仮面ライダージャオウ 作:否下
夜が明けんとしているじゃんぐるちほー。
しかし、木々の葉が揺れる音さえもしない。当然だ。なぜなら、時が止まっているのだから。夜行性のフレンズの姿が数人見受けられるが、その皆が固まっている。身体の表面には、砂嵐のようなノイズが時折かかっていた。
かつての遊歩道と思われる、整備された痕跡の残る道を、バビルがひとり歩いていた。
「――ダメだったようですね、あなたが擁立した『オレ』は」
どこからか声がする。時間が止まっている中、動ける者は限られるはずだが。
バビルが辺りを見回すと、茂みの奥から、深緑の布に身を包んだ、年を経たことを感じさせる色合いの骸骨が姿を見せた。
「う、うるさいな、モウジャ。……ちょっと、邪魔が入っただけだ」
「邪魔? 誰にです?」
どうやらこのモウジャと呼ばれた骸もまた、タイムジャッガーなる一派の構成員のようだ。
「ジャオウさ」
「わざわざ未来から? 面倒な老いぼれですね」
そもそもなぜ骸骨が喋れるのかという疑問こそ浮かぶが、モウジャは妙な余裕を醸し出している。
「そうじゃない、この時代のジャオウだ。まだ化け物じみた強さ、とまではいかないが、気をつけたほうがいい。モウジャも探してるんだろう? 時の王者の候補」
表情筋がなくてもわかるはっきりとした表情で、モウジャがにやりと笑った。
「心配は要りません。亡者は亡者で、取って置きのを仕込んでありますから」
この動画によれば、顔がでかくて、首が太くて、足が短くて、ちょっとずんぐりむっくりな感じ、するフレンズ・ジャガー。彼女には魔豹にして時の王ジャ、ヒョーマジャオウとなる未来が待っていた。
覇道を阻むマーゲイに打ちのめされ、一時は自信を失ったジャガー。しかし、オレとの出会いと力の継承を経て輝きを取り戻したジャガーは、異世界に飛び、アナザーオレを撃破したのだった。
今日もジャパリパークに朝が来た。朝日を浴び、むくりとジャガーが目覚める。
夜が更けるころまで一緒にいたはずのTSUYOSHIはここにはいなかった。多分、自分でねぐらを見つけたのだろう。前までは隣で寝ていたこともあったのに。ジャガーは何となく寂しさを覚える。
「――イカダ、どこに停めたんだっけ」
アナザーオレとの最初の戦いでイカダを停めたまま、その日1日を過ごしてしまったのだ。普段とは何から何まで違った日だったから仕方ないとはいえ、大事なイカダをどこかに放っておいて、川に流されてしまったり、セルリアンに壊されてしまったりした暁には……気が気でなかった。
とりあえず川沿いを下るか。あの空き地はそこまで遠くないはずだ。イカダに何もないことを信じて、ジャガーが歩き始めた。その時。
『タイムマジーン!』上空のスタッフカーからマーゲイが舞い降りた。腰には、ジクウドライバーを既に巻いている。
なぜタイムマジーンから、ジクウドライバーをつけたマーゲイが? 疑問こそ浮かんだものの、ひとまず置いておこう。なぜならマーゲイは、あのPPPのマネージャーをしているのだ。TSUYOSHIの件を、彼の代わりにお礼しておかねば。真っ先にジャガーの頭に浮かんだ。
「あ、おはようマーゲイ! 昨日は――」
「気安く呼ばないで」
「……えっ?」
自分やTSUYOSHIが何かしただろうか。特に心当たりがあるわけでもない。加えて、機嫌の悪いマーゲイとも声の調子が違うような。
考えを巡らすジャガーに構わず、マーゲイがウォッチをジャガーに向ける。
『マーゲイツ!』未来感漂う音声がベルトから響く。
「変身」
『ライダータイム!』『仮面ライダーMarゲイツ!』
彼女を取り囲んでいた帯が全て離散したとき、見えた姿にジャガーが身震いする。
「っ……昨日の」
朝早くとはいえ、あちらから売られた喧嘩は買うしかなかった。大急ぎでジクウドライバーを腰に当て、勝手に巻かれるその時間にせかせかとウォッチの天蓋を回す。
