東方暇潰記   作:黒と白の人

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次で再会しますかな
史実ではさぬきのみやつここと翁は
求婚を受け入れろなど
月の使者が来たらそいつらの目をえぐり取ってやろう
などと言っていたそうですw


第28記 帰還前日

不比等の屋敷を歩き玄関へと向かう途中

 

「虚どこいくのさ?」

 

不満そうな少女の声に呼び止められた

その声の主、妹紅は待ち伏せするように玄関の側に立っていた

 

「妹紅、寝てないと駄目だろう」

 

妹紅の寿命は後2年程にまで迫ってきている

こんなところで突っ立って居てはいけないはずだ

 

「今日は調子が良い感じだから大丈夫、それより答えてよ、どこ行くのさ?」

「かぐや姫の所だよ」

 

俺は聞くまではここから離れる気はないと見える妹紅にそう伝える

「またかぐや……」

 

妹紅は俯いて震えた声で呟いた

 

「なんで…なんで…皆かぐや!かぐや!皆アイツばっかり!アイツはお父様だけじゃなく虚まで私から奪う!どれだけ私から奪えば気が済む!」

 

妹紅は俯いた顔を上げると赤色の瞳から涙を流していた

俺は何と声を掛ければ良いか考えるが良い言葉が思い付かず黙り混んでしまう

 

「お父様はアイツの時の事で仕事が忙しくなって、私の相手はしてくれない……ねぇ虚、行かないでよ私を一人にしないでよ……」

 

妹紅はポロポロと涙を溢しながら俺の着物の袖を掴む

俺は無言で妹紅の頭を優しく撫でる

 

「ごめんな妹紅」

「謝るなよ……」

「ごめんな」

 

俺は再度謝り妹紅の頭を撫で続ける

 

「あやま…ん…ないで…よぅ」

「……藤原妹紅」

「……え?」

 

これは誉められた行為ではない

 

「君は全てを捨てる覚悟はある?」

「どう…言う……こと?」

 

もし彼女が肯定したら彼女は恐らく永遠の苦しい将来を送ることになるだろう

 

「次に君に会いに来たとき答えを出していてくれ」

「え?え?説明してよ!」

 

妹紅は慌てながら俺に詳細を求める

 

「不比等含め色んな人達との繋がり、妹紅君はこれを半永久的に捨てる覚悟あるかい?答えは明日の夜だよ」

「……わかった明日の夜だね決めておく」

 

俺は外に出てかぐや姫の家に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

さて道中暇なため先程の話の説明をしよう

まず輝夜この事から処理していく

……と言っても説明はこれで全て済んでしまうのだが

月からの迎えが明日来るためその防衛の為、帝から駆り出された

恐らく輝夜が俺のことを言ったのだろう

 

次に妹紅だ

妹紅のことについては蓬莱の薬を使うつもりである

朧気な原作知識では輝夜が永琳と逃亡その置き土産が不老不死の薬こと蓬莱の薬のはずだ

本来ならばきっと妹紅は一人でどうにかしてしまっていたのだろうが……どうやら情が移ってしまったらしい、少し近道をするだけだと俺は正当化する

 

以上が先程のことだ

 

そうこうしているうちに輝夜の家についた

 

「止まれ!」

「貴様何者だ!」

 

二人の門番が槍を構えてそれぞれ言う

 

「黄昏虚だ、話は通っていると思うが?」

「了解した通れ」

 

二人は槍を下げて門を開けた

俺は門をくぐって竹取の翁の屋敷の敷地に足を踏み入れる

 

「さてとまずは翁と嫗に挨拶せんとな」

 

俺は夫妻を探すために敷地を歩き回ってみる

 

「黄昏虚とはアンタのことかのぅ?」

 

家の中から一人の老人が出てきた

 

「失礼だが貴方が翁か?」

「あぁ儂がさぬきのみやつこ……翁と呼んでくだされ」

 

翁を見ての感想は先ず若い

白髪で顔に皺があるがそれでも30代と言われれば納得出来るような若さに見える

それにこの翁間違いなく武術をやっている、もしくはやっていた

だぼついた服の上からではわからないが足腰はしっかりしているし腕もかなり力があるだろう

竹を取るだけでここまで鍛えられるなどあり得ない

とてもではないが50行った老人には見えない

 

「アンタ、儂より強いのぅ」

「翁は武術を?」

「嗜む程度にはのぅ」

 

好好爺とした笑みを浮かべ笑うが、嗜む程度で付いて良い体つきではない

 

「そうか私は嫗殿にも挨拶をしたいどこにいるかご存じないだろうか?」

 

俺は翁の言葉を流して、もう一人のこの屋敷の主、嫗の場所を訊く

 

「後ろにおるじゃろう?」

確かに俺の後ろには人間の女が居た

だが少し待ってほしい

後ろの女性は艶やかな黒い髪を肩まで伸ばし白い肌をした外見は齢20~30程の綺麗な女性だ

 

翁の妻と言うことでそれなりに歳を取った老婆を想像していたので真っ先に除外していた女だ

 

「し、失礼だが貴女が嫗か?」

「はい、私が嫗です黄昏虚殿」

 

その女性は優雅に一礼し答えた

 

「重ねて失礼だがお年を伺っても?」

「確か今年で50と少しになりますわ」

「えっ……?」

 

この人達は妖怪か何かなのだろうか?

 

そう思い二人を視てみるが妖力のようなものは感じない、それらしき禁術のようなものを使っているような雰囲気もない

 

「……お若いですね」

「ありがとうごさいます」

 

嫗はニコリと笑ってまた一礼する

 

「かぐやの所に行ってやってくだされあの子は貴方を楽しみにしていたからの」

「……気づいていたので?」

 

この家に俺は不法侵入しかしていない

不比等にも妹紅にも、ましてやこの二人にすら俺は来ると言うことは伝えていない

 

「はて?なんのことかの?婆さんや何か心当たりはないかの?」

「私はないですよお爺さん」

「……それでは失礼します」

 

全く食えない爺さんと婆さんだ

恐らくだがかぐやの所に来たときあの人達は気づいていたのだろう

 

「輝夜いるかい?」

「虚、来たの」

 

外に足を投げ出して首を傾けこちらを見る輝夜

 

「お呼びされましたので」

 

俺は芝居掛かった仕草でお辞儀する

 

「貴方に敬語なんて似合わないわ、夜の時みたいに話なさい」

「はいはい……輝夜明日の夜か?」

「えぇ、その時はお願いするわ」

「了解した」

「さてと確認事項もすんだし何をしようかしら」

 

俺と輝夜は夜まで話続けた

 

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