きょーそ様のそっきん    作:赤貞奈

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  鬼滅の刃完結するのかな?


零話

  十二鬼月 

 

   鬼の首領、鬼舞辻無惨によって選別された十二体の鬼を指す言葉であり、鬼舞辻無惨の直属の配下で、他の鬼とは隔絶した強さを持っている。

  しかし、その階級は上弦と下弦に分かれており、上弦と下弦の実力は天と地ほど離れている。

  事実、下弦の鬼は鬼殺隊において“柱”と呼称する者らによって、頻繁に討伐されており、上弦の鬼はその“柱”を凌駕する戦闘力を持っている。

  そのため、上弦の鬼ひいては鬼舞辻無惨の討伐こそが鬼殺隊の発足当初からの至上目的であった。

 

  だが、その見解は破られることになった。

  “下弦の陸”の称号を冠する一体の鬼によって。

 

 

  ♦︎♦︎♦︎

 

 

時は明治。鎖国が解かれ、文明開化によって西洋文化が日本に流出しはじめた頃。だが、その影響は江戸や京都などの中央都市にしか広がらず、日本の多くはまだ、昔の趣を保っていた。

  それは大都市から離れた場所に存在する小規模な村においても、例外ではない。

  木造の建築物、辺りに広がるのは季節によって姿を変える田畑と山なみ。

 

  そんな村の通りを一人の男がものすごい勢いで走っていた。

  彼は鬼殺隊所属の鬼狩りで“炎柱”の称号を頂戴する鬼殺しのエキスパートであった。

 

  彼は鎹烏の先導によって、鬼退治のためにこの村に訪れていた。

  

  「報告にあった村はここか。…………酷いありさまだ」

 

  男の目の前に広がるのは見るも無惨な死体の数々。

  鋭利な刃物で身体中を引き裂かれたかのようにバラバラの死体がそこらかしらに転がっていた。

  家は所々が崩れており、戦闘の跡が窺える。

 

  「確か、俺より前に息子が向った筈だが、はて、何処だろうか?……肝心の鬼も見当たらない」

 

  男は村の中を歩きながら、先発して向った隊士を探していた。

  その隊士は彼の息子であり、次の“炎柱”を継ぐ継子でもあった。

  実力は確かで、そこらの鬼では相手にならず、十二鬼月が相手でも引けを取らない自慢の息子であった。

  

  しばらく男は歩いていると、村の奥の方から強烈な鬼の気配を感じとった。

 

  「そこか!」

 

  男は気配のした方へ、全力で駆け出した。

  すると、道の真ん中に倒れている少年を見つけた。

 

  「おい!大丈夫か!しっかりしろ!」

 

  その少年は彼の息子で先発で向かった隊士であった。

  少年は胸を笠懸にバサリと斬られており、傷口から多量の血が流れている。また、右腕も失っており、こちらの傷も相当酷い。

  少年は男の声に目を覚まし、呻き声を上げつつも男に返答する。

 

  「鬼にやられ、ました……敵は、上弦の陸です。…………父上、逃げて、ください」

 

  「落ち着け!まずは呼吸を整えろ!……お前は止血に専念しろ!」

 

  男は息も絶え絶えの少年を抱き抱え、近くの家の壁に立てかけ、楽な姿勢をとらせる。

  そして、手負いの少年に手持ちの薬を与え、緊急手当を施す。

  ある程度の処置を終えると同時に、奥の方の家の扉が開いた。

  

  「何してるの?その子はもう助からないよ。見てわかるでしょ」

 

  出てきたのは一体の鬼。

  血を被っているように見える髪と虹色の瞳が特徴的で、着物を着流しで着ている青年のような鬼だった。

  その特徴的な瞳には『上弦の陸』という文字が刻まれており、手には人の腕のようなモノを持っていた。恐らくは少年のものだろう。 

  

  (童磨)は持っていた腕を齧り、飲み干すと不満そうに項垂れた。

 

  「また男かー。俺、女の子の方が好きなんだけどなー」

 

  男は童磨の傲慢な物言いに、内心腹を立てるが、それで支障が出るほど、柔な精神ではない。

  しっかりと意識を集中し、呼吸を整え、急な戦闘にも備える。

  

