Summer Story ~妖精のように美しい君との夏~ 作:寿垣遥生
別に執筆そのものを自粛していた訳ではないのでご安心を!単にネタが思いつかなかったのと新連載予定の作品のアイデアを考えたり、仕事のことで精神的に参ったりと色々あっただけです。
ともあれ、今回から平常運転に戻していきたいと思うのでよろしくお願いいたします!
side裕貴
週が明けて月曜日、今日から2日間1学期の期末テストが5教科8科目行われる。どちらも4時間制で午前中までの時間割が組まれており、出題範囲としては実力テストは基礎中の基礎の内容のみだったのに対してさらに詰め込んだ内容になることが予想されるので難しくなるので苦戦は必至だ…そんな中で僕達は誰よりも早く教室に入りテスト範囲のおさらいをしている。
「ヒロくん、テスト勉強はどう?」
「うん、日曜日にみっちりと済ませたよ。直葉ちゃんも?」
「私はちょっと数学がね…でも、数学が得意なお兄ちゃんと一緒に勉強したから準備はできてると思う、かな?」
直葉ちゃんは苦笑いを浮かべながら僕の問いかけに答える。思えば、彼女は数学をやや苦手としていてテストの点数も平均点より上か下かを前後している感じだった。そんな中で数学を得意する和くんの力を借りることができたのは非常に頼もしい材料ではなかろうか?
「よっ!」
すると、クラスメイトにして中学からの友達であるナツくんこと小西奈津樹(こにしなつき)くんが教室にやって来ては僕に声をかけてくる。彼は僕と同じ剣道部所属で、実力に関しては中学時代に全国ベスト8の実力は十分なのだが…高校に入ってからはレギュラー入りができずにやや苦戦している。
「ナツくん、おはよう!」
「おうおう、朝から桐ヶ谷さんとイチャイチャか?お前ら本当に仲良しだなぁ~。まるでカップルみたいじゃねえか!」
「まるでじゃないよ。おかげ様で本当にカップルになったんだ!ねっ、直葉ちゃん♪」
「う、うん…」
直葉ちゃんは顔を赤くして頷く。恥ずかしい思いをさせてしまったことは申し訳ないけど、こうなってしまった以上はナツくんが相手となれば黙るのも逆に怪しまれるのがオチと見て事実を包み隠さず話した。
「ヒュー、お前ってヤツはこんなにも可愛い幼馴染が彼女とか超羨ましいぜ!」
「いやいや、褒められるほどでもないよ…」
「ねえ、小西くんも私達と一緒に勉強しない?」
「いいの!?あざーっす!俺も桐ヶ谷さんから勉強教えてもらえるなんて凄く幸せ~♪」
そして、ナツくんも加えて三人でテスト勉強が朝のホームルームまで引き続き行われた。彼は直葉ちゃんにデレデレの様子でいるように、彼女は学年や剣道部男子の間では可愛さと優しさからかなりの人気があるのだ…そんな憧れのヒロインが近くにいたらデレデレになるのも無理はない。
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初日のテストが終わって僕達は帰り道を歩いている…のだが、今回は珍しくナツくんも一緒だ。
「今日のテストも終わったね。直葉ちゃんとナツくんはどうだった?」
「ちょっと数学がダメかも…小西くんは?」
「俺は特にないな。全部裕貴や桐ヶ谷さんと勉強したから怖いものなんてないぜ!」
ナツくんはどや顔で自分のテストの出来を語る。確かに、僕達とは勉強したものの彼はテストの点数が中学の時からお世辞にも高くなかった。その自信の度合いが結果として出るかどうかはかなり微妙というところか…
「とにかく、今日はみんな無事に乗り切れて良かったよ。明日も頑張ろう!」
「うん!」
「ああ!それじゃあ、俺は明日に向けて参考書を買って帰るから二人は先に帰っててくれ。」
「分かった、それじゃあね!」
僕達はナツくんを見送る。ナツくんもいつもに増して勉強にやる気があるという証と言えようか…僕達も負けられないかもしれない。
「直葉ちゃん、今日はこれから時間は空いてる?」
「えっ?テスト勉強をするぐらいだけど…」
「そう…もしも君が良かったらこの後直葉ちゃんの部屋で二人一緒に勉強したいと思ってるんだけど、ダメかな?」
「うん、全然大丈夫だよ。私もヒロくんと勉強したいと思ってたから…」
「それじゃあ、決まりだね。今日は沢山勉強するぞ~!」
こうして、僕は直葉ちゃんの部屋で勉強の約束をすることに成功した。建前というかやることはテスト勉強ではあるが、久しぶりに彼女の部屋に行きたいという気持ちが大きいというのも理由の一つだ。
(直葉ちゃんのお部屋はどんな感じになってるんだろうな…楽しみだね!)
