多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第22話 使徒、襲来

 新西暦186年8月1日 地球 極東方面

 

 

 メテオ3群の落着により、一度は壊滅した極東方面の旧首都たる東京は多くが水没してしまった。

 現在の行政中心地は開発の完了した第二新東京市(旧神奈川県足柄下郡箱根町仙石原地籍付近、芦ノ湖北岸)へと移り、極東方面の行政の中心となっている。

 この都市は一年戦争後期に開発が開始、戦時中であった事と以降の使徒迎撃戦を見越していたゼーレの圧力により、迎撃戦闘に特化した要塞都市として設計されている。

 しかし、資金難のゼーレ傘下の企業群だけでは開発が間に合わない可能性が高いとしてA.I.M.とアナハイム他多数の大企業群も追加で参加し、僅か4年で完成した。

 なお、不足分の資金はゼーレ側がA.I.M.に頭を下げてお願いしたら意外にも気前よく出してくれた。

 これは使徒の第二新東京市地下への到達でサードインパクトが発生する可能性を少しでも低くしつつ、極東方面の行政中心都市の防衛に関して少しでも介入するためでもあった。

 曰く、「金と人出してるのだから多少融通を効かせて頂きます」との事。

 大凡は劇中のそれと同じだが、採用されている各種武装群や装甲材等は強化されており、エヴァ無しでも使徒相手に時間稼ぎだけならば可能という程に強化されている。

 とは言え、大質量の宙対地爆撃等をされたら、ジオフロントを除けばどうしようも無いのだが。

 それはさて置き。

 そんな要塞都市へと行くための電車が通る途中の街に、一人の少年が呆然として佇んでいた。

 

 「どうしよう…。」

 

 彼、碇シンジは心底困っていた。

 避難警報が鳴り響き、戦時慣れした人々は素早くシェルターに避難していった。

 しかし、地元民ではないシンジは元々の内向的な性格とどん臭さもあって咄嗟に上手く動けず、非難誘導のままに移動するも最寄りのシェルターは「満席」と表示されて入れず、次々と盥回しになった挙句、元いた駅の近くにまで戻ってきてしまった。

 

 「やっぱり来るんじゃなかった…。」

 

 実はその直ぐ後、シェルターに入りきれなかった人用の送迎車が来て、待機していた輸送ヘリの元へと人々を運んでいたのだが、持ち前の不幸さでそれを逃した事をシンジは知らなかった。

 

 「この人、何なんだろう?」

 

 『来い。ゲンドウ』

 それだけ書かれた手紙の裏、頭の軽そうな女性の水着写真に書かれた待ち合わせ時間は当に過ぎている。

 しかし、他に行き場のないシンジはその場で待つ事を選択した。

 本当なら手紙を無視しても良かったのだろう。

 しかし、父親に対して一縷の希望を抱いていた少年は、こんな所までのこのこと来てしまった。

 

 「え…?」

 

 不意に夏真っ盛りの市街地の中、シンジは陽炎の中に一人の少女を見た気がした。

 アルビノという奴なのか、青みがかった銀髪に赤い瞳を持った制服姿の少女。

 しかし、それは突発的に発生した暴風によってシンジの意識が外れ、視線を戻すまでの刹那の間には消えていた。

 それが幻か何かだったのかは知らない。

 そんな光景を塗り替える様に、不意に地面を揺れる。

 一定の間隔で響く独特の振動音、即ち巨大な足音と多数の機動兵器から発生られるプラズマジェネレーターやスラスター類の稼働音、銃火器類の発砲音に爆発音から成る合奏が無人と化した街へと響き渡る。

 

 「何だよ、アレ…。」

 

 シンジが見上げた先、そこには展開した多数の連邦軍のMS部隊並び対MSを主眼とした重戦闘ヘリ部隊、それらに囲まれて集中砲火を受けながらも一切のダメージを感じさせずに闊歩する緑がかった筋繊維と骨に似た外殻を有した全長30m程の人型に近い巨大生物の姿があった。

 

 「う、わ!?」

 

 重戦闘ヘリから放たれた対艦ミサイルが巨大生物に着弾し、その衝撃と閃光がシンジの元にも届く。

 しかし、巨大生物はその爆発にも小動ぎもせずに移動を続ける。

 