  そうして、男は、背後の少年に向かって“命令”を伝える。

  

  「俺は鬼を倒してくる。……もうすぐ“隠”がやってくるだろうから、お前はそれまで生き延びろ。絶対に死ぬな」

 

  男はそう言って、少年から離れようとする。自身の息子を襲った憎っくき鬼を倒すために。

 

  しかし、その歩みは少年によって止められる。

  少年が男の手首を強く掴んだからだ。

 

  「待って、ください!………父上でもあの鬼には勝てません!……父上が死んでしまいます」

 

   少年は泣きながら、何かに怯えるように体をふるわす

  少年の握る力は、瀕死の人間とは思えないほど強く、男の手首を掴んで離さなかった。

  

  「すまないが、それはできない。……鬼殺隊の一員として、“柱”として、俺は鬼を倒さなければならない。それに、『父親』として、俺はおまえを傷つけた鬼がどうしても許せないんだ。……たとえ、負けるとしても、譲ることは決してできない」

 

  男は少年の手を掴まれた手で握り、やんわりと少年の手をどける。

  

  

  そうして男は、泣きながら自分を引き止める少年から離れて、童磨と相対する。

 

  「“家族ごっこ”は終わりかな?俺はもっと見たかったんだけど。人間って本当に面白いよね。見てて飽きが来ないよ」

  

  目を細めて、カラカラと笑う童磨に男は日輪刀の切っ先を向ける。

  

  「お前()には分からないだろう。たとえ、俺が負けたとしてもその信念は必ず引き継がれる。そうして受け継がれた刃は絶対にお前を滅することだろう」

 

  「うん俺ら(・・)には分からないかな。死んだら終わりだよ。『引き継がれる』?……そんなことあるわけないからね」

 

  「何処までも人を嘲笑う。その心根、叩き切ってやろうぞ!」

 

  そう言い切り、男は『炎の呼吸』を使おうとした。……途端、男の体はバタリと倒れた。

 

  「……っ!?……何をした!………体が痺れて、動けん!」

 

   男は驚愕した。自分の体が痺れて動けなくなったからだ。

   動かそうとするも、痙攣した身体は言うことをきかない。

 

  「おー。本当に効くんだな。俺は何もしてないよ…………え、本当にわからないの?」

 

  童磨は倒れた男をケラケラと笑い、自分が倒れた理由がわらかない男に対して、哀れみの視線を向ける。

  

  「お前以外に誰がいる!ここにいるのは俺とお前と……まさかっ!」

 

  男は冷静に状況を分析し、ある一つの事実に辿り着く。

  しかし、その事実を男は認めたくなかった。どうしても否定したかった。

 

  それは間違いだと。

  そう証明して欲しい男は微かに動く自身の首を後ろに向ける。

 

  そこには、

  

  「父上!毒の味は如何ですか!」

 

   愛する自身の息子が、笑顔で歩いてくる姿があった。

   男の頭を予想は残念ながら当たってしまった。

   そう。少年は男の手首を掴んだ時、毒を盛ったのだ。

   

   息子は瀕死の状態の筈であり、男が見る限り、それは今も変わらない。

   しかし、その足取りは軽く、重症の体は嘘のように見えてくる。

  

  「私に隙を見せてくれて感謝いたします。お陰様で尊敬する父上を倒すことができました」

 

   一見煽っているように聞こえるこの発言は。

   少年は本当に感謝をしているのだ。自分の父親を本当に尊敬しているのだ。

   一緒に過ごしてきた自身の息子だからこそ、少年が誠心誠意自分を想っていることを男は理解してしまった。

   だからこそ、男は少年の矛盾した言動に困惑する。

   

  「お前は誰だ!?……俺の息子はどこだ!?……俺の息子を返せ!」

 

  「何を仰っているんですか。私は貴方の息子()ですよ。……覚えていますか?私が継子を認めてもらった日のこと。……………才能がなかった私は天才だった弟に劣っていました。それが悔しくて悔しくて。毎日、毎日死に物狂いで鍛錬して、必死に呼吸も覚えて。それでも弟に勝てなくて落ち込んで。……そんな私を父上は弟と分け隔てなく接してくれました。本っ当に嬉しかったです。そして、私は父上の努力に応えようと更に努力を重ねました。鍛えて鍛えて鍛えて。そして、先週ようやく私を継子として認めてもらいました。その時にかけてもらった父上の「よくがんばったな」はとてもとても心に響いています。貴方は私の尊敬する偉大なちち……」