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しばらく移動して、桐ヶ谷家にたどり着く。勉強の為だとは分かってはいるが、久しぶりに訪れたということもあって若干緊張する。何しろ、小学4年の時以来遊びに来てないからね…
「ここが私の部屋だよ。あんまりジロジロ見ないでね…」
僕は初めて直葉ちゃんの部屋に足を踏み入れる。よく遊びに行っていた当時の彼女はまだ自分の部屋を持たせてもらえなかったので、リビングか近くの公園なり空き地で遊ぶことがしょっちゅうだった…それ故に、個人部屋に踏み入れると今までとは違い新鮮な気分になる。
(あのポスターに描かれてる女の子って誰だろう?妖精かな?)
入って早々、僕は壁に飾ってあるポスターが気になった。そこには金色のロングヘアーをポニーテールにしたエルフ耳の妖精と思われる女の子が楽しそうに空を飛んでいるような感じな笑顔で写っている。
「ねえ、このポスターの妖精さんって誰?もしかして、ALOの直葉ちゃん?」
「そうだよ。私、ALOではこの姿でリーファと名乗ってるんだ。このポスターの画像はギルド仲間からスクショしてもらったの。」
やはり、僕の思った通りでポスターの妖精はALOでの直葉ちゃんだった。それにしても、ゲームの中の彼女は幼さが残るところもある彼女とは違い大人びたお姉さんみたいな雰囲気を感じさせられる…ただ、持っている元気さに関してはどこに行っても健在だ。
「なるほど、ゲーム内の直葉ちゃんも可愛いんだね!」
「そうかな?恥ずかしいよぉ…」
直葉ちゃんは顔を赤くして俯く。恥ずかしがる彼女もめちゃくちゃ可愛い…本当にこの時が最高とも言える。
「随分と楽しそうだな…」
ちょうどその時、和くんが僕達のいる部屋に麦茶を持って入ってくる。どうやら今の様子が外から聴かれていたらしい。
「お兄ちゃん、何をしに来たの!?」
「いや、俺は裕貴が来てるらしいから麦茶を持ってきただけなんだが…それにしても、二人の関係が順調そうで何よりだスグから聞いたぞ?お前達、付き合うことになったんだってな…」
「うん!おかげさまでね♪」
「そうか!スグも凄く喜んでいたからな…とにかく、これからもよろしく頼むよ。」
「お兄ちゃん!今日はヒロくん二人で勉強するんだから、早く行ってよ~!!」
「はいはい。とにかく、裕貴…スグのことは頼んだぞ?」
「うん、ありがとう!」
和くんはそれだけを言い残して部屋を後にする。直葉ちゃんも照れてるのか顔が赤い…いつもの二人は何をするにも仲良し兄妹であるが、こういう光景も凄く新鮮だ。
「それじゃあ、勉強するよ!」
「どうしたの?今回は気合いがいつもよりもある感じだけど…もしかして、照れちゃった?」
「照れてない。早く座って、始めるよ!」
直葉ちゃんは照れ隠しなのか早く勉強しようと珍しく催促してくる。いつもは勉強に関してやや消極的な彼女なのだが…本当に可愛くて仕方ない。
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それからしばらくの時間が経ち、今は明日に備えて英語の勉強をしているところなのだが…
(僕、英語だけはどうも苦手なんだよね…)
そう、僕は不思議と英語だけは赤点までは行かないが他の教科よりも点数が悪くて苦手意識があり、一方の直葉ちゃんは兄の和くんが英語を得意としているので、兄譲りで英語を得意としている。故に英語に関しては彼女から教わっているのだ。ちなみに、僕の英語嫌いは母さんからの遺伝で母さんも英語をかなり苦手としていた。こういうところが似るのは不本意ながら親子なのだろう…
「こんな感じだけど、どう?」
「うーん、ちょっと違うかな…ヒロくんって不思議だね。他の教科は平均点以上なのに英語だけは平均点ギリギリだなんて…」
「いやぁ、唯一頼める母さんが英語を苦手としてるからね。父さんはある程度英語は得意だけど、家に滅多に帰ってこないし。英語を得意する人が身近にいる直葉ちゃんが羨ましいな…」