 『重戦闘ヘリ部隊は後退しろ!通常弾頭じゃ豆鉄砲だ!』

 『ゲシュペンストmk-Ⅱ隊、重装仕様の機体は射撃に集中!前衛は攪乱!狙いを散らせ!』

 『ジムⅡ隊からの支援砲撃、来るぞ!』

 

 直後、無数の対艦ミサイルが巨大生物、第三使徒サキエルの全身へと着弾する。

 しかし、数秒間だけ僅かに歩行速度を緩めたのみで、その動きは変わりない。

 

 『くそ、コイツ硬過ぎる!』

 

 展開していた部隊は極東方面軍の中でも首都防衛部隊に配置されるゲシュペンストを中心とした有力な部隊なのだが、如何せんジガン系や量産の開始されたグラビリオンは未だ配備されておらず、スーパーロボット軍団も例のオーバーホールと再調査、強化改修で未だ動けずにいた。

 

 『な、民間人だと!?』

 

 不意に展開していたゲシュペンストmk-Ⅱの一機が、避難が終了した筈の街中で初めての戦場を呆然と眺めるシンジの姿を見つけた。

 

 『っ、ヘイズ3は民間人を保護!各機、援護しろ!』

 『『『了解!』』

 『ジムⅡ隊は射撃中止、射撃中止!』

 『くそ、何でこんな所に!?』

 『ぼやくのは後だ!動け動け!』

 

 動揺冷めやらぬ中、隊長の命令で空かさず全機が行動を開始する。

 

 『ヘイズ2、近接戦闘!お前は左、オレは右だ!』

 『了解!』

 

 二機のゲシュペンストmk-Ⅱがプラズマカッターを引き抜き、左腕のビームシールドを構えながら突撃する。

 サキエルはそれを見るや否や即座に両者の中間点に眼と思われる部位から光線を発射、着弾点が盛大に爆散するが、その爆発すら加速に利用し、二機が切り掛かる。

 

 『プラズマカッター、出力最大!』

 『喰らえぇ!』

 

 一方その頃、ヘイズ小隊の残り一機であるヘイズ3によって民間人の救出が行われていた。

 

 『君、すまんがこっちの手に乗ってくれ!』

 「は、はい!」

 

 救援に来てくれたゲシュペンストmk-Ⅱの掌にシンジが乗る。

 その後、直ぐにその場から離脱を開始する。

 

 『くそ、離しやがれ!』

 『ヘイズ2、無暗に暴れるな!今助ける!』

 

 その背後では果敢に近接攻撃を仕掛けるも、ATフィールドにあっさりと防がれたヘイズ2のゲシュペンストmk-Ⅱがその腕をサキエルに掴まれ、釣り下げられていた。

 

 『この、化け物がぁ!』

 

 DFを最大にし、掴まれた腕を支点にしてのムーンサルトにも似た蹴りの一撃。

 即ち、変則的ゲシュペンストキックを受けたサキエルは衝撃により大きく上体を仰け反らせる。

 一瞬遅れ、ゲシュペンストmk-Ⅱの腕を掴んでいた三本の爪の間から全長50mを優に超える光の槍が射出され、ゲシュペンストmk-Ⅱの右腕を捥ぎ取っていった。

 もしあのまま拘束されたままならば、そのまま全身を破壊されかねなかった一撃に、辛うじて死から逃れたヘイズ2が冷や汗を流す。

 

 『各機、射撃再開!奴の足を止めるぞ!』

 

 そして、民間人の救出と味方機の危機を見たジムⅡ隊から再びの支援攻撃が開始される。

 バズーカ、対艦ミサイル、中型ミサイルの雨霰がサキエルへと降り注ぐが、その攻撃は周囲のビル群こそ破壊するものの、サキエルは衝撃で多少揺れる程度のみで、その身体は全くの無傷だった。

 

 『くそ、ここまでやっても駄目なのか!』

 

 この場にいる全員が極東方面軍の首都防衛を任されるだけあって相応の腕利き揃いだ。

 しかし、そんな彼らでも超えられない壁というものが存在する。

 太陽系外周部の様に最新の装備が多数揃えられておらず、量産型特機やVFが先の隕石落下騒ぎで消耗し尽くして未だ回復し切れていない現在、彼らはよく頑張っていた。

 そんな彼らの努力を嘲笑うかの様に、先史時代の遺物は街を蹂躙しながら侵攻を続けていく。

 