『ジャオウ!』「変身!」
『ライダータイム!』『仮面ライダー(ウィー)ジャオウ!』
変身時に背部に現れる文字盤から飛び出した「ジャガー」の4文字が、向かってくるマーゲイを暫し足止めする。その隙に顕現させたジカンギレード・ジュウモードで数発放ち、間合いをある程度取って、銃口を向ける。
「どうして、あたしを狙うの?」
マーゲイは面食らった表情になった。呆れも混じっているように見える。やがてその呆れが怒りへと変わってゆく。
「お前が、最低最悪の魔王になるからよ。お前のせいで、たくさんのフレンズが……ッ!」
ジカンザックス・おのモードを手に、真っ直ぐジャガーのもとに突っ込んでくるマーゲイ。憎しみに溢れた口元に、ジャガーの身体が小刻みに震える。斧の斬撃をジュウモードのままでどうにかしのぐが、次々に繰り広げられる容赦のない攻撃に、川を背にするまで追い詰められた。
危機。しかしジャガーは、マーゲイのさらに奥、茂みの微かな揺れを見逃さなかった。風にしては不自然なのだ。マーゲイに当たらぬようによく狙い澄まし、揺れ動く茂みを撃つ。
「マーゲイ、後ろ!」
呻き声が聞こえた。声の主が茂みを抜けて現れる。
十字架に両腕を括られた、小太りの男。格好はといえば、ボロ布を1枚纏っただけ。眼からは一切の生気が感じられない。片腿に「MELOS」、もう一方には「****」と奇妙な記号が記されている。
マーゲイが微か呟いた。「アナザー……フレンズ」
ジャガーも、その言葉を聞いて向き直る。
すると、アナザーフレンズが唸った。
「……王……? 許さぬ……!」
両腕を固定された不安定な体勢でありながら、怪人はこちら、とりわけジャガーを狙って突進してきた。
『ケン!』ジャガーがジカンギレードを変形させて構えるが、彼女とアナザーフレンズの間にマーゲイが割って入った。今さっきまで自身に向けられていた鋭い刃だが、敵に向けられていると何だか頼もしく感じられる。
「――よし!」
助太刀、といったところか。深呼吸をし、剣を握り締めてアナザーフレンズのもとに走り込んでいく。だが、一撃食らわせる前に、マーゲイが言い放った。
「来ないで! こいつは私が倒す」
とはいえ、攻撃しなければ被害が拡大するに違いない。だが、彼女を敵に回した場合に、その脅威はジャガーが最もよくわかっている。そうなれば、それこそみんなを守るなんてできなくなる。下手に逆らわない方が身のためと、ジャガーは一旦身を引いた。念のため、変身はそのままに。
マーゲイは押しに押していた。この間の怪人と比べれば筋肉の厚さもなく、しかも向こうは、腕が動かせないため反撃すらままならない。腹にたまった多少の脂肪こそあるものの、ライダーシステムの前では、そんなものはないも同然だった。これなら行ける。
『タイムチャージ!』一蹴りで相手を引き離す。
『5・4・3・2・1……ゼロタイム!』大きく構える。
『ザックリ割り!』激しい斬撃が、怪人を直撃した。衝撃音が轟く。
しかし、怪人は爆ぜなければ、痛みに喘ぐ素振りも見せない。見れば、背負われた十字架が盾となり、あの一撃をも防いでいた。マーゲイは驚愕する。
生まれたわずかな隙を見逃さなかったアナザーフレンズ。硬い十字架を利用し、大幅に前傾した姿勢でマーゲイに突撃した。後ろに大きく吹き飛び、マーゲイは大きい川に落下する。
「マーゲイ!」ジャガーの身体は、考えるより前に動き出していた。流れこそ緩やかだが、大きい川はそこそこ深い。
少し濁った水に飛び込むと、俊敏に水をかき、マーゲイが落ちたであろう地点に迫る。
ただ、マーゲイにはマーゲイなりのプライドがあるのだろう。自身が倒そうとしているものに助けられるなど……。水中でどうにかウォッチを起動、ベルトを回す。
