東方暇潰記   作:黒と白の人

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さて傾国の狐のお話開幕でございます


【挿絵表示】

友人に描いてもらった黄昏虚の絵です
撮り直しました


第40記 傷だらけの女 挿絵《黄昏虚》

幽々子達と別れて二百年ほどたった

 

「時間ってのは経つのが早い」

 

俺は森を歩きながら呟く

 

しばらく歩いていると大量の人間が来た

 

今は黄昏時とも言える夕暮れ

それに街の外は盗賊も多く危ない

もう少しで夜になる今の時間帯なら尚更だ

 

「おや?こんな暗くなる頃に人なんて珍しい、何かあったのかい?」

「ここに女が通りませんでしたか?」

「いや人一人通ってないよ、何かあったのかい?」

 

近くに来るとこの人間達は何なのかがわかった

 

「陰陽師か、とすると女って言うのは妖怪かい?」

「手傷は負わせたのですが逃げられまして」

 

その一団の代表者なのか優男風の陰陽師が言う

 

「もし行方がわかりましたらお教え下さい」

 

それだけ言い残して急ぐように陰陽師達はまた森の奥へと進んでいく

 

 

 

 

俺は少し森を歩いている水が落ちて来るのを感じた

 

「雨が降りだしたか」

 

俺は拍手を打ち茶色の番傘を創造した

傘を差し自宅に帰る途中木を背にする形で女が倒れていた

 

「コイツがさっきの話の妖怪かな?」

 

傷が酷く至るところから血が出ている

流石に女性を見殺しにするのは後味が悪いよな……

俺は傘を肩で抱え女性を横抱きにする

 

「九尾の狐か、綺麗な人だねぇ」

 

おそらく人の所に居たときは化けていたのであろうが

今は金髪目は閉じているのでわからない

九本の尻尾に三角形の狐耳の美女である

 

「雨も酷くなってきたし少し早足にするか」

 

俺は何処かから矢が飛んできそうな気がしてきたので逃げるように家に帰ることにした

 

 

 

 

「さて治療だがどうするか……」

 

傷を(無かったこと)にしても良いが

妖力を消費しすぎているし……妖怪にとっての妖力は命のようなものなのでこれが無くなると後は死を待つだけとなってしまう

 

根気強く妖力分け与えるのが吉かな

 

 

こんなものでいいか

 

しばらく分け与え続けていると落ち着ついた規則正しい寝息が聞こえる

 

さて飯の準備でもしますか

 

俺は立ち上がり何を作ろうかと考えるとふと彼女の耳と尻尾が目に入った

 

……狐、油揚げ……いなり寿司でも作ろうか……

まだ油揚げ余ってたっけな

 

勝手場に行くと幸いまだ油揚げは残っていた

 

「よし、行けるな」

 

寿司飯を油揚げで包んでっと

 

完成したいなり寿司を皿に置いていく

 

「これで完成っと」

「う……うん?」

 

どうやら目を覚ましたようだ

 

「お目覚めかい?」

「っ!?」

 

彼女は布団から飛び起きて尻尾を伸ばして俺を突き刺す

 

「おっと」

 

俺はそれを横に体をそらして避ける

 

「まぁ少し落ち着きなさいや」

「放せ!」

 

俺は女の側まで移動して足を払い取り押さえる

 

「……」

 

俺はそっといなり寿司を目の前に出す

右へ左へいなり寿司を揺らす

彼女はそれを追うように見つめる

 

「少し落ち着いた?」

「……」

「はい」

 

俺は彼女の拘束を解いていなり寿司を差し出す

こちらをチラリと見て警戒している、俺は両手を見せるように上げて武器などは持ってないと言外に言う

 

幸せそうに食べるな……

俺は内心そう思いくすりと笑う

彼女が食べ終わる

 

「……なぜ助けた」

「別に散歩してたら血だらけの君が倒れてたから助けただけだよ、死なれるのも後味悪いしね」

「いなり寿司、旨かった」

「それは良かった、作った身としては美味しいといってもらえると嬉しいよ」

「私はそろそろ出て行く、ここにいると迷惑がかかるからな」

 

俺はため息をつき、彼女の肩をつつくように触る

 

「っ!!」

 

九尾の狐は俺が触れた箇所を痛みを我慢するように押さえつけ踞る

 

「誰が手当てしたと思ってるの?いくら妖獣と言えどまだ治りきらないでしょう、安静にしてなさい」

「しかし!」

「それに俺は陰陽師に遅れはとらないよ」

「……わかっただけど明日出ていく」

 

彼女はそう言って布団に戻った

 

さて俺も寝ますか

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