多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
新西暦186年8月1日 地球 極東方面 午後6時
残暑厳しい極東のこの季節では夕暮れ時とも言える時間帯。
極東方面の行政の中心地として実質の首都であるここ第二新東京市には、緊迫した状況が続いていた。
使徒と言われる先史時代の生体兵器の突然の起動と侵攻。
以前よりそれに対処すべく準備を重ねてきた特務機関NERVの研究・開発したエヴァンゲリオン初号機と首都防衛隊が少ない戦力ながらも今か今かと手薬煉引いて待ち構えていた。
『目標、キルゾーンに間も無く到達。』
『カウント開始します。5・4・3・2…今!』
『電磁バリア展開、目標の拘束開始!』
都市部中心へ向けて真っすぐ歩行してきたサキエルに対し、首都防衛隊+1の対応は簡単だった。
即ち、第二新東京市へ侵攻してくる目標を罠にかけ、即時撃破する。
これは行政の中心地(経済に関しては被災を免れた大阪が現在第一位)たる第二新東京市に無用な被害を与えないための策であり、同時にこの迎撃都市の特性を活かしたものだった。
第二新東京市外周部にはビルに擬装された電磁バリア発生器(超電磁技術が使用されてる)があり、これらで外敵の地上からの侵入を防ぎ、内部の擬装砲台群で対空・対地双方に対して備えている。
単なるMS部隊ならば、大隊どころか一個師団であっても突入からの制圧は困難を極める程だ。
今回はこの電磁バリア発生器を拘束に転用したのだが…
『目標のATフィールド増大!拘束突破まで3秒!』
『各機、所定の作戦を実行してください!』
NERV内部の指令所のオペレーター達からの通信に首都防衛隊+1は事前のブリーフィング通りに的確に動いた。
サキエルの正面左右から二機の正式量産仕様のグラビリオンが、斜め後方からはエヴァ初号機が組み付くべく突撃する。
『目標、拘束を解除!』
オペレーターからの警告。
しかし、それは事前予測通りだった。
『各機、フィールド出力最大!食らい付けェ!』
三方からの特機三機によるぶちかましからのしがみ付き。
グラビリオン二機が両腕を抑え込み、エヴァ初号機が背後から羽交い絞めにする事に成功した。
だが、サキエルの武装はその巨躯だけでない。
両腕の光の槍と現在中和されつつあるATフィールドの他、もう一つ。
即ち、眼孔部より放たれる光弾である。
その視線が右腕にしがみ付くグラビリオン1号機へと向けられ、自分を拘束する敵を排除すべく発射される。
『サイズミックボール、ガード!』
サイコセンサーによる簡易思考制御、そして予めパターン化された動作に従い、グラビリオンの死角と近接戦闘を補うべく装備されたサイズミックボールが盾としてサキエルの頭部とグラビリオンの頭部との間に滑り込む。
途端、光弾が炸裂し、サイズミックボールの一個目が破壊される。
『ATフィールド、中和完了!』
『ヘイズ隊、行くぞォォ!!』
そして、ATフィールドの中和を確認するや否や、その瞬間を待ち侘びていたゲシュペンストmk-Ⅱが止めを刺すべく吶喊する。
既に全機がプラズマカッターを最大出力にし、これで終わらせるべく腰溜めに構えたまま最大加速に入っている。
『死ね化け物!』
『おおおおおお!』
後方左右からのヘイズ1と3の刺突により、がら空きの脇腹から向こう側の脇の下までプラズマカッターが貫通する。
そのダメージを受けた時点でサキエルは跳躍を試みるも、拘束され、自由にならないその状態では思うように動けない。
『さっきのお返しだ!』
そして、正面から突撃してきたヘイズ2のプラズマカッターの刺突によって赤いコア、S2機関を刺し貫かれた。