『アーマータイム!』『ハイゴッグ!』
水流のジェットで水中を航行すると、川岸の程近くから上空へ。そのまま背部にジェットパックを展開すると、腹部アーマーから無数に砲撃する。爆炎がアナザーフレンズを包み込んだ。
自力で抜け出すとは。ジャガーは驚いたが、第一に彼女の身に何もなかったことに安堵した。
そうとなれば、もう1度陸に上がるほかにない。ジャガーは急いで岸に戻ると、地に突き刺したジカンギレードを引き抜き、再び参戦した。爆煙の晴れた先の怪人を勢いよく切り裂く。
「ッ……待て!」
空の上でマーゲイが叫び、ジェットで急降下。ジャガーの寸前をかすめ、鋭利な爪を備えたアームでアナザーフレンズを弾き飛ばした。
「……私が倒す、と言ったはずよ。いや、あなたには倒させない」
「なら――!」言い終わる前にジャガーが走る。銃撃で牽制しながら背後に回り込むと、アナザーフレンズの十字架部分を抱え込み、羽交い絞めにした。
「今だよ! あたしは平気だから、このまま撃って!」
「なッ……」マーゲイは己の目と耳を疑った。
怪人の抵抗に遭い、ジャガーの脚が次第に傷ついてゆく。アーマーの仕様か、下半身には足周りを除いて装甲がないのだ。
「早く!」ジャガーが声を上げる。
思慮していたマーゲイだったが、その一言にハッとしたのか、目を輝かせた。「はいごっぐ」の文字越しに、野生開放の証たるけものプラズムが現れる。その結晶は、覚悟を示す。
ジカンザックスをゆみモードに変え、ベルトからハイゴッグウォッチを外した。
『フィニッシュタイム!』『ハイゴッグ! キワキワシュート!』
弓の真ん中から放たれた光の奔流が、アナザーフレンズを飲み込んだ。直前にジャガーは離れたものの、背中が巻き込まれ、その勢いで変身が解除される。
叫び声をあげ、アナザーフレンズが爆発した。黒色のウォッチが転がり出る。煙の中から、先の身なりと似通った、布を1枚羽織っただけの男が姿を現した。ヒト……に見えるが顔立ちは濃く、ヒトのフレンズであるかばんとはお世辞にも似ていない。
ウォッチを外し、マーゲイが変身を解いた。少しよろめきながらもその男のもとに向かうジャガーに視線を向け、訝しげな表情。
「大丈夫!?」ジャガーが男の肩に手を置き、少々強めに問う。
男は獣の耳の付いた女性を目にして、両目をこする。周りがどうなっているのか、全くもって理解できないようだ。
男はうわごとのように言葉を発し続けた。
「――セリヌンティウスは……? セリヌンティウスはどうなった……?」
「せ、せりぬん……?」ジャガーが困惑している中。
刹那、時が止まった。
林の向こうから、マントのような布を纏った骸骨が歩んでくる。
「この女豹が、将来のジャオウですか。……『王』という感じには、とても思いませんがね」
静止したジャガーを見回し、鼻で笑った。視線を下に落とし、倒れた男を睨む……といっても、眼球はないのだが。
「!……お前は、あの時の……っ」
「駄目じゃないですか、ここで行き倒れては」満足に立ち上がる気力すら残らぬ男を、モウジャは冷たく一喝した。
男の足元に転がったアナザーウォッチを拾い上げ、スイッチを押す。
『メロス!』ウォッチが光り、虚無とも微笑ともとれる醜い顔がぼうっと浮かぶ。
「……名乗らなかったことは評価してあげましょう」
「この女豹を見てください。彼女はいずれ、ディオニスなど足元にも及ばぬ暴君に成り果てます」
「あなたの正義は、邪知暴虐の限りを尽くす王を許さない、でしょう?」
疲弊しきった男を前に、モウジャは延々と語る。男にとってその光景は、以前にも一度見たものだった。
「この力があれば、永遠に走り続けられます」モウジャが男の胸にウォッチを突き刺した。呻き悶える男を、モウジャは無表情のまま見つめている。
