東方暇潰記   作:黒と白の人

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第4記 八意永琳

「そふ言えば永琳はなにか能力はありゅのか?」

 

舌を解放されたがまだ少しヒリヒリと痛む

能力の話を聞き少し気になったので聞いてみた

 

「私ですか?私は『ありとあらゆる薬を作る程度の能力』を持っていますよ、あなたと会った森は彼処特有の薬草採取の帰りだったのですよ」

「へぇー、薬というと風邪薬とか?」

 

俺がそう聞くとそうですねと彼女は頷いた

 

「はい、ありとあらゆる…つまり薬とつけばどのようなものでも私には作ることができます、先程のあなたが言った通りに風邪薬から始まって、解毒剤や漢方薬まで作れますし好きな夢を見せるような薬も作れますよ……フフ、もし少し熱っぽいな等と思ったのでしたら気軽に言ってくださいね?どんな病だろうと治して差し上げますよ?」

 

彼女はニコリと笑ってそう言った

その時グゥーっと俺の腹がなってしまった

 

「フフッ暗くなって来ましたしご飯にしましょう」

 

彼女はクスクスと笑いながら台所のほうへと歩いて行った

 

腹の音聞かれるのがかなり恥ずかしい……

 

なにかを焼く音と共に香ばしいく食欲をそそるような匂いがしてくる

 

 

 

 

「ごちそうさまでした!」

「お粗末様でした」

 

俺は手を合わせて彼女に感謝するように唱えた

とても上手かったし旨かった、料理の彩りの仕方から配置まで考えられ、見るだけでも美味しそうと分かるような料理だったし、味も見た目通り旨かった、彼女から投げ掛けられる会話もとても楽しかった

俺の食器と自分の食器を片付けて行く彼女を見て、少しだけ湿った目許を拭った

 

あっ……ヤバイ泣く所は流石に見せたくない、久しぶりにこんな楽しく誰かと食事を取るなんてここ十年無かったからなぁ……

 

なんとか湿った目許を袖で拭い終え台所を見ると永琳がポットらしきもので飲み物を注いでいた

 

どうやら涙は見られてはいないらしく見つめていると不思議そうに首を傾げられた

 

注いでいたものはどうやら昼間に飲んだ永琳特製のお茶らしく俺はそれを飲み一服する

 

暫くすると瞼が重くなり俺は眠気に襲われた

 

永琳が何か言っている……?

瞼がかなり重いな……眠ったと言っても地面で背もたれに木、疲れが取れるはずもない……わな……

 

頭が揺れていたのか視界が揺れている

永琳が自身の小さな体を使ってそっと俺の体を支えて俺をどこかに運んでいる

 

寝室、かな……

 

ベッドに腰掛けてさせられて押し倒されるように俺はベッドに寝かされた

隣に永琳も寝転がっている

そして俺は永琳と一緒の布団に入り俺は睡魔に身を委ねた…

 

 

 

 

八意永琳

 

私は隣で横になっている彼の顔を覗き込む

電気を消して暗い部屋の中、聞こえるのは彼の寝息だけ森の中の時よりも優しく、安心しきっている寝顔だった

 

「フフフ……よく寝てる…」

 

食後のお茶に仕込んでおいた思考低下薬は効いてるようね、彼は警戒してたし、考えてみれば当たり前よね見ず知らずの人間がここまで良くしてくれて対価らしいものを要求しないもの、警戒するのは当然だからきっと一緒になんて寝てくれなかっただろうから……

 

私は彼の頬をつついてみる、彼は少し唸ってまた静かに寝息を立て始めた

 

でも良かった……視線を胸元に誘導してみたけど私に女としての興味は持ってると言うことは確認できたしこれで惚れ薬とか用意する必要は無くなったわね

 

私は彼の艶の良い綺麗な黒髪を撫でた

 

あぁ寝顔可愛いなぁ、このままずっと見ていたいなぁ、彼は何が好きなんだろう?この気持ちはなんだろう?きっとこれは恋なんだろうか、胸が張り裂けそうなくらい痛い……けど凄く心地良いと感じてしまうような痛み……

 

私は彼に抱きついたそして彼の腕を自分に巻き付け匂いを嗅ぐ

男臭い……決して良い匂いではない、でも凄く心地いいこのままでは私が駄目に成ってしまいそうだ

 

「っ!?」

 

彼が抱きつかせた腕に力を入れた

私が抱きつかれたと認識した瞬間幸福感に包まれる…

 

起きてしまったか?と心配してしまったが杞憂のようだ彼の顔が目の前にある…少し顔を近ずければキスできそうなそんな距離……

心音が高くなる今度のは森のときより遥かに高く煩い、彼にも聞こえているのではないだろうかと錯覚しそうになるほど高く煩い、荒くなる呼吸を必死で抑えつける、彼の唇はもう目の前少し体をずらせばくっついてしまう、その彼の唇にそっと気づかれないように私は口をつけた

 

どのような病でも治してさしあげますよ、それが例え恋の病でも……私と言うあなた専用の特効薬で治して差し上げますよ虚さん

 

そう思いながら私は意識を落としていった

 

 

八意永琳END

 

「知らない天井だ…」

 

目が覚めた俺は使い古されたテンプレートのようなセリフを言う

何処からか食欲をそそるようないい匂いと何かを焼いている音が聞こえる

 

俺は起き上がる、ベッドのスプリングが俺の体重を支え腕を沈み込ませる

 

えっと…………俺は……そうだ、確か跳ねられたんだよな俺、生きていると言うことはあれは夢で…………違う、そう跳ねられて、何故か分からない場所に来て、そう黒髪の美人さん……永琳に拾われて、ここは彼女の家だったな…………うん、そうだった

 

辺りを見回すと俺は大きなベッドの上で寝ていたらしい

茶色の落ち着いた色で統一されており安心感のようなものがある

 

もう少し周りを見ると枕が二つあるのに気がついた

 

二つ……?一つは俺で……もう一つは消去法で彼女のもの……あれ?俺なんで彼女と同じベッドで寝て……?

あれ?なんで俺ソファとかで寝るとかいって遠慮しなかった……?

頭が上手く回らないな、俺こんなに寝起き悪かったか?

 

「虚さーんご飯できましたよー」

 

不意に彼女の声がした

どうやら朝食を作ってくれたようだ…居候させてもらいながら身の回りの世話までさせるとは…俺の働き口とこの家について彼女と話合わなければ

 

俺はそんなことを考えながら永琳が作ってくれている朝食を食べにリビングへと向かった




あれ?どうして永琳さんがこうなった?
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