 

 

 

  「……あ、早く食べないと美味しくなくなっちゃうよ。生きたまま食べた方がお得だよ」

  「はい!“きょーそさま”、すぐに食べます!!」

 

  「………………は?」

 

  

  童磨の言葉で、少年は一瞬で話を打ち切る。

  男は少年の態度の急変についていけず、呆然とするのみだった。

 

  「あ、このままじゃ、食べれない!…………戻るの嫌だな。でも、きょーそさまが早くたべろって言ったし………………えい!」

 

  そんな男のことは目もくれず、少年は何かに堪えるようにギュッと目を閉じて、静かに体を震わせた。

 

  すると、少年だったものは忽ちのうちに姿を変えていた。

 

  それは11歳程の少女の姿をしていた。

  髪と瞳は灰色で、容姿は人外じみた程整っており、妖艶さと可憐さを両立し、それを純真無垢の子供らしさで着飾っているような様相だ。

  

  これだけだと、ただの少女に聞こえるだろう。

  しかし、相対してみると分かる。

  これは鬼だ。人を食う鬼だ。

 

  それに少女の瞳にはしっかりと刻まれている。

  『下弦の陸』という文字が。

 

  「むーー。やっぱり落ち着かない……早くたべよ」

 

  少女の鬼は不満そうに頬を膨らませて、男の頭を持ち上げた。

 

  男に少女の行為を止める術はない。

  ただでさえ、鬼の力は強靭なのに加え、男は毒によって体が動かないからだ。

  だが、口は動く。

 

  「よくも騙したな!この卑劣な鬼が!」

 

  男は少女の鬼にありったけの罵詈雑言を吐き出す。

  男の体は動かないが、その心は頭は激情に燃えていた。

 

  「むーー。怒らないで!貴方が怒ると私もイライラしちゃうから(・・・・・・・・・・・・)!!」

 

  少女は頭を押さえ、少しだけ顔を歪めた。

 

  まるで自分勝手のその言葉に男は更に憤りを覚えた。

  

  「息子はどこやった!」

 

  「たべた……貴方を騙すために」

 

   男の、『本当の息子が無事』という一縷の望みはすぐに壊され、

 

  「殺した(救った)のは俺だよー」

 

   童磨の言葉で追い討ちをかけられた。

 

   次々と襲いかかってくる衝撃に、男は感情の行き場を失った。

   彼の怒りは心の中で燻って、増大して、膨れ上がった。

 

  「もう!本当に怒らないで!!……貴方の感情が頭に流れ込んでくるから!ああもう!イライラする!……この!!」

 

   そういって少女は男の頭を思い切り齧る。その顔は先程までとは全く異なり、怒りに染まっている。

   

   少女の歯は男の頭蓋骨を容易に砕き、頭から血が溢れ出る。

   そうして、頭に穴を開けた少女は、頭を盃のように見立て、脳髄をコクコクと飲む。

 

  「……ぷはっ。……やっと、静かになった」

 

男の脳髄を飲みきった少女の頬はピンクに染まり、目は焦点が合わず、ぼんやりとしていた。

 

  そうして、残った頭や体を無表情で淡々と食べていった。

 

 

 

  少女が男を全て食べ終わった頃、村中を歩き回って、村人を食べ終わった童磨が少女に声をかけた。

 

  「終わったー?だったら、帰ろう。夜明けも近いしね」

 

  「はい!きょーそさま!」

 

  そうして、二人は村を出て行く。

 

 

  後に残ったのは、無数の血溜まりと、崩れた家屋。

 

  たった一夜で滅んだ、一つの村の末路だけだった。

  

  




  
ちなみに主人公の容姿である、灰色の髪と瞳ですが、元ネタとして、 【ピンク+黄緑=灰色】からきてます。

童磨さんのことどう思う?

  • 実は童磨さんのこと好き
  • キャラクター的には好き
  • 胡蝶家に関与してなければ好き
  • 普通
  • とっととくたばれ糞野郎
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