男の身体は何かに吊られたように起き上がる。腕が独りでに水平の位置まで上がると、背後に形作られた十字架に括られた。
「あぁっ、ああぁあぁああーっ!」『メロス!』
「行きましょう、メロス。このまま戦っては無意味です」
立ち上がらされた怪人――アナザーメロス――を連れ、モウジャはその場からふっと消えたのだった。それと同時に、時が再び動き出す。
さっきまで肩を押さえていたはずの両手が、気づけば空っぽになっている。ジャガーは状況を飲み込めず、戸惑いを隠せない。その様子を横目に、マーゲイがぼそりと呟いた。
「タイム……ジャッガー」
ジャガーが訊き返そうとしたものの、マーゲイはそのまま歩いて去って行ってしまった。追おうかとも考えたが、ジャガー自身今の戦いで受けたダメージは大きく、下手に追って攻撃を受けてはいけない。ひとまず、イカダのところまで向かおうか。ただジャガーには、ひとつ気になることがあった。
「お前が、最低最悪の魔王になるからよ」
「……王……? 許さぬ……!」
先の、マーゲイと怪人の放った言葉がフラッシュバックする。王、というのは、皆に憎まれ、嫌われるものなのだろうか。
わからないことは、じゃんぐるちほーなら彼女に訊けばわかるはず。イカダも気になるが、何だか先にこちらについて聞いておかないといけないような気がした。
道の形がきちんとできている道は、じゃんぐるの中を歩くならここぐらいだ。確か、かばんたちも通ったとか。道なりに進んでいくと、道端に特徴的な形状のフードを被ったアニマルガールが見えた。
「おはよう、キングコブラ。ちょっといいかい?」
「ジャガーか、珍しいな。いいだろう、民の頼みだ」
キングコブラ。彼女は、自身を王である、という。王を名乗るだけあって、彼女から漂う風格は並のものではない。また、じゃんぐるで何か困りごとがあれば、ジャガーと同じくらい頼られている。彼女いわく、「民の頼み」は何だろうと聞いてやる、とのこと。ジャガーもまた、キングコブラを頼りにしている者の一人だった。
「あのさ……『魔王』って、何?」
その単語を聞き、キングコブラの目つきが鋭くなる。
「……急に何を言い出すかと思えば」キングコブラの尻尾がぴたりと止まった。「民の頼みとあらば、答えなければな」
岩に腰掛け、ジャガーを招き寄せる。
「魔王、というのは、正しい道を外れた王のことだ。手にした力を、民のためではなく己のために使う。私は、そうならないよう十分に気をつけているぞ」
4つの耳を傾け、ジャガーは集中して説明を聴いていた。話が終わると、彼女はキングコブラに体を寄せ、尻尾を絡める。
「あたし……ある子にね、最低最悪の魔王? になる、って言われてさ。違う子は、王は許さない、って。あたしが魔王になるっていうけど、ほんとに、みんなに嫌われる王様になっちゃうのかな」
キングコブラは、尖ったウロコに覆われた尾を優しく動かし、ジャガーの尻尾を包み込んだ。ジャガーの手をそっと握り締める。
「お前が? 魔王に? ふ、笑わせるな。お前のように、強い力を持っていながら無闇に力を振るわない者が、魔王になどなるわけがない」
ジャガーの顔を、キングコブラは鋭くも慈悲に満ちた瞳で見つめた。
「王である私が保証しよう。お前は、最高・最善の王になれる」
うつむいていたジャガーだったが、下がった口元が、元の柔らかな笑顔に戻った。絡み合っていた尻尾を、少しずつほどいていく。
「ありがとう。……また、話に来てもいいかな」
キングコブラがあたたかな眼で笑んだ。
「もちろんだ。民の……いや、将来の王の頼み、だからな」
「あたしは平気だから、このまま撃って!」
先刻の戦いを思い出す。マーゲイにはどうにも腑に落ちなかった。
「……なぜ、力を奪おうとしなかったの?」
本当に、あの何もわかっていなさそうなアニマルガールがヒョーマジャオウになるのか?