一瞬の沈黙の後、まるでアメーバの様に形を失ったサキエルの身体が全方位へと粘液の様に伸びていく。
『っ、全機ブレイクフィールド展開!』
ここでヘイズ1は一定時間しか展開できず、終了後は一定の間を置かねば展開できないブレイクフィールドの使用を命じる。
このブレイクフィールドはDFの様にイメージ次第で自在に展開と収束が可能という訳ではないが、機動兵器サイズでありながら戦艦の主砲の直撃にすら耐え得る防御力を発揮、突撃戦術や緊急時の防御等に幅広い活用されている。
ある種の切り札である其れを此処で切ったのだ。
ほぼ同時、サキエルが内包する全エネルギーを解放、直上に十字の閃光を伸ばしながら大爆発を起こした。
『…っ、皆さん、大丈夫ですか!?』
ATフィールドと特機特有の頑強さも相俟って多少あちこちぶつけた程度で無事だったエヴァ初号機の中から、シンジが叫ぶ。
『あだだだ…こちらヘイズ3、無事です。』
『こちらロック1と2。無事だが機体の両腕がお釈迦。中破だ。』
『こちらヘイズ1。無事だが、ヘイズ2は機体が大破、気絶している。救護班を要請する。』
『全機、シグナルを確認。市街地への被害も軽微。作戦成功です!』
オペレーターからの一言に、シンジは怒涛過ぎる一日で知らず入っていた肩の力を、此処に来て漸く抜く事が出来た。
『よ…かったぁ……。』
『あ、初号機パイロット、意識を失いました!』
『な、バイタルは!?』
『いえ、これは…気絶してるだけみたいです。』
『無理もない、13で初陣だったんだ。このまま今夜は寝かせておいてやろう。』
『マジか、祝勝会は明日だなこりゃ。』
こうして、碇シンジの初陣は、長い戦いの日々の初日は、初陣から来る極度の緊張と疲労による気絶によって幕を閉じたのだった。
……………
『第一回は大金星、と言えるな。』
『あぁ、被害も費用も想定範囲内。しかし…』
『これではあの人形共にお膳立てされた様なものだ。』
『然り。あの連中の事、間違いなく我らの意図には気付いているだろう。』
『使徒迎撃においてはこれ以上なく役に立つのがまたな…。』
「ご安心を。彼女らは暫くすれば何も出来なくなります。」
『…まぁ良い。今暫くは君に任せよう、ゲンドウ君。』
『予算の件は心配するな。君は君の使命を果たしたまえ。』
「道化はどちらやら…。」
「目的のためになら踊る事も吝かではない。」
……………
太陽系地球 北米方面 A.I.M.本社
『SRXチームが極東方面に移動?』
『はい、確かな話です。』
現在、社長室では五代目武蔵社長が会長たるトレミィと通信を行っていた。
勿論、自動人形間の量子通信なので、盗聴の可能性は絶無である。
『…目的は何だと思う?』
『対使徒か他の特機か、それとも遺跡の類か。』
『先ずSRXチームに経験を積ませるとは思うけど…蚩尤塚は?』
『現在、周辺の封鎖が完了。発掘作業に入っております。』
本格的に戦乱へと向き合うため、現在A.I.M.並び太陽系防衛用無人機動部隊では各所で戦力を拡充すべく今まで静観・監視に務めていた味方となり得るモノへの接触や確保に奔走していた。
本来ならば事前にやっておくべき事なのだが、「そいつらへの覚醒・接触=敵勢力のヘイト爆上がりor登場のトリガー」となる事を恐れ、今日まで監視に留めていたのだ。
太陽系内部なら二機の四神の超機人の眠る蚩尤塚、海底に眠るオルファン、木星のザ・パワー。
太陽系外部ならプロトカルチャーのデータ管理センターのある惑星ラクス、バロータ第四惑星のプロトデビルン、惑星ウロボロスの正常なエビル、バジュラ本星のバジュラクイーンと群れ、フォールドクォーツの資源地帯である惑星ウィンダミア、そしてアニメ・漫画版イデオンの発見されたアンドロメダ星雲の植民星A-7・ソロ星等が存在する。