「そう?ヒロくんには数学の才能があるよね。私もお兄ちゃんから教わってるけど、なかなかその力を発揮できてないの…だから、数学ができるヒロくんが私は羨ましいなって思うよ。」
こうやって褒められると僕は凄く照れる。今はこうやって付き合っている者同士であるが故に褒められる意味が変わってくるものだ…
「とにかく、勉強の続きをしようよ…まだ教わってない部分もあるからね。」
「うん!一緒に頑張ろう♪」
そんな感じで僕達は再び勉強を始めるものの、集中力が切れたのか勉強そっちのけで直葉ちゃんのことが気になって仕方なくなる。
(直葉ちゃんっていつ見ても可愛いんだよな…それでいてスタイルもいいし、男子に人気なのも納得かも。)
そして、視線は顔から徐々に下へ行っては制服の上からでも分かる大きな胸に移っていく。彼女自身は胸が大きいことをコンプレックスとしてはいるが、同じクラスの男子はみんなは彼女の魅力の一つとして『胸』を挙げているようだ。それにしても、大きい…小さい頃から成長を見守ってきた立場として、どうやったらこうなるのか凄く気になる。(別に胸そのものに関心がある訳ではない)
「ちょっと、なに見てるの?」
「えっ、いや…」
「怪しい…どうせ私が気にしてる何かを見てたんでしょう?視線は感じてたから分かるよ。」
「そ、そんなことはないって!別に僕は直葉ちゃんの大きな胸なんか…あっ!?」
やってしまった、僕のしたことが二度までも墓穴を掘ってしまうとは。嘘をつけない自分を恨みたい…
「ヒロくんのエッチ!勉強してるのをいいことに私のことをイヤらしい目で見るなんて…」
「ごめん…」
もうダメだ、これは完全に嫌われたことだろう…僕だって周りが直葉ちゃんのことを(色んな観点で)魅力的な目で見ていると、そのポイントが気になってしまうのである。男である故の悪い癖だ…
「謝らないで、別に私は怒ってないよ?ヒロくんにならジロジロ見られても嫌じゃないから…」
良かった、直葉ちゃんはどうやら怒っていないようだ。それに安心して僕は胸を撫で下ろす…
「でも、エッチなことをするのはその…もう少し待っててね。私達はまだ高校生だし、ヒロくんとはもっと仲良くしたいと思ってるの…だから、ちょっと目を閉じてくれる?」
僕は彼女に言われるがままに目を閉じた。一体、何をするのだろうか…凄く気になる。
「直葉ちゃん、一体何を…んんっ!?」
その時、僕の唇に柔らかいものが重なる…あまりの衝撃に目を開けると、直葉ちゃんが僕の唇にキスをしていたのだった。
「もう…目を閉じてって言ったよね?」
「ごめん。驚いちゃってつい…」
「とにかく、次からはキスする時は目を閉じること!いい?」
「はい…」
「よろしい。その…今はこれだけで我慢して。続きは結婚してからしよう、ね?」
直葉ちゃんは顔を紅くして僕に事実上のプロポーズを交わす。結婚したらこの先のことができる…そう思うと僕も緊張してしまうものだ。
「それじゃあ、勉強の続きをしようか。ヒロくんが英語の点数を上げれるようにしないと…一緒に頑張ろうね!」
「う、うん!」
僕達は再び英語の勉強を始めた。テストの方はどうなったのかって?それは秘密にしておこう。知ったところでどうもこうもないからね…
To be continued…
小西奈津樹(こにしなつき)
CV:下野紘(声のイメージ:コニー)
身長:170センチ
体重:64キロ
誕生日:4月21日
年齢:16歳(満年齢同じ)
解説
裕貴とは中学時代からの友人にして剣道仲間で頭はそれほど良い訳ではないが、剣を握れば卓越したセンスと勝負勘で全国ベスト8まで上り詰めた強さを持つ。(ちなみに、龍昇高校に合格できたのは裕貴(と直葉)との猛勉強の成果)
その実力はまだ高校に入って開花していないのだが、先輩達からは『次の龍昇を背負える存在』と大いに期待されている。ちなみに、彼もまた直葉に憧れている男の一人なのは言うまでもない…