 『……ヘイズ1、了解。光子爆弾の投下来るぞ!各機、撤収急げ!』

 『っ、了解!』

 『ヘイズ3、そちらはどうか!?』

 『こちらヘイズ3、現在民間人と共に被害予想地域からの離脱を完了!』

 『よし、撤収完了だ。爆撃頼む!』

 

 そして、上空1万mで待機していた大型爆撃機が、その腹に抱えていた地上用出力設定をされた光子爆弾を投下した。

 上空から雲を突き破り、目標の直上50mとなった時点でセンサーが起爆位置に到達したと確認し、内部のブラックホールを解放した。

 

 「あれが、ブラックホール…。」

 

 外部通信が入ったままだったため、一連の通信を聞いていたシンジは街一つの中心に発生した巨大な黒い球体を前に呆然と呟いた。

 光を飲み込み、時空すら歪曲される超重力。

 それを産まれて初めて肉眼で目視したシンジは、ただただ呑まれ、流されていた。

 

 『…嘘、生きてる…。』

 

 そして、極小規模の重力異常により発生した爆炎と粉塵の中、そこに佇むサキエルの姿に心底からゾッとした。

 この爆撃により、サキエルは身体構造の表面を大きく削られ活動を一時停止、3時間後に活動を再開、第二新東京市へと再び侵攻する事となる。

 保護されたシンジはその後、当初は戦闘の予想される第二新東京市から正反対の離れた都市へと移送されそうになったが、NERV側の迎えの人員(葛城ミサト)に引き取られ、第二新東京市へと向かうのだった。

 

 そこで、彼は出会った。

 機械仕掛けの神とそれを駆る人ならぬ少女。

 己の母の魂を喰らった、人の作った神ならぬ神に。

 

 

 ……………

 

 

 3時間後、第二新東京市にて

 

 そこには物々しい雰囲気で地球連邦陸軍極東方面軍首都防衛隊が展開していた。

 先程は一方的に押され、街一つを犠牲に時間稼ぎする事しか出来なかった彼らだが、今回はジガン系こそいないもののグラビリオンが二機に最終手段であるデストロイドモンスターが既に配置に付いていた。

 他にもゲシュペンストmk-Ⅱ一個中隊にジェガン二個中隊、ジムⅡ一個大隊、防空部隊としてデストロイド一個中隊、他にも多数の戦車部隊や重戦闘ヘリ部隊が補助戦力として配備されている。

 先日までムゲ兵とバリバリにやり合っていた、お飾りなんて一人もいない実戦部隊である。

 

 『シンジ君、用意は良いかい?』

 「あ、はい。大丈夫です。」

 『無理はしなくて良いよ。君の役割はあくまで目標のATフィールドを中和する事だけで、下手に攻撃する必要は無い。』

 「はい、説明は受けてきました。」

 『…君の乗っているエヴァンゲリオン初号機が組み付きさえしてしまえば、奴のATフィールドと言う特殊なバリアは初号機のATフィールドと中和し合って消える。私達が目標を撃破するまで、君は目標の近くに居続けなくちゃいけない。ここまでは良い?』

 「えぇ、こっちのATフィールド?も消えるんですよね?」

 『その通り。初号機は私達のMSに比べたら頑丈だから、簡単に壊れる事は無いけど、ダメージがフィードバックされるんでしょう?シンジ君は目標の近くにいる事を優先して。攻撃は私達の担当だから、ね?』

 「はい、そっちはお任せします。素人なんで上手くやり切れるか分かりませんけど…。」

 『それをカバーするのも私達の仕事だから。君は気にせず、出来る事をやってね。』

 『ヘイズ3、エヴァ初号機に通達。後3分で目標が戦闘予想区域へと侵入するぞ。』

 『ヘイズ3、了解。』

 「え、エヴァ初号機、了解です!」

 『わははははは、敬礼した事無いのか少年?後で教えてやるから、くれぐれも死んでくれるなよ!』

 

 こうして、第二新東京市はその設立目的たる初の使徒迎撃作戦を開始し、14歳の碇シンジ少年は早過ぎる初陣を迎えるのだった。

 

 

 

 

 




ここでジガン以上の機体出すと、多少の損害出るもののそれだけでサキエルぶち殺せるのでこの布陣に成りました。
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