これらは全てデコイ艦による監視対象に指定されており、これらの情報は既に先のマジンガーZERO対策会議の場で地球連邦と共和連合特使、レムリア女王らに公開の済みになっている。
なお、木星にギガンテス版イデオンいるのにソロ星も対象なの?と疑問に思われるだろうが、この闇鍋スパロボ時空において「イデオンが実は二機いた」等という超ド級の厄ネタが存在する可能性を否めないためにこうなった。
幸い、不自然なエネルギーは今の所観測されていないが、それでも安心できる訳がないので監視されている。
この内、平和的に接触可能、或いはその可能性があるのが蚩尤塚、オルファン、ザ・パワー、惑星ラクス、バジュラ本星、ウィンダミアとなっている。
蚩尤塚は言わずもがなで、オルファンは女王曰く「とても怯えている」ので話し合いが可能となっている。
ザ・パワーは異次元からゲートを通って流入してくる指向性の無い膨大なエネルギーの奔流であり、惑星ラクスは異種族との混血がいれば活動を開始・情報を閲覧させてくれる。
バジュラに関してはプロトカルチャー関連情報に対話方法等が記載されているため、女王立ち合いの下でそれを利用すれば行ける。
そして惑星ウィンダミアはフォールド断層に囲まれているものの、中世の人々が如き暮らしをしている割に高純度のフォールドクォーツの鉱脈が存在し、ウィンダミア人が少量ながらフォールドクォーツを精製可能なので、このまま他の大勢力に発見されれば家畜化不可避であった。
そのため、ここだけはデコイ艦から派遣されたナノマシン式自動人形らが現地人に成り済まして接触、以前のノウハウを活かして文明の急速な発達を進めている。
逆に絶対起こすなよ!?絶対だかんな!?というのがプロトデビルンとエビル、イデオン関係である事は言わずもがなだ。
『取り敢えず、こちらは連中がアクション掛けてくるまでは戦力増強に務めます。』
『了解です。』
既に地球圏は隕石落下による消耗から回復しており、戦力は数字だけなら戦前よりも充実している(熟練兵やパイロットの数は減ったままだが)。
加えて、スーパーロボット軍団も全回復した上、装備も新たになっている。
マジンガーZこそないものの、兜甲児も量産型グレートマジンガー(魔神パワーの再現無し)に搭乗し、さやかと共に戦線に復帰の予定だ。
ボスボロット?一応雑用担当で雇い入れられて同行予定だ。
『で、こちらですが…。』
『確かに必要だけどさぁ…。』
送られてきたデータには、2隻のスーパーロボット運用戦艦の姿があった。
一隻はゲッター戦艦のデータを元に作られた超攻撃型母艦ゲットボマー。
コン・バトラーとボルテスの超電磁ロボ2機とライディーン、ダイモスらの専用設備を搭載した超電磁戦艦マグネバード。
どちらも、お値段はある程度の量産を想定したスペースノア級よりもお高く、倍近い建造コストである。
が、必要なのでどちらも建造を開始している。
これらは初代マクロスや他のISA戦術対応艦と共に運用される予定だ。
『まぁコストはどうにかするから心配しないで。』
『畏まりました。』
『私は壊滅した無人機動艦隊の代わりに暫く冥王星にいるから、そっちは任せたからね。』
『どうかご武運を、お母様。』
『うん、またねー。』
まだまだ起動したばかりの五代目武蔵は少ない言葉なりに自分達の母親へと気遣いの言葉を送った。
「…では、人類のための仕事を続けましょう。」
しかし、水面下ではBF団を中心に、大きな動きが起きつつあったのを、この時の彼女らはまだ知らなかった。
サキエル君、あっさり退場。
ジガンⅡならタイマンで撲殺される程度だからね、仕方ないネ。
なお、次のシャムシェル君は……うん、まぁ…頑張ろうか!