうとも唯では済まないだろう。

 そしてA.I.M.の庭となっている火星・木星は地球連邦駐留軍の他にも無数の無人兵器と高性能の有人兵器が配備されており、それらは火星支部長パプテマス・シロッコと木星支部長ゲイザー・ニブハイ(Gazer ・NibHi。ギレン・ザビのアナグラム)らの指揮下で運用される。

 これは「無人機ではどう足掻いても思考ルーチンに限界がある」としてトレミィらが信頼する両者へと任せられた結果だった。

 事実、技術者・パイロット・指揮官としても非凡な才覚を持つシロッコに、一年戦争では危うく連邦軍を敗退させかけたギレンの両者の指揮は卓越しており、旗下の自動人形らもその采配に納得している。

 こんな感じで、太陽系外周は未だ盤石の守りを誇っていた。

 問題なのは内部、特に地球圏だった。

 

 「マジンガーZの暴走はもう済んだ事として…他の機体は大丈夫なのか?」

 「何だよ超電磁って…。」

 「そうか…ゲッターとは…ゲッター線とは…!」

 「野生の力をエネルギーに変換する野獣回路とは一体…?」

 「おいこれ本当に暴走しないんだろうな!?」

 

 こんな感じで特機の安全性への疑問が噴き出したのだ。

 加えて、先の一戦において参加したどの特機も機体がガタガタになっており、一度専用の拠点へと戻ってのオーバーホール並び調査が決定された。

 

 「寧ろこれは好都合だ。」

 「うむ。限界に近かった我々のスーパーロボットのオーバーホールだけでなく改修も出来る。」

 「パイロット達もよくやってくれたが一部を除いて疲労が限界だ。少しの間だが骨休めしてもらおう。」 

 

 こうして、一部の機体はパワーアップし、パイロット達は一時的にだが休暇を謳歌し、未だ学生の多い超電磁チームは一時的だが復学する事も出来た(そして山脈状態の課題で死んだ)。

 加えて、太陽系外周部が侵略者の手に落ちた事で新たに民間・軍からのスーパーロボット、そして今まで地球圏に密かに亡命して静かに暮していた異星人の人々と彼らの持つスーパーロボットが立ち上がってくれた。

 

 ガードダイモビック所属の闘将ダイモス。

 滅亡したフリード星の守り神グレンダイザー。

 テスラライヒ研究所のグルンガスト弐式。

 地球連邦軍所属となったゴッドマーズ。

 そして、特務機関NERV所属のエヴァンゲリオンシリーズ。

  

 どれも本来ならまだ、或いはこの世界線では永遠に表舞台に出て来る事のなかった機体だ。

 しかし、あの魔神覚醒によって裏死海文書の信憑性が大きく減少し、異星人からの侵略が激化してしまった現在、どの組織・勢力・個人も生き残りに必死となった結果、表舞台に出て行かざるを得なかったのだ。

 ガードダイモビックは本来なら新宇宙資源ダイモライトの採掘・研究・利用のための研究機関だった。

 グレンダイザーは滅んでしまったフリード星の王子たるデューク(現在は宇門大介)の私物であり、宇宙科学研究所の所属となっている。

 テスラライヒ研究所は言うまでもなく、連邦内部で進んでいる特脳研の生き残りを中心として構成されるSRXチームと連携予定の民間からスカウトした念動力適性の高いパイロットを乗せて運用する予定だ。

 既にSRXチームも本格的に稼働開始しており、各地でムゲの軍勢とも戦闘していたが、今後はスーパーロボット軍団と合流、母艦であるハガネと共に極東方面へ向かう予定だ。

 そしてゴッドマーズだが…ややこしい経緯を持っている。

 地球連邦地上軍所属だった明神タケルは密かに潜入していたズール銀河帝国の秘密工作員によって暗殺されかけたのを、何処からともなく転移してきたガイヤーにより守られてそのまま搭乗して戦闘を開始、そのガイヤーの勝てない大型の敵エスパーロボが出現すると六神ロボが現れて合体、ゴッドマーズとなって敵を撃退した。