「アナザーフレンズを倒して、力を奪うんじゃなかったの?」
私の認識が違ったのか? それとも、彼女には王になる意思がないということ?
でも、私は知っている。彼女が力を手に入れたその向こうに、ヒョーマジャオウがあることを。最低最悪の魔王に、数多のフレンズの命が奪われたことを。いくら今のジャオウが魔王になる意思がないように見えたとて、立ち止まってはいけないのだ。
私は、ジャオウを打ち倒し、未来を救う。その決意を揺るがしてはいけない。マーゲイが改めて意志を固めた。
そうと決まれば、ジャオウより先にあのアナザーフレンズを倒さなければ。
『タイムマジーン!』どこからともなく飛来した大きな機体に飛び込む。
「モニターして。交差したものを背負った外部存在がいたら、教えて」
『了解。探索を開始します』マーゲイ機の
イカダは、昨日岸に乗り上げたときのまま放置されていた。初めて出会った時と同じように、イカダにはナカヤマが座っている。
「――やあ、我が魔王」
ナカヤマが呼びかける。ジャガーは視線を向けるが、すぐに川の方へと目をそらした。
「あたしは、『魔王』にはならないよ?」
ナカヤマの目が僅か細められる。
「……ところで、あのアナザーフレンズはどうしますやんか」
「もう倒したんだけど……まさか、また出てくるってこと?」
ナカヤマは応答こそしたものの、はっきりとは答えなかった。ジャガーが真剣な表情で先の怪人の姿を思い出さんとする。
「えっと、確か『MELOS』……メロス! って書いてあったよ」
「では、便宜上『アナザーメロス』と呼ぶことにしましょう。我が魔王、アナザーメロスはまだ倒せていません」
理解できず困惑するジャガー。だが、言われてみれば確かに不思議である。ジャガーは昨日、
「あのオレウォッチは、どうやって手に入れました?」
ジャガーの脳裏に、澄んだ瞳で微笑むオレの姿が浮かぶ。
「オレ……って子にもらったんだけど」
それを聞いて、ナカヤマは少しの間難しい顔をした。やがて顔を上げ、ジャガーを強く見つめる。
「なるほど。どうやら、アナザーフレンズを完全に倒すにはいくつか条件を突破せなあかん。まず、本当はその力を持っているはずだった人物――この場合は『メロス』――からウォッチを『貰う』必要がありそう、ですやんか」
「ってことは、そのメロス? って子を探せばいいんだね?」
頷いたナカヤマを見て、ジャガーは早速歩きはじめる。手掛かりは皆無だ。だいたい、このちほーにいるという確証もない。だが、まず動かなければ見つかることはない、はずだ。
不意に、ジャガーの耳がピクリと動く。
「何か……行かなきゃいけない気がする。イカダ、あの場所に戻しといてもらえないかな」
彼女は川に潜ると、対岸のその先に向かった。太陽が天頂を過ぎる。ナカヤマが、やれやれ、とバケツを空に放った。
『――外部存在、発見しました。サバンナチホー・ジャングルチホー間ゲート周辺です』
探索をしていたタイムマジーンのカメラが、十字架を背負った人型を捉えた。桃色のボディを画面に投影したLB-Assist――このタイプはラッキービーストⅢ型、と呼称される――が機体の主に報告する。
「分かった。降ろして」
ハッチが開き、マーゲイは地面へと飛び降りる。かなりの高度だが、そつなく着地。ゲートを正視したマーゲイの眼は、じゃんぐる方面から走り来る怪人の姿を認識していた。
身構えるマーゲイの後ろに、モップを持った男が近づく。
「あなたがマーゲイ、ですね」
「……誰? 邪魔よ」
後ろを見もせずに、彼の行く手をふさぐかのように右手を力強く突き出す。
『マーゲイツ!』「変身」
『仮面ライダーMarゲイツ!』
「今度こそは……私がこの手で!」複眼から漏れ出したけものプラズム。唸る怪人に突撃するマーゲイを、ナカヤマがにたりと笑みつつ眺めていた。
原典の「ジオウ」の登場人物と、何となくジャガーマンオールスターを対応させてます。途中で変わるかもしれませんが。