 以降、タケルがテレパシーで会話した内容を元に本人の身体と機体を改めて調査した上で、連邦軍に編入される事となった。

 しかし、それまでに多数の問題があった。

 

 「反陽子エンジン…?」

 「パイロットが死亡、或いは撃破と同時に起爆だと…!?」

 「おいこれどうすんだ?」

 

 そう、ガイヤーに搭載された自爆機能である。

 遠隔起爆装置も発見されたが、そちらは予め破壊された形跡があり、この機体の開発に携わった人物=タケルの実父のイデアの良心の呵責が見て取れた。

 

 「では我々にお任せを。」

 

 そして安心と驚愕をお届けするA.I.M.技術陣の手によって反陽子エンジンは徹底的に解析された後、パイロットと指揮官他の多重認証をクリアせねば自爆不可能、機体の破壊・パイロットの死亡が確認された際には位相空間へと転移する様に諸々の安全措置が取られた。

 何故こうまでしてでも戦力化に拘るかと言うと、明神タケルの持つ念動力が極めて高く、ゴッドマーズは反陽子エネルギーの他、タケルの念動力を受けて稼働する事で極めて高い性能を発揮するからだ。

 その性能たるやライディーンにも匹敵し、装甲とパワーに関しては上回ってすらいた。

 無論、機動性や運動性等は可変機構を持つライディーンが上回るのだが、機体サイズと重量、パワーの問題で近接戦闘ならばゴッドボイスを出さぬ限りは勝てないだろうと考えられている。

 また、タケル自身も未だ完全覚醒こそしていないものの、将来的には洸と同様にレムリア女王を超える試算結果が出たため、連邦政府としては是が非でもタケルを管理下に置く必要があったのだ。

 

 「良い?絶対に自爆なんて出来ないようにしなさい。」

 「畏まりました。」

 

 何せゴットマーズ原作はアニメは兎も角OVAや漫画版では自爆、或いは人類文明崩壊エンドである。

 その原因となるゴットマーズをトレミィが警戒するのは無理もなかった。

 しかし、手放すには余りに高性能であり、ズール皇帝への切り札にもなる事から、こうしてガチガチに対策を固めて運用していく事となるのだった。

 

 「予定より少々早いが構うまい。」

 

 更に此処に来て裏死海文書の情報の正確性が高い内に人類補完計画を進めていくべきだと判断したゼーレもまた、行動を予定よりも早めた。

 一応、トレミィらの行動は旧西暦までは歴史改変するようなものはなく、裏死海文書の大筋の内容が真実であったにも関わらず、昨今の情勢に関しては多くの差異が発生し、魔神覚醒事件に至っては記述されていない事がゼーレの焦りを加速してしまった。

 

 「セカンドインパクトと同様、以前より兆候はあったが…。」

 「本当に裏死海文書通りに進むのか?」

 「否、このままでは人類補完計画そのものの再検討も必要…。」

 「これまでどれだけの金と時間を費やしたと思っている!?今更中止など…!」

 「…最早、進むしかあるまい。人類の、銀河の滅びは直ぐそこまで迫っておるのは事実なのだから…。」

 

 場合によっては今直ぐにでも使徒が活動を開始し、サードインパクトが発生する可能性すらあった事も、この事態の原因だった。

 トレミィ辺りが聞いたら「そこで落ち着いてブレーキかけてくれよ…(絶望)」とか思うだろうが、この世界の秘密組織とか黒幕やってる連中は大体そんな感じなので仕方ない、諦めよう(死んだ目)。

 幸いにして何とかエヴァは零号機(黄色のテスト装備)・初号機・弐号機までは完成し、装備類は特機向けの汎用装備を若干手直ししたものを採用する事で完成を早める事に成功した。

 なお、参号機以降のシリーズは資金並び時間が不足している事からペーパープランで終わるか、胴体のみの仮設状態で試験・運用される事が決定した。

 しかし、彼らの行動は結果的に言えば、功を奏したと言える。

 新西暦186年8月、地球圏にて沈黙の一か月間を最初に破ったのは、彼らゼーレの警戒していた使徒による第二新東京市への侵攻だったのだから。

 

 新西暦186年8月、選ばれた運命の子供達、その三人目が正史とは異なる歴史を辿りつつある世界にて、第二新東京市へとやってくる事となった。

 

 

 ……………

 

 

 その少し前、太陽系外周部においても動きが始まっていた。

 

 『ズール銀河帝国艦隊に動きあり。推定巡航速度にて雷王星宙域に侵入。』

 『了解。ハラスメント作戦開始。各無人戦闘機は所定プログラムを改めて確認後、作戦を実行。』

 

 確かに防衛ラインは冥王星まで下げられた。

 しかし、何もせずお行儀よく下がってやる程、彼女らは侵略者にとって楽な相手ではなかった。

 本艦隊の露払い、偵察役として先行した小艦隊10隻に対し、200近い無人戦闘機が襲い掛かった。

 楽園追放の世界から得られた無人迎撃機を改装した多目的無人戦闘機「ファントム」。

 多数のオプション兵装と汎用性、何よりもナノマシン製ではないが故の低コストと量産性の高さを持った数合わせの兵器だ。

 しかし、それはトレミィ達からすればの話であり、人類から見れば後に開発される傑作無人戦闘機ゴーストシリーズの最新型であるQF-4000以降の機体よりも更に高性能な出鱈目無人戦闘機である。

 自己修復も格闘戦も不可能で、搭載された人工知能も自動人形より大きくランクが下がる。

 だが、それは本機が弱いという事ではない。

 事実、こいつが地球人類相手に猛威を振るった場合、対応できる機体は殆どいない。

 

 『て、敵襲ー!敵戦闘機多数が本艦隊に向け接近中!』

 『迎撃せよ!こちらの艦載機も出せ!』

 

 しかし、彼らの遅い対応を嘲笑うかのように、光速の7割にまで達する速度で襲い掛かった無人戦闘機群は即座に搭載したレーザー砲と対艦ミサイルを発射、艦隊外周部の比較的小型の艦を次々と火達磨にしていった。

 

 『くそ、これ以上やらせるな!』

 『ミニフォーも上げるんだ!』

 『索敵は一体何をやってやがった!?』

 

 罵声を漏らしつつも、小艦隊の動きは的確だった。

 既にして加速状態の無人戦闘機群を一から加速して追うよりも、艦隊の直掩に回って防衛・迎撃戦を試みた。

 これはズール銀河帝国で採用されている機動兵器類の多くが大型の特機に近い性質を持っていた事から選ばれた戦術で、その穴を埋める形でミニフォー等の小型機が存在している。

 勿論、どちらも多数の星間国家を併合したズール銀河帝国の主力メカであり、その性能は単体で恒星間航行が出来るし、亜光速戦闘も可能な程の性能を誇るのだが、相手が悪かった。

 

 『味方無人戦闘機群、全機が先制攻撃に成功。』

 『では離脱を。』

 

 亜光速で飛来し、痛打を与えて反撃が始まるとなったら即撤退。

 ハラスメント攻撃としては余りに派手だが、極めて有効な手段だった。

 こうした攻撃は幾度もランダムのタイミングで繰り返され、ズール銀河帝国艦隊・バルマー第七艦隊の侵攻を大きく鈍らせた。

 

 『第1から12番までの発射管に光子魚雷装填開始。』

 『照準並び装填完了。』

 『目標に向け全弾発射後、位相空間に潜行して離脱する。』

 『了解。』

 『では光子魚雷、全弾発射。』

 

 加えて、密かに配備されたるくしおん級や巨人族系無人機動艦による奇襲攻撃により、太陽系内部へと進出しようとするインベーダーも見つけ次第駆除されていった。

 こうして、太陽系外周部における戦闘は大規模会戦は起こらず、小規模のまま続いていった。

 

 

 「えぇい、どいつもこいつも不甲斐ない!最早待てぬ。損害を無視して前進せよ!先頭集団は併合された惑星所属の艦で編成せよ!」

 

 

 三か月後、痺れを切らしたズール皇帝が本格的に動き出すまでは。

 

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